戦闘のあとに残るもの
僕とマークは、ルーの亡骸を集めて森の奥に埋葬していた。
「もふもふ、ルーは僕の最初の友達だったんだ。僕はその友達を殺してしまったのかなぁ?」
マークは泣きながら、ルーの墓碑にひざまずいた。
「マーク、それは違うよ。ルーはマークに助けて欲しかったんだったと思うよ。」
マークは涙を拭いながら、
「いつも、師匠はキツイけど今回は辛すぎたよ。なんであんなことしたんだろ。」
と、半笑いでぼやいた。
ウィルがこちらに歩いてきて、ボソッと呟いた。
「もふもふ、あっちの方が重症だ。メグの方に行ってやってくれ。」
あっ。確か、ケルベロスが戦死したって、言ってたな、早く行かないと。
僕は、メグの元に走って行った。
ウィルは、ルーの墓碑に上から水をかけた。
「どうだ。お前はこれで救われたか?約束したわけではないが、救えなかったな。ま、私達がどんな最期になるか、高見の見物をしててくれ。」
マークは、目を潤ませてウィルを見上げていた。
「な、なんだ。気持ち悪い。」
ウィルが、マークの顔に後退りした。
「し、師匠。」
マークが抱きつこうとしたが、ウィルにスッとかわされた。
「え?」
ちょっと気まずい空気が流れたが、マークが気を取り直して、
「師匠もルーが嫌いなわけじゃなかったんですね、良かったです。」
マークが涙を拭いながら言った。
「でも、師匠はなんで僕にルーと戦わせたんですか?」
ウィルは目を瞑って、
「覚悟だ。」
と静かに呟いた。
マークがキョトンとしていると、ウィルは続けて、
「これから、更に厳しい戦いになる、このあとに仲間の誰が牙を剥くかわからない、私かもしれない。その時は迷わずやれ!今回の様に迷ってたら死ぬのはお前になる。」
と、厳しい声でマークの今回の不甲斐無さを叱責した。
マークは下を向き、
「申し訳ありません。」
と硬直しながら謝った。
メグのところまで行くとリリーがメグの傍で、立っていた。
「メグ…。」
メグは生気を失って、虚空を眺めている。
「リリー、メグは…。」
「私なんか、何言ってもダメなんじゃ。反応しないよ。」
と言って、その場を去って行った。
僕は、メグの隣で何も言わずに座った。
何分経ったか、何時間経ったのかわからないけど、メグがボソッと呟いた。
「ケルベロスは、私が最初に召喚成功した召喚獣なんだ。いつも、私を助けてくれた。どんな無茶な相手でも向かって行く。」
僕は黙って頷き、メグの言葉に耳を傾けた。
「でも、魔力が日々落ちていることは知ってた。本来ならあの程度の魔族に遅れは取らないけど、私のミスね、召喚しなきゃよかった。」
メグは大泣きした。
僕は、メグの肩を抱いて慰めることしか出来なかった。
「あの子、いつも私のこと心配してた。召喚士として頼りなかったんだろうね。でも、黙っておいていくなんて酷いよね。」
僕は、立ち上がってケルベロスの亡骸を葬ってやろうと思い、ケルベロスにさわるとピクピクと動く。
「ひっ、う、動いた。」
「え?」
メグは涙を拭きながら、僕に近づいてきた。
「そ、そんな理由ないわ。魔力は完全になくなって…ま、まさか。」
メグは、やさしくケルベロスのおなかを撫でた。
メグは、軽く頷くと
「後は頼むって…、無責任じゃない。あんた。」
僕がポカンとしてると、メグが、
「残存思念で、後は頼むって遺言残していったのあいつ。」
僕は、いまひとつわからなかったが、
「で?なにを頼まれたの?」
と言ったら、メグは、ケルベロスのお腹を指して、
「今、出てくるわ。」
バウ。
犬のような鳴き声とともに、ケルベロスのお腹を破って子犬が出てきた。
しかも3匹。
まぁ、頭が3つあるのですぐにケルベロスの子であることはわかったが、これどうするの?
メグは、頭を抱えてたがすぐに召喚獣として契約していた。
聞きにくいが一応聞いてみることにした。
「あのさ、メグ。この子たちって戦えるの?」
メグは僕を睨んで、
「半年は無理ね。弱いモンスターを三匹がかりでなんとかってところ。」
ため息をついた。
僕とメグは、ウィルとリリーとマークの所に行った。
ウィルが怪訝な表情で僕を見ていた。
まぁ、そうだろう。どんな手段で回復させたんだとか、回復したのはいいけどなんで若干不機嫌なんだと言いたいんだろうけど、その怒りを僕に向けるのは御門違いだ。
「まぁ、ウィル。言いたいことは判るけどいろいろあって、これからもいろいろあるんだよ。」
ウィルはため息をついて、
「そういう冗談はやめてくれ。」
と言った。
リリーが僕の所に来て、
「ま、良かったよね。で?いつ出発するの?」
ちょっと、言葉に詰まったが
「え、えーと。出発は、10カ月後〜1年後ぐらいにしようと思うんだ。」
「は?」
「はい?」
ごもっとも、そういう反応しますよね。わかってますよ。
ウィルが、厳しい表情で
「立て直しを考えても、最大3カ月だろう。なんなんだ1年とは?!」
と珍しく怒鳴った。
そうだろうね。そう思うのがあたりまえ。怖気づいたのかとか思うよね。
「メグ、召喚してやって。」
「はい。」
メグは申し訳なさそうに召喚した。
ガウ、ギャウ、バウ。
喧嘩しながら?じゃれ合いながら召喚されてきた。
「な、なんだ。これは?」
ウィルが珍しく酷く困惑している。
「い、いや。ケルベロスなんだよ。」
リリーは、全てを理解した様に、
「あー、こども残して逝ったんだね。」
としみじみ言った。
「なんだか、かわいいですね。」
マークが能天気にケルベロスたちを撫でている。
コホン。
「この子たちを一人前にしてから旅立った方がいいと思ったので、1年後と思いましたが、どうでしょう?」
ウィルは苦虫を噛み潰したような表情で、
「私1人、反対してもしかたあるまい。」
と言った。
そういえば、ジークがいない。
何処へ行ったんだろう。
僕がキョロキョロしていると、ウィルに声を掛けられた。
「どうした?」
「あっ、ジークは何処へ行ったんだろうと思って。」
ウィルは南の方を指差し、
「奴は街に調査に行った。というか、行ってもらった。暇そうだったからな。」
ジークは、街の中を彷徨っていた。
中央に塔が見えた。
「取り敢えず、あそこに向かうか。」
ジークは、中央にある塔に向かった。
息を切らしながら、塔の最上階までたどり着くと、
そこには、短身のミイラが佇んでいた。
「はい、目標物1個目発見。」
赤い狼煙をあげた。
「次へいくか。」
ジークは、地図を見ながら、
「取り敢えず東からかたっぱしから解放するか。」
ジークは、塔を降りて東の収容施設に向かった。
収容施設に勿論衛兵がいて中には簡単には入れそう無い。
とは言え、衛兵に聞かないと中に収容されている対象がわからないので取り敢えず衛兵に聞くことにした。
「あの〜。」
と、言った瞬間に衛兵達が突っ込んできて簡単捕られてしまった。
「だから、東の神官は倒されたって言ったでしょ。」
ザク!
槍が、ジークの目の前に突き刺さる。
「お前の話など聞くわけにいくか!」
やれ、やれ、だから俺みたいな非戦闘員なんか来させるとこうなるんだよね。
「こちらです。」
別の衛兵がやってきた。
なにやら偉そうな奴がやってきた。
「コイツです。虚言を吐いているやつは。」
なんか、凄い目で見てくるなコイツ。
「森に行った、神官様はどうなった?」
「だから、何回も倒しましたっていいました。」
ジークは、もう勘弁してくれっと言わんとばかりに
言った。
「あと、塔にいた魔導師はミイラになってたからね。」
偉そうな兵士は、衛兵に確認を指示させた様子だ。
「で?お前の目的はなんだ?」
「獣人及び奴隷の解放です。」
偉そうな、兵士が鼻で笑い、
「行き先がないだろう?」
と言った。
ジークは首を横に振り
「大丈夫。受皿はあるので御心配なく。」
衛兵が慌てて、飛び込んできて
「司令官、神官付きの魔導師様がミイラになってました。」
と、報告した。
「だから、言ったのに。」
と、ジークは思わず呟いたが、衛兵に剣を突きつけられた。
「余計なことは喋るな!」
司令官は、ジークに近寄ると、
「神官様は本当に亡くなったのか?」
「なんか、知らんけど。神官は召喚獣と相打ちで、なんとかドールに術を逆流させて、塔の魔術士は倒したらしいよ。」
とジークは、ウィルに聞いた話をそのまま伝えた。
司令官は少し考えて、
「我々の戦力では敵わないことは、言うまでもない様だ、ただ獣人を全て連れて行かれては街が廃れてしまう、こちらの自立が出来るまでの時限付きで最低限の人数を残留させるでよいか。収容している者たちは即時釈放する。」
と一礼した。
周りにいた衛兵達が慌てだし、
「なにを言ってるんですか?こんな奴に。
「バカモノ!逆らったら我々に命はない。」
と、青ざめて衛兵を厳しく叱責した。
「中々、上官は賢いみたいだな。な、衛兵君。」
ウィルが突然現れ、衛兵にのしかかった。
「な、無礼者…。」
司令官が、衛兵を制止した。
「まずは仲間の拘束を解いてくれないか?」
と、ウィルが司令官を強く睨んで言った。
ジークが拘束を解かれ、ジークは、街の中央に走って行った。
解放された獣人達は整列して門から森に向かっている。
「どういうことだ。絶対混乱してると思ったのに。」
リリーが看板を持って、マークが受付、もふもふとメグが街の中央にいる。
なんだか、獣人達ががみんなもふもふを拝んでる。
「こっちはこの辺で切り上げて森の街に戻らなくては…。あっちが混乱する。」
ジークは、森の街に戻り、こども達を使って獣人達の当面の住居を確保した。
森の街では2〜3日ぐらい、獣人達の入居待ちの列が続いた。
「ようやく、終わった。」
「予想以上に大変だった。」
ジークとマークは大の字でベッドに寝転んだ。
「2人ともご苦労さん。」
僕は2人の苦労を労った。
「そっちはそっちで獣人の代表と街作りの話で大変なんだろ。」
と、ジークは僕とウィルに気を使ってくれた。
「ジークには、言ってなかったけど…暫くここに滞在することになったよ。」
「次の神官が攻めて来ないのか?ここが戦場になるのは不味いんじゃないか?」
バウ、ガウ。
ケルベロス達がジークにじゃれつく。
「これは?」
メグが、申し訳なさそうに、
「新しい、ケルベロスだ。すまない。」
ジークは全てを理解し、
「ま、いいんじゃない。成長すれば俺なんかより数倍役に立つし。」
次の日から、ケルベロスの子育てが始まった。
南の神官の神殿に東の神官の訃報が届いていた。
「北に続いて、東もか。想定外の能力の様だな、西の神官よ。」
「その様だな。」
南の神官が立ち上がって、
「次は私がいくか。」
と言うと、西の神官はそれを制止し、
「このままでは、各神官が各個撃破される。我々は、個別に動くのは得策ではない。まずは相手の動きを見よう。」
ケルベロスの教育係になったのは、マークとリリーだったが大丈夫かな?
初日は、人狼と対戦するっていたけど…どうなったかな?
リリーが森から戻って来たので様子を聞こうとしたら、手を横に振る仕草をしたので駄目だったのだろう。
ま、初日だしね。
「余りにも酷いな。一匹は無駄に攻撃するし、一匹は守りの姿勢で戦わない、もう一匹はクソ弱い術を味方にぶつけてケンカになるし。」
リリーは、三匹の面倒とマークが人狼退治という感じだったらしい。
明日からは街の中で訓練するらしい。
僕はウィルに三匹のケルベロスについて聞いてみた。
「さっきの話どう思う?」
「何故私に聞く?結論はでていると思うが。」
「そうなんだけど、ケルベロス達に自覚があるかなんだよね。」
僕は、メグにケルベロス達の様子を聞いてみた。
「ケルベロス達はどんな感じ?」
「あー。2匹はもう行きたくないって。」
え?拒否とかってあるんだ。
「どうする?」
「うーん。2匹は取り敢えず私が様子みるかな?」
「思ったんだけど、3匹って役割理解できるかな?そうすればもっと良い戦いが出来る気がする。」
メグは、ちょっと考えて、
「話してみるよ。」
僕は苦笑いして、
「話できるんだね。」
「契約を結ぶとテレパシーみたいな感じでできるの。」
メグは笑顔でそう教えてくれた。
僕が感じた三匹の特徴と戦術をメグに伝えた。
そのあと、メグが三匹を呼んでしっかり指導したらしい。(結構厳しめに(汗))
翌日、リリー達と訓練しているケルベロス三匹を見かけた。
なんとか、めげずに訓練をしているようだ。
少し、安心した。
1ヶ月程経つと街の方は、各地区のリーダーを中心に自治が進んでいるようだ。
そもそも、ヒューマン種族よりフィジカル面は強いので自給自足の様な生活は得意で、皆活き々生活している。
こども達は、一部の知識の高い獣人から読み書きを勉強し始めたらしい、各地区のリーダーからは教育しないとまた外的に侵略されるから必要なことだと言っていた。
非常に立派だと思った。
この獣人たちは、もう僕達は必要ない感じだ。
本当は、旅立ちたいけど…、まだケルベロス達が…今日はどうなんだろ。
リリーとメグが大喜びで、森から出てきた。
ケルベロスが人狼の頭をくわえてる。
遠目からみると獣人に見えないこともないので街なかで獲物を披露するのはやめるように注意しておいた方が良さそうだ。
部屋で休んでいるとウィルが来て、
「ジークから連絡があった。南と西の神官は動きがない様だと。あと、一緒に行動しているのが妙だと言っている。」
「警戒させてしまったみたいだね。」
ウィルも頷いて、
「各個撃破されない様にしているんだろう。さすがにバカではなさそうだ。」
でも、こちらとしては好都合。
「こちらとしては、このまま警戒してくれた方がたすかるね。」
「それは、それでいいんだが。暗黒竜達が気になる何もしないで静かにしてくれていればいいんだが…。」
ウィルの不安は、的中までもいかないが近い所を突いていた。
暗黒竜達が支配している大神殿には物資の供給が1ヶ月以上遮断されている状況で日々大神殿の住人にストレスを与え続けていた。
大神殿は物資の貯蓄が1年分はあるので、すぐに緊急事態にはならないが常に暗黒竜の魔力を浴び続けていることと、状況の好転が見込めない心理的圧迫により、住人の中には錯乱状態になるものや体調不良を訴えるものが続発していた。
戦いから、3ヶ月程経つと森の街と街の間で交易が始まり、森の街にも通貨が使用され商人が行き来して商売が盛んに行われる様になって、許可を得たヒューマン種族も街でチラホラ見受ける様になってきた。
短期間で街はかなり発展して僕達の存在はかなり薄まってきた。
街の名前もウッドタウンという様になったらしい、衛兵達がいた街は、サンドタウンと呼ばれていて今では衛兵の姿はなく皆商人か職人か農民になったらしい。
たまに来る、神殿の遣いはみんなで追い返すようになったということだ。
ケルベロス達はというと、身体の大きさだけでは亡き母親と変わらないくらいのサイズまで成長し、
通常のモンスターレベルでは問題ないが、暗黒魔導師やダンジョンマスターレベルのモンスターにはまだ手こずる感じだが思ったより成長が早いので、
旅立ちは少し早まりそうだ。
あと…、僕自身だか少し成長したみたいでもうこどもという体型ではなくなってきて、ウィルなんかからは『元にもどれ』とか言ってるけど。
コンコン。
「私だ、ウィルだ。」
「珍しい。なんですか?」
メグの部屋に珍しくウィルが訪ねてきた。
「周りクドい話は苦手なので聞くが、今のもふもふをどう思う?」
「しっかりやってると思うけど、なにか不満が?」
ウィルは、首を横に振り深刻な顔をして話を続けた。
「お前は獣人族の寿命を知っているか?大型で40〜50、小型なら10〜30年」
「なんとなくは知っていたわ。」
「もふもふは小型に属する。恐らく20年程度、最後の5年は冒険は出来ない、そうすると長くて10〜15年しか今の状態は続けられない。」
メグは俯いて、涙を流しながら
「そんなの知っていたわ。会ったときからなんでエルフじゃないの、しかも短命の獣人なのって!
でも、会えないよりずっとマシでしょ。私は200年も待ったのよ!」
ウィルを激しく睨みながら言った。
「そんな気はしてたよ。前のパーティーの連中は逃げられたんじゃなく、死別だったんだな。」
ウィルはそう言って部屋を出た。
部屋の外では目を潤ませた、リリーとマークがいた。
「え?お前らひょっとして聞いてた?」
ウィルの顔が引きつった。
「そんなのってないでしょ〜!」
リリーが泣きながら抱きついてくる。
マークが、
「し、師匠!なんとかならないんですか!」
と、叫んでる。
そんなところに、もふもふがやってきた。
「今度は何揉めてるの?」
マークがもふもふのところに走って行った。
「バカ!言うんじゃない!」
ウィルが思わず口走ったが、時すでに遅し。
「もふもふ、死んじゃヤダ〜!」
……。
「え?僕が死ぬの?ウィル、どういうこと?」
リリーも、ウィルのところで泣きじゃくってるし、
メグは部屋の中で号泣してるし、ただ事ではなさそうなので、ウィルに状況の説明を求めた。
「スマン。全ては私が悪い、私の中で消化していればこんなことにならなかった。」
と、ウィルは謝ったが僕は首を横に振り、
「そういう事じゃなくて、なんで僕が死ぬのさ。」
ウィルは、言いづらそうにしながら
「もふもふの寿命は、あと20年。冒険できるのは、あと10〜15年。という話をした。」
僕は少しびっくりしたが、
「そ、そうなんだ。身体が急に大きくなったのはそのせいなんだね。う〜ん、でもみんながそんなに思ってくれるのはちょっと照れくさいけど、うれしいね。」
と笑って言った。
リリーが僕の所に来て、
「でも、あと15年って…。」
僕は、頷いて
「でも、出来ることはいっぱいあるし、短いとは思わない。」
と皆の顔を見て、
「僕等は英雄になるんだ、こんなことで止まってはいられないよ。」
と言った。
ウィルが頷いて、
「そうだったな、今まで以上に厳しくいかないとな。」
と笑った。
ジークは、暗黒竜達の背の上から、大神殿の様子をうかがっていた。
大神官が側近に当たり散らしていた。
「暗黒竜どもをなんとかしろ!南と西の神官は何をしついる!」
側近は、
「神官様達に動きはありません。」
と言った瞬間、大神官に殴打された。
「今すぐ呼び出せ!」
側近達は急いで走り去っていった。
1時間後、南の神官と西の神官が大神官の元に来ていた。
「緊急招集とは、何事でしょうか?」
西の神官が冷静に発言した。
大神官は、
「サッサと暗黒竜とあの勇者どもを排除しろ!」
と怒鳴った。
「今、出ると全滅します。」
と西の神官が冷静に答えた。
大神官は、西の神官を殴打し、南の神官に、
「だったら、お前が行け!」
「それは、命令ですか?」
大神官は、南の神官も殴り、
「命令だ!」
「では、行きます。」
南の神官は、去り際に、西の神官の肩を叩き、
「あとは、頼んだ。」
南の神官が立ち去った後、西の神官が立ち上がり、
「では、私は戻ります。」
大神官は、西の神官を睨みつけ
「お前は反逆の罪で罷免と投獄だ、地下牢へ連れて行け!」
西の神官は捕縛され、衛兵達に連れて行かれた。
「な、なんてことを…。」
西の神官はその場に崩れた。
ジークは、その場を見ながら
「こっちにとっては、好都合だけど、ちょっと早かったかな。」
と、独り言を言ってウッドタウンに向けて出発した。
僕とウッドは夜中に叩き起こされ、ジークからの報告を受けていた。
メグからは、ケルベロスは実戦でつかうには後1ヶ月はかかると聞いていた。
「時間稼ぎと相手の準備不足を突くのがいいかもしれないね。ジーク、リリーと協力してお願いできるかな?」
ジークは頷いて、
「俺にはそういうのしか出来ないからな。」
と言った。




