第十一話 どこにでもある異常
どうもHekutoです
リアルお仕事が面倒でしたが、休み中に結構進められ無事完成しました。今回もワールズダストの世界観を感じてもらえれば嬉しいです。
それでは第十一話『どこにでもある異常』はじまります。
『どこにでもある異常』
あの後、俺は今日の正午より開催される。
『ワクワク!Dランクモンスター討伐大会!ポロリもあるよ☆(主に命的な)』の準備の為何か武器でもと商店通りを歩いていた。
「もしくは安いの買って・・(素材になりそうな物も買って合成するかな)」
そんな事を考えながら武器屋を探す。
「ん?こっちから俺好みの気配が!?」【ボロ武器店】
素晴らしい名前である、そんなこと気にせず戸を押して中に入った。
「いらっしゃーい初めての人だね、何か入用かなぁ?」
「なに!?・・・そ、そうだなアサルトボアに歯が通るくらいの刃物はあるかな?」
あることに衝撃を受けるもとりあえず買い物を優先することにした。たしか頭蓋骨が強化されているらしいし打撃は望み薄そうなので刺さるか切るかで探すことに。
「アサルトボアかい?そーだねーアイツはそこまで皮は固くないからねぇ」
と言いながら片手剣、槍、ナイフ、両手剣など出してくれる。
「この片手剣ならそこそこ切れはするねぇおすすめは両手剣だけど重いのがネックだよ」
ふむ取り回しを考えるなら軽いのがいいが片手剣はそこそこか・・。
「その槍はどうなんだ?」
「お?やっぱりあんた魔法使う人かい?」
俺は、取り回しがよさそうな短めの槍を指さして聞いてみたんだが。魔法ね?どういうことだ?
「ん?わかって聞いた感じじゃないね、まぁいいさこれは魔法槍って言ってね魔法使い用の槍なのさ」
ほう、魔法使い用の槍とかあるんだな杖の変わりってことか。
「面白いな、この辺じゃ一般的なのか?」
「面白い?・・・そうだろぅそうだろ!」
なにやら急にテンションが高くなる店員。
「魔法使い用の槍なんて珍しいんだよ!もう一目ぼれでさぁ!即仕入ちまったんだよ!」
どうやら珍しいようだ?
「ふむそうか珍しいのなら高いのか?」
「・・・吹っかけて高く売りたいところだけどね・・何故か人気なくて売れ残り扱いなんだよぉ」
その頭についた長めの耳がへにょんと前に垂れる・・・そうここで大事なことがある。目の前にいる武器屋の女性だが所謂、獣人族と言うやつなのだ!しかもかわいいキツネ耳である。
うぅむリアルキツネ耳とかなんと言うご褒美・・とりあえず心の中で拝んどこう何かいいことあるかも?お稲荷さん的な感じで。
「大抵の魔法使いは専用の魔具だったり杖だったり装身具だったりで、近接戦闘を念頭に入れてる人でも別に剣を持ったりなんだよ」
ふむふむ、なるほどその辺はよくゲームである感じなのが一般的ってことか。
「この槍はすごいんだよ?柄の部分には杖で使うような魔木を使っていて魔法の安定性を上げるし、穂先の素材は聖霊銀には劣るけど魔銀を使っててさ強度はこっちのが上なんだよ?少し重いけど」
槍の性能を嬉々として説明しだすキツネ耳、よく息が続くものである。その説明を聞きながら俺は右目の力を使った。
【無銘の魔法槍】
銘の入っていない魔法槍。
穂先に魔銀を使用、柄の部分は固い魔木、魔力親和性は低め、付加無し、
長さ1.2m 重さ5㎏ 刃渡り(両刃)0.2m
性能:物理 D 魔法 E 耐久力 E
属性:刺突、斬撃
魔銀:魔力鉱山で産出される銀、魔力により変質しておりその硬度は鋼に匹敵するが重い。
固い魔木:基本的に魔木は強度と魔力親和性が反比例する為固いほど親和性は低い。
「・・・中途半端なんだな」
鑑定結果についボソッと呟いてします。
Dランクは別に悪い評価ではないらしい鉄製の剣でもEランクなのだから物理性能は、優秀なのだろう。しかし魔法槍と言う割には魔法性能が低いのだ、たぶん耐久力を上げる為に犠牲になったのだろう、魔法性能を上げれば耐久度がFもしくは、Gまで下がるかもしれない。
「・・・にいちゃんにもわかるんね・・」
いつの間にか説明が止み静かになっていたことに気が付き垂れ狐耳になった女性店員を見る。
「以前来た魔法使いも言っていたよ魔法性能が低いんじゃ意味ないって」
なるほど売れない理由はやはりそこか。
「確かに物理性能と魔法性能が逆ならまだありなのかもしれないな」
「はぁ、そいつも言ってたわ魔銀じゃなくて聖霊銀ならありだって・・でもそんなの中々市場にでないのよねぇ」
「確かに魔法使い的には無しだろうね・・でいくらにまけてくれるのかな?」
「へ?・・買ってくれるの?無しなんじゃないの?」
不思議そうな顔で聞いてくる店員。魔法は使うがあの威力だ、安定性を上げる意味では少しほしいが無いと使えないと言うわけではないし今は。
「んー・・まぁ今欲しいのは物理的要素だし売れ残りなら安くしてくれそうだし?」
「うっ・・まぁ売れ残りと言った手前高くは売れないわよね・・」
うぅむこの人は商人向きの性格じゃないのかな?いい人すぎる気がする。
「そうねぇ・・この槍の良さも性能も理解してくれてるみたいだし・・大銀貨5枚でどうかしら?」
大銀貨5枚か・・たぶん相当安いんだと思う、アミール知恵袋でも一般的な鋼製の剣で大銀貨5~7枚、付加無しだが物理性能的には6枚前後に魔法性能で7枚近くにはなるんじゃないかな?と考察する。
「相当安いのではないのか?」心配になり聞いてみる。
「まぁこのまま置いてても売れなきゃねぇそれに赤字にはならないよ、黒字にも微妙だけど銘入りでもなきゃこんなものさね」
ふむ、損はしないが売れない物を置いててもか・・買いかな。
「よし買った!」
お金を出しながら叫ぶと即座に声が返ってきた。
「毎度♪槍用の背負い袋もつけとくねぇ」
先まで垂れてた狐耳はピンと達嬉しそうな感情が伝わってくる。
「用があればまた来る、面白いのも見れそうだしね」
「期待してて!次はあっと言わせる品を仕入れとくよ!」
そんな店員の声を背に、俺は背負い袋の位置を調整しながら武器屋を後にした。背負い袋は穂先を上にして入れるようで穂先を隠す蓋のようなものもついているので街中では、しまっておいた方がよさそうだ。
店を出ると日もだいぶ上ってきたので少し早いが集合場所に向かうことにした。それにしても素晴らしいキツネ耳であった。
「まだ誰も来てないみたいだな?」
途中昼ごはんに果物を買っていたのだがそれでも早すぎたようだ。
ここが西門でいんだよな?・・心配になってきたしあそこの門番?門兵?に聞いてみるか。
「あのすみません、ここは西門でいんでしょうか?」
「ん?ああそうだが、何かあったのか?」
どうやら西門で合っているようだ。
「ちょっと待ち合わせをしていまして正午予定だったんですが早く来すぎたみたいで」
「そうか・・冒険者か?」
冒険者だと何かあるのだろうか?まぁ、ここで嘘をついてもしょうがないので正直に答えた。
「はい冒険者です待ち合わせも依頼の為なんですよ」
「もしやアルディス様の連れの方ですか?」急に態度が丁寧になり始める門番。
「え?あ、はいそうですけど?」
「おお、やはりそうですか話はバルカス様に聞いております!」
「ほえ?」
知った名前が出てきたせいか変な声を出してしまった。
「アサルトボアを討伐してくれるとか!いや、助かります我々では門を守りきれるかも怪しいので出現情報を聞いてからヒヤヒヤしてたんですよ!・・あ!どうぞあちらに簡易の休憩場所がありますのでそちらでお待ちください!」
急に低姿勢というか何と言うか態度が一変したが、これがアルディス効果なのだろうか?それとも単に魔物討伐がありがたいのか?両方かも知れないな。
「ほうここが休憩所か・・・みんなが来る前に作業を終わらせないとな」
そこは町を囲む塀と大きな木の間にいくつかのベンチが置いてあるだけの空間であった。木や塀に障害物などで門番の居る所からこちらを見ることはできないし。
「・・周囲確認【探知】・・・人の気配もないな、これなら合成魔法使えるかな」
買った武器の強化を合成魔法でするべく奥のベンチに座って鞄から材料を出す。
実は、地上に転送される前にアミールから面白い話を聞いていてそれを合成魔法に活かそと思っていたのだ。
この世界は無理矢理創られた為、バグが非常に多いらしい。そのバグによる世界間規模の災害を防止するために世界事態にある封印処理が施されているとか。
「それにより物質やエネルギーなんかにバグが入っていても無効状態になっているっと、解析開始」
アミールから聞いた話を確認しながら取り出した物を詳しく解析する
【オレンジマール】
マールは林檎の変異種と言われており、オレンジマールは柑橘類の香りがする。
性質:マール、香り(柑橘)、甘い+1、すっぱい-1、
無効性質:切れ味が良い、数字に強い
と言う解析結果になるわけだが、この解析結果から推測するにマールと言う果物の中のオレンジ種で柑橘系の香りがし収穫からしばらく時間がたっているので酸味が少なくなり結果甘味が増しているようだ。
「ふむふむ店先でぱっと解析したがやはり切れ味が良いって項目があるな」
本来ありえない情報これが所謂バグであり無効状態に封印してあるわけだ、しかし面白いことに無効になっていても物体やエネルギーが変質し本来あっても可笑しくないモノになった時封印は解除される
たとえば甘い砂糖に無効性質の【苦い】が入っている場合、この砂糖煮詰めすぎ焦がしてしまうと【甘い砂糖】は【焦げた砂糖だったもの】に変わり性質に苦いが追加される。
「しかもこの場合無効にあった苦いの封印も解かれ苦いが苦い+1や+2に強化されるか・・相当苦くなりそうだな」
そして!今回やろうとしているのは合成魔法(極)で無理やり魔法槍とこのオレンジマールを合成させ【切れ味が良い】と言う性質を追加できるかどうかの実験である。
「俺の合成魔法は結構無理が効くらしいし何とかなるんじゃないかなぁ?・・なるよね?」
若干の不安を抱きつつ素材に魔力を流し始めた。そして5分後・・・。
「・・マールは消えて魔法槍が残ったか・・魔法槍に磨きがかかってる?ふむ解析っと」
少しドキドキしながら結果を調べる、すると視界に情報が表示される。
【磨かれた無銘の魔法槍】
銘の入っていない磨かれた魔法槍。
穂先に魔銀を使用、柄の部分は固い魔木、魔力親和性は低め、切れ味と香りの付加有り
長さ1.2m 重さ5㎏ 刃渡り(両刃)0.2m
性能:物理 D+ 魔法 E 耐久力 E+
属性:刺突、斬撃+
付加:切れ味が良い、香り(柑橘)-2
「素晴らしい!思惑通りじゃないか・・しかし香り?あれか香木みたい意味合いで有効になったのかな?確かにほのかな蜜柑の香りが・・」
あとよく調べたら無効の所に【数字に強い】が増えていた。
「少しいつもより魔力を使った気がするが問題ないな・・チートの香りまでしてきそうだ」
そんなことをつぶやいていると探知内に見知った気配が近づいて来た。
「あ?ユウヒさーん!」
町の方からメルが小走りでやって来る。
「およ?メイだけ?他は?」
「はい!アルディス様達は馬車で同行する冒険者の方を乗せて来てます。私は先に来て集合場所の確保です・・ここはいい集合場所ですね?」
辺りをキョロキョロ見回しながら説明してくれる。
「門番の人に教えてもらったんだよ、ここで待っていると良いってね」
「そうなんですかー・・ん?お荷物増えてますね?」
「ああ、面白そうな武器があったからね丁度討伐依頼だし買ってきたんだよ」
そう言いながら槍を見せる。
「わぁ!綺麗な槍ですねぇでもちょっと短い?」
魔法槍に突っ込みが少ない辺り知らないのか・・それとも魔法槍事態の知名度が低いのか?
「取り回しがよさそうだったからねあまり長いのは、持ち運びも面倒だし・・そうだこれ食べるか?」
槍を買った理由を説明しつつ昼用に買っておいたマールを一つ渡す
「あ!マールですねいただきます!お昼のデザートです」
「昼は食ったのか?」
「はい正午出発なので少し早めにみんなで・・ユウヒさんは食べてないのですか?」
「俺の昼飯はこの果物だよ・・・いや食べていいからまだあるから」
話していくうちにメイが何か申し訳なさそうになっていくのが少しかわいかった。
「・・はい!いただきます」
木漏れ日の下、二人でマールを食べながら皆が来るのを待つのであった。
そこは木漏れ日の下、とある商店街の公園元ゴミ置き場に三人の男がいた。
「最近色々騒がしいなぁ・・」
「あぁ世界中で妙な地震が頻発してるやつ?」
「あと謎の超常現象だっけ?世界の終わりか?」
ベンチにだらりと座った男達は、葉の間から漏れる光をぼーっと見ていた。
「しかし勇者はどこに言ったんだかアレから五日だろ?」
「これだけあちこち探して見つからないとなるとなぁ」
「これはもう超常現象でブラックホールに飲み込まれたか?・・そうそうこんな感じの」
「「は?」」
男達が目を向けた先には、謎の黒々とした穴が空中に開いていた。
「俺今ピピッと来ちまった・・」
「おれもおれもあれだな第七感?」
「うはwww勝手に一つ増やすなおwwww・・でも何と無くわかるお」
「「「俺ら積んでね?」」」
ベンチにだらりと座ったまま男達はダラダラ嫌な汗を流し固まるそして。黒々とした穴は男達に反応するように大きくなり男達を飲み込みはじめた。
「なるほどヤ・ラ・ナ・イ・カ・?ですねわかり・・・」
「「やらねーよ!ってうわぁぁぁぁぁ!」」
「ちょwおまww俺を掴むなwwwああぁぁぁぁ!!」
シュッポン!
どこか軽い音がするとそれまであった謎の穴も吸い込まれた男達の姿もそこから消えていた。後に残ったのは木漏れ日と【モブ専用】と書かれた歪な手作りベンチそれと商店街のにぎやかなBGMだけだった。
私の名は、コプレス・A・スルメフ高貴かつ優秀な管理神だ。
しかし、愚かにも上層部の老害共は私のことを妬みこのような面倒な役職に就けたのだ。
「部下も使えんものばかり・・その上生意気な小娘まで入れてくるとはな」
部下は大半がAを継ぐ者ばかりだというのに使えない奴等ばかりだ、どうせそのAも偽りだろう。私のような優秀な神になりたいのだろうと思うと多少心が安らぐ。しかしあのアミールとか言う小娘は邪魔だった主席だか何だか知らんが偉そうにしやがって、だから俺の管轄するゴミの全権を押し付けて放り出したのだ。
「しかし、鬱陶しいヤツは放り出しても邪魔なんものだ・・最近何かちょろちょろやっているみたいだしな。」
・・・どうせあのゴミの整理でも糞真面目やっているのだろう、ならば邪魔すればいい・・やつの歪む顔が想像できるなはっはっはっは。しかしどう邪魔するか・・そうだな関連の無い他世界から屑を複数混入させるか、それだけじゃ詰らんな。
「そうだ私の美しい世界の邪魔な概念をその屑に押し付けて・・・ふふふ完璧じゃないか!これであの小娘を苦しめることが出来るはっはっは」
そしてそれまでやっていた自分の作業を放棄して準備を進めた。
そこは、真っ白な空間。しかし突如そこに黒い穴が現われると3つの人影が吐き出され穴は消える。
「おふ!・・ここはどこだよ」
「いてえよ乗っかるなよ・・真っ白だな」
「・・・ん?おい何か出てきたぞ?」「「なに?」」
男達が周囲をきょろきょろ見回しているとそこに黒く光る人影が現われる。
「選ばれし勇者よ!お前達は高貴なる神の慈悲により選ばれたのだ。世界に縛られていた汝らを自由な世界に開放してやろう」
「うはwwきたこれ俺厨二再発しちまったかwww」
「ばかwおまいまだ治ってねーだろwww」
「てかモブに勇者フラグとかww豚に真珠なんてレベルじゃねーwww」
「「ですよねーww」」
「選ばれし者達よ汝らに見合う力を与えるこの【忍者の概念】を手に自由なる世界で思うがまま生きるが良い!」
その声と共に男達の体に真っ黒な球体が浸透する。
「なんだこれ・・忍者・・だと!?」
「おお!これがあれば何でも出来る気がする・・」
「・・・ん?」
手にした力に興奮する男達しかし、一人の男が疑問の声を上げ首を捻る。
「それでは逝くがいい!」
その一言でまた黒い穴が開き男達を吸い込んだのだった。
「「「いいぃぃやあぁぁぁ!?何かイントネーションが違うぅぅぅぅ・・・・・・」」」
白い空間、そこには黒く光る影だけが存在した。
「くっくっくこれですべて完了だ・・屑の混入も美しい私の世界に不要な汚い忍者の概念も・・元からゴミなのだからいくら増えたって関係ないしな。ふっふっふ帰るか、今日は気分がいい・・」
そう独り言を言うと黒い光りは消えていきそこには何も残っていなかった。あるのはどこまでも白い空間だけ。
はぁいどうでしたかぁ?この異世界の世界観を感じてもらえたでしょうか?そしてみんなの大好きなあの男達も出てきましたね・・え?好きでもない?(´・ω・`)そかー。
次は、何時更新できるかわからないけど1週間以内には出したいですね!・・・え?想定が長すぎ?・・・んーなるべく頑張りますヨ?
それでは次回予告?木陰でのんびりとするユウヒが出会う者たち!そしてあの男達はどうなったのか!?
次回もここでお会いしたいです感想とかもまってm・・ゲフンゲフン!またねー( `・ω・´)ノジ