第4話 田舎王子先輩に気に入られる
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鳳 かえりの車中回想・・・
東皇高=東皇大学付属高等学校
小中高大までの一貫学校で、政財界の著名人を何人も排出してる名門校、関西にある西王学園と肩を並べる2大名門学校だ普通にエスカレーター以外では入学する事も困難な学校の
編入試験という物があるのかさえ知らないけど、そもそも編入した人が居るとか聞いたことない。
何を隠そう私と竜崎はこの学校の卒業生だ、私らは小中高大と一貫で進級してきたが途中から転入した生徒は居ない
もし、万が一編入試験が有ったとしても相当難しいはず、もしかして雅君てすごく賢い子なの?
何れにせよ、鳳プロでの初の男のモデルでしかも、かつて居ない程の逸材・・・しかしこの時茜は4月(3月末)に発売されるNEWが世間に与える影響を少し過少評価していたかもしれないと後に思い知る事になる。
雅視点・・・・
寮についた俺は、部屋の中におかれた段ボールを開梱し時間も時間なので生活に必要な物から優先に取り出し片づけた。
「服は・・・冬物はこのまましまっておいていいか・・・取り合えず春物から・・・ん?」
ふと見ると、春物の服の上に封筒が置かれていた。
(なんだ?ん?村長から??あらたまってなんだろ?・・・手紙?・・)
封筒の表裏を交互に見ながら確認すると表に【雅へ、この封筒は東皇高へ初登校する前に読んでおくように】とだけ書かれていた。
(まぁまだ2週間もあるし、あとでじっくり読もう、今日はもう疲れたからシャワー済ませて寝よう・・・明日も鳳さんに呼ばれてるしな・・)
そう自分を納得させて、雅は軽く途中で鳳さんに寄ってもらったコンビニという休まない24時間やってるお店でお弁当購入したのを食べて荷物の片付かない部屋の真ん中に布団を敷き眠りについたのだった・・・
・・・後にこの手紙を先に見て無かった事を少し後悔する事になる。
翌日は朝から、昨日にコンビニで一緒に購入したサンドイッチと缶コーヒーで軽く食事を済ませ荷ほどきの続きを始めた。
AM10:00時頃には、ある程度片付いたので、多少汗をかいた体を気持ち悪く感じシャワーに入る、するとリビングでスマホの鳴る音が聞こえたので腰にタオルを巻いてリビングに電話を取り電話に出た。
着信は鳳さんで、今から30分後に迎えにくるとの事、鳳さんと軽く通話をしながらリビングのベランダの方に歩いていくと丁度目の前の道を学生と思われる女性が歩いており目が合ってしまった。
目があった女生徒は、暫くおれの顔を凝視するとハっと驚いた様子で顔を真っ赤にして慌てて歩き去ってしまった。
「???どうしたのかな?」
雅は何故彼女が逃げ出したのか分からないが、走り去る女生徒は赤みがかったお下げ髪で分厚い眼鏡をかけていた。
シャワーでさっぱりした雅は身支度を整え、出かける用意が出来た頃に再び鳳さんから電話で寮の前に着いたとの事で部屋に施錠をして鳳さんと合流した。
鳳さんの運転するスポーツカーの車中でさっき走り去ったお下げの眼鏡をかけた女性の話をしたら、どうも俺の裸姿が不味かったらしくその事を逆に注意されてしまった。
何処で、盗撮されるか分からないから外から見えるところでみやみに裸にならないようにと・・・・盗撮?都会は怖いなと鳳さんの注意に反省した。
竜崎撮影スタジオではその日、NEWの中のインタビュー記事用の写真撮影を少しして、竜崎さんと数名のスタッフさんそして鳳さん入り撮影した写真を選定する事になった。
俺も選定に参加するように言われてみてるが、なにも分からない俺が意見出来るような雰囲気でも無く少し居心地の悪さを感じ打ち合わせのスタッフの一人に断りを入れ外の自動販売機へ向かった。
流石に自販機は井の中村にもあったが、都会の自販機はスマホでお金を入れなくても購入できるとの事で鳳さんに教わった方法でコーヒーを購入した。
「ほえーー都会はべんりだぁーーーこんなスマホのボタンを押したら、うめーコーヒーさのめんだで!」
自販機横のベンチに腰掛けて一息ついてると、自販機を利用しにきた女の子と目が合ってしまった。
「・・ちょっと?何?今休憩中なんだからサインとか握手とか遠慮してよね!」
なにやら、こちらを警戒してるようなので少し微笑んで首を振った。
「!?え、なに?まさかの同業者?こんな・・・見た事ない・・あんた誰?」
なにやら、人の顔をチラチラみては驚いた様子の女性から名前を尋ねられたので、出来るだけ丁寧に答えた。
「勝手に休憩してすいません・・僕、一堂 雅と言います昨日から鳳プロでモデルとしてお世話になってます。」
そう挨拶するとベンチから立ち上がり頭を下げた。
「!?え?茜さんの所に居るの?昨日から?・・・・男のモデルは初めてじゃない・・・」
鳳さんの事務所の名前を告げると驚いた様子だった
「あの、もし良ければお名前をお聞きしても宜しいですか?」
そう、伝えると若干不機嫌な様子になりムッと口を結び俺を指さした
「!?、え?あんた私を知らないの?うそでしょ・・・?」
かなり有名な方のようで、俺が知らなかった事に驚きと少し怒ってるようだった。
「すいません、昨日までテレビもあまり縁のない田舎で暮らしてたので世間の流行りとかに疎いので失礼があったなら謝ります」
そういうと、再び女の子に頭を下げた。
「はぁ?テレビも無いってどんな無人島よ・・・・まぁいいわ・・・私は、四葉 彩羽よ鳳プロの専属モデルしてるの!つまりあなたの先輩よ・せ・ん・ぱ・い」
なぜか高圧的な態度で、自己紹介されて俺は少し困った表情をしたようだ、四葉さんは自分の言い方をすこし言い過ぎたとおもったのか
「ま、まぁ、事務所の先輩としてなにか分からない事あれば何でも聞きなさい!特別に教えてあげるわよ!」
と、プイとそっぽを向いた、あまり良く分からないが隣のばあちゃんも昔は素直じゃない【ツン】という者だったと言ってたからそういう女性もあ居るのだと納得する事にした。
四葉さんは、鳳さんや竜崎さんと比べると若干背が低いが緑がかった髪をサイドにまとめて所謂サイドポニーという髪型だった、普段着なのか肩口の空いたニットを羽織りボリュームの少ないロングスカートでおしゃれに纏めていた。
着こんでいるのでスタイルは分からないが、モデルという事もあり他人を引きつける魅力があった、特にその緑がかったエメラルドのような瞳は一度みれば忘れられないそんな輝きをもっていた。
「それは心強いです、何かあれば宜しくお願いします四葉さん」
都会にきてまだ2日目というのに、頼りになる人とこんなに沢山知り合えて嬉しい気持ちがあふれ少し笑って答えた。
「むううう、私あんまり四葉の名前呼ばれるの好きじゃないのよね、この業界でも彩羽で売ってるから・・・アンタ少し気に入ったから彩羽って名前で呼びなさい!」
急に初対面のしかも美少女に気に入ったから名前で呼ぶようにいわれて、嬉しさから心臓が止まるかのような激しい鼓動になったが、せっかく仲良くしてくれるという先輩の言葉を無下に出来ないので
「えーーと、家の苗字お好きじゃないんですか? でもそういう事なら、これからは彩羽先輩と呼ばせていただきます!」
「先輩って・・まぁ私が言ったんだし・・まぁ・・・ええ!それじゃこれからモデルとしての心構えやテクニックをビシバシ指導するからね!」
俺からの名前と先輩呼びに気分をよくしたのか彩羽は満面の笑顔で俺に人差し指を突き出し可愛くウインクした。
「はい、よろしくお願いします、お近づきの印に僕にジュースをご馳走させて下さい!」
そういって彩羽が押そうとしたジュースの銘柄ををスマホを操作して購入した、ガコンとお目当てのジュースが出てくるとそれを彩羽に手渡す。
「まぁ今回はありがたく貰っておくけど、本当は稼いでる先輩が奢るのだからね!次からちゃんと私の返事を待ってから買うようにしなさい!これ先輩を敬う礼儀ね!」
なるほど、確かに村の中だと俺はいつも誰かに欲しいものを買ってもらってたな、このスマホもそうだし服も日用品も家電も・・・・そう言えば村の皆元気かな・・・段次郎じいちゃん(村の大工さんで武術の師匠)に言われた武術の稽古結局昨日できなかったから今日は多めにしなきゃな・・・
「・・・と・・・・きい・・・・ね・・・ねぇ!ちょっと!聞いてるの!?あんたさっきからスタッフに呼ばれてるわよ!早く行ってきなさい!」
少しぼーとしていたら、スタッフが表紙の写真も決まったから、今からみんなで食事に行くと呼びに来てくれたようだ。
「私も、今日は上がりで一緒に行くことになってるから、改めてよろしくね!雅!」
それから、スタッフの皆さんでデイズというファミリー向けのレストランに行きお腹いっぱいに少し遅いお昼を食べて解散した。
鳳さんは寮まで送ってくれると言っていたが、少し時間もあるし稽古もサボってるので寮まで歩いて帰る事にした。
田舎の道とは違い都会の空気は少し味気なく感じながらも、2駅間を軽くジョギングしながら帰宅してると初日に降りた最寄り駅の裏手側駐車所で数人が集まっていた。
なにやら揉めてるような声がするのでそちらを見ると、女性2名が男性が3名に囲まれて女性側はなにやら困ってみたいだ。