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寄せ集めでも英雄パーティーになりたい  作者: 礫(レキ)
第1章 神官討伐
6/14

仲間の別れと神官撃破

僕等は、グラジル王国を後にして、大神殿に向かっていたが、話によると大神殿は半年くらいかかる距離だということで、長い旅になりそうだ。

街道沿いにしばらく行くと、街があるらしいのでまずはそこを目指すことにした。

ま、行っても結局街はないかもしれないけどね。

「そういえは、他の神官ってどんな人なんだろう?

「神官か。良い噂聞く奴はいないね。」

と、ウィルが呟いた。

「う〜ん。あとは種族差別が酷い神官とか、お金持ち優遇する神官とか、選民思想神官とかかな?」

と、リリーが教えてくれた。

「種族差別?グラジル王は僕のこと獣人風情とかいってたしそんな感じ?」

と、僕が言ったらリリーは、頸を激しく横に振って

「あんなの差別なんかに入らないよ。むしろ、友好的な部類だよ。」

そーすると、どの程度酷いんだろう。

と、その時獣人のこどもが僕達の前まで走って来て倒れた。

「たっ、助けて下さい。」

そのまま、獣人の子は僕達の前で倒れてしまった。

僕達は、咄嗟に抱き上げて介抱しようといたら、追手らしき輩が走って来て、

「獣人の子を見なかったか?」

と、いきり立って迫って来たので僕は自分を指差すと輩達に取り囲まれた。

「お前、ふざけてるのか?!」

ウィルがため息1つついて、1枚の紙を輩の前な突きつけた。

「我等は、グラジル王国の王勅命を受けている勇者パーティーだ。我等に刃を向けるということは、グラジル王日刃を向けると同意になるがよろしいか?」

輩達が顔を見合わせている。

状況が理解できてないのか?理解する能力すらないのか。

1人が走り去って行った。

どうしたんだろう?

「お前等の言っていることを確認している。ちょっと待て!」

なるほど、状況判断出来るやつがバックにいるということか。

が、なにやら揉めてるみたいだ。

先程、走り去った奴が戻ってきた。

「き、今日はこの辺しておいてやる!」

捨てゼリフを吐いて輩達は去って行った。

獣人の子は、アイテムボックスに隠しておいたがどうなったかな?

「こいつ、寝てるのか、虫の息なのかわからないよ?どうする?」

「勿論助ける。」

見捨てるわけないだろ。

僕は頭を抱えながら言った。

「食い物与えてみるか?」

リリーがパンを干し肉を与え様としたら、リリーの腕毎噛みついた。

バキ。

「コイツ何するんだ!」

リリーにいきなり殴られた獣人の子は涙目になっていた。

「大丈夫だよ。お腹空いてたね。ほら、これ食べて。」

獣人の子は食べものに飛びつき、貪る様に食べていた。

お腹いっぱいになったかと思ったらまた、鳴き始めた。

「おいおい、今度はどうした?」

「私をどうする?」

獣人の子は、怯えながら僕に話した。

「君はどうしたい?」

「え?私はわからない。」

リリーが僕を引っ張って獣人の子から引き離した。

「もふもふ、駄目だよ。あの子に意見なんか聞いたら。そんな幸せな人生送って来てないからわからないよ。」

僕は知らなかった。

獣人の虐げられた歴史を。

あの子は両親からは生まれた時点で、引き離され奴隷として、どうすれば食べていけるかしか考えてないし、考えたら酷い目に遭わされて生きている。

「ウィル。」

「なんだ。」

「ぼくは、英雄パーティーになりたい。」

ウィルは頷いた。

「知っている。」

「英雄ってなんだい?」

ウィルは嫌な予感しかしなかった。

「英雄が、獣人の子たちを見捨てて魔王を倒して、それが英雄なのかい。」

「糞だな。そいつは。」

「きまりだね」

僕達は、獣人の子から話を聞くことにした。

「それにしても、種族差別とか言うレベルじゃないんじゃないかな?」

「確かにね…でも。」

リリーからこの世界の実情を聞いたところによると、ヒューマンが、全人種のトップにいて、人に、近い種族であればあるほどカースト上位にいけるらしい。

よく考えると僕が元いた世界とあまり変わらないと思えてきた。

この世界は、半獣という存在が獣と人の仲介をするが、僕が元いた世界はそれがないので人のやりたい放題、変わらないか僕が元いた世界の方が残虐なんじゃないだろうか?

僕がここの世界に来たのは偶然じゃなく必然だったのかもしれない。

メグが、獣人の子を泣きながら抱っこしていた。

「どうした、どうした?」

リリーがまたかよみたいな顔でメグに近寄って行った。

「だってこの子、こんなに痣が。お腹も空いてたんだよね。」

「だいたい、こんなもんだよ。普通。」

リリーが獣人の子を睨んで、

「あんたなんで逃げて来たの?」

プイ。

獣人の子は、横を見て、リリーを無視した。

リリーは、怒りの形相で、毒瓶を突きつけて

「いますぐ、あの世に送ってやってもいいんだよ。」

ウィルが、リリーの首根っこを掴んで連れてった。

「脅してどうする?もふもふ、事情を聞いときなよ。」

僕は、やれやれといった感じで、獣人の子に近づいて、

「君、名前は?僕のことはもふもふでいいよ。」

獣人の子は、恥ずかしそうに、

「ルー。もふもふは神様の遣いなんだろ?みんなを助けて欲しいんだ。」

僕は、ルーの言葉を聞いてちょっと混乱した。

「え〜と。僕がなんで神様の遣いなんだい?」

「獣人なのに、人を手下にして盾の魔法を使うからだよ。」

手下ではないんだよな…。

「えーと。みんなは手下ではなく、仲間なんだ、あと盾の魔法を使う神様の遣いの言い伝えみたいのがあるのかな?」

マークがグイッと入ってきて、

「もふもふ、知らないのか?伝説の英雄パーティーには獣人がいて最前線で盾の魔法を使うんだよ、獣人たちからは救世主って奴もいるってくらいだよ。」

得意気そうに言った。

「それじゃ、ルーと同じような環境に置かれてる獣人が他にもいるってことだね。それはどのくらいいるのかなぁ?」

ルーは、少し考えてから、

「助けて欲しい友達は、20人くらいだけど同じような獣人は、数え切れないくらいいるよ。」

と言った。

助けるというのは、そんなに難しくないがその後のことを考えると、簡単にはいかない。

どうすればいいのか。

1人で悩んでも仕方ないな。

翌朝、僕は皆に相談することにした。

「実は、獣人を助けたいと思っているんだけど、助けた後、僕等は旅を続けないといけない。どうすれば、いいと想う?」

リリーが、手を挙げて

「簡単だよ。森に、獣人の街を作ればいいんだよ。食事は獣人だから狩りは得意だから問題ないよ、

あとはヒューマンが入ってこない様に罠でも仕掛けておけば。」

と、自信満々に言った。

なるほど、仕掛けは、リリーが何か考えがあるんだろう。あとは、人手だな。

「わかった。仕掛けはリリーに一任。街作りはルーとメグとマーク。救出は僕とウィルとジークで行く。」

ルーから、街へのルートと粗方な救出するこども達の情報を聞いてから僕達は街へと出発した。

街は思っていたより近くにあったが中は、神官達が暮らす居住区と商人達が商売する商業区と貧民たちが住むスラム地区にわかれていた。

僕達が目指すのは居住区の中でも高位の神官達が住んでいる地区に囚われているこどもたちの収容施設だ。

先行して調査に行ったウィルからの情報では内部侵入は容易で、敵兵も多くないらしい。

僕とジークは、ウィルの手引で簡単に施設内に侵入することが出来た。

ウィルの話では、こどもたちの方が問題だという。

逃げることの恐怖、自分達の価値喪失、未来への希望の喪失によりここからの脱出を拒否しているということだ。

「取り敢えず、説得するしかないだろ。」

と言って、ウィルとジークとこどもたちが捕らえられている場所まで行った。

そこは、臭気と汚物にまみれたこどもたちが目に光を失った状態で虚空を見上げていた。

僕は、息を呑んでこども達に話しかけた。

「君達を助けに来た。ルーも一緒だ。」

こども達は、反応がない。

聞こえないのか?聞こえるならなんで反応しない?

暫くすると、

「ムリだよ。どうせまたここに戻る。そして叩かれる、死ぬ手前までね、もう充分だよ。」

と、こどもたちの嘆きの声を聞いた。

僕は、涙を流しながら、

「君達を見捨てない。君達は僕等が守る。安心してくれ。」

こどもの1人が僕の持ってる盾を指差して、言った。

「それ、ひょっとして盾?」

「あ、そうだよ。」

こどもたちがどよめいた。

あれ?ウィル言ってなかった?

「あ、でもね。僕は攻撃は出来ないんだ。防御専門なんだ。」

正直にこども達に話した。

なぜか、余計にどよめいた。

「やった!伝説の救世主様がついにきてくれた。」

こども達が大声ではしゃいだせいで衛兵達がやってきた。

「お前達、何の騒ぎだ?ん?侵入者か!」

騒ぎは起こしたくなかったが仕方ない。

「物理結界!ウィル、頼む。」

「はいよ。」

衛兵たちは、ウィルが発動した術により槍で串刺しで動けなくなった。

「それじゃ、行こう。あっ、鍵か。」

こども達は壁に鎖で繋がれているから鍵がないと…。

ジークが大丈夫という手振りで、

「私は、戦闘にはあまり役に立たないが、無駄なスキルはあったりするんだ。鍵や罠なんかはこうすればいい。」

こども達の鎖と首輪をジークが解除した。

めっちゃ便利だな。

「すごいな、ジーク。凄い助かるよ。」

こどもたちは驚きのあまり、腰を抜かしていた。

僕達は、こども達を連れて、森に戻った。

そのあと、この街を統治している東の神官が偶然視察にきた。

「ちゃんと生贄は管理しているのだろうな。」

衛兵は緊張した顔で、

「はい!傷がつかないように動かない様にしてます。」

「ふん。」

神官は、衛兵を蔑むような目つきで、鼻を鳴らした。

神官は収容施設の異変に気がついた。

「へんな魔力の痕跡があるな、扉もおかしい。」

衛兵は走り出し、収容施設に入って行った。

青ざめた、衛兵が神官の元に戻ってきた。

「申し訳ありません。脱走です。」

神官は首を横に振り、

「脱走?獣人の魔力じゃないだろ。」

神官は、収容施設に入り衛兵の遺体をみて確信した。

「やられたな。グラジル王国の勇者だそうだ。北の神官の次は俺か、ずいぶん舐められてるみたいだな!!」

ガン。

神官は扉を蹴飛ばし、その場を後にした。

もふもふ達は、もうすぐ森にたどり着くところまで来ていた。

「あのさ、ウィル。あんなことして本当に平気かな?」

「ん?あれか。どうせ、やり合うんだし、探す手間も省けるだろ。」

ウィルは、心配するなと行った感じで、僕を安心させた。

森の中に入って行くと、もう街らしきものが出来上がってた。

僕等が入っていくとマークとルーが駆け寄ってきて

「見てよ、メグがほとんどやってくれたんだ。」

メグは恥ずかしそうに、

「いや、エルフだからこういうのは得意で転生直後はいつも街作りしてたから。」

そうか、エルフは森の精霊だからこういうも得意なんだ。

ルーは、僕のところまで来て、

「みんなを助けてくれてありがとう。」

と、言ってくれた。

これからの話をするために、みんなを集めた。

「明日にはこの近くまで、東の神官が攻めてくると思う。」

こどもたちは青ざめざわついた。 

「大丈夫。これはわざとやっていることなので、

後、この街には入れない結局を施すのて、ここに居る限りは安全なんた。だからここからは出ないで。」

と、僕が話すとこども達は安心した様子だった。

やはり、またあの生活に戻されるのではという恐怖感が強いのだろう。

「ウィル、メグ、マーク、ジーク、リリー。また、きつい戦いになるけどよろしくね。」

リリーは僕を睨んで、

「あんたが、抱え込まなきゃ平気よ。みんなを頼りなさい。」

とにこやかに言った。

ウィルが、僕のところに深刻な顔をしてきた。

「ちょっと、話がある。」

ウィルと僕は人気無いところに移動した。

なんだろう、深刻そうな顔してたけど。

「もふもふ、おかしいと思わないか?」

「え?」

「ルーがこども達のところにいたなら、あんな状態じゃ逃げられるはずない。しかもこども達は、助けに行っても助けにくると思ってなかった。」

ルーがスパイ?ってこと?

僕は、頸を振って、

「そ、そんなはずないだろ。」

「じゃ、こども達に聞くしかないな。」

影から、マークが肩を落としながら出てきた。

「し、師匠!ルーは悪い奴じゃないよ。」

ウィルはマークを睨み、

「報告だけしろ!」

「はい。あのこども達はルーは初対面でみたことないそうです。」

マークは、そのまま俯いていた。 

ウィルは僕を見て、

「結果的にはお前は別に悪いことはしてない。だが、このあと、事態が良くない方向に動く可能性が高い。」

と、言って僕に判断の判断が必要であることを促した。

「わかった、ウィル。探り合いは止めよう。話し合うしか無い。」

ウィルは頷き、

「わかった。ただし、話し合う時は厳重な結界を張ってくれ、遠隔で処分される可能性がある。」

と言って、ルーの元へと歩いていった。

ルーとウィルが僕の元にやってきた。

ウィルが僕の顔を見て、

「どういうつもりだ。」

「いや、保険だよ。」

僕が隣にメグを連れてきたのが気に入らなかったのだろうけど、ルーを吊るし上げるわけには行かない。

「では、2連物理結界、10連魔法結界。」

メグが、僕の方をチラと見てため息をついた。

「え?なに。」

「その詠唱なんなの?インチキじゃない。」

バレてた。なんでばれてたのかな。

「なんでわかった?」

「術が発動してから詠唱するなんて聞いたことないわ。あんた、無詠唱で出来るんでしょ?」

僕は頭を掻きながら、

「まぁ、気分みたいなもんだから。」

と言った。

そんな下らない会話をしている最中、ルーはずっと僕等を見てた。

「騙しましたね。明日の作戦の話なんかないんだね。」

「そうだね。でも、君も僕等に隠してることあるんじゃないかな?」

僕は、ルーに少し厳し目の口調で言ってみた。

ルーは、明らかに挙動不審になり、周囲をキョロキョロ気にしている。

「君の安全は保証する、なんでも話してくれ。」

ルーは頸を横に振り、

「僕のことは、もういいです。気に入らないなら殺してもらっても構いません。」

と肩を落として言った。

僕は、その態度に少し苛立ち、ルーの顎を掴み、

「お前、自分の命を軽くみるな!」

と、つい叫んでしまった。

ルーは、その場に座り込んだ。

「仕方ないじゃないですか…。これしかあの地獄から抜け出す方法は無かったんだ。」

僕等はルーから、東の神官の地下施設で実験対象と強制労働させられていたことを話してくれた。

僕を殺せば自由になれると言われた様だが、本人はそんなことより生き地獄から解放されたくて志願したらしい。

ルーは、僕の顔をしっかり見つめて、

「もういい。殺してくれ。」

と泣きながら懇願した。

そんな、ルーをメグが抱きしめて、

「コウ、じゃなかった、もふもふ!この子助けるんでしょ!そうじゃないの、あなたが目指してる英雄って奴は!」

僕は、メグの肩に手を置き、

「そうだよ。もう、ルーは僕等の仲間だから、死なせない。必ず守る。ルー、心配するな。」

ルーは、頸を横に振って、

「あんた、甘すぎ。俺の身体にはね。脳にチップと心臓に起爆装置が埋め込まれてる。もう駄目なんだよ、手遅れさ。」

僕は、ウィルの方を見た。

「心臓の方はどうにかなるが、脳は厳しいかもしれない。」

とウィルは言った。

「ま、やるだけやって見るさ。保証はできないがな。」

ウィルが、ルーの胸に手を置いた瞬間火花が散った。

バチン。

「これで起爆装置はなんとかなったはずだ。」

ウィルが難しい顔をして、

「脳のチップは、どうしたものか。」

「脳にチップなんか入れてどうするの?」

ボソッと、メグか素朴な質問をぶつけて来た。

「外部からの司令でルーを支配するつもりだと思うが。」

メグが面倒くさそうに、

「でも、どーやっていれたんだろうね」

と言った。

「それは、微生物を利用して…。同じようなやつ入れればなんとかなるか。」

僕にはよくわからなかったが、ウィルがメグとの会話の中で何らかのヒントを得た様だ。

僕は、ルーの顔をしっかり見て、

「いいかい?最後まで諦めちゃだめだよ。君は生きるんだ!」

その言葉を聞いてルーは小さく頷いた。

時間が遅くなったので、明日に備えて今日はやすむことにした。

翌朝、リリーとウィルの口論で起こされた。

「もふもふ、どうにかしてよ。」

僕は、うっとしそうに、

「今日はどうしたの?」

「研究中の微生物を貸せって言っただけだ。」

「だから、無理って言ってるだろ!」

と、リリーがいつになく怒ってる。

「リリー、なんで無理なの?」

「貴重なんだよ。それに未完成なの!」

本当にやめてほしいという表情で言った。

僕はリリーをなだめながら、素朴な疑問をぶつけてみた。

「それを使うとどうなる?」

リリーは頸を横に振り、

「最悪死ぬわね。うまくいけば、遠隔元をつぶせるけど、ま、そんなことできるのは、私ぐらいかしら、ほ・ほ・ほ。」

と高笑いした。

ウィルがニヤと笑って、

「じや、まかせた。」

と、リリーの肩を叩いてその場を去った。

僕は、ウィルを追って、

「ウィル、東の神官はまだ攻めて来ないの?」

「そんなの、とっくに来てる。」

え?既に来てる!なぜこんなにノンビリしてる?

「大丈夫なの?」

ウィルが街の外を指差す方向をみると、

森の木々に絡め取られている集団が見えた。

そうか、リリーの仕掛けが発動したんだ、ということは、もう完成してたんだ、仕事が早いな。

僕等は先頭で絡め取られている騎士っぽい格好をしている男の近くへ行った。

「神官って、体力系もいるのかな?」

必死に力で木々の枝を切ろうとしている姿をみて、僕は思わず呟いた。

「そうみたいだか、油断するな。コイツには性格の悪い魔導師がついている。」

ウィルは、そういうと、東の神官のところへ行き

「ぶざまだな。死ね。」

ウィルが東の神官の頭に手をおき、無数のナイフが出現し、東の神官をえぐり始める。

東の神官は、断末魔の悲鳴をあげた。

リリーが後から走って来て、

「まずい。ルーがコントロール取られた。こっちに来る。」

ウィルが、リリーを白い目で見て

「お前、足止めくらいしなかったのか?」

「馬鹿言わないで、やったけど何も感じないし、会話も出来ないわ。」

「リリー、ルーの脳の方はどうなったの?」

リリーは、言いづらそうだったが、

「悪いけど、アンタ達騙されたわね。あいつの脳にはそんなもの最初から存在しないわ。あいつの脳がチップそのものよ。」

と下を向きながら言った。

リリーの言葉は衝撃的過ぎて、理解するのに数秒かかった。

「助けられないの?」

「無理ね。そういう生き物なの。」

「アサシンドール(暗殺人形)か。」

ウィルは全てわかった様に呟いた。

ウィルは、僕の目を見て、

「ルーを楽にしてやろう。あいつ、わかってたんだと思うよ。」

と、苦しそうに言った。

ウィルは、何故か、マークと僕を連れてルーの前まで行った。

僕はすぐ結界を発動させ、ルーの攻撃を防御したが、物理結界がかなり早い段階で突破される。

ものすごいパワーであることがわかる。

「マーク!頭部を集中的に攻撃しろ!」

「え?ルーですよ。」

「ちがう。相手はアサシンドールだ、ただの殺戮兵器だ。お前が攻撃しないと我々は死ぬぞ。」

ウィルがマークの胸ぐらを掴み、

「それとも、お前はアサシンドールの味方なのか?ならば、私は躊躇うことなくお前を殺す。」

と凄んだ。

マークは目を伏せて、

「ルー、ゴメン。」

ルーは無詠唱で、火炎魔法の上位魔法を発動させ、

ルーの頭部を焼き尽くした。

その上からウィルの内部の嵐が降り注ぎ、

ルーの頭部は破裂し、アサシンドールは動きを止めた。

「あの〜。」

リリーが申し訳なさそうに、

「やっぱり、魔族の眷属だったみたいだけど。四足歩行だよ。」

「いま、ケルベロスと闘ってるけどだいかな?」

と言ってきた。

ウィルが頭を押さえて、

「あのな、こっちも終わったばかりなんだ。お前もなんとかしろよ。」

と、ちょっと怒って言った。

僕達が行くと、メグが1人で茫然と立ち尽くしてた。

「ケルベロス…死んじゃった。相打ちだったよ。」

メグは、その場に倒れた。

僕等は、もうボロボロだ。

一度立て直しが必要だな。

僕は、ウィルとリリーと倒れた仲間を助けながらそんなことを考えていた。








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