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君を愛する訳にはいかない、と旦那様は仰いましたが

作者: 大高 紺


お目に留めて頂き、ありがとうございます。



「君を愛する訳にはいかない」


 ―――それは、血を吐くような声でした。もう少し大きかったなら、いっそ咆哮と表現しても良かったかもしれません。


 今日の婚姻の席で初めてまともにお顔を合わせたと言って過言ではない私の旦那様、こと、アーロン・レイナード辺境伯様は、血の気の引いたお顔を痛ましいほどに歪め、広々とした寝台の前に、そこに横据わりして準備万端お待ちしていた私の前に、がくりと膝を付きました。


 つい先ほどまで皺ひとつなかった筈のシャツの胸元は、今や滅茶苦茶。旦那様がその力強い右手でぎゅうぎゅうに握り締めておられる所為です。そして、床に突っ張った左手で崩れそうな躰をどうにか支え、あらまあ、何とぶるぶる小刻みに震えていらっしゃるではないですか。私の気の所為でなければ、汗もだらだらです。


「そんなつれないことを仰らないで……?」


 精悍な美丈夫が私の前に跪き、激情をやり過ごそうとしている様は、まあ正直に言うとそう悪い眺めでも無いのですが、そうかといって彼の由々しき発言を見過ごす訳には参りません。


 何せコトは初夜の拒否。尊き筋からお前ならばと見込まれて、故郷を遠く離れたこの地まで覚悟を決めて遥々嫁いできた健気な妻を、この男は血も涙も無い言葉と共に拒絶しているのですから、それだけでも張扇(ハリセン)ものだと私は信じますが、いや、そんな私のささやかな憤りより何よりこの婚姻は畏れ多くも王太子殿下の肝煎で整えられたものであるからには、そもそも彼には拒否権などありはしません。


 ―――いや、正確に言えば、最初はあったのです、拒否権。


 若くして立て続けにご両親を亡くしてからというもの、敵討ちとばかりの怒涛の如き魔物討伐で名を上げる一方で、待てど暮らせど結婚どころか浮いた話のひとつも無いまま二十代を終えようとしているご友人(アーロン様)に業を煮やした王太子殿下がお膳立てした私との縁談、それを持ち掛けられたその時ならば、まだ穏便に断れました。人界と魔界の盾たる己に妻など足手まといでしかない、後継は然るべき筋から養子を迎えるから俺の事など放っておいてくれと、まあこれは例えですけれどもそんな風に明確に意思表示をなさったならば、さしものお節介焼き、じゃなかったお心の篤い殿下も黙って話を引き下げた事でしょう。


 なのに、アーロン様は、妻の斡旋そのものは拒否なさらなかった。

 こんな処まで、しかもこの俺に嫁いでくる物好きなんぞ居るものかと鼻で嗤って、万にひとつも見つけられるのならば連れて来てみろと、そう仰ったのだそうですわ。


 恐らくアーロン様には勝算がお有りだったのでしょう。こう申しては何ですが、社交界に於けるアーロン様の評判は、あまり宜しいものではございません。何せ立てた武功が華々しいを通り越し、もはや凄惨の域。おかげで、魔物相手と言えども余りに容赦が無さ過ぎる、気質が残忍そのものであると専らの噂で、たまの参内の際など、出くわしたご婦人が彼の周りに漂う鬼気(オーラ)に中てられて卒倒したとかしないとか。なまじ見目が整っているのも彼に限ってはマイナスに作用するようで、それこそ美貌で惑わす人外の如くに恐れ慄かれ、逃げ惑う者すらも出る始末ですから、嫁の来手などある筈もなしと高を括っておられたのでしょうけれども。


 ―――どっこい、世間は広いのですわ。


 私は、レースとフリルとギャザーとリボンで構成された、ナイトドレスとは名ばかりの薄靄に覆われた己の胸の前に、そっと両腕を寄せました。……あからさまに目を逸らすとは失礼な。それはまあ、我ながら色香に乏しい躰つきとは承知しておりますが、それでも面白くないものは面白くない。


「アーロン様に身も心も捧げてお仕えするつもりで嫁いで参りましたのよ……?」


 切なげな声と共にゆっくりと小首を傾げれば、これは自慢のプラチナブロンドがさらりと流れ、その拍子に左肩から細いストラップがするっと滑り落ちました。わざとじゃありませんが、さあどうですよ、このしどけなさとあどけなさの絶妙な絡み具合。私、胸そのものはサッパリだと自覚していますが、デコルテ辺りには少々自信があるのです。ほほ、とくと愛でるが良くってよ。……あっ、この、本気で目を背けやがりましたわね。


「いや、身も心も捧げるって、君、意味が判って言っているのか」


 んん、いやこれ目を背けたのじゃありませんわね。泳いでると言った方が正確です。冷や汗とも脂汗ともつかないナニカをだらだら垂らしながら、上を向いたり下を向いたり、忙しい事この上も無し。


 私は密かにほくそ笑み、もう一歩、追撃することに致しました。


「勿論ですわ、覚悟は()うに出来ております。……私では旦那様はそそられませんでしょうか。それとも、…………旦那様には実は心に決めたお相手が…………?」


 掬いあげるように見上げて、目を潤ませてやりましたら、明らかにアーロン様の狼狽えっぷりが上がりました。


 自慢じゃございませんが、私、自由自在に涙が出せるのです。伊達に長年貴族令嬢をやってはおりません。ほほほほ、この程度でそれですか。ちょろいですこと、旦那様ったら。


「いや、俺にそのような気の利いた相手は居ないが」


「では何故……!」


 ここぞとばかりに涙を流して見せれば、とうとうアーロン様は呻き声と共にその場に突っ伏してしまいました。あらまあ、御髪を掻き毟って。艶やかで癖のない黒髪の筈が、もはや見る影もありません。鳥の巣です鳥の巣。それもだいぶ年季の入った、ガッタガタの。


「何故、私を愛しては下さらないと! 名実伴った妻にしては下さらないと仰いますの?!」


「ふざけてんのか!?」


 ばね仕掛けの如き勢いで、アーロン様が跳ね起きました。先ほどまで泳ぎまくっていた琥珀色の瞳がガッチリこちらの視線を捕らえて燃え上がる、それを負けじと真っ向から受け止めつつ、更にポロポロ涙を溢れさせた私は彼に向けてずいと身を乗り出した、その弾みでいよいよナイトドレスがつるりと滑り。


「――――――どうしたって君が子供にしか見えないからだーーーーーっっ」


 と、そう絶叫した旦那様は光の速さでそこらのデュベを毟り取るや、あわや露出しかけたアレコレもろとも私を簀巻きにしたのでした。



 さては窒息死させて文字通り闇に葬り去る気か、と勘繰りたくなるほどの勢いで巻きつけられたデュベから渾身の力で抜け出さんとする私を、素早く寝台に乗り上げて来たアーロン様は歯まで剥き出して抑えつけに掛かってきました。


「痛い痛い痛い痛い」


「君がっ、このっ、暴れるからだろうっ」


「髪が千切れるぅう」


 めそめそした声を出してみたところ、はっとしたらしいアーロン様の腕が急激に緩みましたので、私はすかさずデュベを撥ね飛ばしてやりました。はあ、苦しかった。


「ああっ油断も隙も」


 そう言いながら再び封じ込めようとして来るアーロン様を、私は上目遣いでしょんぼり風に見上げました。明らかにたじろぐとは、ふむ、確かに女慣れはしていないと見た。が、


「子供がそんな不埒な薄着をするんじゃない。腹を冷やすと後で下すぞ」


 何処も見ていないような目つきでそう言いながら、今度はふんわりと肩口から覆い掛けて来る仕草の優しさはともかくも、


「私、子供じゃございません」


 発言内容が大変に気に喰わないので、私はアーロン様の手を軽く抓ってやりました。


「いや、どう見たって子供だろう。最大限に見積もっても十三、四歳にしか見えん」


「私はまもなく二十三歳です」


「見え透いた嘘を吐くんじゃない」


 苦虫を噛み潰したような顔の旦那様へ、私はひんやりと微笑み返しました。


「今更そんな事を言い立てるなんて、辺境伯ともあろう御方が何たる杜撰さ。……仮にも王命に基づく婚姻相手へ贈り物どころか手紙ひとつ、それどころか此方から贈った物への返礼さえ一度たりとも寄越さぬ非礼っぷりも目覚ましいと思ってましたが、そうは言ってもここは国防の要の地。さぞかし討伐に明け暮れ、日々忙殺されておられるのだろうと胸を摩っておりましたのに今更それとは、さては釣り書きにも碌に目を通してませんわね?」


 我ながら嫌味たらしい長広舌ですが、アーロン様も負けません。口の端を吊り上げるようにして私を見下ろすや、


「ああ、読んでいないが、それがどうした。俺は妻など要らんとアレクシスにはっきり言ったのに、あいつが勝手にどんどん話を進めたんだ。何だって知らん間に面識も無いご令嬢から意味不明な手紙だの思わせ振りなモノが送られて来ていたのか、その意味する処に思い当って奴を問い詰めた時には既に君が実家を出立済みどころか、間もなくご到着になる筈ですので参じましたとご丁寧にも勅令を持たせた司祭と文書官まで寄越しやがって」


 旦那様は滴り落ちそうな口調でそう吐き捨て、ついでに今にも舌打ちしそうでしたが、流石にそれは堪えたようでした。そりゃそうです、用意周到な殿下のお陰で、現着するなり速やかに身内()になった私ですが、元を正せばこれでも花も恥じらう深窓のご令嬢ですからね。是非とも目の前での野卑な言動は控えて頂きたいところです。それにしても、内々とはいえ王太子殿下の御名を吐き捨てるとは、なかなかですわね旦那様。


「で、さしもの偏屈大王も勅令を踏み倒すまでは致しかね、委細不承知のままに涙を呑んで押しつけられ女房と婚姻をした、と」


 私は旦那様の後を引き取って話を締めくくってから、思い切り半目で彼を見てやりました。


「いくら旦那様が魔物退治に血道を上げる余りに留守してばかりとは申せ、こうまで話が進む間、気も付かなけりゃ家臣からの報告も無いだなんて、穴だらけにも程が有るんじゃございません?」


「喧しい」


 再び御髪を掻き毟った旦那様は、肺腑ごと吐き出しそうな溜息を吐いてから、改めて私に向き直りました。


「だがまあ、これだけ言葉を交わせば、君が確かに見た目通りの年齢ではないかも知れない事は理解した。―――こうまで小賢しく口が回る小娘なんざ居て堪るか」


「何か仰いまして?」


「いや何も」


 いま何か面白くない呟きが聞こえた気がして、じとりと睨み上げましたが、アーロン様は素早く視線を逸らしました。その態度が既に疚しいと物語っていましてよ。


「だが、そうかといって君を名実伴った妻にする気も無いからな」


「あら、何故ですの。旦那様とて生身の殿方。ましてや日々を闘いに明け暮れておられるのですもの、さぞかし奮い立つ御身の剣も持て余……「何を言い出す若い娘が?!」……あらやだ、真っ赤」 


 私の事を小娘呼ばわりなさいますが、それを言うなら、旦那様こそ男盛り。この見てくれならば、普通なら遊び相手に不自由している筈もございませんが、何しろ平素から無意味に鬼気を撒き散らかしているお方。百戦錬磨の娼婦(プロフェッショナル)でも怯む可能性が高いと来れば、


「この程度の仄めかしでその有様とは、また随分とストイックに過ごしていらっしゃる? ―――旦那様、度を越した禁欲は寧ろ毒ですわよ。適度に発散いたしませんと」


「大きなお世話だ。明け透けに言うな、羞恥心は無いのか」


「ございますとも。ですが、こう申しては何ですが、私、年齢的には既に老嬢の類ですので、闇雲に恥らうのも痛々しいと思いますの」


 そう返しましたら、旦那様は疲れ果てたと言わんばかりの溜息を吐きながら、眉間をぐりぐり揉み始めました。また立派な縦皺だこと。


「という事ですので旦那様、(せん)から申し上げておりますように、私は妻の務めを果たすに一向(やぶさ)かではございませんので、ささ、遠慮なく」


「だから! そういう意味で君を愛する訳にはいかないんだと何度言えば!!」


 済し崩しに座り込んでいた寝台の上ではなく、きちんと床に立っていたなら、旦那様は恐らく地団太を踏んでいた事でしょう。それくらい激高した雄叫びでした。……耳の傍では止めて頂きたかったですわ。


「頑固ですわねえ。理由を聞かせて頂いても宜しくて?」


「だからさっきから言っている。君が子供にしか見えないからだ。―――俺は小児性愛趣味の持ち合わせは無いんだ」


 今度は私が眉間に縦皺を立てました。言いやがりましたわね、この唐変木。


「初動が不適切でアレクシス(お節介野郎)を抑えきれずに君がここまで来てしまったのは間違いなく俺のミスだ。だから、婚姻そのものは不本意だけれども受け入れる。だが、迎えた妻をどう扱うか(抱くか否か)は俺に選択の自由があるのは認めるな?」


「つまり私に、おめおめと石女の汚名を被った挙句に最後は綺麗に身を引けと」


「突っかかるじゃないか」


「だってそういう事じゃありませんか。嫁して三年子無きは去れなんて表立って言う人は随分少なくなりましたけど、居なくなった訳じゃありませんのよ。そして、私の実年齢など社交界では周知の事。いつまで経っても子を為さないとなれば、そりゃお喋り雀たちが嬉しそうにあること無いこと(さえず)りまくる事でしょう。で、旦那様は、時が来たらその真っ只中に子無しを理由に剥き身かつ無垢な私を放逐する気満々なのですわよね? ―――やってみるが良くってよ。その時は、レイナ―ド辺境伯様ともあろう御方が如何に哀れな不能だったかを当たるを幸い触れ回って差し上げますから。ふふふ、どれだけ否定しようと火に油でしょうね。だって事実か否かなんて問題じゃございませんから、この手の醜聞というものは。そしてそう言う時こそ、私のこの幼げな見た目が良い仕事をしますのよ」


 にんまりとほくそ笑む私の横で、旦那様が激しくむせて身を折りました。あらあら、どうなさいましたの、息は吸わなきゃ吐けませんわよ。


「ですけど旦那様、そもそも私たちったら勅命に基づく政略結婚でした。離婚には相当な面倒を伴うと思いますので、そんな不毛な労力を払うくらいなら、ちょちょいとこの場で既成事実を作る方が手間も無くて簡単じゃございません?」


 ごっほごっほ咳き込む旦那様の背をポンポン叩いて差し上げながら、下からちょろりとお顔を覗きこみました。―――精悍な男前の紅顔涙目というものを生まれて初めて見ましたが、結構、なんというか、キますねこれ。


「君はッ、何故そういうッ、っごはっ」


「お水お持ちします? 要らない?」

 

「……くっ、く、れ……ッ」


 ハイハイ、と私は寝台から下りて、小卓の上に準備されていた水差しからグラスに水を注ぎ、旦那様に手渡しました。そんなに慌てて飲まなくても。


「―――黙って聞いていれば、ちょちょいとだの簡単だのと言ってくれるが」


 不穏な気配を漂わせてはいるものの、礼儀正しく有難うの言葉と共にグラスを返して来た旦那様は、それをまた小卓に置きに行った私が寝台脇まで戻って来るなり、むんずと両手で私の腰を掴んでシーツの上まで引き上げました―――のは良いのですが、何やら顔色が変わってますけど、どうなさいまして?


「っ細すぎないか幾らなんでも……君、ちゃんと食事をしているのか?」


「急に何ですの? しかと頂いておりますとも」


 まあ、もともとコルセットも要らないほどのお子様体型であるうえ、ここまでの道が結構な悪路だったもので壮絶な馬車酔いに見舞われ、この数日で更にサイズダウンしてしまいましたけど。ですが旦那様、世のお洒落令嬢たちの細腰作りに賭ける執念たるや、この程度の結果では済まされませんのよ、ってそういえばこの方は滅多に社交の場にはお出ましにならないのでした。あの背筋も凍るほどの不健康美なんて、記憶に無いかもしれません。


「本当に? ……俺は更に君と睦み合うのが恐ろしくなったぞ。体格差がえげつなさ過ぎる」


「あら。それって、私がもう少々肉を付けたら名実ともに妻にして頂けるという理解で宜しくて?」


「そこまでは言ってない」


 などと言いつつ、旦那様の手が指が、私のウエストあたりから肩甲骨近くまでを、撫でたり押したり(つつ)いたりして肉付きを確かめる動きは止まらない。……そろそろ本格的に擽ったいんですけれど。


「往生際が悪いですわね」


「逆に訊きたいが、何でそんなに積極的なんだ、君」 


「そりゃ決まってますわ。好いた殿方に抱かれたくない女は居ませんもの」


 そう申し上げましたら。


「――――――は?」


 旦那様の口が、間抜けにポカンと開きました。



「好いた男―――?」


 蜜を溶かしたような琥珀色の瞳も真ん丸に開いています。不意打ちをまともに食らった猫みたい。猛々しいような美貌がふにゃりと緩み、乱れた前髪も相まって、これはまた何ともお可愛らしい。私よりも六歳も年上の殿方には見えません。


「誰が?」


「旦那様が」


「何で?」


 余りにも腑に落ちないというお顔で仰るものだから、私はここぞとばかりに深ぁく息を吸い込みまして。


「そうですねえ、言い出したらキリがございませんけど、宜しいかしら。まず、お優しい処ですわ。真の優しさというものは強靭さに裏打ちされてこそと私は信じておりますけれども、正に旦那様がそうですわ。弱きを助け強きを挫く、それを双方の言い分に耳を傾けてからというのが素晴らしいと思いますの。見てくれだの身分だのに騙されたり絆されたりなさらない処も素敵なら、一刀両断する際のキレも最高。大好き。またこの撒き散らし放題の猛者感が堪りません。何故に皆がこの良さを判らないのかが判りませんが、いや判らなくて良いのですけどね、敵は少ないに越したことありませんから。何が辺境の悪魔ですか失礼な。旦那様が英雄以外の何だと言うのでしょうあの愚か者ども。誰のお陰で安穏と暮らしていられると思っているのか、伏し拝んでも足りないと言うのに、少々御身が厳ついくらいで何ですか。一般男子の五割増しあろうが頼もしいだけじゃありませんか。殊に私は己がひときわ貧相なものですから、健やかな方が羨ましいやら好いたらしいやら、とにかく勇壮かつ強健な殿方がタイプでして、その点、旦那様は理想中の理想と申して過言ではなく、例えばこの肩から腰に掛けてだとか上腕から手首までのライン、旦那様は此処がもう得も言われないうえに、ほらこれですこれ、ここの血管の浮き方とか指の長さとか節の感じとか爪の形とか、もうイヤほんとに旦那様ったら理想的にも程がむぐぅ」


 気付いた時には旦那様のシャツの袖を捲り上げ、此処がこうだ何だと捲くし立ててしまっていた私の口を、旦那様が物凄い勢いで塞ぎに掛かってきたのはともかくも、あの、鼻まで覆われると窒息するのですが。


「頼むからもう喋るな。もう良い」


 言えと仰るから語りましたのに。その気持ちを込めて怨めしく見上げましたら、旦那様が変な呻き声を上げてシーツの上に突っ伏しました。絶妙に目の前の私を避けて行きましたが、―――別にそのまま押し倒して下さっても良かったのに。


「―――俺が優しいだと?」


 とんでもなく小さな呟きでしたが、私の耳はちゃあんと捉えました。旦那様の無敵の美声を私のこの地獄耳が聞き逃す筈が無いのです。


「ええ、とても」


「何処が。何で」


 魔物どもより畏れられているのを知らないのか、とか何とか呻いてらっしゃいますが、知ってますわよそのくらい。


「世の放言よりも自分の目を信じているだけですけど、いけませんか」


「自分の目?」


「ええ。旦那様はとっくにお忘れでしょうが、私、助けて頂いたことがありますのよ」


 微妙に身悶えしていた旦那様の動きがピタリと止まりました。その固まった背中を、私はそうっと撫でて差し上げました。わあすごい、この漲る僧帽筋と肩甲骨の美々しさよ。


「もう何年も前の事ですけれども、根性悪のご令嬢たちが私の見目を露骨に当て擦ってきた時、旦那様がぶった切って下さいましたのですわ。いま思い返しても爽快なくらい、それはそれはバッサリと」


 先ほどから旦那様も盛んに言い立てておられますけれど、私の見目が世間一般から外れているのには訳があります。


 我が家系は遠い昔にエルフの血が入ったとやらで、今でも時折その特徴を持って生まれて来る者が居りまして、耳が尖り気味だの華奢な体つきだの、或いは突出した美貌くらいなら然程の不都合も無いのですが、私の場合はどうやら寿命方面にも出てしまったらしく、ひと様よりもぐっと成長速度が遅いのです。


 それでも、ごく幼い頃は周囲とそこまでの差は無かったのですが、思春期に差し掛かろうかという辺りから次第に成長が遅れだしまして、成人を迎える頃の見てくれは四歳年下の妹よりもまだ幼いような有様でした。……あの時は情けなかったですわねえ、十六歳にして十歳かそこらにしか見えないのですもの。


 それでも、逆さにしてもビクともしない健康体、デビュタントをしない訳には参りませんでした。腐ってもエインズレイ侯爵家の長女ですし、既にあそこの娘は先祖返りだと良いだけ囁かれてもいましたから、ここはもういっそ最大限にエルフっぽい儚げな美少女っぷりを見せつけてやれと(私が言った訳じゃありません、両親が大真面目にそう主張したんです)目も潰れそうな緻密なレースとビーズ刺繍をこれでもかと盛り込んだドレスに真珠とクリスタルで誂えたパリュールで武装して臨んだ、その控室でやられた訳です、ご令嬢方に。


「場違いだの少女趣味にも程が有るだのと囁かれているうちは良かったのですが、あれですわね、自分で言うのも何ですけれども両親の執念の賜と申しますか、確かにその装いの私は浮世離れした美少女でございましたので、ケチをつけるとしたら度外れた幼さくらいしか無かったのでしょう。いざ入場という頃には正面切って威圧してくるご令嬢まで現れまして、人目があるのも何のその、ぎゃんぎゃん文句を付けてくるには驚きました」


 ちょっと考えれば判りそうなものですが、いくら気に喰わなかろうとも初対面の者に取る態度として有り得ません。また、当時の私がどれだけ幼く見えようが、正装してその場に居る、しかもその装いが只事でないという時点で正体の見当がつかないなどという粗忽者達に、わざわざ取り合う価値もありません。黙殺一択です。ただ鬱陶しいのは間違いなくて、そろそろ誰か摘まみだしてくれないかなーくらいの気持ちで聞き流していた、その時ですわ。


「通りすがった旦那様が嫌悪も露わに一喝して下さった、そのお姿が眩かったこと……! 醜悪極まりない、妬み嫉みも大概にしろ、と吐き捨てたお声も震える程に沁みました」


 いま思い返してもうっとりします。ああかっこよかったなあ、若かりし頃のアーロン様。若干線が細かった分いまの虎狼味こそ薄かったですが、その代わりに若々しくシャープな頬骨から顎へのラインと猛禽類の如き瞳の鋭さが際立って――――――何ですの、そのじっとりした横目。


「…………美化しすぎだ。あの時の俺はそんなものじゃなかった」


「そんなこと。改めましてその節は有難うございました」


 私は、不安定な寝台の上で可能な限り姿勢を正して、旦那様に礼を取りました。あ、またしてもストラップが。


「あの時の旦那様は鮮烈でしたわ。まずお馬鹿さんたちを咎めてから、場違いな子供にしか見えない筈の私にもちゃんと名を問い、聞き取りをして下さって、その上でバッサリ一刀両断ですもの。痺れましたわ」


「…………一生一度のデビュタントで大惨事を起こされた怨みは?」


「何のことでして? お馬鹿さんたちが秀麗な貴公子に真っ向から叱責されてパニック起こして阿鼻叫喚だったこと? あれは彼女達の自業自得というもので、私にしてみれば面白い見世物だったなあとしか」


 実際、私自身は恙なくデビュー出来ましたから、特に何とも。


 そう申し上げたら、旦那様は何とも言い難いお顔で天を仰いでしまいました。


「―――確かにあの時の君は俺の言動にピクリともしていなかったが、あれは恐怖の余りに凍り付いていたのではなく?」


「そうですわね、何て素敵な方かしらと思って目を皿にしていた覚えしかありません」


 というか、旦那様もあの時の私を覚えていて下さった、んですわよね? あら、何だか擽ったくなってきてしまいました。七年近くも前の一瞬の事でしたのに―――ってせっかくほのぼのしているのに、何ですのその死んだ魚のような目は。

 

「俺はあれで心底懲りて、社交の場からは極力遠ざかろうと決意したというのに」


「何故、旦那様が懲りますの。懲りるべきはお馬鹿さんたちでしょうに」

 

「確かに愚かな娘たちではあったが、満座で大恥を晒させたかった訳ではない。……あの一件で俺は常日頃から母に口喧しく言動を窘められていたのが芯から腹に落ちてだな、成程、己は口の利き方はおろか、立ち居振る舞いひとつ身についていない野蛮人なのだから、大人しく野に引っ込んで己の責務を果たすことにのみ注力すべきと肝に銘じたんだがな」


「旦那様が野蛮人かどうかはさておきますが、レイナードは辺境の盾たる御家柄。社交を疎かにしても誰も文句は申しませんものね。しかもご嫡男ですもの、余程でなければ然るべき時に然るべきところから嫁が宛がわれるものですから、別に宜しいじゃありませんか」


 ただ、旦那様はその『余程』だった訳ですが。


「旦那様の場合は、どういう訳だか禍々しい噂ばかりが世に満ち満ちて、御縁も何も遠い彼方に吹き飛んでおられましたけど―――あれ、態と否定なさらなかったのではありませんの?」


「面倒で放っておいただけだ。俺が荒くれなのは事実だからな」


 じーっと見つめましたら、やがて旦那様は居心地悪げに身動ぎなさいました。


「―――ある種の揮い分けにでもなれば良いとは確かに思っていた。箱入り娘が魔物だらけの辺境暮らしを強いられるのは酷だろう。周囲の者には随分と諫められたが、めそめそしたのに嫁いで来られる方が後が面倒だろうと言えば、みな黙った」


 ほら、お優しい。


「……ふふ、そうやって旦那様が長きに渡って周囲の嘆きにも一向に耳を貸さなかったお陰で、私は此方に縁づくことが叶いました。ですからアーロン様の敢えてのものぐさにも、心から感謝しておりますわ」


 そうなのです。アーロン様がそうしていて下さったお陰で、私はいま此処に居られるのですから。


 何故って、私は成長が遅い、という事は即ち初潮が来るのもそれはそれは遅かったのです。大声で言う事じゃございませんが、ええとその、割と近年の事でございまして。

 つまり、実年齢が幾つであろうと成熟の証が来ておらず、いつ来るのかも判らない身では何方(どなた)かとご縁を結ぶのも憚られ、私もまた長く領地に垂れこめているようなものだったのです。


 不得要領なお顔をしているアーロン様に、そうご説明しましたら―――あらまあ、気まずげに目を逸らされてしまいました。


「生々しい事を申し訳ございません。ですが、そんな事情もございましたので、私、もしや生涯を実家で穀潰しの目もありましたもので、それはそれは真剣に領地運営などを学びまして」


「―――うん?」


 旦那様が首を傾げました。話が逸れたとお思いですか? とんでもございません、ここからが、畏れ多くも私が王太子殿下に見込まれてこの御縁を頂けた話に繋がりますのよ。


「如何に貧相な小娘然としておりましてもエルフの末裔、実際には健康極まりないですし、長年に渡ってエインズレイを盛りたてる助けをしておりましたもので、烏滸がましいようですが能も有る方ではないかと自負しております。その辺りの事が巡り巡って王太子殿下の御耳に入りましたようで、鉄砲玉が過ぎる領主を持った臣下が青息吐息で留守を護っている辺境領に嫁いでその辣腕を振るう気は無いかとお声掛けを頂戴した時には、私、もう嬉しくて嬉しくて」


「喜ぶ余地があるかその話……? 僻地で馬車馬になれと言われているのも同然じゃないか」


「ございますわよ。初恋の君のお傍に侍り、お役に立てるかも知れないのですもの」


 旦那様の目が真ん丸どころではなくなりました。あらまあ、零れ落ちそう。


「……初恋……?」


「ええ、旦那様が私の初恋ですの」


 それはもう殿方慣れしてない小娘でしたもの、あの一幕で、ものの見事に撃ち抜かれました。でも、それは、当時のアーロン様が既にずば抜けた美丈夫だったからではありません。ええと全く関係なかったとも申しませんが、それより何より、当時の私を一人前の令嬢として扱って下さった、そのお人柄に惚れたのです。


 自己弁護と私への讒言を代わる代わる述べ立てる美々しく装った令嬢たちをにべもなく抑え、妙な背伸びをした場違いな子供に見えていただろう私と正面から視線を合わせ、経緯を問い、真剣に耳を傾けて下さろうという、そのお心の在り様に真っ逆さまに落ちました。


 ……ふふ、旦那様ったら、何てお顔をなさってるの。


「―――辺境の悪魔だぞ?」


「いいえ、私の英雄(ヒーロー)ですわ」


「何を馬鹿げた」


「あら、乙女の危機に駆け付けて救い出して下さったじゃございませんの。それがヒーロー以外の何だと仰るの?」


 我ながらあざとく首を傾げて見せる私にも、旦那様は困り果てたようなお顔なのを崩しません。


「……君は変わり者だと言われないか」


「それはもう。見ればお判りになりますでしょ?」


「いや、そう言う事じゃなく―――ああ、もう」


 がっくりと項垂れてしまった旦那様の御髪に、私はそっと指を伸ばしました。

 

 払いのけられてしまったら哀しいな、と少々びくびくしながら、それでも肌に触れるほどの処まで指を差し入れ、襟足まで梳き流していった、そこを旦那様に捕らえられて、静かに握られて。


「こんなに小さくてか弱いくせに、俺の助けになる気満々か」


 あの、たかが手と言えどもですね、そんなにしげしげと見つめられると照れるじゃございませんか。簡単に握りつぶせそうだとか剣呑な事を呟いてらっしゃいますけど、それはそうでしょうよ、旦那様に掛かれば大概の者は競り負けるに決まってます。


「お言葉を返すようですけど、私、未だに成長期ですから。今に旦那様と並んでびくとも引けを取らない女丈夫になるかもしれませんわよ」


「そりゃ頼もしい」


 あ、信じてませんわね。故も無く申し上げている訳じゃございませんのよ、妹という立派な実例があるのです。


 我が自慢の妹は、同じエインズレイの血を継いでいるために細身でこそありますが、全身に小気味よく筋肉が張った長身で、長弓の名手なのです。その妹の幼かりし頃と今の私の姿は瓜二つと言って良いほど似ているのですから、


「私は今の処は短弓しか扱えませんが、腕は悪くはございません。いまに討伐にだってお供が出来ましてよ」


「判った判った」


 私のふくれっ面が余程に面白かったのでしょうか、旦那様は忍び笑いを隠しもせず、未だに握ったままだった私の手を引き寄せて、―――そのまま、ぎゅうと抱き締めて下さいました。


「潔く前言撤回しようじゃないか」


 ―――耳元で溢された、旦那様のその囁きを理解した瞬間、私の総身が奮い立ちました。


 やーりーまーしーたー! とうとう私が競り勝ったという事ですわね旦那様! そういうことなら、ええもう此方は最初から準備万端でしてよさあさあさあ。


「どんと来いですわ旦那様!」


 と、満面の笑みで振り仰げば、


「勘違いするな、そっちじゃない」


 ―――何ですのその仏頂面は。


「この後に及んで何を仰いやがりますの!」


「この後もへったくれもあるか。―――俺は先ほど、来てしまったものは仕方が無いから不本意だけれども受け入れる、などと無礼極まりないことを君に言った、それを撤回したいと言っているんだ」


 ぶっきらぼうにそう仰った旦那様は、いったん抱擁を解いて、少しだけ私から距離を取りました。


「俺は君を心から歓迎する。我が妻として、生涯、最大限の敬意を以て遇することを誓おう」


 そして、旦那様は私の掌に力強い口づけを下さいました―――のは、間違いなく嬉しいんですけれども。あの、そうじゃなくてですね。


「―――君の言っている名実伴った云々については、何だ、まあ、追々ということで」


「目が泳いでますわよ旦那様。―――腰抜けですか」


「挑発には乗らんぞ。いとけない妻に無体を強いるなんざ、男の風上にも置けないだろうが」


 あら厭だ、今度は目が据わってしまいました。


「…………もう。判りましたわよ、今日の処は引き下がりますけど、せめて添い寝くらいはして下さいますわよね? ―――それもしないと仰るなら、いっそ此方から襲わせて頂くことも視野に入れますわよ」


「……君がその細腕で一体どうやって……?」


「ほほ、やりようなんて幾らでもありましてよ」


 半信半疑というより九割真に受けていないお顔をなさっている旦那様の可愛らしいこと。ほほほ、世の中にはいろんな手管があるのですわ。形はどうあれ大人ですからね、私。知って然るべきことは存じてますとも。


 口元にだけ笑みを貼り付けた私の眼光にとうとう根負けした旦那様が、溜息を吐きながら掛布を捲り上げて身を横たえましたので、私は勢いよく旦那様の隣に滑り込み、勢いのままに抱き着きました。旦那様は正直にびくっとしましたが、やがて緩く私の躰に腕を回して下さいましたので、より居心地の良い場所を求めて少々ごそごそ致しましてから、私はほうっと息を吐きました。


「……そう言えば旦那様、私の名前はご存じでして?」


「―――あ?」


「だって、ずーーーっと『君』としか言われてないのですもの。釣り書きに目も通してないと仰るし、もしやと不安にもなるじゃありませんの」


 あら、何ですの、その脱力しきった溜息。


「君は俺をどんな人間だと…………知らない訳がないだろう、司祭の前で共に誓って、書面にサインもしたんだぞ。―――と言うかな、俺はまさかの現実に心臓が止まる処だった」


「何のことでして?」


 何とも言い難いお顔を旦那様は私に向けました。


「―――君が満面の笑みで我が家に現れた時点で、似てる、とは思ったんだ。だが、名乗られて、本当に肝が冷えた。忘れようたって忘れられないあの悪夢のような夜会で、俺に怯えきって凍り付いていたあの子なんだと確信して」


「はあ?」


「君は信じられないくらい愛らしくて、清らかで、儚げなのに凛としていて。目に入った途端に息が止まった。冗談ごとじゃなく、妖精と見紛うほどに綺麗だった。そんな君を雌虎のような女たちが虐めているのが我慢ならなくて、気が付いたときには飛び出していて―――結果的に俺が一番怯えさせたことに物凄く落ち込んだんだよ俺はあの時。こんな子の前で何て事をしちまったのかと。独りよがりな正義感に酔って、庇うつもりで大暴れして絶対にトラウマを植え付けたと思って、―――それで、心して身を慎まねばと猛省したんだ、俺は」


 何ですの、突然恨みがましい目で見るじゃありませんの。


「―――良い勉強になった。ガワがどれほど嫋やかに儚かろうと、中身まで同じ訳じゃないんだと」


「ちょっと。随分じゃありませんか」


「褒めてるんだ」


「とてもじゃないけどそうは聞こえませんわ」


「本当に褒めているし、好ましいとも思っている。あれほど小気味よく言い返してくる女なら、こっちだって手加減なしで向かい合えるというものだ」


「あら厭だ、そこは是非、手加減をして下さらないと」


「君を相手にそんな事をしたら、俺はたちまち矢衾だろうよ」


「そうですわ、明日にでも私の腕前をお見せしなくては。短弓ですから射程距離はそこまででもありませんが、その代わり、どんな物にでも当てて見せましてよ」


「頼もしいが、俺だけは的にしてくれるなよ」


 忍び笑いを洩らした旦那様が、不意に頭をもたげたかと思ったら―――寄り添っている私の目尻に、温かくて柔らかなものが触れました。


「今日はもうお喋りは終いだ。おやすみ、カーラ」


 そのまま耳元で囁かれて―――不覚にも口がポカンと開いてしまいました。酷い不意打ちですわ!


「もう! 突然過ぎて全く味わえませんでした! アンコールを要求します」


「馬鹿な事を言ってないで寝ろ」


 ぎゅっと頭を抑えられてしまいましたけど。


 何せくっついているのですもの、体温と鼓動は誤魔化せませんわよ。


 ふふふ、旦那様。

 今はまだ、子供じみた私を名実伴った妻として愛する訳にはいかないなんて、どんなに頑なに仰ろうとも。


 そんなふうに甘い響きで名を呼んで下さるからには、遠からずイケる、とほくそ笑んでしまいますのよ、私という女は。




最後までお付き合い下さいまして、ありがとうございました。


『お前を愛することは無い』がやってみたかったのですが、理不尽じゃない理由が良いなあ、と思いまして、こんな話になりました。


ただですね、年齢差カップルにしようとしたまでは良かったのですが、大高はどうもしおらしいヒロインが書けない体質らしく、カーラがとにかくガツガツ行こうとする。これは拙いと思いまして、倫理的にも綺麗なハッピーエンドにするべく、『見た目だけ歳の差』にしようとして苦肉の策でカーラをエルフの血脈になんかしちゃったものだから、見た目的にはよりヤバイ事になった気もしています。


一般男性の五割増しデカイ厳つい兄ちゃんと、儚い美貌のローティーンの夫婦。

どうでしょうか。大丈夫でしょうか。


それと、アーロンが妻の名を呼ぶ前のくだりで、そこはかとなく怪しげな事をぽろぽろ言ってますが、あれはロリータ趣味の発露とかじゃなくてですね、飽くまでも破格に綺麗なモノを見て目を奪われたと言いたいだけですので、どうぞ宜しくお願い致します。



いつの日か、しおらしくていじらしいヒロインが書けるよう、これからも精進したいと思います(笑)









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― 新着の感想 ―
ご馳走様です。全然大丈夫です。 とにかくカーラが好きです。このガツガツ感。 それに、お互い、ガワと中身のギャップがたまりませんね。 テンポのいいやり取りも、大変楽しく読ませていただきました。
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