第三十九話 学園都市の冒険者ギルド
どうもHekutoです。
時間かかりましたが三十九話完成しました。前回誤字脱字が多かったので見直しを増やしたのとリアル事情で遅くなりましたがもう少し早く書きたいものです。
そんなことはいいとして三十九話をどうぞ。
『学園都市の冒険者ギルド』
ここはグノー王城の中、王の執務室。
「・・・ん? 姿を現してよいぞ」
「失礼する火急の用にて手順は省かせてもらった」
騎士や文官に囲まれ朝も早くから黙々と溜まった政務に励む王バルノイア、しかし突然独り言を言い始め周りに控える者達は王の方に視線を向ける、その時突然部屋の中に強めの風が起ると王の座る机の前に黒装束姿の人影が現れ慌てた騎士が剣を抜き身構える。
「静まれ! 自由騎士の方だ問題無い! ・・して何用だ? 何かあったのか?」
バルノイアは剣を抜く騎士達に完結に現状を伝え静めると、目の前に佇む黒装束のジライダに何かあったのか問う、そのバルノイアの机の上にはいつの間に置いてあったのか小さなメモ紙程度の大きさに切られた魔法の羊皮紙にこう書かれていた <緊急事態にて謁見を求む 自由騎士団ジライダ>と。
「実は・・」
「それは真か、暴走ラットしかもそれほどの数とはな・・」
「おい! 貴様その情報は確かなのだろうな!」
ジライダの説明それは災害【暴走ラット】の発生を意味しておりここに来るまでに調べた暴走ラットの規模と進行方向それから被害状況の報告であった。そしてその予想進路にはグノー王城も含まれておりその情報にバルノイアは唸りその裏これからの対応を即座に計算していた、しかし傍に控える騎士や文官にとってはこの様に大きな災害が発生間も無くにも拘らず迅速に伝わってくる災害の詳細情報など経験したことが無くその信憑性を疑っていた。
「当然だ我がこの目で確かめたこと、しかしこれは確認できた最低でもと言う数だ多くなる可能性はあっても少なくなる事は無いだろう・・討伐されていれば別だが?」
ある意味この男が発端になったとも言える為に情報の正確さでは一番であろう、内心責任を感じ冷や汗を出しながら虚勢を張っているのはジライダだけの秘密である。そんな事は知らないバルノイアは最後に付け加えた言葉に頭を振りながら、自国の騎士を圧倒する空気を出すジライダに流石はモーブ忍者だと感心するのだった。そしてグノー王国が動き出す。
「無理だろうな数が数だ、やり過ごすのが関の山だろう・・すぐに行動を開始する! 文官団は今の情報から被害予想を立て必要な物資確保」
「「「は!」」」
バルノイアの気合の入った声に文官たちは即座に敬礼すると慌ただしく動き出す。
「騎士団は直ちに各主要都市の防衛強化と討伐隊の編成に当たれ!」
「「は!」」
騎士隊も指示を受け部隊編成と各都市への連絡をするために走り出す。
「伝令は緊急災害情報網にて情報配布! 諜報部隊と連携し最新の情報を災害終了確認まで常に更新するように」
「は!」
待機していた伝令兵は返事をすると騎士隊を追い抜き走って行く、ここで緊急災害情報網について説明しよう。これは数年前とある災害で各国に多大な被害が出した事件後、情報の遅れによる被害を軽減するために結ばれた条約の一つで、多数の国に影響を及ぼす恐れのある災害の予兆及び、発生を確認した際は、条約に定めた国家すべてに等しく情報を提供する。と言うもので、主に各国の仲介役であるグノー王国が情報を貰い配布することになっている。
「むう、流石にリアル王様威厳が違うな・・」
「はっはっはこの位はできて当然の事・・今回の報告感謝する貴殿はこれからどうする?」
今回はグノーにて確認された為、情報の収集も配布もグノーだけで行う事になる。そんな国の王バルノイアはジライダの感心した声に笑い声を上げるも直ぐに真剣な表情に戻るとジライダの予定を聞く。
「ふむ、仲間と合流するくらいだが?」
「そうか、ならば自由騎士団長殿に支援要請をできないだろうか? 流石にすべての村には手が回らん・・小さな村を優先に防衛依頼をしたい」
どうやら流石のグノー王国とて広範囲に広がっている暴走ラットからすべての民を守るには手が足りないようで自由騎士団に支援を要請したいようだ、そんな王様の表情を見たジライダは頷くと、
「了解した必ず伝えよう。姉御のことだすでに動いてるかもしれぬがな、それでは失礼する」
「・・・流石は詩に聞くモーブ忍者か、しかしユウヒ殿は大丈夫であろうか話では学園都市方面には行ってないとの事だが・・何もなければよいが」
失礼するの声を残してその場から掻き消えるジライダ、そのまったく隙のない姿(内心余裕が無い為)に冷や汗を流し感心するバルノイア、彼はふと窓の外に目を向けると今頃学園都市方面に居るであろう人物の心配をする、そんなバルノイアの願いもむなしくすでに散々な目に合った後のユウヒであった。
「ん? 誰か俺の噂したかな?」
朝からそんな騒動が起こっている頃、ここはグノー学園都市の冒険者学科エリアそこには何か感じたのか頭を傾げるユウヒの姿があった。
「まいっか、しかし冒険者ギルドが学園内にあるとは思わなかったなぁ」
ユウヒの呟き通り学園都市の冒険者ギルドは学園内に併設してある。それは冒険者ギルドだけではなく様々なギルドが学園に併設してあるのだ、その理由は各ギルド員学科の生徒は実習やバイトの為に各ギルドで働くことが多くそれなら学園内に作ってしまった方が何かと便利だと言う理由で、当時の学園長の鶴の一声で学園内にギルドが作られたのは学園都市が出来てすぐの事であった。
「えーっと確かこの辺のはずなんだけど・・お? あれかなすごく大きいんだけどちょっとした体育館より大きいかな? 形は結構歪だけど」
学園都市のギルドは単純なギルドとしての機能以外にも実習や様々な用途に使われる為、通常のギルドより遥かに大きくさらに冒険者ギルドに限っては改修に改修を続けた結果すでに学習塔と合体してしまっている有様で大き目の体育館ほどあるのだった。
「うんデカすぎる・・まぁとりあえず行ってみないことには始まらないな」
そういうとユウヒはその大きくまた特徴的なギルドの中へと足を進めた。
「これは・・えらく騒がしいと言うか全体的に若いな、あぁなんだろ学生時代の騒がしさを思い出すな」
ギルド内に入ったユウヒの感想はそれだった、ガヤガヤザワザワとそして全体的に若い子が多くせわしなく働くその姿は他の冒険者ギルドでは感じる事のない空気であった。
「学生ですって感じの子がカウンターで働いてるって事はなるほどそう言う事か、とりあえずカウンターの子に聞いてみるかな」
学園都市のギルドについて詳しく知らないユウヒだったが、ギルドの設置場所とギルド職員の年齢層やその動きを見て何となくこのギルドの目的を察すると、とても楽しそうな顔をしカウンターにむかって歩き出した。その表情からは今までと違うギルドの雰囲気にワクワクしているのが見て取れる、と言ってもユウヒが経験したギルドもそう多くは無いのだが。
「すみません少し聞きたいことがあるのですが」
「は、はい! 冒険者ギルド学園都市支部へようこそ、えっと・・なにかお困りですか? それとも依頼探しですか?」
ユウヒが話しかけたのは一番近いカウンターに居た小柄な見た目の少女と言っても可笑しくない女性だった、その少女は少し緊張したように答えると詰まりながらも要件を聞いてくる。
「あー実はこの依頼を受けたんだけど詳しい日時が知りたくてわかるかな?」
「はい! えっと少々お待ちください! せんせーい!」
「・・・はぁお前な~ここでは先生と呼ぶなと言っとるだろうが、でなんだ? お? おお!」
ユウヒはグノー王都のギルドで貰った依頼書を見せながら質問すると少女は、はい! と元気よく答えると依頼書を手にくるりと後ろを向くと少し離れたところに居た男性を呼ぶ、その筋肉質なガッチリとした体型の男性は少女をジト目で見ながらため息を吐きやって来ると依頼書を受け取る。すると今までの気の抜けた顔から歓喜に満ちた顔で声を上げた。
「ふえ? どうしたんですか?」
「君が受けてくれたのかこの依頼! いやーよかった少しでも人手が欲しくてなギリギリまで粘らせといた意味があったな」
少女を置き去りにユウヒの前まで来た男性は、ユウヒの手を取るとニカっと笑いよく受けてくれたと言った感じでユウヒの手をシェイクする。そんな男性にユウヒは苦笑いを浮かべると。
「話には聞いてましたがそんなに集まり悪いんですか?」
「まぁな、どいつもこいつも旨み優先で考えるからな今は猫の手も借りたいところさ」
「んー? あぁあ中等部の護衛依頼ですかあれいつも集まらないですもんね高等部とかすぐ集まるのに」
ユウヒの言葉に若干眉を寄せると男性は愚痴り出す、しかし後ろから覗き込んできた少女の一言で表所が固まる。
「・・・お前依頼書よく見ないで俺の所に持ってきたな・・・」
「は!? ばれた!?!」ゴッ!
ユウヒの手をそっと放すと男性は低くすわった声で少女に問う、その問いに少女はしまったと言った顔をし逃げようとしたが襟首を猫のように掴まれその頭に鉄槌をくらうのであった、その後しばし説教タイムとなり少女は終始涙目であった。
「・・・・・」
「あぁすまんな、こいつはうちのギルド職員科の生徒でな今実技実習中なんだよ悪く思わんでくれ」
「あはは、いや問題無いけど・・・ところで詳しい依頼内容なんだが」
微妙な顔でその騒ぎを見ているユウヒ、そんな姿に気が付いたのか男性は謝罪を入れてくるがユウヒは特に気にしていないらしく後ろで涙目になってる女の子に渇いた笑いを出しつつ当初の目的を聞いた。
「んー実はさっきも言った通り集まりが悪くてな、実習予定日は今月ノーナ月の16日だから5日後だな。で詳しい内容については4日後までには決まるはずだから15日は予定を開けててくれ」
「なるほどわかった4日後にここで最終確認ってことだな・・それじゃそれまで別の依頼でも探すかな」
男性の説明に了解の意を伝えそれまでどうしようかと考えだすユウヒ、男性はすまないなと伝えるとそっと逃げ出そうとしていた少女を捕まえると説教を再開するのであった。
ちなみに、この世界の暦は現代日本の暦と差して違いは無く12か月と一月約30日ほどである、またノーナ月とは9月に相当し暑い時期から少しずつ涼しくなってくる時期である。
「・・・あっちに張り出してるのは依頼かな? 結構人がいるが少し見てくるか」
説教をくらい涙目の少女から送られる援護を求める視線を苦笑いで無視するとユウヒは依頼が貼ってあると思われる掲示板の方へと足を進めた。
「(そんなー!? たすけてー! ヘルプー! 見捨てないでーー!?!?)」
「おっまえは・・反省が足りんようだな・・」
「はう!? はい! いいえ! 反省しております! サー! にゃわーーー!?」
そんな救難信号から目をそらしたユウヒの後ろで、よそ見をしていた少女に再度鉄槌が落される音が響いたのであった。
「(少女よイキロ・・)」
「あのぉ・・」
「あ、アリーネさん・・すいませんまだ依頼受けてくれる方居なくて」
私の名前はアリーネ・フォフィスン薬剤研究所所属の薬師です。今日は冒険者ギルドに頼んだ依頼の確認に来たのですが・・どうやら駄目なようです。
「そうですかぁこまりましたねー」
「やっぱり人数と報酬を少し増やしては?研究所で補助出ないのですか?」
この方は冒険者ギルドの正規職員のリッテさんと言っていつも親切にしてくださる方です。そのリッテさんから依頼の内容について指摘されたのですが、あまり持ち合わせが無く冒険者一人分程度しか出せずこれ以上は報酬を上げられないのです。
「んー半分は出たんですけど~半分は私の個人的な目的なので出してもらえなくて・・」
「あらら、研究所もケチですねぇ」
「まぁみなさん頑張ってますからぁ・・個人的な物にまでは無理みたいです」
私の説明に研究所の不満を言うリッテさん私の事を気にかけて言ってくれているようでその優しさはうれしいものです、しかし私ばかりがわがままを言っても仕方ないのですから我慢するしかありません。
「そっかー、でも研究所からの依頼は不人気度が高いですからね報酬良くないとちょっと難しいですよ」
「んー・・今月もうピンチなんですよねえ、どうしましょう?」
研究所の不人気、私は特に何もしてないつもりですがその不人気に思い当たる節が少し、いえいっぱい有り私は否定することが出来ずかと言って無い袖は振れず。
「あはは、まぁ一人だけってのも問題なんでしょうけど・・そうだアリーネさん美人だからここに来た冒険者を色仕掛けしてみたら?」
「い、色仕掛けだなんて・・むりですう」
い、い色仕掛けなんて!? 無理ですそんな唯でさえ緊張しやすいのにそんな事考えただけで顔が熱く・・しかしそのくらいの度胸が必要なのでしょうか、依頼人の一人の理由だって金額的な面もありますが初めて会う多人数の人に囲まれては緊張してしまうと言う密かな理由もあったりするのですから。
「あははは、まぁ色仕掛けは冗談として直接交渉も問題無いですから聞いてみては?なるべく研究所の噂を知らなそうな人に会えるかもしれませんよ?」
「そ、そうですね、誰かいないですかね?」
直接依頼ですかなるほどその手もあるのですね、それなら優しそうな方を選べますし誰か良い人はいないでしょうか?
「まぁそう都合よく・・」
「ん? あら?」
私が悩んでいるとリッテさんがお話の途中で言葉を止め一方向を見たまま止まっています、気になったので私もそちらを見てみると。
「居ましたね、私も見たこと無いですしキョロキョロしてるとこを見ると学園都市のギルド初めてかも・・もしかしたら初心者かもしれないし冒険者ですらないかもしれませんが」
「・・・とりあえず聞いてみればいいんですよね? ちょっと逝ってきますぅ」
リッテさんはここでもベテランに入る職員さんなのでその人を見る目は確かなはずです、そんなリッテさんが気になった人なら・・それに見た目優しそうでよく見る冒険者の人みたくゴツゴツしてません!(筋肉的なゴツゴツです)ここで逃がしては後は無いと思い私は勇気を振り絞りリッテさんに行ってくると告げると歩を進めたのです。
「あ、ちょ! アリーネさん何かそれ違うよ!?」
「すみません! そこのおか!?」ビターン!
「ん? ・・・・・大丈夫ですか?」
リッテさんの声援(勘違い)を背に緊張する心を抑え込み少し大きめな声でその人物を呼び止めようとしたのですが気が付くと私は思い切り床に転んでおり、その痛みにしばらく動けなくなってしまいました。そんな私に心配そうに声をかけてくれたのは目的の人物で私は痛みを我慢して起き上がると頑張ってお願いしたのでした。
「・・うぅはい大丈夫です、あの! 私と付き合ってください!」
「・・・・・・」
「「「「・・・・・・」」」」
「・・・・・・」
あれ? 今私なんて言ったのでしょうか・・何故か私の周りから音が無くなりいままでざわついていた人たちもまったく声を発さなくなっていたのです。えっと・・依頼をお願いする為に・・私の採取に付き合って・・付き合って・・!!!???! 違います!?
「・・・は!? 違います違うんですあのあの!?」
「あはは、えっととりあえず立って落ち着きませんか?」
「はぁぅぅぅ~」
その男性は苦笑いを浮かべながら私の手を取ると、手招きするリッテさんの所まで支えてくれたのでした。ああぁぁ私は今なんと言う事を口走ったのでしょう、あまりに混乱していて私はしばらく顔を上げることができませんでした。
どうもユウヒです、いきなり付き合ってください発言にまさか俺もリア充の仲間入りかと微塵も感じませんでしたが?なにか?そんなハプニング後、今はカウンターで二人の女性と話をしている。
「落ち着きましたか?」
「はぃ・・あの」
「あぁ大体の話はリッテさんから聞きましたので大丈夫ですよ?」
「あの、その先ほどの言葉は緊張で間違っただけで、そう言うのじゃなくてあぁぁ」
あれから十分くらい経っているのだがその間アリーネさんと言う女性は終始顔を俯かせていたので、事情についてはカウンターの向こうに居る女性ギルド職員のリッテさんに面白おかしく説明してもらっていた。
「はいはいアリーネさん落ち着いて、そっちの話もついてるからお水飲んで落ち着いて」
「うぅぅぅ」
「あははごめんねーアリーネさんちょっとドジなところがあって」
未だに若干の混乱を残すアリーネさんにリッテさんは慣れた手つき落ち着かせていた、それを見る限りどうもこういう事は良くあることのようだがそれが『ちょっと』の範囲に収めていいのかは俺には判断できなかった。
「ちょっとでいいのかわからんが・・依頼の概要はさらっと聞いたが詳細について教えてほしいんだけど・・」
「おや? てことは受けてくれるの!」
「いやに内容次第だなあまり長期のものは無理だ」
詳細についての説明を要求するとリッテさんが嬉しそうに受けてくれるのかと聞いてくるがその目が一瞬獲物狙うハンターの目になった事を俺は見逃さなかった、ここではいと言ったら不味いと判断した俺は了承するのを先送りにしたのだが。
「ちっ・・(素人じゃないみたいねここでしっかり交渉しとかないとアリーネさんこういうの不得意そうだし)」
「(今舌打ちしなかった!? ・・・そんなに面倒な依頼なのか? これは失敗したか?)」
気づくか気づかないかで小さく一瞬舌打ちをするリッテさん、流石は正規のギルド職員だ先ほどの学生とは違う腹黒さを持ち合わせているようで、その表情も一瞬歪むも即座に笑顔に戻るあたり訓練されている感じが伝わってくる。
「詳細については私から説明します」
「「大丈夫?」」
「がーん! 二人して声を揃えなくても!? 説明くらいちゃんとできますう!」
ついつい今までのことを思い出し疑問を投げかけてしまったが、俺の意見にはリッテも同意の様でアリーネさんを心配そうに見つめている。そんな俺とリッテさんの反応にショックを受けたのか若干涙目で反論するアリーネさん、ちょっと可愛いと思ったのは秘密である。
「もう・・えっとまずは自己紹介からですよね、私は薬剤研究所所属の薬師でアリーネ・フォフィスンと言いますアリーネと呼んでください」
「これはご丁寧に、俺は冒険者のユウヒだ好きに呼んでくれ」
「はいではユウヒさんと、それで依頼の詳細ですがお願いしたいのは護衛で・・」
アリーネのたどたどしい説明をまとめると今回の依頼は彼女の研究所で必要な少し特殊な水の採取に学園都市から半日ほど歩いた場所にある湧水地まで行くとの事で、行きと採取中そして帰ってくるまでの間の護衛らしい、往復単純計算で一日採取に半日かもう少しかかるだろうか。
「それでいつ出発なんだ? 四日後に別の依頼でここに居ないといけないしそれ以降もしばらく別の依頼があるからな」
「えっと・・今からです」
「・・・・なぬ?」
俺は一番気になっていた日程について聞いたのだが、思わぬ回答に反応が遅れてしまった、しかしその会話を聞いて一番驚いていたのは俺よりリッテさんであった。
「うそ! そんなぎりぎりだったの!? 人捕まらなきゃどうするつもりなのよ!」
「えっとあははなぜか今日の朝期日を短縮されまして・・最悪一人で行こうかと、私も少しは戦えますしぃ」
「そういう問題じゃないでしょ!」
どうやら期日をいきなり短縮されたらしく今日がリミットのようで最悪一人で行く予定だったらしい、そんな苦笑いと渇いた笑いをこぼすアリーネ、その襟を掴み揺らしながら怒るリッテどうやら感情が心配すぎて怒りに変換されているようだ。しかしそんな話を聞いては断るのも後味が悪いしどうもこのアリーネと言う女性は見てて不安になって来る、特に期日的にも問題は無いと思うし乗りかかった船である。
「・・はぁ今から出発して着く頃には流石に暗くなるだろ、それじゃ採取は明日か? 採取はどのくらいかかる? 明日には帰ってこれるのか?」
「え? あ、はいそうですね今から向かうと暗くなるので採取は早朝からです、早朝の方が湧水の状態も良いのでむしろ好都合でそれほど時間もかからないので明日の夕方には帰ってこれるかと・・」
つい溜息が漏れてしまったが俺の質問にどもりながらも日程を説明するアリーネ、どうやら4日後には
影響しないようなので安心していると。
「もしかして受けてくれるの? こんな急な依頼なのに?」
「んー今の話聞いちゃなぁ? 今少し外も騒がしいし一人で行かせるのはちょっと・・今すぐってことは野営の準備はしてあるんだろ?」
リッテさんがものすごく不思議そうな顔で俺に確認してくるが、シリアルラットの件もあるしこの辺ではその姿を確認していないがあんな暴走状態である、どこに現れても可笑しくは無いそんな時に半日の距離とは言え外で一泊してくるなど聞いてしまった以上断れないだろう。
「はい! それはもうバッチリ二人分の用意はあります食事も水も、あと研究所から採取した水を運ぶのに馬車ではありませんが荷車とストゥラカウも借りれましたので歩く必要もありません!」
「ああ、それなら安心ね運動苦手なアリーネじゃ半日じゃなくて1日かかっても着きそうにないものね」
どうやら思った通りすでに野営等の準備は出来ているようだ、しかしストゥラカウとはなんだろうか?話を聞く限り馬の代わりの様なので動物だとは思うのだが、まさかまた古代文明の遺産的な物じゃないよな・・、動物しかも荷車を引いて歩かなくていいと言うとそれなりの大きさの荷車なのだろうから当然動物も大きいのだろう。
「ふむなら契約成立だな、俺は身軽なソロ冒険者だこのままで問題ないしな(ストゥラカウってなんだろうなんだかオラ、ワクワクしてきたぞ)」
「ありがとうございます!」
「私からも礼を言うわありがとう、でも報酬これで大丈夫だった?」
ソロ冒険者即ち一人旅って自分で言ってて若干悲しいが、まだ見ぬ動物にわくわくしながら依頼を引き受けた俺に嬉しそうに感謝の言葉を告げるアリーネと、やはり不思議そうにしながらもお礼を言ってくるリッテさん、今回の報酬は成功報酬で小銀貨9枚と今までに見てきた依頼の中でも特に報酬が少ないわけじゃないと思うのだが念押しするあたり何かあるのだろうか。
「まぁ? 問題無いと思うけど?」
「そ、そうそれならいいの・・頑張って来てねアリーネさんユウヒさんも(これは研究所の噂を知らないと見ていいわね・・アリーネさん当り引いたね!)」
「はい! それではユウヒさんこっちに準備してあるので」
「うん? 了解した」
リッテさんの反応に若干の違和感を感じ不思議に思いつつアリーネの先導で冒険者ギルドを出発するのであった。
いかがでしたでしょうか?
読みやすくなるようにアドバイスを受けたことを試したりしてますがそっちに意識を取られ誤字脱字がふえry
何だか騒がしい展開になってきましたね、いろいろ展開は考えてますがそれを表現できるか心配です。でも出来るだけこの世界を伝えていきますので見てやってください。それでは今回もこの辺でさようなら~