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田舎王子と6人の婚約者  作者: nayaminotake


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第33話 田舎王子 凛の両親と邂逅する

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車中の中では凜は俺の腕にずっとくっ付き、時折俺に頬ずりしていた。

ふと目の前に目線を向けると、運転手さんと目があってしまい運転手さんは親指を立ててウインクすると、後部座席との隙間が黒いすりガラスでふさがれた。

「・・・・・・・・・」


五十嵐と表札の上がった大きな門の前に到着すると、玄関の前には数人の使用人が待ち構えており全員が頭を下げてまっていた。

車から降りて、慌ててこちらも頭を下げると【お帰りなさいませ、お嬢様、若旦那様】と一斉に挨拶されたので

「本日はお招きいただき誠に・・・・・?若旦那??」

俺が頭に【?】を出していると、他の使用人は車から荷物を屋敷に運んでいた、凜に腕を引っ張られて俺は屋敷に入った。


外から見て想像してたより遥に大きな玄関ホールに驚いていると、奥からブロンドのどこか凛に面影の似ている美女が現れた。

『あなたが、雅さんですね凜がおせわになってます』

凜の親戚かな?しかもフランス語か・・・

『こちらこそ、凜さんには美味しいお弁当を作っていただいたり大変お世話になってます』

【いえいえ、凜もとても喜んで作ってますのでお気になさらず】

今度は、ドイツ語・・・・

【ところで、貴方は凜さんのお姉さんか従妹さんでしょうか?】

〈まぁお上手!そんな風に言われたの初めて!〉

今度はロシア語・・・

〈こちらこそ、礼儀を欠いていたら申訳ございません〉


「ちょっと!お母さん!雅君を試す様な事やめてよね!」


「!?お、お母さん!?えぇぇーー凛さんのお姉さんだとばかり・・・・」

凜のお母さんは満面の笑顔で俺に抱き着いてハグをしてきた。

その様子に凜は慌ててお母さんを引き離そうと、お母さんの腰を掴み引っ張る

「ちょっと!お母さん!なにしてんのよ!雅君からはなれてーーーー」


色々とパニックになりながらも、なんとかその場を収め俺は応接室に通された。



ソファーに腰かけ、周りのいかにも高そうな調度品を眺めていると、買ってきた食材を片付け終わった凛の母親が応接にコーヒーとクッキーを持って入ってきた。

「雅君はコーヒーで良かったかしら?」

「ありがとうございます、頂きます」

俺はお砂糖とミルクを断り、コーヒーの香りを確かめながら一口飲んだ。

「おおー美味しい、熟成豆ですね・・・」

凜のお母さんは嬉しそうに頷いた


「私、雅君の事を知りたいんだけど?オバサン色々聞いても良いかな?」

俺は構いませんよ?と答えると、凛のお母さんは色々な事を聞いて来た、幼少の頃の話や、何して遊んでたのか、得意な事は何か、好きな料理は何か、好みの女性のタイプはとか立て続けに質問を挟んできた。


「そう・・・好きな女性のタイプというのは分からないわね・・」

そう頬に手をあてて考えてるとふと思いついたように青い瞳を輝かせて聞いて来た


「じゃ!うちの凛ちゃんとかはどうかしら?とても綺麗だし、器量も良いし、最近料理を初めてメキメキ上手になってるし!何より最近めっきり女性らしくなってーーーーもーーう可愛いんだから!w」

俺に手を握ってぶんぶん振りながら嬉しそうに娘の自慢を話す

「ね、ね!もううちの凛ちゃんに決めちゃいなさいよ!私も雅君すっごく気に入っちゃった!なんならこのまま此処に住んじゃてもいいのよ!!」


「え、えっ、ちょっと、凜さんのお母さん・・・話が飛躍しすぎて・・・・」


凜のお母さんの妄想は止まらない


「あーんもう!凛と雅くんの子供なら、きっと可愛い事間違いなし!あーーーん男の子ならおばさんもう!あーーーでも、女の子もすてがたい!!!親子3世代でお買いもの・・・・あーーん」


呆気にとられる俺を他所に妄想が続くお母さんの後ろから部屋に入ってきた男性が

「こらこら、雅君にいきなりそんな事を言ったら迷惑が掛かるだろ?」




そう凜の母親を諭した、黒髪のモデルのような美丈夫がお母さんの隣に座った。


「初めましてだね雅君、私は凜の父親の五十嵐 洋一だ・・・エレン君の事だ、まだ名乗っても無いんじゃないか?」

洋一さんに言われ可愛く舌を出しておどけて見せる凜の母親はエレンと名乗ってくれた。


「初めまして、僕は 一堂 雅 と申します、凜さんにはいつもお世話になってます」

そう挨拶して頭を下げた。


洋一さんが俺を見る目は少し複雑に見えたが、暫く目を閉じてから


「雅君・・・君は許嫁達について、どこまで知ってるのかな?」

そう聞かれて、俺は素直に詩織から聞いた内容と村長からの手紙の内容を話した。


「そうか・・・御仁は、皆を悲しませるなと・・雅君には重い言葉だね・・・」


俺の心情を理解してくれたのか、洋一さんは再び目を閉じ考え事をした、その様子を見ていたエレンさんが手を叩いて

「でも、一番大事なのは雅君の気持ちと、許嫁達の気持ちだもん、あなた達はまだ若いしこれから色んな経験を積んでそれで決めればいいのよ!勿論うちの凛ちゃんを選んでくれてたらなおいいけど!」


その言葉に洋一さんも同意したのか、優しく微笑んでくれた


「しかし雅君、きみはうちの娘に大きな影響を与えてくれたよ」


その言葉に何故か背筋に冷たい物が走る


「いや、いい影響だよ・・・娘の君への想いの強さが、娘の弱かった心を生まれ変わらせたんだよ」

「そうそう、それに凛ちゃんを、あんな可愛い乙女にしちゃって!罪な子ねw」


そう笑うエレンさんと微笑む洋一さんは俺の目をみると二人揃って俺に頭を下げた。


「え、えっちょっと・・・なんですか?やめてください・・・困ります・・」


「「雅君、娘を救ってくれて本当にありがとう」」




二人の娘への深い愛情を感じ、井の中村の村長や音野さんの顔を思い浮かべる。



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