表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

トライアングルレッスン:M ~夕暮れ逆上がり事件~

作者: 各務 史
掲載日:2026/02/14

小説家になろうラジオでの企画「トライアングルレッスン:M」への投稿作品です。

本来のゆいこたちの年齢より、かなり若返らせてもらって、ゆいこもたくみもひろしも

そして、今回特別ゲストのむっくんも小学生です。

策士のむっくんをお楽しみください。

 日が傾き始めた頃、塾からの帰り道ゆいこ、ひろし、たくみの3人が

賑やかに公園横の小道を歩いていると

「あ、ゆいこちゃーん。」

とゆいこを呼び止める声がする。振り返ると鉄棒のあたりから手を振る人影。

ん…?3人が目をこらす。

「なんだ、むっくんか。なにしてんの?こんな時間に一人?かなちゃんは?」

「たくみ、うるさい。質問多い。」

「なっ!?」

生意気な返事にたくみがむっとする。

「はい。たくみ、怒らない。」

ひろしはたくみをなだめてから、むっくんの視線に合わせた。

「たくみは大事な従弟が心配なんだよ。

もう、暗くなってきてるから。分かるでしょ?」

「うん…。ひろしくん大人!たくみも見習ってよ。」

「お、お前な!」

ヒートアップしそうなたくみをゆいこが遮る。

「むっくん、もしかして、逆上がりの練習?」

「…、うん、そう。」

少し目が泳ぎながらむっくんが答えた。

「え、逆上がり、出来ねぇの?だっせ~。」

「たくみっ!」

茶化すたくみをゆいこが睨み付けた。

「ちょっと、手伝おうか?」

ひろしの提案に一瞬複雑そうな顔をしてからむっくんが肯いた。


 「蹴って!腕を曲げる!惜しいっ!」

タイミングを教えたり、お尻を支えたりして

惜しいところまでいくけれど、あと一歩が出来きれない。

「身体の使い方上手だから、出来そうなのになぁ。」

ゆいこが呟くと、またもむっくんの目が泳ぐ。

「ゆいこちゃん、手ぇ痛くなっちゃった。」

「えっ、見せて?あ~豆になりかけてる。今日は終わりにしよっか。」

その言葉にむっくんがうなだれた。

「大丈夫、すぐ出来るようになるよ!

ごめん、私ちょっとトイレ行ってくるね。」

むっくんの頭を撫でて、ゆいこはトイレへと駆けていった。

「うん。いっぺんにやってもね。」

ひろしがむっくんにそう言うと、むっくんは一瞬だけ目を伏せ、それからすっと目を細めた。

鉄棒に手を掛け、トンと地面を蹴ると、易々と逆上がりをやってのけた。

それどころか、そのまま鉄棒から降りることなく、くるりくるりと

後方回転を決めたのだ。

ひろしとたくみは驚きで目を見開いた。


 「ごめ~ん、お待たせ。帰ろうか。ん?どうかした…の?」

心配げなゆいこの声に

「見て見て!ゆいこちゃんがトイレ行ってる間に

出来るようになったよ。褒めて褒めて。」

可愛い明るい声で言うと、難なく逆上がりを披露した。

「え~、むっくん凄い!」

抱き合って喜ぶ2人を見て納得がいかないあとの2人。

「出来ねぇなんて噓じゃん…。」

「ゆいこがいないときだけ…ね。やるじゃん…。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ゆいこがいるときは逆上がりができないふりをして、たくみとひろしには技を見せて、ライバル心剥き出しとは、なかなかの策士ですね。 小学生でこれなら、このさきが末恐ろしい…。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ