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第二十一話 市場調査と世間の価値観

 どうもHekutoです。


 修正作業も終わりなんとか投稿できました。段々と読んでくれる人も増えてきてるようで嬉しい限りです。


 それでは第二十一話『市場調査と世間の価値観』始まります。



『市場調査と世間の価値観』


 昼食のあとガレフはもっかい寝ると言って大量の荷物と共に宿に戻り、ヒューリカ達女性陣は買い物の続きに行った、ヒューリカから俺も誘われたのだが女性の買い物は妹と母親でどんなものなのか十分理解している為、付いて行く気にはなれなかった。現在はいくつか冒険者用の店を周りゆっくりと散策しながらお城に戻っているところである。


「ところで俺ってお城に行って普通に入れてもらえるのかな?」

 ふとそんな事が頭をよぎった、出てくる時は空中から出て門通ってないのでちゃんと入れてもらえるのか少し不安になってくる。


「まぁ入れなきゃ出た時と同じように入ればいいか・・捕まらないといいなぁ」

 そんな嫌な未来を呟きながら歩いていると目の前に大きな門が見え始めた。


「あれは高級区との境か・・確かにこっちより向こうの方が綺麗にされてる気がしなくもないな」

 なんとなく石畳が綺麗に感じる高級区に入った後も、ブラブラとお店の展示品などを右目で見ながらお城を目指す。やはり高級区と言うだけあり品ぞろえも質が良いみたいだ、そこで俺はあることに気が付いたのだった。


「なるほどな・・アル達が驚くわけだ」

 俺が今いる場所は嗜好品などを売っている店が並ぶ一角、そこで茶葉のお店を見つけたので入ってみたのだが、そこに並ぶ商品のほとんどが総合ランクC以下でEランクの茶葉が一すくい大銀貨1枚もするのである。品質と値段を見ていろいろ考え込んでいると店員の女性が話しかけてきた。


「お客様何かお求めでしょうか?」


「え?ああすみません、ここに置いてある茶葉よりもう少し良い茶葉ってどんなものか見てみたいのですがありますか?」


「・・かしこまりましたどうぞ奥に」

 少し考えた後そう言うと店員さんは奥に先導してくれる、買うつもりはないけどいいのかな?まぁそれなりにお金はあるけどあまり使いたくはないなぁ。


「オーナー・・」


「ほぅ・・わかったいつものをいくつか出してさしあげなさい・・・」

 店員さんは店の奥に居た初老の男性と小声で話を始めた、どうやらこの店のオーナーのようだ話が終わると男性はこちらにやってきた。


「ようこそお客人、なんでもより良い茶葉が見たいとか?その理由を聞いてもよろしいですかな?・・失礼だがこの辺りで茶葉を嗜む方とは風貌が違うようなのでね」


「あー買わない奴には見せない感じですかね?それならいいのですが・・少しこの辺りの市場調査をしようと思いましてどのくらいの品質で金額はどのくらいするのか知りたいのですよ」

 表面上はにこやかだが何か微妙な雰囲気を出しながらオーナーと呼ばれた男性がやってきて話始める、確かにここは高級区だ当然主な客層は貴族か王家の使用人などだろう、そこに見た目貴族にも使用人ましてや王族には見えない俺が来たのだそれは訝しむには十分な要素なのだろう。


「ふむ?商人ギルドの方ですかな?」


「いえ、私は冒険者をやってますユウヒと言います」


「冒険者・・おおこれはすまない自己紹介が遅れた、私の名はダリオ・サフールと言うダリオでかまわんよ。しかしなぜ冒険者の方が?」


「まぁいろいろありまして」


「お持ちしました、どうぞ」

 ダリオ氏と色々話していると奥のほうから戻ってきた女性店員はそう言うと持ってきた茶葉をテーブルの上に並べ始めた、若干ダリオ氏の此方を見る目に先ほどまでと違った色を感じ気になるも、とりあえず一つずつ解析して視ることにした。


「ふむ、しかし市場調査と言うことは目利きもできると言う事ですか・・素晴らしいことですな」


「まぁ特技の様な物ですよ・・ここに書いてあるのは値段で良いんですよね?」


「そうです、そこに入っている量がそのままその値段になります」

 俺の質問に女性店員が答えてくれる・・がこれは試されているのであろうか、今目の前にある茶葉は殆んどがC~B-くらいの品質なのだが中には幾つか総合Dランクの物もありその割にはCやBと違わない値段が付けてある。


「(どれも見た目はCランクあるけど香りとかがEなんだよな・・確かに香りが弱いかぁ)」

 それらの茶葉に顔を近づけて香りを嗅いでみると確かに香りが弱い気がする。・・こうやって少しずつ素の目利き力も向上していけば面白いなと思ってしまう。


「どうですかな?どれも一級品の物ばかり、値段に見合っただけの品質を保証しましょう」

 うーんいくら見比べても合わないよなぁ他の品質項目に原産地なんかの情報を見比べても・・う~ん聞いてみるか。


「教えてほしいのですけど?こちらとこちら値段が一緒ですがなぜですかあとこの茶葉もこの値段で売れるのですか?」


「・・お客様?それはどう言う意味でしょうか・・・」

 おお!?店員のお姉さんの顔がひくひくしてらっしゃる!・・失礼な事言ったのかな、でも原産も種類も比べたけど・・むぅ。


「・・・どうして・・いや、よくお分かりになられましたなお若いのに良い目を持っていらっしゃる」


「え?」

 ダリオ氏が一瞬驚いた顔をし話し出す、その言葉に店員の女性は驚いてオーナーの顔を見る。


「試してしまって申し訳ない・・私はお茶が大好きなのだよ、できればしっかりとお茶の良し悪しをわかってくれる人に飲んでほしいと思っている」


「あの・・いったい」

 オーナーの言葉に店員さんは何がなんなのかわからない感じである。


「君も騙すようなことをしてしまったね・・・ユウヒ殿、あなたはこのお茶をどうみたのですかな教えてもらえないだろうか?」


「あーそうですね、これとこれなんだけど確かに一見他の茶葉と変わらないように見えるが香りが少し弱いみたいなのでこの値段はおかしいかなとまぁ他にもありますけど」

 オーナーが女性に謝罪し俺に答え合わせをお願いしてくるので解析結果を伝えたのだが、女性はポカンとしたまま固まってしまう。どうやらオーナーだけの秘密だったのであろうか女性には知らされていなかったようだ。


「そんな・・」


「その通りだ・・価値のわからない貴族にはそれを売っているのだよ、わかる者にはちゃんと売っているがね。どうしても貴族とは傲慢になるものが多くてなちょっとした腹いせと言うやつかなふっふっふ・・私としては黙っていてくれると助かるのだが・・」


「オーナー・・」

 ダリオのそんな言葉に女性店員は呆れた顔をしている、怒ってはいないあたり似たようなことがたまにあるのだろうか?それとも怒る元気もなくなったのだろうか。


「別に良いですよ?こちらも買う気で来たわけじゃないですし、大体の品質は確認できましたしね」


「ありがとう、お詫びに何かあれば協力しよう。いつでもおいでなさい、お茶のわかる人間は貴重だ」

 そう言うとダリオ氏は右手を差し出してきたので握手をしその時はよろしくと言い、俺はその店を後にしたのだった。



「しかし高かったなぁ嗜好品か・・お茶に金貨数枚とかだせないよねぇ」

 お店を出た俺は先ほど見せてもらったお茶の値段を思い出し渋い顔をしながら城の方角を確認すると歩きはじめた。


 その後もあちこち見ながら王城を目指したのだが、途中お酒のお店でもやはり品質はそこまで高くないのに値段は高いし種類も少なかったり、魔法関係の店では依然聞いたミドルポーションの実物を見たりその他の薬品類の性能と金額に驚き某依頼の内容を思い出しながら不味かったかと苦笑いをし、バカ高い魔法具の値段に買うのを断念したりと高級区は中々楽しむことができた。


「いつの間にか散歩が市場調査になってしまった・・まぁ楽しかったからいいけどね、それに収穫もそこそこあったからな」


 茶葉はもう少しグレードを下げてやれば普通に売れそうだしお酒の品質もざっとだがわかったのでこれから作ったときの判断材料になるし、薬品類はお店で買う必要性は無いことがわかったし。


「特に魔法具の仕組みを見れたのは大きいな・・材料が揃えば作ってみようかな?」

 そう魔法具である、よくないかなぁとは思いつつ金額に唸りながらも魔法具の構造や材料などを右目を使い詳細に調べたのだ。後は材料が揃えば合成魔法でつくれるだろう、最初は店先に並んでいたものを模倣しそして改良品からオリジナルへと。


「ふふふ、夢は広がるな~♪」


 そんな風に妄想を膨らませながら気分よく歩いているとまたも大きな門が近づいてくる。


「ん?順番的にあれが行政区の入り口かな?」

 一般人が入っていいのかと考えてしまうが、特に門が閉まっているわけでもなく城に戻るにはどの道通らないといけないわけなので。


「ふーん?特に厳重な警備ってわけでもないんだね」

 門の両サイドに門番?は立っているが普通に通れたので問題は無いのだろう。またブラブラとお城に向かって歩き始めた、行政区の雰囲気は高級区とあまり変わらないけどお店が少ない為その分静かな気がする。


「お店はあまりないんだな?あっても飲食がメインって感じか?お腹わぁ空かしていたほうがいいかなだろうから無しかな」

 今日の晩御飯の事を考えたらその方がいいかと思い飲食店の市場調査はまたの機会にすることにしゆっくりと城への道を散歩するのだった。





 ここはグノーから遠く離れた地にあるお城の一室。


「ほう?・・グノーの工作は失敗したか・・ふむ、まぁよい」


「よろしいのですか?」

 カーテンの隙間から少しだけ光が射す薄暗い部屋の中、二人の人影が話をしている。


「・・前にも言ったが私は別に戦争がしたいわけでは無い、戦争をしたいのはあの老害共だ・・私はただ面白いモノが見たいだけなのだよ・・」

 どうやらこの者達は先にあったグノーでの一件に何かしら関与しているようである。報告の反応を不思議に思ったのかオウム返しに問う軽鎧を身に纏った人影。


「面白い、ですか?」


「・・そうだ、グノーがもし我らの物になれば当然各国の外交バランスが崩れ変化が起きる・・私はそれを見て見たかっただけなのだよ」


「・・・」

 その言葉の意味を図りかねているのか無言で何かを考える。


「理解しようとする必要はない・・私も自分が異常なことくらいわかっている。一番見たいものは老害共の苦しむ顔なのだがな・・・くっくっくっく」


「・・心中お察しします」

 

「くっくっく・・しかし、王族一人殺せないとはな?」

 椅子に深く座った人影は、可笑しそうに笑うが急に笑うのを止め不思議そうに首を傾げた。


「それがどうやら冒険者と自由騎士がその場に居合わせたようです」


「そうか、バルノイアに先手をうたれていたか・・まぁ所詮老害の考える程度の謀略か、しかしその冒険者が気になるな」

 どうやら今回のグノーの事件は老害と呼ばれる者達の仕業の様である、失敗したのにもかかわらずその表情はどこか楽しそうである。


「はい詳細はわかりませんが強力な魔法を使うようです」


「魔法か・・・アクアリアの介入か?いや奴らにそこまで耳の早い者はおるまい、面白そうだなその冒険者の情報詳しく調べておけ。以上だ」


「は!了解しました失礼します」

 ユウヒの知らないところでユウヒに興味を持つものが現れたようである。カーテンから漏れる薄明かりに照らされ僅かに視認できる口元はまるで面白いものをみつけた子供のようであった。


「報告が楽しみだとは・・久方ぶりにこのような気分になったわふふふ」

 一人だけになった薄暗い部屋には楽しそうな笑い声だけが響くのであった。





 ここはどこであろうか、あたり一面岩ばかりそんなごつごつとした岩場に無理やり根を下ろすように生い茂る捩れた木々。

「ふんふんふ~ん♪」


 そこには2メートルほどの高さがあるそれほど大きくは無い石造りの社があった、しかしその奥は暗くどこまで続くのかまったく把握できない、その社の前には人影が一つ。

「・・・はぁ・・誰か来たかと思えばお前か」


「あ!メディーナちゃん!出迎えてくれるなんてうれ!?」ベシャ!


「・・はぁ」

 メディーナと呼ばれた女性は目の前で展開される事象に脱力し肩を少し落とすと、此方に気がつき走り寄ろうとして盛大にこけたウサミミ少女の下へと歩いていく。


「あいたた・・」


「まったくお前は・・どうやったら何も無いところでこけられるんだ・・それでも兎か?ラビーナ」

 平らな岩を敷き詰めたような自然でありながらどこか人工的な感じもするその地面には、凹凸も石ころも転がってなく綺麗である。そんな所で盛大に扱けた相手にかける辛辣な言葉とは裏腹に、どこからかハンカチを取り出すとラビーナの顔に付いた汚れを拭ってやるメディーナ。

 

「んん・・えへへぇありがとう♪」


「はぁ・・で何しに来たんだい?あんたでもここまで来るのはめずらしいじゃないかい?」


「そうかな?・・うん、実はね?お願いがあるの」

 そう言うとラビーナはアミールとの会話の内容について話したのだった。


「なるほどねぇ・・今回の管理神はしっかりした方のようだ、それなら此方も協力しないとね」


「ありがとう!やっぱりメディーナちゃんは優しいよね!」


「な!?べ 別にあんたのためじゃないさ!義務だよ義務・・しかし噂の収集か時間かかりそうだね」

 全力満面の笑みでお礼を言ってくるラビーナに顔を若干赤くして慌てるメディーナ、しかし仕事の内容を考えると少し疲れた顔になる、それほどこの世界の神々は自由奔放のようである。


「二人で頑張ればきっと何とかなるよ!」


「まぁあんた一人よりは相当マシかも知れないね」


「そうだよね!やっぱりメディーナちゃんは頼りになるなぁ」


「くっ////・・・・・・・・はぁ」

 嫌味を言ったにも拘らずまったく気がつかず真直ぐな瞳を向けられまたもや頬が少し赤くなるメディーナは、肩を落としてため息を吐くのであった。


「???」


「なんでもないよ・・それより早めに動く!ほら行くよ!」

 ニコニコ微笑ながら頭を傾げるラビーナに何とも言えない顔をすると、気だるげに長い髪を掻き揚げると自分の考えを隠すようにラビーナを急かし行動を始めるメディーナ。


「(まったくこの娘は、邪気がないと言うか何と言うか・・まぁ嫌いにゃなれない娘なんだけどねぇ・・)」


「んふふ~♪・・ってまってよー!?おいてかな!?」ベシャ!

 慌てたせいでこけるラビーナを見てメディーナは、この先の不安を感じ青く晴れた空を仰ぎ見るのであった。



 どうでしたか?


 いつもここまで読んでくれている人ありがとうございます。今回の話は世間とユウヒの価値観のズレに少し触れてみました。

 現代社会とゲームさらにチート能力によって構築されたユウヒの価値観と異世界の価値観です。

 あとは、異世界ならではの生活ですかね?もっとそんな日常に触れていきたいところです。


 それでは次回予告!ふらふらと城まで帰還するユウヒ!しかしそこで彼を待っていたものとは!?さらにユウヒの周りで流れるモノとは!


 それではまたここでお会いできることを願ってさようならー ( ゜∀゜)ノジ

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