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田舎王子と6人の婚約者  作者: nayaminotake


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第38話 田舎王子と伝説大女優 白鳥 乙子

打ち合わせの翌日、今日は5月号のNEW発売日、今回は先月のような訳に行かなかった。

事前にスケジュールを組まれたいた為、朝から鳳さんに連れられて、やって来たのはテレビ局だった。


「時間が無いから、今日は局の衣装さんとメイクさんに任せるけどいいわね?」


問答無用で控室に押し込まれる


10分後・・・・・



鳳さんは俺を上から下までゆっくり視線を動かしながら

「出来た?・・・うん・・まぁ良しとしようか・・ほらキョトンとしないで!さっさと歩く!」

振り向くと、控室の衣装さんとメイクさんが真っ赤な顔でこちらに笑顔で手を振っていた、その様子を見た鳳さんは

「雅君?まさかあの子達に何もされてないでしょうね?」

鳳さんのご心配の通り、何かにつけて体を触られて最後には連絡先の交換をお願いされてしまったが、断ろうとしたタイミングで鳳さんは入ってきたのだった。

「いえ・・・特には・・」

軽く溜息をついた鳳さんは【Cスタジオ】と表示のある扉を開けると


「お待たせしました、鳳プロの鳳 茜と本日お世話になる 一堂 雅です」


そう言うと、その場に全員にむかって頭をさげた。

俺も慌てて後に続く

「お、鳳プロ所属の 一堂 雅と申します、新人ですが本日は宜しくお願いします!」


最初にプロデューサーさんとディレクターさんから番組の内容を説明された。

内容としては1対1のトーク番組で、進行役は超ベテランの伝説級の女優さんで関東の重鎮だそうだ、それに世界有数の自動車会社の会長夫人でもあるらしい。

そんな大物が鳳さんとも面識があり、今回の番組内での事も個人的に事前に申し入れしてるとの事で



「お膳立ては出来てるから、リラックスしてお話しすればいいよ、ただし失礼無いようにね!」



そんな話をしていると、奥の扉が慌ただしくなりスタッフにも緊張が走る、近くにいたプロデューサーもディレクターも心なしか汗をかいてる。

俺がきょとんとして見てると気付いたディレクターがそっと耳打ちしてくれた。

「・・・今回進行を引き受けてくれた、白鳥しらとり 乙子おとねさんは、滅多とテレビに出ない業界でもVIP中のVIPなんだよ・・・俺らみたいな雇われディレクターやプロデューサーなんか少しでも機嫌をそこねたら・・・」

俺もそっと小声で「そんなに怖い方なんですか・白鳥さんって」

プロデューサーから静かにしろ!的な視線を受け肩をすくめたが、最後にディレクターが

「ああ、噂によると・・世界的な自動車会社の会長相手にも遠慮なく怒鳴るというし、この業界で白鳥様に逆らって生きては行けないよ・・・とにかくご不興を買わないように・・な」

そう、最後に軽く肩をたたいてプロデューサーの元に戻っていった。



奥の廊下から声が聞こえる・・



【白鳥さん入られます!】


奥の防音扉らをインカムを付けたスタッフが開けて御付きの何人かが中央の人のメイクや打ち合わせをしながら入ってきた、肝心の白鳥さんが見えない

すると、一人のスタッフが俺の方を手で案内すると奥から白鳥さんが近づいてきたので、俺は頭を下げた。


「初めまして、僕は一堂 雅と申します、本日は・・【坊ちゃん!元気だったー!】・・は?」


そういうと、白鳥さんが思いっきり抱き着いてきた、白鳥さんの横顔は懐かしい人の顔だった。


「え?えっえ?・・音野ばあちゃん?」


「うんうん!坊ちゃん、おばあちゃん心配しとったんよーー」


俺だけでなくスタジオ全体が静まりかえっていた、みんな俺と音野ばあちゃんを見てる。


「な、なぁ、ばあちゃん、分かったから落ち着こ」


音野祖母ちゃんの背中をポンポンと叩いて、落ち着かせた。


「え、っと、ばあちゃんが白鳥さんと、いう事?なのかな?・・ん?」


自分でも整理できてない頭で言葉をひねり出す


「うんうん、世間ではそうだけど、本来の私は坊ちゃんのお祖母ちゃんだよ」


そう俺の手を取り嬉しそうにはしゃいでいる音野ばあちゃんに鳳さんが話かける


「あ、あのぉ・・大叔母様・状況が皆判っておりませんので・・少しだけでもご説明頂けないでしょうか・・」


いつもの鳳さんからは想像も出来ない、低姿勢でオドオドしてるようだ、俺との話を遮られてた、音野祖母ちゃんはスッと俺の前から奥の鳳さんの前に立つと


「ひっぃ」


鳳さんの顔が一気に強張った

「ほぅ、私の大事な坊ちゃんを、こんなただれた世界に引き込んだのは茜、お前かい?」

これは・・お爺ちゃんとの喧嘩で何回も見た祖母ちゃんが本気で怒ってる雰囲気だ・・・

【ヒィィーー】鳳さん以外の他のスタッフさん達も御付きの人たちも驚愕して震えていた。

「あ、あーばあちゃん?モデルの仕事も俺が自分で決めた事だし、鳳さん達を責めないでよ」

そう言うと、振り返り優しい笑顔で俺に「おーおー坊ちゃんはいつも優しいねーお祖母ちゃん嬉しいよー」


御付きの人が椅子を用意すると、音野祖母ちゃんは用意された椅子に座ったが、御付きの人に目配せすると青い顔をしてもう一つ椅子を祖母ちゃの横に用意して俺に座って下さいと懇願してきた。

皆さん立って仕事してるのに申訳ないと断ると、両手で祈りのポーズをして涙を浮かべてお願いされたので、皆さんに申し訳ないですと頭を下げて浅めに腰を掛けた。


「ところで、音野祖母ちゃんと鳳さんは知り合いなの?」

そう言うと、鳳さんが答える


「そうなの、音野様は現鳳グループの会長のお姉さんにあたるので、私からすると大叔母様になるの」


鳳さんは、出来るだけ音野ばあちゃんの視線に入らないように俺を盾にした位置で説明してくれた。


「でも、雅君の御祖母さんが音野様って事は、やっぱりあの時の契約書を送付した相手って・・」


そう言おうとした所で、奥から誰か現れた。


「ほぅ、雅よこんなところでも騒ぎを起こしているのか?困った奴じゃ・・」

照明の暗がりから出てきた人物は・・・





「爺ちゃん!!「ご苦労様です、豊虎会長!」・え?」



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