試練
東の四天王は、東の地下道を抜けて出てきた勇者パーティーを発見し、体中から無数の触手を出し次々と串刺しにしていく。
残った勇者パーティーが、地下道に戻り逃げていった。
「いいのですか?逃がして。」
「ああ。それはいいんだ、そういう指示だから。ただここより先には誰一人として通さない。」
東の四天王は、鋭い眼光で言った。
「あの、ちょっと聞いていいのですか?」
「なんだ?」
「部下とかって東の四天王様は持たないのですか?」
東の四天王は頷いて、
「君以外は、いないな。苦手なんだ。人を扱うのが。」
と、ため息混じりで言った。
「では、私はなぜ部下にしていただけたのでしょう?」
東の四天王は首を傾げ、
「なぜだろうね?」
と笑って答えた。
「そうだ?君の名前聞いてなかったね。」
「ミアです。」
もふもふとウィルは、西の塀を北に向かい、突き当りまで来ていた。
つまり、魔王城の端に到達していた。
東の方に人影が見える。
恐らく、四天王の1人であろう。
向こうも気がついた様でこちらに向かってくる。
ウィルが、注意を促す。
「マーク、ミリーナ。絶対に前に出るな、今までと次元が違う。」
僕は早目に物理、魔法結界を発動した。
その瞬間凄い衝撃に襲われた。
「物理、魔法結界の80%が一撃で破壊された?」
中央の四天王はニヤリと笑い、
「ほぅ。これを耐えますか?それじゃ西の四天王じゃ役不足だったかもしれませんね。」
「ウィル、まずい。結界がもたない。」
「わかってる。」
ウィルがマークに目配せして、マークに魔法を使う様に指示した。
ウィルは、中央の四天王に突っ込んでいった。
中央の四天王は、ウィルの攻撃を全てかわしていた。
恐らく、これはわかってやっているみたいだが。
マークの呪文がちょっと規格外にデカい。
これじゃ、ウィルが巻き込まれる。
僕は、ウィルに魔法結界を飛ばした。
「この距離で、間に合うのか?」
中央の四天王がマークの呪文を察知し、マークに対して攻撃してきた。
僕は急いで物理結界を発動したが、すり抜けマークに中央の四天王の武器が直撃した。
「マーク!!」
「ミリーナ頼む!」
マークの発動した魔法は発動済みて、ウィルと中央の四天王を押し潰した。
ミリーナの蘇生により、マークは一命を取り留めたが、一端リリーのところまで退避した方が良さそうだ。
だが、ウィルは大丈夫なのか?
爆発から、ウィルが飛び出てこちらに走って来て
「すまん。撃ち漏らした、逃げるぞ。」
僕達は、リリーのところまで退避するべく全速力で戻った。
「東…聞こえるか?不覚だ。 私はもう動けん。
お前に託すしかない。奴らは我々を灰にする武器を所有している。注意しろ。」
「了。西もそれでやられました。」
ミアは不安そうに東の四天王を見て、
「大丈夫?」
「心配ない。彼らも深手を負ってるはず、私は無傷なので、こっちに分があります。」
リリーがジークと揉めていた。
「それは、やめろ!」
「そんなこと言ってらんないでしょ!」
「それっ、行け。」
「俺は、知らんからな。」
ジークは、あきれていた。
ことの始まりは、東の四天王が立ち去ったあとにすぐ戻ってくるから何か対策をしないということになったが、サンプルがザコすぎて駄目だから、ジークの血から出てきた魔族をとりあえずどんどん出すとか言い始めたので、ジークは反対したが、リリーはいうことを聞かずにだしてしまったのだ。
「でもさ、あの子に似てなかった?」
ジークは黙っていた。
「え?なんか知ってるんでしょ?吐きなさいよ。」
ジークは更に黙ったまま首を横に振ったが、
リリーに、
「いいの?」
と、あの液体を持ち出されたので
「分かった。言えばいいんだろ。」
リリーは、ニコニコして頷いた。
「恐らく同じ血族だ。」
「う〜ん。親戚みたいなもん?」
東の四天王とミアは、茫然としていた。
ミアと瓜二つの魔族が突然出現し、戦闘体制をとっていたためである。
「ミア、仲間なのか?」
「こんな奴、知らないわ。」
東の四天王は、困った顔をした。
「こいつは、困った。私は魔族を敵にすることは出来ないんだ。」
「どういうことですか?」
「魔族の隷属である私は、主人である魔族を仇なすことは出来ない。」
「え?」
あきらかにミアから蔑む目で見られた。
「そんな目で見られても困るのですが…。」
もふもふとウィルは、リリーのいるところまで行きたいが、直ぐ傍に東の四天王がいる為迂闊に近寄れないでいた。
ミリーナが、マークの治療を続けているが、状況が好転しない。
「ミリーナ、なんで回復しない?」
ウィルがミリーナに詰め寄ったが、
「解毒もしてるし、感染もない。後は呪いかも。あの武器に呪いが仕掛けられてたらこうなるのも分かる。」
ウィルがマークに手を翳し、呪いの特定を試みた。
「確かに呪いの類だが、解呪はできない。」
僕は、その言葉を聞いた瞬間
「ウィル、なんで?できるでしょ?簡単に諦めないで!」
と、ウィルに激しく抗議した。
「魔族の呪いは無理なんだ!!」
ウィルが珍しく激昂した。
「いいか、彼奴等は呪いをかけることはするが解くことは考えない、毒を作っても解毒は考えない、相手に苦しみを与えることが彼奴等の至福だからな。」
ウィルは下唇を噛み締めて、怒りを抑え込んでいるようだった。
マークがミリーナの手を払い、
「もういい、ミリーナ。僕はここまでみたいだ。」
ミリーナは涙を溜めて、
「そんなことない!もう少しでなんとかなるわ!」
マークは首を横に振り、
「最期に師匠と2人にさせてくれ。」
メグが俺とミリーナを強制的に引き剥がし、マークとウィルの2人にした。
「…お前。」
「わかってますよ。腹のしたから黒い憎悪が湧き上がって来るんですよ。」
ウィルが跪いて、頭を下げた。
「全て、私の責任だ。すまない。」
「やめてください、師匠。僕が言いたいのは、師匠の手でトドメを刺して下さい。」
ウィルは涙を溜めながら、短刀を振りかざし
「次の世にあった時は、必ずお前を英雄にする。」
マークの胸に短刀を差し込み、十字に斬った。
「貴方の弟子で、幸せでした。」
マークは、そのまま息を引き取った。
ウィルは涙を流しながら、マークの体に火を放ち、灰にした。
ウィルは、僕達の方に歩いてきた。
「ウィル…。」
「終わらせた。私も早く終われればいいのにな。」
パシーン。
ウィルの頬をメグが鋭く叩いた。
「似合わないのよ!泣き言なんて、気持ち悪い。」
「ああ、そうだった。」
ウィルがニヤと笑った。
いつものウィルに戻ったようだ、良かった。
リリーとジークは、さっきの件とは別のことで揉めていた。
「どういうことなの?魔族だけ攻撃しないなんてズルいわ。」
「俺に、言ってもしょうがないだろ。」
「じゃ、囮になって、その間に逃げるから。」
マジか、こいつ。
ジークはため息をついて、穴から出た。
ジークが仁王立ちしている背後をリリーが穴から脱出した。
東の四天王は、ジークを見て
「貴方も、あれですね。魔族のようですね、でもおかしいですね、なぜ人と行動しているのでしょう。」
あ〜、そういうパターンか。
頭空っぽは、いいけど、裏切りものはダメとかなのか?
「ダメなのか?」
「そりゃ、ダメでしょう。」
東の四天王がジリジリと間を詰めてくる。
東の四天王の触手がジークの両腕、両足、胸、腹部につき刺さる。
「はぅっ!」
ジークは片膝をつき、悶絶する。
「ぺっ!」
血の塊を吐き出す。
「舐めるなよ。隷属魔族の分際で。」
何処からともなく、暗黒竜の大群が押し寄せてきた。
東の四天王を取り囲み、東の四天王の四肢を食いちぎる。
東の四天王も、応戦するが3割程度の竜がやられだけで、残りに食いちぎられ跡形もなくなった。
リリーがジークに向かって歩いてきて、
ボカン。
ジークの頭を殴った。
「なっ、なにするんだ!けが人だぞ!」
「そんなこと出来るんだったら、さっさとやれ!」
ジークの元にミリーナが駆けつけて、治療を行った。
「どっかの誰かさんとは、大違いだね。ありがとう、ミリーナ。」
ミリーナは、治療しながら泣いていた。
「おい、どうした?どこかいたいのか?」
ジークが困り果てていた。
リリーも、ただならない雰囲気を察してキョロキョロした。
「マークはどこいった?なんだ、やられちゃったか?」
リリーは冗談のつもりだったみたいだけど、みんな沈んだ表情になってしまった。
「は?マジなの?」
「もふもふ!どういうこと?」
「魔族の呪いに…、仕方なかったんだ。」
メグがリリーをツマミ上げて、
「余計なこと、ペラペラしゃべってないで、行くわよ魔王城。」
その時である、大地が立っていられないぐらい揺れ、辺りが真っ暗になった。
「なっ、なんだ。どうしたんだ。」
ジークが目を見開いて、
「これは、暗転だ。」
「え?なに暗転って。」
ジークは俯いて、
「暗転とは、暗に転ずる…魔に堕ちるを意味する、数分後に君等は魔族に転じ、記憶が滅する、我等も記憶がなくなり、この場での魔族同士の殺し合いになる。」
と言って、うなだれた。
「何か策はないの?」
「魔王様に解除してもらうほかない。」
絶望的な空気が流れた。た
「あのさ、あの竜だけ白いけどなんだろう?」
ま、どうせジタバタしたところで、どうしようもないから、僕達はとりあえず白い竜の近くへ行った。
これって…、白い竜ではなく、竜の形をした入口またはドアみたいなもの…僕達は吸い込まれたかの様に入って行った。
まわりを見渡すと、メグしかいない。他のメンバーとは、はぐれてしまったようだ。
辺りには、鏡のようなものがクルクル回っている、あたかも別世界に迷い込んだみたいだが、暗転の中かもしれないから油断は禁物だ。
「ここは?」
ウィルは、辺りを見渡したが、横ですやすや寝ているミリーナ以外は見当たらない。
「はぐれたか?魔力が変わったな。別の空間にきたみたいだな。」
ウィルは、ミリーナが起き上がるまで待つことにした。
ここでも、鏡のようなものがクルクル回っている。
「いっ痛〜い!っていうか、重いんだよ!どけ!」
リリーの上に乗っかていた、ジークはリリーに蹴飛ばされ、地面に叩きつけられた。
「ここなんなの?さっきの変なとこは抜けたってこと?」
ジークは、起き上がって嫌そうな顔で答えた。
「目覚めた早々に、そんなに一度に聞かれても答えられないだろ…ここは、何処だろうね。とりあえず魔力の雰囲気からは魔族に堕ちることはなさそうだよ。」
リリーは、クルクル回ってる鏡のようなものを見つけ、
「何あれ?」
「お前さ、俺に聞けば何でもわかるって思ってる?」
リリーは、ニコッと笑って、
「思ってない。ただ聞いただけ。」
ジークは、ため息混じりで、
「まぁ、近づかない方が良い。ろくな目に合わないから。」
そんなことは一切構わずリリーは、近くに寄って行った。
「ん?これって、ジーク?」
「そうだな…ガキの頃のやつだな。こんなの見せて魔王様はどうするつもりなんだ?」
一方、僕とメグは、恐る恐る鏡みたいなものに近づいていた。
「これって、前の世界じゃない?」
「ああ。よりによってあの時だ。」
あの時とは、メグが飛行機事故で消息不明になって
メグの両親が親戚に後押しされてメグの葬式をしたあの忌まわしい日。
「これ!もふもふだよね。なんだか、もふもふ怒ってるみたい。」
そりゃ、そうだ。
ずっと生きてるって探しまわっているある日突然、
『無駄なことは、やめろ!』って詰め寄られ、突然部外者扱いされた僕は、この時はただ怒りを抑えるしかなかった。
「ねー。なんか、私の親戚の人達に絡まれてるけど、どうしてかな?」
あー、この最悪の場面もやるんだ。
「あ、殴ってる。つまみ出された。」
「そーだよ。騒ぎ起こして、それ以来僕はメグの家から出禁になってる。」
メグがニヤニヤして、近づいてきた。
「なんであんなこと言ったの?」
「なんだよ。いいだろ。」
「いや〜、両想いなんて想いもしなかったよ。早く言ってくれればいいのに。照れ屋さんだね。」
と、メグが僕の頭をポンポンと叩きながら幸せそうな顔をしてる。
この顔を見れたんだから、あの時怒ったのも、その後の喪失感に満ちた日も報われたのかも知れない。
ウィル達は、鏡ではなく出口を探っていたが、何処を行っても必ず鏡の前に戻される。
「どうしても、見せたいんだな。」
苦痛に満ちた表情で鏡の前に立った。
「これって?ウィルさん」
「そうだ。隣が私の旦那のミライだ。」
「え?ウィルさんこどもでミライさん大人に
見えますけど。」
ウィルは頷きながら、
「あいつは、不老不死の病に侵されている。」
「不老不死が病なんですか?」
「奴は、そう言っていた。」
ミリーナはちょっと考えて、
「と、ということは今もこんな感じなのですね。」
「あ、場面が変わりました。これは?」
ウィルは赤面して後を向いてしまった。
ミリーナは、食い入るように凝視していた。
しばらくすると、ミリーナが怒った顔で、
「ウィルさん、なんなんですか?あそこで『わるくない』ってなんなんですか?!」
ウィルは困った顔で、
「私には、それが精いっぱいだったんだ。ミライだってわかってくれたんだからいいだろ。」
ミリーナがまた鏡を凝視し始め、今度は泣き顔でウィルに寄ってきた。
「なんで、ウィルさんの赤ちゃんが連れ拐われたんですか?」
「魔族の仕業だ。致し方ない、死んだわけではないからいいんだ。」
「嘘ですね。滅茶苦茶泣いてましたよ。」
ウィルは赤面してしたを向いてしまった。
「ミライさん、変な予言していなくなったんですね。なんですか、子犬の様な姿で現れるって?」
「もうやめろ!」
ウィルは大声で、ミリーナを制止した。
「いやです。そんな言うんだから大事なことですよね。」
ミリーナが凝視し始めた。
「あ、これって、もふもふさん転生してきたんですね。なんか関係あるんですか?」
「洞窟の前で寝ちゃいましたね。」
「え?ウィルさん泣いてますよ。嘘!親子?!」
ウィルは、あー、ばれたか!という表情でミリーナを睨みつけた。
「いいか!絶対に喋るなよ!」
「えー!」
と、言いながらウィルの圧力に負けて承諾した。
その瞬間、全員が同じ場所に移動した。
微妙な表情なのは、もふもふとウィルとリリーとジーク。
不満顔はミリーナ。
満面の笑みはメグ。
ミリーナはそんなメグが気にいらなかったのか、
「メグさん、何かいいことあったんですか?」
「そりゃそうよ。念願の想いが叶ったんですもの。」
「へー。」
あからさまに不機嫌そうだ。
メグはそういうの気にしないから、暖簾に腕押しだな。
その怒りは、なぜか僕に、向けられた。
「もふもふさんって、超弩級の鈍感ですよね!頭にきます!ウィルが…。」
「ミリーナ!」
凄い顔で、ウィルがミリーナを見た。
ジークは出口を見ながら、
「今度は何処に案内されるやら。」
ジークは、文句を言いながら扉を開くと、全員扉に吸い込まれた。
その様子を後から追いかけてきたミアが見て、
「また、置いていきましたね。すぐに追いかけないと。」
そう言うと、ミアも扉の中に入って行くと扉がゆっくり閉じた。
扉の中は暗く、全く視界が効かない状態だった。
リリーが、
「お〜い、誰かいないの?」
と、声を出すが、誰からも反応がない。
そのかわり、直接頭に、語りかける声がした。
「テレパシーコールとちょっと違うな。」
『汝は何を欲する?その物を与えよう。』
「う〜ん。あまりないけど、強いていうのであれば、まだまだみんなと旅がしたい。」
そう言うと、リリーは白い明るい部屋に、飛ばされた。
「ようこそ。君が一番乗りだよ。」
リリーを向かえたのは、満面の笑みの男だった。
リリーがまわりを見渡すと確かにリリー以外は誰もいなかった。
「で、アンタ誰?」
「ああ、ゴメン。僕はミライ、君はリリーだよね、知ってるよ。」
「ゲ。ウィルの旦那!」
「あっ。ウィルがお世話になっているみたいだね。僕とあったことは内緒にしておいてね。」
ジークは暗闇の中を、歩いていたが魔法で灯りを灯す事は出来ないところまでは分かったようだ。
「う〜ん。灯りはだめ。移動も限定範囲しか移動できないみたいだ。どうしたものかな?」
突然、ジークの頭の中に直接語りかける声がした。
『汝は何を欲する?その物を与えよう。』
「なんのトラップだろうね。そうだな、全てから自由になりたいかな?」
ジークの体は鎖で縛られ宙に吊るし上げられた。
「ありゃ。1人失敗だね。」
リリーは、ミライの見ていた鏡を覗き込み、
「ジークか。どうせつまんない願いでもしたんでしょ。」
リリーは、あきれ顔で言った。
メグは目にいっぱいの涙を溜めて、
「もふもふ、どこなの!私を置いていかないで、もう待つのは嫌なの!!」
メグの頭の中に直接語りかける声がした。
『汝は何を欲する?その物を与えよう。』
「私は、もふもふのそばにいたい。ずっといるって決めたの!邪魔しないで!!」
その瞬間、メグは白い明るい部屋に飛ばされた。
「ここは?あれ?おじさん、何してるのこんなとこで。」
「え?メグ知り合いなの?」
「知り合いも何も、もふもふのお父さんだよ。」
「は?どういうこと?」
リリーは、ミライを睨みつけた。
「困ったねどこから説明したものか?」
「もふもふのお母さんは、ウィル?」
「まぁ、そうだね。」
メグはキョトンとした顔で、
「ということは、おじさんは『ミライ』さん?」
「そう言うことになるね。あいつには内緒でね。僕はそろそろ行くよ、君達に会えて良かった。」
というと、ミライは煙の様に消えてしまった。
「不味いわ。お母様を思いっきり叩いちゃったわ。どうしよう。」
リリーは、首を横に振り、「こいつ、どうしようもねぇな」と呟いた。
ミリーナは、オドオドして地面を這いずり回っていた。
「もうだめ、誰か助けて。」
そんなとき、頭の中に直接語りかける声がした。
「汝は何を欲する?その物を与えよう。」
「え?私は立派は冒険者になって父に恩返ししないといけないの!」
次の瞬間、白い明るい部屋に飛ばされた。
「ここは?あっ!リリーさん!良かった。みんなと合流出来ました。」
ウィルは、暗闇の中で目が順応するのを待ち、脱出経路を探していたが結界の中に閉じ込められていることを知り、結界を破壊すべく色々試したがいづれも効果がないので、諦めかけていた。
すると、頭の中に直接語りかける声がした。
『汝は何を欲する?その物を与えよう。』
「ふう〜ん。ま、以前なら息子だけど、今は時が来るまで仲間と旅をする、それだけだ。」
次の瞬間、白い明るい部屋に飛ばされた。
「ここは?ああ、みんな無事だったか?」
メグがウィルの元に来て、小声で、
「お母様大丈夫でしたか?」
ウィルが一気に表情が曇って、
「どこだ!ミライ!」
「あ、おじさんは行ってしまいました。」
メグが、ニコニコして言うと、
「いいか!もふもふには言うな、他の奴らにもだ!」
と、ウィルは怒鳴った。
メグは、困った顔をして、
「あ、でも。リリーさんは知ってますよ。」
一番聞かれたくない奴に聞かれたみたいだな。
「いいから黙ってろ!」
リリーは、ウィルを見てニコニコしながら手を振ってる。
「クソっ!」
もふもふは、結界に結界をぶつけて結界を破壊しようとしてみたが無理だった。
「そもそも、これって結界じゃないんじゃないかな?」
悩んでいると、頭の中に直接語りかける声がした。
『汝は何を欲する?その物を与えよう。』
「何?イタズラかな?まぁいいか。僕は英雄パーティーの一員になる、そのために魔王も倒す。」
『我を倒しても魔は滅せぬ。意味はあるのか?』
「だったら、何度でも、転生してでも魔王を倒す。」
次の瞬間、白い明るい部屋に飛ばされた。
「あれ?みんな揃ってる。遅くなってゴメン。」
メグが僕に抱きつき、
「遅いよ!おじさんいたのに。」
「え?親父もこの世界に来てるの?だったら聞きたいこといっぱいあるんだけど。」