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寄せ集めでも英雄パーティーになりたい  作者: 礫(レキ)
第2章 魔族領
12/13

それぞれの涙

あ〜、なんてことだ、もう3人には確実にバレてるじゃないか。

ど〜やったらこの先乗り切れるんだ。

ミライの奴、なんで私を連れて行かないで、秘密をバラす様なことしたんだ。

今度会ったら殺す。

と、ウィルは1人言をブツブツ言っていた。

「お母様、どうしましたか?」

ウィルは、メグの喉元にナイフを当てて

「それ以上、ふざけたマネすると本当に命がないと思え!!」

もふもふがウィルとメグの様子を見て、

「あれ?ウィルまたメグと喧嘩してるの?」

「そんなことはない。」

「もふもふ。ウィルさんと私は仲良しだからそんなことないわ。」

なんか、気持ち悪いな。

なんか、あったのかな…ま、ケンカじゃなきゃいいかな。

ミリーナが、近づいてきて

「ひどいよ、ウィル。メグはしゃべっていいの?

私も喋りたい。」

「いいわけ無いだろ!今度やったら殺すと言ってある。クソっ!」

リリーがもふもふのところまで来て、

「約1名脱落者がいるんだけどどうする?」

僕は、ちょっと考えて…テレパシー通話できるかな?

ジーク、ジーク。

『おう。もふもふか、無事抜けられたか』

「うん、ジーク以外みんな抜けられた。」

『ま、マジか。おれは、なんとかするから先に言ってくれ。』

「へっ、平気?」

『大丈夫。俺は魔族だ、なんとかする。』

「うん、分かった。」

「リリー、ジークなしで先に、進むことにする。」

リリーは、ちょっと固まったあと、

「ふ〜ん。分かった。」

リリーは、ウィルのところまで歩いて行った。

ウィルがあからさまに、嫌な顔をしている。

「なんだ。ゆすりにでも来たか?」

リリーは、半笑いで

「あれ?メグになんか言われた?」

「回りくどい言い方をするな。要件はなんだ。」

「あー、なんか先に進むらしいけど、私は行かないことにした。」

ウィルは耳を疑った。

「何!何か気に入らないことがあるのか?ここまできてどうしてだ?」

リリーは、言いづらそうに、

「あいつ、放っておくわけにもいかないし、私ってさ、そんな戦力にもならないし、問題ないでしょ。」

ウィルは、リリーの目を直視することが出来ずに、

リリーの瞬間の表情で全てを理解し、

「お前のやりたいようにしろ。ただし、命は粗末にするな。我々はいつでも待ってる。」

リリーは、ちょっと笑いながら、

「永遠の別れじゃないし、ジークと合流できたらそっちにいくよ。」

「もふもふには、私から伝えておく。ジークによろしくな。」

ウィルが笑いながらその場を去った。

リリーは、元の暗闇のエリアへと足を踏み入れた。

ウィルがもふもふのところに行くと皆、出発の準備をしていた。

「もふもふ、話がある。」

ウィルは、そう切り出すと、二人っきりで話のできる所に移動した。

「どうしたの?ウィル。」

「リリーは、一緒に行けなくなった。」

僕は、それを聞いて状況が飲み込めず、

「え?なんで?。」

「分かってやって欲しい、ジークを置いてはいけないと言っていた。」

僕はちょっと考えて、

「待つってのはだめかな?」

ウィルは厳しい表情で、

「ダメだ。あいつは覚悟したんだ、わかってやれ。」

と、もふもふを叱った。

「わかった。戦力ダウンは否めないけど仕方ないね。」

もふもふとウィルはみんなのところに戻って、ジークとリリーが来ないことを告げ、出発することにした。

みんな沈んだ空気になるかと思いきや、意外と盛り上がっていた。

「え〜、リリーさんすごいですね~。最愛の人のために命掛けて助けに行くなんて凄すぎますね、カッコいいです。」

と、ミリーナがテンション高めで話してる。

「本当、リリーがあそこまでやるとは、見直したわ。」

メグも一緒になって盛り上がっている。

なんだろう、予想と反して雰囲気が明るくなっている不思議な感じがする。

「なんか、暑いな。」

「そうだね。回りから溶岩吹き出してるし。」

あの明るい白い部屋を出たら、溶岩が吹き出す山道に出た。

多分、あの頂上までやって来いってことなんだろうけど結構あっちこっち行かされている感じがする。

というわけでやたらと暑い。

「勢いで、こっち来ちゃったけど、あいつの場所わかんないのよね、しかも、結界だらけでどうやって先に進めばいいのよ!この糞っ!」

ピシ、ピキ。

リリーの蹴りで、透明な結界の壁に亀裂が入った。

「ひょっとして、魔法はダメだけど打撃はいけるのかしら?」

正拳突きをしてみたが、

「いたた。全然ダメじゃないの。」

バキ。

ピシ、ピシ。

蹴りを入れると衝撃が伝わるようだ。

リリーは考え込んで、

「下の部分の強度が弱いのかしら?」

下の部分を正拳突きしてみる。

「いたた。だめか。足だと…。」

メキ、メキ。バタン。

壁が倒れた。

「ナルホド、足じゃないとダメなんだ。」

「足…何かしたかな?」

ジークは、相変わらずミノムシみたいに宙吊りになっていた。

「御主人様、お助けしますか?」

ミアが下から声を掛けた。

シーン。

「無視しないで下さい。」

と、言いながら、ミノムシ状態のジークを揺らす。

「や、やめてくれ。自分でなんとかする。」

とは、言うもののミノムシの外側は刻一刻と内側に締め付けを厳しくしている、恐らくあと数分後には粉々なるだろう。

「死にますよ。死にたいですか?」

「そうではないが、出ても、結界から出れないだろ?」

ミアは、ニヤリと笑って、

「バカ女が結界を破壊しながら近づいてるので平気です。」

リリーか?

「で、どうやって出る?」

「力いっぱい広げてください。」

ジークは、疑問に感じながら全神経を集中させて広げた。

バキバキ。

なにやら、鈍い音がジークの胸元から聞こえた。

「今です。飛び降りてください。」

ジークは、ミアの言う通り飛び降りるとミノムシのミノが崩壊を始めた。

「危ない!落ちてくる。」

ジークとミアは危機一髪で難を逃れた。

遠くから見ていた、リリーには、ジークのミノが逆さになって落ちて行く様に見えた。 

つまり、ジークが無抵抗のままアタマから落下する様に見えたのだ。

「な、何で。ここまで来たのに!待ってて、今助けるから!」

リリーは、全速力で結界を破壊しジークの元に走って行った。

「ここを破れば、ジークが!」

バキバキ。

結界の向こうでは、ジークとミアが抱きあっていた。

「は?」

リリーは、あまりの衝撃で何を言っていいのか分からなかった。

え?こんな奴のためにあいつら捨てて私は来たの?

バカじゃないの?

リリーは背を向けて全速力で走り去った。

涙も全力で流れていた。

「あれ?走っていっちゃいましたね。」

ジークはミアと抱き合っている様を見て、

「ん?まて、まて。なにか誤解がある気がするが…。」

ミアは、リリーの走っていく姿をみて、

「なんか、涙流してましたね。何でですかね。」

涙?逃げた?助けに来た?状況が全くわからん。

「もふもふ。聞こえるか?」

『あ、ジーク。リリーには会えた?』

ジークは、ちょっと止まって、

「一瞬な。」

『はい?一瞬って、どういうこと?』

「こっちもいろいろあったんだ。で、どうなってるんだ、全く事態が飲み込めないぞ。」

『あ〜、まずジークが僕達に先に行けと言ったところから、問題がこじれ始めたんだと思う。』

「ほう。」

ジークは、カッコよく決めたつもりが、とんでもない状況を作り出してしまったことに今更ながらに後悔していた。

『リリーがジークを待つ又は助けに行くという意思を固めて、ウィルがそれに同調して、僕が説得され、今やリリーは、恋のためにひた走るカッコイイ女性ということになって、ジークはそれを裏切った悪い奴ということになってるよ。』

ジークは首を横に振りながら、『ウィルよお前もか』と言いたい、そんな気分になっていた。

「そんなこと言われてもな。」

『こっちでは、代われ代われの大合唱だよ。こっちも大変だよ。じゃ。』

もふもふからは、こっちはとばっちりだよ、と言いたいという感じが伝わってくる。

不味いな、早く何とかしないと、まずは追いかけよう。

『ジーク、ジーク』

ウィルからだ。

応答したら、地獄が待ってる。

リリーを早く見つけないと。

その頃、リリーは元いた明るい白い部屋に戻って大泣きしていた。

「私、どうしたらいいんだろ、みんなにはもう伝わってるだろうし、もう戻れないし、大神殿への帰り方なんてわからないし。」

リリーは、沸々とジークへの怒りが吹き出し、

「ジーク、浮気もの死ね〜!」

ジークは近くまで来ていて、リリーの絶叫で居場所が特定出来てホッと一安心していたが、

「浮気ものってのがな。いまひとつ合点がいかないが…。」

ジークは、リリーに気づかれないように近づき、

「おい!何が浮気ものだ!…そう言うことは、」

ジークは照れながら、

「想いを伝えてだな、相手が認識してからのはなしじゃないか?」

とぶっきらぼうに言った。

リリーは、我に返って、

あ、そうだ。私、告白忘れてた。なるほど、そりゃそうだ。

「あとな、あれはそう言うのじゃなく俺の分身みたいなものだ。お前が心配する様なもんじゃない。」

ミアが、追いついて、

「そうそう、こどもみたいなもんです。」 

「こども?」

リリーが、不安そうにジークを見る。

ジークは焦って、

「お前は、しゃべるな。違うリリー、お前も分かってるだろ。俺の血から出る生命体のことを、こいつは、一人目の魔族なんだよ。」

「ああ、あれね。」

リリーの表情がようやく元に戻ったので、ジークも胸をなで下ろした。

リリーが、下を向いて赤面しながら、

「ジーク、ゴメン。なんか一人で大騒ぎで迷惑かけちゃて。それでさぁ、わたしなんかだめかなぁ。」

想いを打ち明けた。

「俺なんかで良ければいいけど、苦労するぞ。」

と照れながら、応えた。

「ホント大変ですよ。」

と、ミアが追い打ちをかける。

「お前か、言うな!」

『もふもふ。こっちはなんとかした。落ち着いたら追いかけるから先急げ。』

「ジーク、ご苦労様。」

もふもふの方は、ジークとリリーの話で持ち切りで助けに行くとかそんな話まで出ていた。

もふもふは、咳払いをして、手を叩いてみんなに声を掛けた。

「みんな、いいかな。ジークから連絡があって、向こうは、一件落着したそうなので、こちらはこちらで先に行きます、向こうは落ち着いたらこっちを追いかけるといってるので心配しない様に。」

もふもふを先頭にまた、頂上に向かって歩き始めた。

ウィルとミリーナが最後尾でもふもふとメグが先頭で歩いていた。

「ウィルさん、本当にいいんですか?もふもふさんに本当のこと言わなくて。知らないのもふもふさんだけですよ。」

ウィルはミリーナを睨みつけて言った。

「良いんだ。墓場まで持って行く。」

「強情ですね。」

メグは、エルフなので耳が非常に良いので、ウィルとミリーナの話は丸聞こえだった。

メグとしては、ウィルともふもふには真実に向き合って親子の対面をして欲しいと思っている。

「ねぇ、もふもふはお母さんのこと覚えてる?」

「う〜ん。夢かどうかわからないけど『私は待っているこの地に返ってくるまで。』っていうのだけ覚えててあれ何なんだろうといつも思ってるよ。」

それを聞いた。

ミリーナは、驚愕した。

「それってウィルさんがもふもふさんと別れる時に叫んだ言葉。届いていたんですね。」

ウィルは下を向いて声を押し殺したまま号泣していた。

「でも、なんでそんなこと聞くの?」

メグまでもらい泣きして号泣している。

「え?何でないてるの?そんな感動するような話かな?ね〜ウィル。」

ウィルは、もうメグと比較的ないほど号泣していたので、もふもふはドン引きするしかなかった。

「さ、さぁ。先急ごう。」

頂上では、禍々しい魔力が、一帯を覆っていた。

四肢をもがれた四天王の生き残りが最期の気力でここまできていたのだ。

その光景を、地下深い魔王の間で、魔王とミライは見ていた。

「ミライよ、いいのか。このままで。」

ミライは頷いて、

「あいつが、選んだ人生だ。俺がどうこうできるものではない。」

魔王が大笑いし、

「笑止。時の魔導士として、人の人生を食い物にしてきた奴がよく言うわ。わはははは!」

ミライは鋭く睨み、

「好きでやったことではない!これも全て次世代のための使命。」

魔王に向かって鋭く斬りかかる。

魔王はその剣を軽く片手で振り払い、

「無駄なことはやめろ!我々が何千年闘っても決着がつかないことぐらい分かっているだろうが!」

ミライは舌打ちして、

「少し、熱くなってしまったようだ。」

と言って剣を納めた。

「しかし、それ程苦しんだ使命を息子に託すとは、皮肉なものだな。」

ミライは首を横に振って、

「まだ、それならよかったが息子は、この戦いのあと寿命が尽きる、息子には私の役目を継ぐことは出来ない。」

魔王はニヤリと笑い、

「でも、いるのだろう。出なければ、貴様がここに来るわけはないからな。」

ミライは、目を閉じて

「息子には申し訳ないが…恨まれても、託すしかない。」

もふもふ達は頂上付近まで来て異変に近づいた。

「魔王?」

ウィルが、もふもふを制して、最前線に立ち、

「いや、感じたことのある魔力だ。四天王で間違いないが、四肢をもいで動けないようにさたはずだがここまで来るとはな。」

四天王が目を見開きこちらに近づいてくる、手なのか足なのかわからないものが体から生え、四足歩行の生き物として近づいてくる。

「物理、魔法結界!」

僕は反射的に結界を張ったが、素通りして体に凄まじい衝撃が伝わってくる。

「もふもふ!死ぬな!ミリーナ、メグ。こいつを連れて先に行け、撃ち漏らした私の責任だ。私がやる。」

ウィルは、全神経を集中させ、ウィルが持つ短刀2本に魔力を集中させ投げる。

四天王の四肢を打ち払い、頸を取り体を八つ裂きにした。

四天王は、肉塊と化したが、ウィルもまた魔力が枯渇して、四天王が死に際に放った術に侵されていた。

ウィルは、片膝をつき、

「私は、少し休んでから行く、お前等は先に行け。」

もふもふは、ミリーナが必死に蘇生をしているが嚴しいようだ。

ウィルは力を振り絞りもふもふの傍まで行き、

「どうすれば、助かる?」

「肉親の魔力が注入されれば…。」

ウィルは、ニヤリと笑い

「だ、ダメです。そんなことしたり死にますよ。」

ウィルは両目に涙をいっぱい溜めて、

「私にはこれくらいしかしてやれない。至らなかった母を許して欲しいと伝えてくれ。」

ウィルは、全身から魔力という魔力を注入し、もふもふはみるみる生気を取り戻し、息を吹き返した。

ウィルは、その光景をみて、そこに居なかったような消え方で消えて行った。

「ウィルーー!!」

メグは、もふもふを抱きしめて大泣きした。

もふもふが目を覚まし、

「メグか、どうした。そうだウィルは?」

メグが首を横に振って、下を向いた。

「ば、はかな。うっすらだけど四天王は、やっつけた記憶がある。そんなはずはない。」

「そうだよ!やっつけたけど。そうなんだけど、もふもふが死にそうになってたから、残りの魔力を使って…。」

僕はその話を聞いて頭が真っ白になった、僕のせい、僕のせいなのか。ウィルは本当にもういないのか?

「至らぬ母を許して欲しいだってさ。泣きながら言ってた。」

母?なんのことだ?

「メグ?なに言ってるんだ?そんなわけないだろ?」

「私、おじさんに聞いた。」

メグが、自信満々で言った。

「私もあの鏡で見ました、生まれてすぐ生き別れになってまた再会できたって、楽しかったって言ってました。」

ミリーナが号泣して僕に伝えたが、僕にはまだ理解が追いついていない。

え?ウィルが僕のお母さん?そっそんなことって。

「メグ、いつ知ったんだ。」

僕は、メグを問い詰める様に言った。

「あの明るい白い部屋に、もふもふのお父さんがいて、その時に聞いた。」

「何ですぐに教えてくれなかったんだ。」

僕は、悔しさでいっぱいになった。

父さんよりもほとんど記憶もないお母さんとあったらいろいろ話したかったけど…、これでよかったのかも。

「ウィルに止められたんだよ。言ったら殺すって。」

「わたしも。」

と、リリーナが悲しそうに言った。

「本当にいいの?って聞いたんだよ。そしたら墓場まで持って行くっていったんだよ。」

僕は思わず吹き出した。

「ぷっ。らしいね。ウィルって感じだよ。お母さんのことはともかく、もう少し一緒に旅したかった。」

僕は洞窟の天井を見上げて、

「母さん、頼りない息子でゴメン。助けてあげられなかったね。どこまで、出来るかわからないけど見守ってほしい。」

と言った。

僕は、仕切り直して

「さぁ、みんな行こうか!」

「ちょっと待った!」

聞いたことのある声がこだました。

「ジークと誰だっけ?」

「ミアです。多分初対面かと。」

リリーがいない、どうしたんだろう…何かあったのか!

僕は青ざめて、

「リリーは?」

ジークが頭を掻きながら、

「後にいるんだが、ウィルの話を聞いちゃって…号泣中だ、ちょっと付き合いが長い分…思い入れが強いみたいだ。」

僕は、それを聞いてホッとした。

これで、リリーまでいなくなると僕がこちらの世界で頼ってた人がいなくなってしまう…それはこの先のことを考えるときつすぎる。

「今度はなんだ、ひたすら下っていくんだな。」

ジークがちょっと嫌そうに言った。

ミライが膝から崩れて号泣していた。

魔王がちょっと引き気味で、

「だから、言っただろ本当にいいのかって。」

「で、でも。あいつが決めた人生だし。」

そのセリフのあと、ビービー泣くのであまりにも説得力がない。

「ま、魔王。あいつがいないこの世界で俺はどうしたらいいんだ。」

「そんなの俺が知るか。」

魔王は、こんなのが英雄だと思うと心底情けないとつくづく思っていた。

もふもふ達は、あれから150mくらいしたまできていたが、全く魔王の間らしきものは見えてこなかった。

「ミアさんは、なんでジークについてきたの?」

と、もふもふは素朴な疑問をぶつけてみた。

「簡単です。おいて行かれたからです。」

「おいていかれた?」

「はい。魔族領出る時に連れて行かなかったんです。」

「それはちがう。出るというよりは強制追放だからな。連れて行くことなんかできるわけがない。」

と、ジークが言い訳をする。

「その後、故意に連絡絶ちましたよね。」

「…。ゴメン。面倒くさかったんだよ。」

「どう思います?」

「悪いやつだね」と、メグ。

「最低ですね。」と、ミリーナ。

「ジークらしいね。」と、もふもふ。

「糞野郎だね。」と、リリー。

結局、ジークが土下座するハメになった。

「なんて、強制追放なの?」

とメグが聞いた。

「まぁ、今の魔王に対してクーデターを起こそうとした罪というとこかな。」

「お父さんとお母さんは?」

リリーが聞くと、

「あの城の地下にいるよ」

「花屋やってるんだよ」

リリーはニコッと笑って、

「今度、ご挨拶に行かないとね。」

ジークは、青ざめた…うちのお袋とは合ってほしくないな。

ギルド本部では、ミライとの連絡がとれて、大騒ぎに、なっていた。

「本部長、どうしましたか?」

と、ギルド職員が聞くと、

「我々も、魔王城に行く時が来たようだ。」

「それは何かあったということですか?」

本部長は頷いて、

「ミライから連絡があって、ウィルが亡くなった。

との情報があった。」

「とりあえず、後は頼む。」

そう言い残すと、砂塵の様に消えて行った。


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