第7話 田舎王子先輩の悩みを聞く
都会に移り住んで2週間たった頃、荷ほどきも終わり部屋はすっかり片付き徐々に生活感も出てきた。
あれからすぐ鳳さんの事務所に行き、正式に契約する為、今の保護者代理の村長に郵送で契約書の承認をお願いしてから返事が返ったのかつい先日だった。
契約が出来てないと、肖像権とか版権の問題で雑誌の発売が出来なくなり見切り発車で印刷を手配していた鳳プロやNEWの出版元は大きな損失を出していた事だろう。
村長の爺さんから承認の返信を見た茜さんと竜崎さんは膝から崩れて抱き合って喜んでた。
そして、明日雑誌の発売日ということで、その前日の夕方に鳳プロの事務所に集まった。
そこには、事務所の頼れる先輩の彩羽も同席していた。
「彩羽先輩も来てくれたんですか?」
俺が尋ねると顔を赤くしてプィとそっぽを向き
「ついでよついで、仕事終わりに竜崎さんが来てるから話してたらアンタの雑誌のお披露目っていうから、まぁ冷かしよ!ひ・や・か・し!」
そんな彩羽を見て鳳さんは顎にてをあてて首を傾げた。
「あら、彩羽?あんた今日は現場が終わる前から、【今日はつかれたから終わったらすぐ帰る】ってマネージャーに言ってなかったけ?」
茜に話をふられて、慌てて否定する彩羽を前の席で意地の悪い表情で見守る竜崎は
「茜wそれがね今日、雅くんの雑誌のお披露目があるよ?って教えたらね、自分も一緒に見ていい?ってw」
その竜崎の話の内容に少し驚いたが納得した様に竜崎同様に意地の悪い顔で彩羽をみて
「あらあらw何なに?w 彩羽ってもしかして・・もしかする??w」
「は?はぁ?なに勘ぐってくれてんの!、言ってるでしょ!冷かしだって!なんなのよ!アンタもこっち見んな!」
なんか様子を見てた俺に飛び火した。
その後、4人で雑誌のお披露目をしたが、4人は雑誌を見ると黙ってしまって、鳳さんと竜崎さんは何度も表紙と中の俺の写真を見比べて話込んでいた。
「ねぇ青葉・・・どう思う?・・・いくと思う?・・・」
「そうね・・もう最初に頼んだ分で初版部数で出すしか無いけど、重版は打診しとく必要があるかもね・・・上に掛け合ってみる」
「・・うちもプロモーション考えておかなきゃ・・・・それにしても・・名前と年齢しか載せてないのが救いね・・・でもすぐ他の事務所や局に割れるでしょうね・・・」
「・・・・そこは、あんたの腕の見せ所じゃない?ギリギリのタイミングで契約結べたのは良かったじゃない」
二人は、そんな話しながら、今後の事について話込んでしまい完全に俺と彩羽先輩は蚊帳の外だった。
「あのーー先輩?・・二人ともなんか深刻な話してますが・・・・なにか不味い事でもあるんでしょうか?」
「はぁーあんたねぇー明日からどうなっても知らないから・・・全く・・・これじゃ・・私・・・じゃない・・今後・・二人で・・・」
彩羽はなにやらブツブツと一人で考え込んでしまい、俺の問いかけには答えてくれなかった、明日なんか起こるとは言われたけど・・
その後、鳳さんと竜崎さんである程度話がまとまり、その場で解散となった。
鳳さんはタクシーで帰るように気を使ってくれたが、彩羽先輩が自宅の車で送ってくれるという事で今彩羽先輩の迎えの車で寮に向かってる。
「先輩、送っていただいて申訳ありません、それにしても大きな車ですねーーー運転手さんがとても遠いです!」
「まーねー て!あんたリムジンも知らないの?全く・・」
「すいません。車自体あまり見かけなかったもので・・・・・珍しくて・・・」
自分がいかに物を知らないのか痛感し落ち込んでしまう
「まぁ私のパパの車だしね・・・・私の物じゃないから・・・」
そう話す彩羽の顔は俺よりさらに沈んで見えた。
「先輩?どうしたんですか?何か困った事でもあるんですか?俺で良ければ力になります!なんでも言ってください!」
「・・・・そうね少し話しましょうか・・・大した事ではないけど・・時間潰しにはなるかもね・・・」
そういうと彩羽は少しだけ自分の事を話だした。
彩羽自己回想
私は四葉の家の長女として生まれた、四葉はこの国にいくつか有る古くからの名家の1つだ、家は代々海外との取引で財を成し日本でも指折りの企業をいくつも抱えている。
そんな私は小さいころから何不自由なく暮らしており、多忙な父とそれを支える母からも僅かな時間でも沢山愛情を注いでもらい育った。
家の中のお手伝いさんやお世話係りの人たちもとても優しく困った事や話し相手、勉強を教わったり、料理を一緒にしたり、外ではピアノ、舞踊、お茶、お花の習い事等忙しい中充実した毎日を過ごせていた。
その影響か少し、高慢な性格も周りのみんなの理解と愛情で、意固地にならずにいわゆる【ツンデレ】な扱いになっていた。
特に勉強は頑張った、私は小学校になると日本で最高の学校、東皇小学校へ通いながら習い事や勉強に励んだ、私が上手くできれば両親が家の皆がほめてくれた。
それが嬉しくてもっと頑張った・・・・しかし高校に上がった日、私は両親に呼び出された。
父から告げられたのは衝撃の事実だ
「彩羽、お前には婚約者がいる、お前が生まれるずっと前から決まった婚約者だ。」
父の発言に言葉を失って頭が真っ白になった、しかし父は温厚で優しいが冗談を言えるような人では無い。
「え?なにおパパ・・急に・・私そんな事・・・いわれても・・・」
突然の話で混乱する私に追い打ちのような話が続く