1 苦難の異世界転生
「はあ…………」
五月原ヒロハルはいつも通りにため息を吐く。
今日も今日とて迷宮探索。
それも一人で。
単独なのが寂しいわけではない。
孤独は慣れてる、むしろ一人の方が良い。
だが、危険は跳ね上がる。
それが問題だった。
世界に突如あらわれた迷宮と怪物。
これらが人々を脅かすようになって幾星霜。
記録の示すところによれば、これらは数百年前にあらわれたという。
以来、人々は襲いかかってる怪物との戦いを余儀なくされた。
────というのは良く知ってる筋書である。
ヒロハルが前世の日本で楽しく遊んでいたゲームの通りだったからだ。
ダークな基調のRPGだったそのゲームは、一定数の支持層を集める名作である。
ヒロハルもやりこんだものだ。
ただ、実際にそんな世界にいたいかというと、そんな事はない。
危険な怪物と常に隣り合わせ。
常に襲撃を警戒していなければならない。
実際に、年に何回かは村や町は襲われる。
迷宮の勢力圏に接触してる場所ならば。
命を常に脅かされるこんな世界にいたいのか?
多くの人間は断るだろう。
ヒロハルもその一人だ。
しかし、幸か不幸かヒロハルはこんな異世界に転生してしまう。
危険な作業を余儀なくされる。
今さらどうにもならないので、これはあきらめるしかない。
だが、それならば少しは有利な状況で始める事が出来ればというもの。
前世の、西暦2000年前後の時代でもてはやされた、異世界転生チートのように。
なのにヒロハルはそんな利点や特典など一切なく。
むしろ真逆の状況でこのRPGな異世界に生まれてしまった。
以来、苦労に苦労を重ねて今に至る。
そんなヒロハルは、己の能力値を表示してため息を吐く。
【能力値】
五月原ヒロハル
19歳
レベル 10
体力 5
敏捷 5
知恵 5
意思 5
魅力 15
【能力値】
必死になってあげてきたレベルと能力値。
そのあまりの低さに頭を抱える、いつも通りに。
「なんでこうなるのかな……」
そんなに悪い事をしてきたのか?
これが業なのか?
何度も問うてきた疑問を頭に浮かべてしまう。
思い付きを書いてみた。
とりあえず、書けるところまで書いた。
続きは少しずつやっていく予定。
まだ連載してる話も他にあるので。