4 暴言と暴行にまみれた半生 2
能力値の低さは迷宮にきてからもたたる事になった。
魅力が低くても他が高ければ、というものだが。
能力値が軒並み低い。
こんな人間を好んでつれていく人間はいない。
怪物と戦うのが探索者である。
迷宮の中に入り、はびこる怪物を探して倒す。
命がけの仕事になる。
どうしても能力の高い者が欲しい。
既に迷宮に潜ってる者たちからすれば、足手まといなどいらないのだ。
となれば、ヒロハルを採用する酔狂などあらわれるはずもない。
雑用係もままならないような低能力値である。
そんな人間をどうして迷宮につれていこうというのか?
ここに来てヒロハルは、一人で迷宮に挑むことを余儀なくされた。
幸いなのは、一人でいる事が苦痛にならない性格な事。
むしろ、集団が苦手である。
他の誰かと話を合わせるのが不可能なボッチ属性の陰キャである。
むしろ単独である事の方がありがたかった。
とはいえ、一人で怪物を相手にできるかというと悩ましい。
雑魚ならどうにかなるが。
それでも大量にあらわれたらどうにもならなくなる。
これが野外ならば、少数で行動してる怪物もいるだろう。
だが、行くのは怪物の巣窟である迷宮である。
ある程度の数でまとまって行動してるのは明白。
低能力の者が一人で入るのは自殺行為である。
それでもやるしかなかった。
何はなくとも稼がねばならなかった。
今日を生き延びるために。
そして、レベルを上げねばならなかった。
将来のために。
血のにじむ努力が始まった。
ひたすらに迷宮に挑み続けた。
最低の能力値しかもたないヒロハルの苦労は並大抵ではなかった。
日銭を稼ぐのもやっとだ。
一度の戦闘で死にかける事も一度や二度ではない。
血まみれになって死にそうになった事もある。
そうして怪物を倒して、成果を得る。
怪物は倒すと霊気の塊を落とす。
霊気結晶と呼ばれるものだ。
これを換金する事で探索者は金を手にしていく。
また、霊気結晶の冷気を体と霊魂に取り込むことでレベルを上げていく。
金がそのまま経験値になるといえる。
このため、生活費以上の稼ぎを手に入れねばならない。
レベルを上げるならば。
能力値の低いヒロハルにはかなり難しい事になる。
それでもどうにか霊気結晶を稼いで経験値にして。
レベルを上げるために頑張った。
成長しない事には単独で生きる事ができないのだから。
そうして迎えた最初のレベル上昇。
レベル2になったヒロハルは、迷わず能力を上げた。
魅力の。