第十四話 王都への道は平和?でした
いつも通りHekutoです。
十四話完成しました、もう少し早く完成させたかったのですがなかなかうまく行かないものですね。少しずつアクセスも増えてきてモチベーションはあるのですよ?
そんな言い訳はいいですね・・・第十四話『王都への道は平和?でした』始まります。
『王都への道は平和?でした』
ガタゴトと進む馬車、そこには魔物との戦闘で疲れた体を思い思いに休めるアルディス一行。
ここはそんな馬車の御者台、座っているのはバルカスとナルシーブである。
「なぜだ、ぼくが良いところ見せようと魔法を唱えたところまでは覚えているのに気が付けばすべて終わった馬車の中…いったい何があったんだ?頭も痛いし?」
実はこの男ナルシーブだがカステルが目くらましに火の魔法を唱えた時、同時に水の魔法を唱えようとしたのだ。当然そんなことをすれば目くらましの火は消えてしまっていただろう。
「何かが頭に・・・?」
「(ギロ!)」
「ひぃ!」
ぶつぶつとうるさいナルシーブをバルカスが一睨みで黙らせる。
ところ変わって馬車の中、そこにはアルディス、メイ、ヒューリカ、カステルの四人がお茶を飲んでいた。
「ユウヒもこっちに来ればよかったのに・・」
いまだユウヒを座席に座らせることができずにいるアルディス。
「ゆったりできる所は偉い人と女性優先って昔の偉い人がいったんだよ!」
後ろにある荷台兼護衛用のスペースからユウヒが反応して嘘か本当かわからない言葉をかける、アルもその話を真に受け「そっかー」とつぶやいている。
その前ではカステルがヒュリーカに愚痴っていた。
「信じられないんですよ!あのバカ私が目くらましにファイアランス使った後に水属性の魔法使うつもりだったんですよ!」
先ほどの戦闘での出来事を話すカステル。
「ほぅ…しかし放てなかったようだが?しかも気絶していたようだったし何があったんだ?」
それは、ユウヒも気になっていたことなので聞き耳を立てるユウヒ。カステルは御者台には聞こえない程度の声で話した。
「シェラがすぐに気が付いてくれて杖で…」
その一部始終を見ていたアルディスは苦笑いを浮かべていた。
「あっはっはっはっはよくやったシェラ!あっはっは」
ヒュリーカはその話がツボにはまったのか笑い出す、その対面に座っていたメイはどうやら寝かけていたようでその笑い声にびっくりして廻りをキョロキョロと見回す。しかしその寝ぼけ眼に映った情報だけでは何が何だかわからなかった。
「あっはっはっはっはよくやったシェラ!あっはっは」
そこは馬車の一番後ろ荷台部分そこには、ガレフ、シェラ、ユウヒの三人が乗っていた。
「なるほどそれで気絶していたのか・・・」
そう言ってその珍事を起した本人に目を向けると、終始眠たそうな顔をしていたシェラがキリッとした顔をしてユウヒにサムズアップしていた。
「・・・どうしてこんな風に育ったのか・・やっぱ冒険者稼業がだめなんかね?」
「まぁ強く生きてくれるだけいいんじゃないか?」
「・・・そうだな」
「・・・・」コクコク
「はぁ・・」
まさにこれが親の心子知らずであろうか・・いやこの少女すべてわかってやっているのかも知れない。
「(にやり)」
!?!?
ごそごそ・・・ごしごし・・・ごしごしごし。
「ん?ユウヒ何をしてるんだ?」
「ああ、ほれ胃の中から出てきたやつだよ」
鞄にいれていた合成魔法産の布で結晶を磨いているとガレフが気になったのか聞いてくる。
「おお!例の魔結晶か、その色だと地属性か?」
「あぁそうみたいだな、綺麗な結晶だよな」
俺の手の中には磨かれた琥珀色の結晶が光を反射して綺麗に輝いている。
「そりゃ宝石に分類されてるくらいだからな・・しかし砕けていた量から見るにもとは結構な大きさだったみたいだな」
結晶の数は全部で12個全部同じ一つの結晶だったとすると直径7~8㎝くらいの大きさになるだろうか?
「ヘッジホッグが駄目だったかな?自分の使った魔法で砕けたのならへこむなぁ」
「そりゃちがうだろうな、ありゃ地属性の魔法だろ?同じ地属性の魔法で地属性の結晶は早々砕けやしないさ」
「ふむ、そうなのか・・まぁ山分けするのに楽だと思えばいいか・・」
大きな一個を取り合いするとか面倒この上ない。
「・・・いいのか山分けしちまって?見つけたのはユウヒなんだ独り占めしても誰も文句言えないんだぞ?」
ふむ?どうやら剥ぎ取り品はみつけたやつに優先権があるらしいな、この辺は覚えておいた方がいいかな。
「そんなものなのか?」
「おう、基本的にパーティー組んだ時に手に入った物は基本部位以外は発見者優先に割り振られるな…(ブルッ!)」
ガレフが説明していると急に顔色が悪くなり震える、よく見るとガレフの背後には馬車の中から身を乗り出しガレフに向けて縦に割れた瞳孔で鋭い視線をおくるヒューリカが居た。
「・・・・ヒューリカそんなに欲しいの?」
「当たり前じゃないかぁ宝石だよ?しかも魔結晶は珍しいからね欠片でもいい値段するのさ、まぁそれだけじゃないけどね…」
ふむ・・何か他にも理由がありそうだね?でも元々山分けの心算だったし。
「まぁ、今磨いてるから他の人で配分決めてよ?あ、でも風の魔石はもらうよ?」
「おう、優先順位はユウヒにあるんだからな・・ヒューリカそっちでも配分話まとめてくれ」
「あいよ!」
何やら後ろの会話が騒がしくなっているのを無視しつつ一応護衛なので、【探知】の魔法を使いつつ結晶を磨き始める。
ついでにこの【探知】魔法だが俺の頭がゲームに浸食されているからか、視界の隅の方に自分を中心とした円形状のセンサー範囲が表示されている。さらに任意でセンサーの種類や見方を切り替えられ実にゲームっぽい。
「(妄想魔法か・・てことは俺の頭はゲーム脳ってことなのか…微妙に釈然としないな)」
そんなことをつらつらと考えているうちに結晶磨きは進み10個目に移る、実は磨くのにもこっそり【清掃】と言う魔法を使っているわけだがこれは別の機会にしよう。
「ユウヒこっちは大体決まったぞ」
どうやら話し合いが終わったらしい、さてどうなったのかな。
「ん、何個ほしいの?」
「あぁ3つだ、やっぱり女は宝石が好きってところだな。しかしシェラが欲しいと言い出すとは思わなかったぜ」
なるほど、ヒューリカとカステルそれから隣でじっと俺の磨く結晶を見ているシェラか。シェラは見た目まだ少女と言っていいくらいだが立派なレディってことなのかね?
「なるほどね、はい2つそれとシェラはどれが良い?」
ガレフに二つの結晶を渡し隣に居たシェラに磨き済の結晶を見せて選ばせる。
「・・・選んでいいの?」
「ん?まぁ隣に座ってる特権じゃないか?」
コテっと首を傾げて聞いてくるシェラ、そのどこか子猫のようなしぐさに思わずキュンとなる。一応言っておくがロリじゃないからね。
「ちょっと!ユウヒずるいアタシもそっち行く!?」
「わ!?ヒューリカさん危ない!危ないから!?」
馬車の中に乗っていたヒューリカが子供っぽい声を上げながら馬車から身を乗り出し抗議してくる、その後ろからカステルがヒューリカを押さえている
「こっちは俺らで満杯だ、ユウヒが選んでくれたんだ二人で選べばいいだろ?ほれ」
「むぅ、仕方ないわねぇ・・カステルどっちにするか決めるよ」
「はぁ、もう無茶しないでよね」
ガレフに渡された結晶を見たヒューリカは、まぁ納得?したのかカステルとどっちにするか決め始めたようだ。カステルは疲れた溜息をつき席に戻る、苦労人のオーラを感じるのは気のせいだろうか。
「まったく、そうだユウヒ明日なんだが王都の冒険者ギルド来れるか?」
「ん?んー場所が分からないからなぁそれにどこに泊まるかも決めてないし」
とガレフの質問に結晶磨きをしつつ答えていると背後からアルが話に入ってくる。
「ユウヒは家に泊まってもらう予定だよ」
「「なに?」」
そんなアルの発言に、まったく同じ反応をしてしまいガレフと顔を見合わせた。
「あれかい?王子様の家ってこたぁお城に泊まるってことかい?」
「そのつもりだったんだけどユウヒは嫌かな?」
「堅苦しいのは勘弁だし牢屋はもっと勘弁だぜ?」
城は嫌ではないが…万が一不敬罪と言われ牢屋に入れられるとか勘弁である、まぁ妄想魔法とか使えば逃げれそうだけどそのままお尋ね者になるのもなぁ。
「あはは、ちゃんとお客さん用の部屋を用意してもらうから大丈夫だよ。それにいつも通りでいんだよ?」
「まぁそれでいいってなら泊まらせてもらおうかな…宿代浮くし」
「ユウヒ・・城に泊まるのが宿代うくからって・・・」
俺が素直な感想を述べるとガレフは変なモノでも見るような目で見てくる。
「あははユウヒらしいねー」
「そうなのか?」
なんだろう馬鹿にされている分けではないんだろうけどねぇ?正直お城に泊まるとか言われてもピンと来ないのが現実である。
私は、シェラと言います。お父さんと一緒に冒険者をしています。
「ユウヒ・・城に泊まるのが宿代うくからって・・・」
今話してるのがガレフお父さんです、お母さんも居ますが今はナイショです。
「あははユウヒらしいねー」
これはアルディス王子、グノー王国の第一王子で依然一度見かけたことがあります。気さくで人当たりがよく平民に人気があるので一度抱かれてみたい…とミーシャさんが言ってました。私にはよくわかりません、抱っこされたいのでしょうか?
「そうなのか?」
この人はユウヒさん、今回の依頼で初めて会って即席のパーティを組みました。カステルに聞いた話だと冒険者ランクはFだそうです、あの強さでFなのは反則だと思います。
「シェラ決まらないのか?」
考え事をしていたらユウヒさんが話しかけてきました。先ほどから目の前にある結晶を選んでいるのですがいっぱいあってどれが良いか悩んでしまいます。
「いっぱいあって悩む」
「そっかーじゃあさらに悩んでもらおう」
そういうとさらにもう一つ磨き終わった物を追加するユウヒさん…意地悪なのか良い人なのか判断に迷います。
「んなのどれも一緒だろう?」
「いや?元は一つの結晶だったんだろうけど、どうも一つ一つ違いがあるみたいだぞ?」
「はー、俺にはさっぱりだな」
そういえば結晶を見つけたのは、ユウヒさんでしたねお腹の中にあった結晶に気が付いたのなら。
「ユウヒさん」
「ん?」
「このなかで、魔力増幅の効果があるものはありそうですか?」
私が欲しいのは宝石じゃなくて魔力増幅効果です。私はまだ子供なのでどうしても大きな魔法を使うのに魔力量が心もとないのです、増幅の効果が使えれば少ない魔力を増幅してくれるのでありがたいのです。
「シェラ・・・」
「なるほどね魔力の少なさをカバーしたいわけだな・・うーん」
どうやらユウヒさんはあれだけの説明で理解してくれたようです。お父さんは、いつもより優しい目で見てきます・・なぜでしょうか。この中に増幅効果があればいいのですが売ってある物は非常に高い為、正直買う気がしません。
「これとこれかなぁ・・でも品質が少し悪いなぁ」
「ユウヒは鑑定もできんのか?多芸だなぁ」
本当にすごいです、Fランクは嘘なのではと思ってしまいます。
「増幅効果が高い方がいいです」
「・・・そうかわかったじゃあこっちだな」
そういうと小さい方の結晶をわたしの手のひらにのせてくれるユウヒさん、とても不思議な感じのする人だと思いました。
「そろそろ到着です!降りる方は準備してください!」
バスカルさん、王国騎士でうるさいナルシーブを黙らせる良い人・・・でもちょっと怖くて近づけない。もう王都に着くらしい私も結晶を大事に仕舞い降りる準備を始めた。
やっと、やっと王都についた・・・なんだこの苦行は!まったくいいとこが無い上ずっとこの男の横で。
「(ぎろ)」
「ひぃ!」
私は、何も考えてませんよ!?そう降りる準備でしたね!もういつでもおりれますよーだから早くついてー(泣
「(ぎろ)」
「ひぃ!」
時は遡る事ユウヒがこの地に降り立つ少し前、とある自然溢れる地にて。
「とりあえず予定していた確認事項は完了だな」
「ん、個々のキャラ作りも少しは固まってきたでござる」
「ござるがキャラ作りとかwww・・・俺も狙ってたのに」
異世界に来て数日ニート三人衆改め、3モブ忍者はこれまで集めた情報を交換確認していた。
「俺らが今いるのがグノー王国の東側で南に行けばオルマハール王国で南西方向にサハール商国か・・」
「あぁそうだ、グノーは比較的安全らしいからこの辺をベースにするか・・北はどうなんだ?」
「・・うむ面妖な森が広がっていて北に行く街道は一本だけらしい名前はエリエス国らしい・・・」
どこか考えるようにしながら話すジライダ、その雰囲気が気になった二人は問いかけた。
「エリエス国?面妖な森・・気になるワードがあるなどんなところだ?」
「んー森のほうでござるが元は国があったらしいでござるがそれが森に飲み込まれたとか・・・」
「・・・うん、その森は近づかなくていいヨネ」
ジライダの説明に顔を青くしながら返事をするゴエンモ。
「あぁそうか怪談苦手だったっけ?んで、エリエス国の方はどうなんだ?」
「うむこちらは重要だ・・・」
「森が飲み込むとかバイオハザードな感じも嫌いだよ・・・重要?」
ヒゾウの問いに真剣な顔のジライダその空気にゴエンモの顔も元に戻る。
「実は・・・「「ごくり」」・・エルフがいるらしい・・しかも複数の部族があるとか・・」
「な!なんだと!?」
「エロフ来た!これでかつる!」
ジライダはキャラ作りを忘れ言葉を搾り出し、その言葉に狂喜乱舞する二人。その後しばらく三人は妄想の世界でまだ見ぬエルフの事を思い描いていた。しかしその妄想も長くは続かなかった、それは。
ぐおぉぉぉぉん!
「・・・ィャ・・・」「・・・・・・」「・・・・・・ヵ・・」
突如聞こえてくる獣の鳴き声と微かに聞こえてくる人の声によって。その音は彼らの驚異的な聴覚ならばしっかりと聞こえるレベルである。
「は!これは確実に美女の声!助けに行かねば!」
「なんと言うアニメボイスこれは美女に違いない!ビバ異世界テンプレ!」
「我らの力存分に味合わせてやるぞ!そして助けた美女と・・ふぉぉぉ!」
そして彼らはあまりにも締まらないセリフと共に再度、草原へと駆け消え入ったのだった。
・・・いかがでしたか?戦闘描写よりは書きやすかったのですが、確認時に結構誤字脱字が出てしまいました。
こう言う話でキャラクターの個性を感じてもらいたいのですがうまく伝わってたらいいですね。
それでは次回予告?戦いの疲れを癒しつつユウヒ達はグノー王都へそこでユウヒに待ち構える事とは。
次回もここでお会いしましょ・・何時になるかは未定です! ( ゜∀゜)ノジ