第十五話 グノー王都到着
どうもいつも通りHekutoです。
最近鈍足執筆です困りましたねぇ理由もいろいろあるのですがのんびり待っていただけたらうれしいです。
そんなわけで第十五話『グノー王都到着』はじまります
『グノー王都到着』
バルカスの宣言の通り遠くに城壁が見え始める、全体的に石で作られ前方に見える大中小三つある鉄製の門では検問が行われているようであった。
「おー!久しぶりのグノー王都だ、今日は上手い酒が飲めるぜ」
ガレフが酒のことで頭がいっぱいなのだろうか今にも鼻歌を歌いそうなほど上機嫌だ。手はジョッキを持っているかのごとく宙を泳いでいる。
「・・飲みすぎは駄目」
「いや、今日くらいいいだろ?まとまった金も入るんだ」
そんなガレフの姿を見てシェラがすかさず飲みすぎないように注意を入れるもガレフが食い下がる、こういう所を見ると親子なのだと感じるな。
「・・・おさけ臭いの嫌い・・」
「ぐは!・・・(シェラをさっさと寝かしつけてからだな・・~♪)」
冷たい目のシェラから繰り出される容赦ない一撃がガレフに突き刺さりガレフは撃沈する・・しかしお酒は諦めてないのかボソボソと今日のプランを練っているようだ。
「あ!そうだよね、今のうちに依頼完了の書簡を書いておかないとね」
そう言うとアルディスは羊皮紙を取り出しさらさらと何か書いていく、よくこの揺れの中で書けるものである。
「・・・よし、これをギルドに提出してもらえば依頼完了だね、ん~報酬とかユウヒの分も入ってるんだけどどうしよっか?ギルドによっていく?」
「いやいや王子様がいきなりギルドなんか来たら大騒ぎになっちまうよ、明日ユウヒと会うんだからその時にきっちり渡すさ。ユウヒもそれでいいだろ?」
ヒューリカがアルに勘弁してくれといった感じの苦笑いをおくり俺に話を振ってくる。ふむ、別に今すぐ必要でもないし後からで十分かな。
「ああ、構わない信用してるさ」
「そっか、なら大丈夫だね。はいお疲れ様でした」
「依頼完了書確かに受け取りましたアルディス様」
アルは目の前に居たカステルに羊皮紙を渡す。カステルは完了書を受け取り会釈をするとしっかりと荷物の中に入れていた。
「ユウヒの護衛の報酬は城で渡すからね直接ギルド通して無いし」
「ん?そういえばそうだったなまぁ貰えるならいつでもいいさ護衛だってちゃんと城までついて護衛だろうしな」
そんな風に会話を楽しんでいると馬車が止まり前方か声が聞こえた。
「何も!?・・これはバルカス殿!」
「うむ、アルディス様の帰還だ通してくれ護衛の冒険者も一緒にな」
門番が近づいてきて道を塞ぐも直ぐにバルカスに気が付く、それを確認するとバルカスが指示を出し始める。
「は!了解であります!道を開けろアルディス様の御帰還だ!」
流石騎士だからかなのか顔パスだね、それともバルカスだからかな?
「こっちの入口は初めて通るねぇ」
「基本的にこっちは王族や貴賓客用だからね貴族でも滅多に使わないんじゃないかな?」
「そりゃ良い経験ができたなシェラ」
「ん」コクコク
ヒューリカが門を見ながらそう言うとアルディスが答える、馬車の荷台部分では興味深そうにじーっと門を見るシェラにガレフが楽しそうに声をかけていた。
「それじゃ明日正午ギルドでな」
「ああ、了解だ」
門を通り抜けた後このまま城までアルを護衛する俺はガレフ達と別れの挨拶をしていた。
「またね」
「おう、またな」
そう言うとガレフとシェラの二人は手を振りながら先に言っている三人と合流する為、町の中へと消えていった
「さぁユウヒ!座席にどうぞ!」
ここで王城に行く馬車を乗り換える為アルディスが嬉々として俺に座席を進める。確かに今まで乗っていた馬車はかなりダメージがひどくボロボロだったしな、扉も片方なくなったし・・・。
「一応護衛なんだけどな?御者台は駄目か?バルカス」
「問題ありませんが・・座席に座ってあげてくれませんかユウヒ殿」
アルの提案を回避するべくバルカスにパスするも・・・バルカス、お前もか!?・・まぁ拘る必要もないんだけどさ。
「そいじゃ失礼するよ」
と言いながらアルディスの対面に座った。
「むぅ横でよかったのに」
「・・・どこでも変わらんだろう」
「ふふふ」
俺は若干呆れた視線をアルに向ける、どうやら隣に座って欲しかったようで「むー」っとか言っている。そんなやり取りをメイは微笑ましそうに見て笑っていた。
「では出発します」
バルカスがそう言うと馬車が動きだし王都の中をお城目指して進んで行く。
王都の中は結構な活気で溢れていた、このグノー王国の作りは王城区画を中心に円形の城壁で三層に分けられており城に近い方から行政区、貴族階級区、一般区と分かれているらしい。
「冒険者ギルドは一般区か?」
「はい、他にも武器屋や冒険に必要な道具等の店などは大体は一般区です。高級区は嗜好品や高級な魔法具などの店や少し値の張る宿など高級志向の店が多いですね」
俺の疑問にメイが答えてくれる、今では最初会った頃のオドオドした感じはしない。
「ふむふむ、行政区は役所や法関係とかってとこか」
「そうだねあとは魔法関係のギルドなんかも行政区の中だね色々面白いところだよ」
魔法関連もってことは国に大事にされてるってことかね。
「ふーん、面白いね?・・アルは魔法が好きなんだな?」
「そうだね、僕は魔法に関して才能無いらしいから憧れみたいなものもあるかな」
なるほど・・才能が無いが故の憧れか、確かに魔法が存在しない俺の世界でも魔法が使えたらなーって言う憧れはあるわけだしな。
「ふむわからんでもないな」
「それにしてもユウヒの魔法はすごかったよねぇ」
「あぅ、私も見てみたかったです」
アルの賞賛の声にメイは羨ましそうに声をあげる。どうやら話題は俺の魔法に移ったようだ、一応俺は口語地属性魔法を使うってことになってるっぽいからしばらくその方向でいった方がいいかな。
「また見てみたいなぁ」
「ここから先は別料金になりまーす」
「えぇ!お金かかるんですか!?」
アルディスの言葉にネタで返すとメイがすぐに反応する、そんなに見たかったのだろうか。
「冗談だ、まぁ見せるのはいいが場所がなぁ」
見たいと言うからにはやはり派手目のほうがいんだろうし?ロックボルトは結構地味だからな、あのハリネズミ級の威力だと場所がなぁ。
「それじゃ城内に練兵所があるからそこでどうかな?」
「多少荒れても怒られないならいいけど?」
そんなアルの提案とおれの答えにメイが若干目をキラキラさせている、そんなメイを見ながらアルディスはくすくす笑いながら。
「わかった準備ができたらメイに案内させるよ、次はどんな魔法が見れるのかな♪」
「まぁ考えとくさ、ん?小綺麗なエリアに入ったな貴族階級区か?」
「そうですねこの辺りは貴族階級区、皆さん略して貴族区とか高級区とか呼びますね。この辺りは商店などがあるエリアで、奥には住宅街があります。私の家もそのあたりですよ」
「なるほどメイは金持ちなんだな、これはやはり別料金でいいかな」
その言葉に「えぇ!」と本気で驚くメイ、冗談だと言うとほっとしたようである。面白い娘だねぇアルも可笑しそうに笑っている。その後も色々とメイが王城へ着くまでの間説明や案内をしくれてアルが補足したりと楽しい一時であった。
場所は変わりとある部屋の中そこには二人の男が何か話しているようだ一人は豪華な服を着た男、一人は兵士のような恰好をしている。
「なに?アルディス様が帰還したと?」
「は!つい先ほど帰還されたと報告がありました!」
「・・そうか、わかった下がれ」
「は!失礼します」
そう言うと男は退室する、どうやら伝令兵だったようだ。伝令兵の居なくなった部屋で男は呟きだす。
「・・ちっ、失敗しおったな・・何が確実に殺せるだ。奴に任せたのは間違いであったな」
男は苛立たしげに机の横にある戸棚の方へ歩いて行き戸棚から小瓶を取り出す。
「時間が無いと言うに、やはりこれを使って一気に殺るすしかないようだな、ふっふっふ何が中立だ何が平和だそんなものでは我らの懐は満足できんのだよバルノイア・・くくくくく」
男はそう言うと嗤いながら小瓶の中の液体を眺めていた。
それを見詰める視線があることにも気が付かず。
「「「・・・・・・」」」
とある執務室、端整な顔立ちの女性が真剣な顔で机に向かってなにやら作業をしている。
「・・・ふぅ、終わらないな」
しかし、その手を止めると疲れたようにため息をつき一枚の書類を手に取る。
「まったく人が休暇を取ろうと思うと仕事が入ってくるのだから、作為的なモノを感じるよ・・」
頬杖を突きながら書類を眺め愚痴っているとピーピーっと言う単調な電子音が鳴り始める、どうやら来客を知らせる音のようだ。
「ん?来客とは珍しいな、どうぞ!」
「おや?真面目に仕事とは、珍しいのぉステラ」
プシュと空気の抜ける音がし扉がスライドして開くとそこには、全身白の服装に薄い金色のロングヘアーの少女が立っており部屋の主の姿を見るや不思議そうにそうこぼしたのだった。
「イリシスタ様!お久しぶりです。そちらこそ珍しいじゃないですか、こんな所にしかもその姿で」
「ふぉっふぉっふぉ、姉のところに行っておったからの・・・ここ来たのは仕事の話と近くに寄ったからじゃ」
「・・・仕事ですか・・」
どうやらステラと呼ばれた女性にとってイリシスタと言う少女は様付けで呼ぶべき存在のようで少し顔にも緊張が伺えたがイリシスタのセリフでその顔が露骨に萎える。
「まぁそう露骨に嫌な顔をするでない」
「いえ、丁度今終わらない仕事について考えていたもので・・すみません」
謝罪をしつつ萎えた顔を元に戻すステラに自分も覚えがあるのかイリシスタが苦笑する。
「ふふ、それで仕事の話じゃ・・姉の方にも上がっているらしいのじゃがとある世界で不正異動の痕跡が確認されたのじゃ」
「・・・異世界への流入か・・転生関係でしょうか?」
イリシスタの話に神妙な顔つきになったステラは呟く。
「うむ、そちらの可能性もあるので転生課のウルベリ君に調べてもらったが輪廻の輪には記録が無いそうじゃ・・よって特異な例を外すと異世界転移が一番可能性としては高い」
「自然現象でしょうか?」
「いや、それがどうも足跡を消した痕跡も出たのじゃよ・・・」
ステラの予測に真剣な顔でそう返すイリシスタ。
「なるほど・・犯罪の香りがしますね。しかしどうしてその話を私に?」
「うむ・・実はその痕跡を調べてみたらとある場所に繋がったのじゃよ・・その事で四大老も気にしておってな」
「とある場所ですか?」
「ゴミ世界じゃ・・・あの場所はデリケートすぎてワシらでは迂闊に調べられん。お主なら伝手も広かろうし、いい方法はあるかの?」
説明を聞きながら含みのある部分に不思議な顔をするステラ、しかし続きの説明を聴いた瞬間ステラは顔を強張らせ思案しだす。
「・・・担当管理神のアミールトラペットに連絡し調べさせましょう、それから現在マーリン様の所で更生中のバカが居ますのでそちらの補助に付けます」
「ふむ、流石じゃのお主のところに来て正解じゃった」
「いえ、すぐに担当と連絡を取ってみます」
そう言うとステラは机の上にあるモニター画面を操作しだす。
「うむ頼む」
イリシスタはそれだけ言うと近くにあった応接用のソファーにちょこんと座ると懐からなにやら薄い本を取り出し読み始めるのだった。
「あれ?ごめんなさい少し待っててください別の通信が、「は、はい!」・・・・はい!もしもし、あれ?先輩ですか?珍しいですねどうしました?」
ステラ・・そう彼女はあの先輩である、その彼女が操作した通信用モニターには他の誰かと通信するアミールの姿が映っていた。
「そうだキミの大好きな先輩だよ・・それよりも彼女は?もしかしてうわき「はいはい」・・まったくつれなくなったものだな」
モニターの向こうのモニターに映る女性は、若干慌てるもアミールは呆れた目で話を遮る。その姿に先輩はどこか不満気である。
「それで何かあったんですか?」
「・・・そうだな、実は」
若干の間の後先輩は、今回あった件について話し始めたのだった。
「というわけだ」
「そうですか・・では、しかしうぅん・・・私の方でも少し調べてみます。あと、ユウヒさんにも気にかけるように頼んでみますね」
話を聞いた後、何か少し悩むも協力する旨を伝えるアミール。
「そうか、ありがたい・・・所でユウヒとは誰だ?まさか本当に浮気!?」
「な!?ち、違います!ユウヒさんはそんなんじゃ!?でも・・って大体先輩ともつきあってなんかいません!!」
「・・・・・・・・アレ?この反応はまさか「瓢箪から駒が出たの」ぐふ!」
「あぅあぅあぅ・・・よ、用件については了解しました!な、何かありましたら報告します!それでは」ピッ!
イリシスタの追撃で地に伏した先輩のモニターの中、顔を真っ赤にさせて早口で返答したアミールは慌ててピッという音を立て通信を切るのであった。
「・・・・」
「・・・・」
そこに残ったのは奇妙な静寂と何とも言えないイリシスタの視線とその先に映る真っ白になったステラの姿だった。
「これも墓穴を掘ると言うのかの?・・・ほれシャキッとせい、仕方ない朝まで付き合ってやる行くぞ」
そう言うとイリシスタはステラを掴むとズルズルと引っ張って行くのであった。
後日、某委員会では真っ白な白金髪少女が真っ白になった死体を引きずって歩くという怪談が語られるようになる。更にその後日、今度は真っ白になったチャラウォン一等兵がその少女に引きずられていく姿を多数の職員が目撃しチャラウォンの死亡説が流れるがこれはまた別のお話。
いかがでしたか?
自分で書いてて面白いと思うところとかあるのですが最近不安ですねココ面白かった!とかあれば感想欲しいです・・・あまりあれですがダメだしも成長には必要ですよね。
そんなわけで次回予告!グノー王城に到着するユウヒそしてユウヒを待ち受けるモノとは!?
それでは次回もまたココでお会いしましょう!きっと!( ゜∀゜)ノジ