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少年少女  作者: 知恵
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第一部

東海斗(あずまかいと) 16歳 男 趣味:漫画を読むこと 特技:パソコン タイプ:ヘタレ、オタク

別に学校とかつまらないし、行きたくないけど。でも、親が行けって言う。授業料払ってるのは私たちだからって…

本当は一日中漫画読んで過ごしたいんだけど…まぁ、しょうがない。そんな僕が、まさかあんなことにかかわるとは思っても見なかった。


「海斗ー!起きなさいー!」

朝、うるさい母親の声で起こされ、枕元にある眼鏡をかける。基本的起こされるのは好きじゃない。大平高校に入って約一ヶ月。

早起きには慣れてきたけど、夜遅くまで読書(漫画)しているから寝不足続きだ。洗面所に行って顔を洗う。まだ頭が寝ている。

ご飯を食べるために椅子に座ると、お母さんが甲高い声で言った。

「お母さんね、さっきゴミだし行ったときお隣さんに海斗クンはすごいわねって言われたのよ。お母さんにとっても自慢の息子だわ。

だって、ここら辺じゃ一番頭のいい学校なんですもの。」

入学してからずっとコレだ。もう飽きた。ご飯をすばやく食べて二階に戻り、制服を着て家を出た。

「いってらっしゃい!」

お母さんの声が響く。恥ずかしいと思わないのかな。

「お兄ちゃん。」

振り向くと、まだ5歳の妹の里美が俺のお弁当を持っていた。俺はしゃがんで里美に目線を合わせてありがとうと言った。

里美はニコッと笑っていってらっしゃいと言った。向き直って駅へ向かった。いつもより一本早い電車に乗った。

すると、乗っている人たちが俺に視線が集まった。窓を見ると、髪の毛がボサボサの姿で立っている自分が写った。

俺はすぐ手ぐしで髪を梳いた。それでも直らない寝癖。俺はあきらめて目的の駅を待った。

電車に乗って五分。いきなり電車が止まった。アナウンスが静かに流れる。

「ただいま飛び降り事故があったため停車しております。」

腕時計を見るとちょうど八時くらいだった。

「はぁ〜」

壁に寄りかかり電車が動くのを待った。俺はそのまま眠ってしまった。


ポチャン…ポチャン…

んっ?水の音か?何で電車に?

ポチャン…ポチャン…

何でこんなに暗いんだよ。

ポチャン…ポチャン…

てか、この匂いなんだ?血なまぐさいような…

「コロシテ…」

えっ…?

「コロシテ…!!」


目を開けると、外で横になり救命のお兄さんが俺の目を覗いていた。

「大丈夫か?君。意識はあるか?」

何があったんだ?俺は混乱していて、状況が理解できない。

わかることは、周りにはたくさん人が集まっていて、病院の人たちがいて…

「おい、君。大丈夫か?」

呼びかけに意識が戻る。俺はゆっくり頷くと、お兄さんは安堵した。

「頭の出血がひどいから、今しっかり手当してもらうから。」

そう言って、お兄さんはどこかへ行ってしまった。怪我…してるのか?

別に特にどこも痛くなく意識もはっきりしている。制服はあまり乱れていないが…止血をしようとハンカチで押さえた。

眠っている間に何が起こったのかわからない。

戻ってきたお兄さんと、お兄さんが連れてきた年寄りの医者に聞いた。

「あの…何があったんですか?」

「えっ…覚えてないのかい?」

「いや…寝ていただけで…」

「そうか…」

お兄さんは険しい顔をして話しはじめた。

「今さっき、君の乗っていた電車が事故を起こしたんだ。それで今こんな状況になっているわけだけど…」

お兄さんはさらに険しい顔をした。それを察知した医者が重い口を開いた。

「今のところだが、君以外の人たちはみんな自分を殺してくれって言うんだ。」

「へっ?」

お兄さんが続けて言う。

「今手当てしている人たちがみんな言うんだ…『殺してくれ…俺を殺してくれ。』って。

あと、死んでいる人たちの顔は全部笑っているんだ。」

さっきの夢と関係があるのか?俺が考え事をしていると、目の前で治療していた二人の動きが止まった。

「どうしたんですか?」

「いや…出血が止まって…傷がないんだよ。」

お兄さんが不思議そうに言った。というか、俺は怪我をしていたのか?痛みを感じないほどいかれたのか?

自分の頭を触ると、確かに出血はなくどこも痛くない。俺は立ち上がり、二人に言った。

「他の患者さんのところ言ってあげてください。俺はもう大丈夫なんで。」

眼鏡をかけ、辺りを見回す。確かに何人も倒れていて、ほとんどの人が『殺してくれ』と唸っている。

ひどい光景だった。血が飛び交っていて、ばらばらになったパーツもある。

今でも救出作業をしている。俺は腕時計を見た。十二時。大遅刻だ。



そのときの俺はまだ深く考えていなかった。自分が大変な事件にかかわっていることを。


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