第49話 田舎王子の居ない所で許嫁集合する
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「うっうーっっん」
目が覚めたが此処は?うちの泊ってるホテルともちゃうし・・・
「あ、気が付きました?六橋さん!わかりますか? ・・・先生を呼んで来て下さい・・」
誰かが部屋の外に出ていくのが分かり、白くぼやけた中に亜麻色の髪の女性が見える
「あ、えーと・・三宗さ?うちどうしたんやぁ?」
「昨晩に私と凛ちゃん・・五十嵐さんの家の方に雅君が騒動に巻き込まれたって連絡が入ったので、五十嵐さんを乗せて公園に駆け付けた所、六橋さんを安全な病院についれていくように雅君に頼まれて三宗系列の大学病院まで運んだの」
「そうだったの・・あそこから、うちを抱えて・・・」
静流との一戦の後の事が分からないので三宗さんに聞いてみた
「三宗さん、手前勝手だけどあの後の事、おしてくれへん?」
少し言いづらそうにしながら三宗さんは事の概要を説明してくれた
「・・・そう、鬼道君が、前からうちや静流を見る目が怪しいとは思っていたけど・・こんな暴挙にでるとは・」
(鬼道の事は、六橋の家も七星の家も黙ってないだろう、特に七星側からすれば一団体の一道場に総代の孫娘が襲われたとなれば只では済まないだろう)
「それより、三宗さんから聞く限り雅さんの様子がいつもと違った事が気になるなぁ・・」
そう言うと、三宗さんは少し暗く落ち込んだ
【ガチャ】と音がして五十嵐さんが先生を連れて入ってきた、うちは五十嵐さんにも頭を下げてお礼を伝えた。
先生の診断が終わり、幸い骨にも内蔵にも異常は無く、本人が問題なければ本日にも退院して良いとの事だった。
「よかったですね、六橋さん大きな怪我にならずに済んで」
「おおきに、三宗さん五十嵐さん」
「私の事は凛でいいぞ、そのかわり私も空と呼ぶから」
「ああ、では私も恵美と呼んで下さい!空さん」
「こちらこそ、よろしゅうぅたのみますぅ凛さん、恵美さん」
【ガチャ】
今度は初めて見る二人の女性が病室に現れた、しかし直感で分かるこの二人も凛さんや恵美さんと同じ許嫁達だ
「初めましてだねw私は二階 詩織だよー みーくんの幼馴染wよろしくね、空ちゃん!」
「私も初めまして、雅と一緒の事務所でモデルしてる、四葉 彩羽だよ宜しくね 空」
私の目から見てもこの二人の美しさは頭一つ抜けてる、他の2人も各々魅力がある、愛らしさの恵美に、美しさでは断トツの凛
「うちの自己紹介はいらんようやしぃ、皆さんの事もお名前で呼ばせてもらいますぅ、よろしゅうぅ詩織さん彩羽さん」
当然、昨日の夜の件は二階も四葉も周知の事かと確認すると、二人は頷き肯定した。
「にしても、その鬼道ってゲス野郎は自業自得として、雅が心配ね、いくら許嫁を襲われたからといってそこまで暴力的になるのかな?」
彩羽はこの中では一番、雅さんと一緒に居る時間が長いのでその時の様子に違和感を感じてるようだ
実際、うちも少ししか一緒に過ごしてないが、とてもそんな暴力的な一面を持ってるとは思えなかった。
ふと、二階さんを見ると何やら考え事をしてるようだったので声を掛けようとした時
【ガチャ】
「静流!?」
『!?』
私の声に皆が反応して病室のドアの方を見やる、すると顔に数か所キズテープをした静流が立っていた。
静流はうちに向かって深く頭を下げる。
「すまねぇ!空!、アタイの勝手な行動でこんな事になっちまって!」
急な静流の来訪と謝罪に言葉が出ないでいると、
「貴方!よく顔を出せたわね!雅君にも空にもこんな怪我をさせて!」
恵美と彩羽も何もいわなくてもその表情から凛と同じ気持ちなのだと察した
「謝って済むとは思ってねぇけど!・・でも!すまねぇ!」
頭を下げたまま、静流は再び謝罪をした。
そんな静流と、うちらの間に詩織が割って入ると
「皆さん、ここは病室ですよ少し落ち着てはどうでしょう」
「詩織!あなたは腹が立たないの!雅君もこの子のせいで怪我を・
その後の言葉を言おうとした凛は詩織の表情を見て言葉を止めた
「腹が立たつ?えぇそれはもうw煮えくり返ってますよ?もし、みーちゃんの体の何処かにこれ以上キズでも残そうものなら、私が社会的にも物理的にも抹殺して差し上げますともw」
詩織の放つ、怨念めいたオーラにその場の全員が口をつぐんだ、詩織は「ふぅー」と溜息を吐くと
「しかし、彼女はみーくんが命がけで救った女性です、その彼女を断罪しては、みーくんの行動を私達で否定する事になりませんか?」
そう言い詩織は皆を見渡した、誰も詩織の言葉に反論できない
「それに、もし彼女を断罪出来るとしたらそれは、みーちゃんと空さんだけです、私達はただの傍観者です私達の怒りの源は、みーちゃんが傷ついた事とみーちゃんが彼女を命がけで助けた事への嫉妬です」
詩織のいう事は正論で事実だ、他の許嫁も勿論、うちも詩織の言葉を否定出来ない。
「そうやねぇ、詩織さんの言葉をそのまま借りると、静流と雅さんの決闘に勝手に割って入ってたのは、うちやしねぇ」
苦笑いをしながら、静流に殴られた箇所を撫でて
「うちも、静流に何発かいれたし、あいこという事にしときましょぉ」
そう言うと静流は申訳なさそうにしながらも、頭を上げた
「まぁ後、もう一人の当事者でもある雅さんの意見も聞きたいけどぉ、それは静流を救い出した行動で示してるしねぇ」
そう話し静流の表情を見て気付く
「ほぉう、西王の孤高のセブンスターも雅さんの前では只の恋する乙女だった、という訳ですかぁ」
恥ずかしそうに顔を赤くして俯く静流
詩織以外のメンバーも静流の表情をみて複雑な表情を浮かべていた。
「静流、この場でハッキリさせときましょ、あなたは雅さんの事をどう思ってるのですぅ?」
静流は俯き、両手の拳を思いっきり握ってから、顔を上げ真っ直ぐ他のメンバーを見て
「アタイは、雅の事が好きだ、その強にも引かれるけど、それ以上にアタイにはアイツに一生寄りそう理由が出来た!」
静流の強い意志の宿った言葉に頷き
「そう、うちも雅さんの事が好きになったんよぉ今回の事で、ますます好きになってしもぉたわぁ」
そう言うと、詩織さんは目を閉じて軽く微笑み、他のメンバーは真剣な表情で静流と、うちの事を見つめている。
「あぁそうや、恵美さん此処で六橋としても西王学園としても提案が有りますねん」
恵美が突然の話にキョトンとしてると、詩織さんが今日初めて狼狽えたような雰囲気を見せた。
「協定違反の特例の行使として、今度の合同体育祭の女子の部で両校の勝負をしましょ」
「勝負ですか?特例?というのは初めて聞きますが、6家の協定の事ですか?」
流石に頭が切れる、愛らしいだけではないという事だ
「ええ、貴方達は協定違反を行ってますので、六橋ともしかしたら七星からも違反に対する特例処置を要求します」
凜が分からないと言った具合で頭に?マークを出しているので
「ストレートに言います、本来なら6家が揃う前に雅さんに身体的接触を、してはならない事になっているにも係わらずあなた方は既に雅さんにキスをしてますね」
【 !? 】
詩織は悔しそうな表情をしているが、他のメンバーはお互いを見合って驚いている
「ですので、此方からの特例要求は合同体育祭の女子の部での勝負にあるものを賭けていただきます」
「!?っまさか!」詩織の顔が青くなる
「西王学園が勝ったら、一堂 雅さんには西王学園に転校していただきます!」
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