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6 魅力値の効果

 魅力15。

 初期段階で手にすることができる能力値の最大。

 ここまでヒロハルは魅力をのばした。

 他の全てを犠牲にして。

 おかげで体力などは最低値のまま。

 泣くに泣けない状況だ。



 しかし、その効果は確かにあった。

 道を歩てるだけで殺されそうになる事もなく。

 暴言や罵倒を叩きつけられる事もなくなった。

 店に行けば、店員は低下で品物を売ってくれる。

 そのもそも、販売拒否をされる事もない。

 そして、出される商品はまっとうなものだ。

 生ごみのような料理でもないし、壊れかけのガラクタでもない。



 本来なら当たり前のはずの状態だ。

 しかし、ヒロハルにとって、これはようやく得られた特権に思えた。

「普通っていいなあ」

 誰にも何もされない。

 以前とは違い、そこにいるだけで危害を加えられないのだから。



 前世を通してもこんな状態はなかなか無かった。

 どこかで誰かに必ず虐げられてきたのだから。

 当たり前というのは、意外と当たり前ではない。

 この事にヒロハルは感動をおぼえる。

 


 なにせ、魅力10になっても、まだ罵声を浴びせられることはあった。

 抜き身の刃を突き付けられる事もあった。

 回数はかなり減ったが、それでも誰かに害意や敵意を向けられていた。

 それが完全に消えたのだ。

 こんなにありがたい事はない。



 しかもだ。

 店に行けば値引きをしてくれる事も増えた。

 同じ値段でも良品や上質な物をまわしてくれるようになった。

 料理も味が良くなったり、量が増えたりした。

 宿屋も愛想よく部屋を貸してくれるようになった。



「これが魅力の効果か」

 初期段階での最大値。

 それはこれだけの恩恵をもたらしてくれる。

 ゲームの時には表現しきれなかった部分だ。

 現実でないとなかなか分からない事だろう。

 実際に触れる事でありがたさがようやく分かってきた。



 ただ、こうした態度の変化に人間の浅ましさも見えた。

 魅力以外の能力は低いまま。

 レベルは高いが、戦闘力はない。

 また、ヒロハルの態度が今までと変わったわけではない。

 歩き方や話し方。

 これらに違いがあるわけではない。

 なのに、誰もが接し方を変えてきた。



 以前なら、

「根暗」

「卑屈」

などと言われていたのが、

「物静か」

「落ち着いてる」

と言われるようになった。



 挨拶をすれば、

「うるせえ!」

と怒鳴られていた。

 女が相手だと、

「変質者よ!」

と叫ばれた。



 それが今では、

「おう、今日もがんばろうな」

と励まされ労われ。

「声を聞くだけで幸せになれるよ」

と喜ばれる。



 一事が万事、全てにおいてこれだ。

 同じ事をしても対応が真逆になる。

 ただ魅力が上がっただけで、人はこれだけ態度を変える。

 能力が変わってないから、仕事が出来るようになったわけでもないのに。

 態度は今までと同じで、丁寧な態度をとってるにも関わらず。



 実際、ヒロハルの仕事の成果は今までと変わらない。

 能力値が低いから、どうしても成果が低い。

 レベル1の初心者と比べてもだ。

 それなのに、

「がんばってるな」

「無理はするなよ」

と今では応援してもらえる。

 能力が低くても頑張ってると考えてくれる。

 今までだったら、

「さっさと辞めたら?」

「無能が居座ってんじゃねえ」

と蔑まれていたのに。

 殴り飛ばされて強制的に辞めさせられそうになった事は何度もある。



 それが魅力が上がった途端に掌返し。

 日頃の態度とか仕事の出来だとかは関係がない。

 ただただ魅力だけで判断されている。

 魅力を上げた事でこの事がよく分かった。



「まあ、こんなもんか」

 人間とは所詮このような浅ましい生き物。

 前世で学んだ事だ。

 この異世界であらためて再確認が出来た。

 ならば、と思おう。

「それなりの態度で接していけばいいか」

 思いやりなど必要無い。

 適度にほどほどに接していけばいい。

 そう思うと気が楽になっていった。



 もともとゲームのような世界である。

 そこかしこにいある人間は全てNPC。

 そう考えれば、特に気をつかう事もない。

 邪険にするつもりはないが、大事にすることもない。



 また、NPCというなら便利に使うのが正解だ。

 そう思ったヒロハルはNPCを集めることにした。

 高めた魅力を使って。





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