第十六話 ユウヒと暗躍する影と影
どうもHekutoです。
なかなか執筆が進まない今日この頃皆様いかがお過ごしでしょうか?そんなわけで十六話完成しましたので見てやってください・・『ユウヒと暗躍する影と影』始まります。
『ユウヒと暗躍する影と影』
「おおお!おぉぉ・・むむむ」
とある部屋の中唸る男が一人・・・いやその背後にはメイド服を着た女性がもう一人
「あ、あの?ど、どうされたのですか?」
唸る男にびくびくと恐る恐る声かけるメイドの女性、そして唸り続けていた男・・・。否、ユウヒ。
「あの?俺ここに泊まっていいのでせうか?」
ゆっくり振り向くとユウヒはメイドに問いかけた。
「え?はい、アルディス様の命でここにと。陛下にも許可はいただいているので問題ありません何かお困りでも?・・は!?まさか女性が必要でしたか?それはs」
「いやいやいやいやいやそんなんじゃありませんよ!?」
「え?違うのですか?でも男はみんな獣だと・・」
なんだそれはこの世界の共通認識か何かか!?
「いや、単純にこんな豪華な部屋に泊まっていいものかとね・・。でもあのふかふかのベットに飛び込みたい誘惑もあるんだけど?」
「・・・くすくすくす、も、申し訳ありません。アルディス様の恩人ですものこのくらい当然ですよ?」
笑いを堪えながらそのメイドさんは答えてくれた。
「そうか、じゃ寛がせてもらうよ」
「はい、それでは失礼させていただきます何かあれば向かいの部屋に待機しておりますのでお呼びください」
そう言うとそのメイドさんは部屋を出て行った。
「むぅしかし今更ながらアルが王子だと言うことを認識させられるな」
俺の目の前には簡素ながらその一つ一つに高価さを匂わせる家具や天蓋付の豪華なベットにふかふかの布団、指で突いてみたが俺の煎餅みたいな薄い布団とは大違いだ・・一応干したりしてるのにね。
「ふむ、城に居る間は右目の力をある程度オンにして置くかな・・・知らないうちに高級品を壊したりしたくないし」
そう嫌な未来を考えて右目の力を加減して常時発動状態にしておく・・・言っておくがヘタレじゃないぞ?そう、最低限の備えなのだよ。
「よしっと、ふむふむ・・・これはとても豪華ですね。」
それからしばらくおれはびくびくしながらも部屋の隅々まで調度品や何かを調べて回るのであった。
「おおお!?・・このツボには近づかないとこ・・・」
長く伸びる廊下、そこにある重厚な扉その扉の近くには警備の為の騎士が立っている。
コンコンコン
「父上今戻りました」
「ん?アルディスか、入りなさい」
そう、言われるとアルディスはその重厚な扉を開き中に入っていった。
「おかえり、アルディス先駆けの報告は幾つかすでに聞いている無事で何よりだ」
そこには大きな机にいくつかの羊皮紙の束が置かれその向こう側にゆったりと椅子に座ったアルディスの父、現グノー王バルノイア・グノーである。
「はい、今回の遠出は実のあるものでした。しかし森の件はその後報告は来ているでしょうか?」
「うむ報告では今の所兆しは無いそうだ、しかし本当に兆しが観測されたのか怪しいところではあるが」
どうやらアルディスが遠出する原因になった事の話の様である。
「え?でも警備隊が確かに見たとのことでしたが?」
父の言葉に疑問顔のアルディス。
「・・私も気になってなエリエスの知り合いに頼んで調べてもらっているのだが、うーむ」
「見つからないのですか?」
「そうらしい、今回のこと嫌な予感がするのだお前たちが襲われた件もな。それとアルディス、一分隊以下の人員での移動は今後控えるようにするのだぞ、何か合ってからでは遅い」
少し語調を強め今回の行動を諌めるバルノイアに反省はするもアルディスは嬉しそうに語る。
「はい、しかし今回はそのおかげで良い出会いもできました」
「まったく、ユウヒと言ったか?それほどの人物か」
まったくと言いつつ口元が笑っているバルノイアどうやら報告の中にはユウヒの事についても触れていたようだ。
「はい!昔読んだ本に出てくるような冒険者だと思いました!」
「はっはっはお前はあの物語が好きだったなしかし英雄のような冒険者か、これは会うのが楽しみになってきたな」
「はい、すごい魔法も使うんですよ!演習場で魔法を実演してもらう約束もしたんです」
「ほう!そうか魔法使いかそれはワシも楽しみだな是非拝見しなくてはなはっはっはっ」
どうやらアルディスが魔法好きなのは父の影響が大きいようである。
「ヘックショイ!」
そこは、ユウヒに与えられた部屋の中。荷物を広げ何やら作業をするユウヒが突然クシャミをした。
「風邪?・・・いやこれは噂の気配がする、まぁいいか続き続き」
毎度ながらも妙なところで感の良い男である。そんなユウヒはどうやら合成魔法を使っているようだ。
「ふーんふーん♪いいねこの効果・・・そうだった頼まれたものも作らないと媒体か・・いろいろ話は聞いたけど・・とりあえず量産紙でっとやはり魔改造・・素材が足りないか」
何やら不穏な事を呟きながらユウヒは合成を続ける、はっきり言ってその姿はオンラインゲームでギルドメンバーに付けられた称号を彷彿とさせるような姿だった・・【マッドメイカー】又は【クレイジーワーカー】と。
「おれはそんな怪しい人じゃないよ!?・・・あれ?今誰か俺のことをマッドとかクレイジーとかって言ったような?気のせいか?」
そんなことを言ってると扉をノックする音が背後から聞こえメイドの声が続く。
「ユウヒ様お食事の用意ができましたのでご案内いたします」
「む?晩飯か、はーい今いきますよー」
自分の空腹具合を再認識すると作ったばかりの薬などを置いたまま足早に部屋を後にした。
「(腹減ったぜー宿でもあまり食べてないし・・昼はマールだけだし、何が出るかな~♪)」
そう考えながらユウヒはメイドにさん付けで呼んでほしいと頼みながら食堂へ案内してもらうのであった。
「(あれが王に取り入ろうとする冒険者か、ふん冴えぬ男だなやつには可哀想だが王共々この世から去ってもらうぞ・・・)ふっふっふっふ」
ユウヒとメイドが去った後の廊下で豪華な服を着た男が怪しい笑い声を上げていたのだった。
「「「・・・・」」」
こちらリポーターのユウヒです今私の目の前には信じられないような光景が広がっています。
「いらっしゃい、君がユウヒ君だね?私はアルディスの父バルノイア・グノーと言う。息子を助けていただいたこと感謝する」
なんと、かのグノー王国の国王であるバルノイア氏が私に頭を下げているのです。アル!なにニコニコしながら手なんか振ってんだ!?これはどういうことだ聞いてないぞ。
「ふむ、緊張しておるようだがアルディスから話は聞いておる。アルディスへの対応と同じようにしてくれて構わんぞ?「あなた」ん?おおそうだな」
何かとんでもないこと言ってるおっさ・・王様に隣の女性が話しかける、そうだその人の奇行を止めてください綺麗なおねぇさん。
「紹介しようこっちが私の妻のルティアナそれとアルディスの隣に居るのが長女のティーラと向かい側に居るのが一番下の子で次女のルルイアだ仲良くしてやってくれ」
「妻のルティアナです、アルディスの危ないところ救ってもらった上にわがままも聞いていただいたとか?本当にありがとうございます」
いやいやいや王族が簡単に頭下げすぎじゃないかい?いいのかそれでグノー王家?てかちらっとアルを見てたけどその瞬間アルがビクッとしたね・・。
「弟のことありがとうございます。あまり固くなられずともよろしいのですよここには頭の固いモノあまりいませんから。ふふふ」
イケメンアルのお姉さんだけあって美人ですね!でも気にした方がいいと思います!主に私の胃の為に。だって後ろに控えてる騎士の人とかすごいオーラだしてるよぉぉ。
「ルルイアです!」
それだけか!?それだけでも可愛いから赦しちゃいますよ。って俺はロリちゃうよ!?紳士だからね。
「・・・・・」
「ふむ・・まぁそう固くならんでもよい、この場においてはお主が何をしようと不敬罪にはならんし罪も問わん。お主の人柄はアルディスから聞いておる」
・・・・はぁ、諦めよう・・だめっぽかったら全力で逃走しようそうしよう。
「・・わかった、言っとくが相当失礼なことするかもしれんぞ?あと言葉使いも敬語とか苦手だからな」
「はっはっは構わん構わん!」
「その割には護衛の騎士のオーラが怖いのだが・・」
そう言うと柱の向こう側などで物音がする。ぶっちゃけ隠れてるんだよ騎士の人が、俺は一応念のために【探知】と右目の力を常時展開にしているからバレバレなんだけど。
「ほぅ・・流石は冒険者か素晴らしい、すまない別に驚かすつもりはなかったのだがね。はっはっは!」
どうやらいつもは表に立っているらしいが俺に気を利かせて隠れてもらってたらしい。
「それでは食事としよう」
そう言うとメイドさんたちが料理を運んできた・・・こう言う人たちって毒見役とかいないのか?それっぽい人いないけど。気になったので隣に座っているルルイアに聞いてみる。
「なぁルルイア・・さま?」
「さまいらない・・なに?」
どれだけこの王家はフレンドリーなんだろう。
「ルルイア・・達は毒見役とかいらないのか?」
「?・・いないよ?」
「そうかーありがとう」
「あははごめんねユウヒ、バルカスのあれはバルカスの頭が固いからだよ?」
「ヘクシュン!」
アルの言葉が終わると同時に柱の後ろからクシャミが聞える、バルカスお疲れ様です。
「む?ああその話かすまんなバスカ家の者は忠義に熱いのだがいかんせん固くてなあっはっはっは!」
バルカス乙!・・・しかしそうなると。
「ふーん、それじゃグノー王家じゃ毒抵抗を付ける訓練とかしてるのか?」
「え?そんな事してないよ確か昔はそんな風習があったらしいけど今はないよ」
ふむふむ、そうなると先ほどから俺の視界のあちらこちらを埋める表示は・・・。
【カッパルパのムニエル甘いキルット添え】
カッパルパを使ったムニエルにキルットのグラッセを添えた料理。
異常検知:魔力毒B
例の話から考えるにこれがそうなのだろうか・・これだけじゃない気もするが。ところでカッパルパって何だ?見た目魚の切り身でまぁ・・ムニエルはそのままだな、キルットは人参?ミニ人参?でも色が黄色っぽいな食べてみたいが・・でも毒がなぁ。
「ユウヒ殿?どうされたのです、何か気になることがおありなら言ってく・・・」
ルティアナ様がおれの一連の行動に心配し声をかけてくださるがその声はとある音にかき消されたのだった。
そんな食事風景から少し時間は遡りそこは、どこかの執務室一人の女性が山のような書類の整理をしていた。
「はぁ・・終わりません」
以前にもどこかで見たようなオーラを出す女性彼女はアミール・トラペット、そうユウヒを異世界に送った女性である。
「いったい何百・・いえ何千年資料整理をしてないのですか?しかもところどころ妙な食い違いもありますし・・」
手に持った資料を見ながら自分の金色の髪の毛先を指で遊ぶ、疲れた表情だが何とも絵になるのは美人の特権だろうか。
「ん、一度各部署にも資料請求したほうがいいでしょうか。「ピーピー」あら?通信・・これは魔力通信ですね、珍しい下界で何かあったのでしょうか?」
ここで少し補足しておこう、アミール達管理神が使う通信機器には大きく分けて二つ有る。
一つは、管理神同士や委員会同士などの連絡に使用されるものが通称境界通信と呼ばれている。これは世界間や次元の異なる場所でも安定して使用できる通信網である。
もう一つは、各世界に住む神や土着神など各世界の影響下にある神々や人々が委員会や委員会の職員などと連絡を取るために使用されるのが通称魔力通信と呼ばれる。中には非常に進んだ科学技術の結果、魔力ではなく電気を用いたり別の方法で連絡をとる世界もある。
「はい、こちら委員会所属管理神アミールトラペットです」
そんな魔力通信はよく使われる世界もあるがアミールにとっては珍しかったようだ。
「は、はじ、はじめまして。わ、わたしはラビーナと言いますです」
「え?はい、ゆっくりで大丈夫ですからね?ご用件はなんでしょう?」
「はい・・この度私の加護対象になりますカレル村にアミール様の温情を頂き深くお礼を申し上げます」
「・・・・え?はい・・?」
何のことだかさっぱりわからないアミールは、何とも抜けた返答を返してしまうが相手も相当焦っており気がつかなかったようだ。
その後行われた会話をまとめると、アミールがユウヒを送ったときにユウヒの設定上の故郷を今は滅びたカレル村と言う場所にしたのだ。ラビーナと言うのは兎と豊穣の女神でそのカレル村に守護と加護を与えていたらしい。
「村を助けることも出来なかった無能な私に再度チャンスを与えてもらいなんとお礼を言ったらよいのか・・・」
「え!?あ・・・はい」
そこにユウヒが現われ世界自体もそれを正常と認識、結果今までラビーナを信仰する人間が居ないところにユウヒ本人は認識しておらずともラビーナにとっては居なくなった加護対象が再度現われたのであるその喜びは相当なものだった様だ。
当然そんな事アミールは知らなかったため寝耳に水のような状態である、しかしそれでも彼女はすぐに復帰し高速で資料を参照していた。
「(女神ラビーナ・・カレル村の守護・・たしかに現在の加護下にユウヒさんが入ってる、まぁ別に悪いことでもないしいいのかな)」
事実確認を終えたアミールがそんな結論を出しているとラビーナが話しかけてくる。
「あの、それでお願いがあるのですが・・「ピーピー」?」
「あれ?ごめんなさい少し待っててください別の通信が、「は、はい!」・・・・はい!もしもし、あれ?先輩ですか?珍しいですねどうしました?」
ラビーナの話の途中で先輩からの通信が入ったようである。そのことに少し驚くも素直に待つラビーナ。
「そうだキミの大好きな先輩だよ・・それよりも彼女は?もしかしてうわき「はいはい」・・まったくつれなくなったものだな」
アミールはその言葉に呆れながら相槌をうつ、その後ろではびくびくと頭から生えた兎耳を忙しなく動かして落ち着かない表情のラビーナがモニターに映っていた。
「それで何かあったんですか?」
「・・・そうだな、実は」
若干の間の後、先輩はとある世界とゴミ世界との間で起こった人為的異世界間異動の話をした。
「というわけだ」
「そうですか・・では、しかしうぅん・・・私の方でも少し調べてみます。あと、ユウヒさんにも気にかけるように頼んでみますね」
話を聞いた後、何か少し悩むも協力する旨を伝えるアミール。
「そうか、ありがたい・・・所でユウヒとは誰だ?まさか本当に浮気!?」
「な!?ち、違います!ユウヒさんはそんなんじゃ!?でも・・って大体先輩ともつきあってなんかいません!!」
「・・・・・・・・アレ?この反応はまさか「瓢箪から駒が出たの」ぐふ!」
「あぅあぅあぅ・・・よ、用件については了解しました!な、何かありましたら報告します!それでは」ピッ!
モニターには映っていない第三者の声で先輩がモニターから崩れるように消える、アミールは今の自分の行動を振り返って恥ずかしくなったのか顔を真っ赤にすると慌てて了解し通信を切ったのだった。そこには何とも言えない微妙な静寂が残った。
「・・・・」
「・・・すみません!き、急用が出来たのでしばらくしたもう一度連絡しますね!?」
顔を俯かせていたアミールはガバっと顔を上げると早口でそう言った・・その顔は未だ赤く明らかに混乱していた。
「は、はいぃぃわかりました!それでは失礼します!?」
それに驚いたラビーナは若干涙目で通信を切るのであった。尚アミールがまともに通信を出来るようになったのはこれより半日以上時間を要し、次の日ラビーナとアミールとの間でとある話がされたようである。
どうでしたか?今回はいろいろ匂わせて終わった感じですが・・まぁバレバレ感が否めないです。
もっと文才が欲しいですが今となっちゃ手遅れですかね?(年齢的に)最近また一つ上のステージに入ってしまいましたし(年齢的な)・・まぁ関係ないですよね!
そんなわけで次回予告!何があったのか様子のおかしいユウヒ!心配するルティアナ!しかし!? やけにフレンドリーな王族とユウヒの間で起こるドタバタ感を貴方に!
贈れたらいいなぁ・・あ!またここでお会いしましょう!さよなら~( ゜∀゜)ノジ