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パッチ思い付きで書いた小説です。気が向いたらどうぞ
老けた身体、流れゆく血、舞いつく灰。
何体目の勇者だろうか、千年以上たつともう思い出せない。感触も感情も何もない、少なくとも、生きてるうちはこの魔界は安定であろう。
勇者。それは大義名分でやってき、魔王という悪名で魔界を攻めに来る者たちが自ら示す職業名だ。この千年の間でずっと攻め続け、この手で何回も滅ぼした存在だ。
人間界が攻めに入る前からずっと知っていて、通常知識をして扱われるまでなる存在だが、我々から攻撃し、支配する理由は一つもない。食料も、住宅も経済、社会問題も変わらぬというのに、なぜ懲りずに我々を攻撃するのかがわからない。そのわけわからぬ理由のため、侵入されるたび強くなる勇者に対し長い間、ずっと持ち続けた。が、単純な寿命だ。最近となっては、侵入されたことですら感じ取れなくなった。このままでは、次の世代でこの守り続けた大地が滅びてしまう。
ただ、次の世代を期待するしかなかった。たとえ無理だと分かっていても。
これだけが唯一の無念で、最後の願いだ。
我が息子よ、どうか、どうか…
「ルスラ様、近居報告ですが…ルスラ様?…だっ…だれか!!ルスラ様が……」
1・女神の間
死んでしまった。それを心ではわかっていた。
魂の回廊であることもわかっていた。昔の文献によると、ここでは霊魂だけ存在する冥界が輪廻転生を行う場所、まるで星の川だと記入された場所だと思われるが…周りを見る限り、「私だけ」実体として存在していた。
身体が妙に軽く感じる。視界がある。腕も、足もだ。
真っ先に考えたのは、輪廻自体誰かに行ってもらう場所であるため、誰かが人為的に私だけ呼び起こしたとそう考えた。
このじじぃを呼び起こすのは一体…
「時の魔王、あるいは…賢君とも呼ばれた男。ルスラ=セーファニラ。貴方に大事なお話があります。」
そこにいたのは、女神のような存在であった。
だがそんなことも今この状況への困惑にかき消されていた。
「私を呼び起こすとは、神による勇者殺しによる裁定なのか?」
それしかない。いいやほかにも大罪を犯したことはあったが…果たしてどれだろうか
「いいえ、違います。」
「あなたを呼び起こしたのは、このままではこの世界ー魔界ごと滅んでしまうからです。」
これは驚いた。まさか、ほかの理由だとしてもことがあまりにも大きすぎた。
「その見解を聞こう。何故?」
「この世界は三つの次元により保たれています。人間界、魔界、そして冥界。ここはその冥界で、川のように二つの世界の間にいます。」
「人間界が魔界を欲しがるのは、領地拡大と名誉、そんなくだらないことですが、それ故に勇者の定義が崩れかけています」
嘆くような目つきをしながらも、彼女は話し続けた。
「「世界を守る故勇者」ではなく、「世界を支配するこそ勇者」。この考え方が人間界で勇者、そして魔界が勇者に対する定義を崩らせました。」
「私は待っていたのです。時の魔王、そして何千年を見届けた理念者がここに来るのを。」
「あなたに再び、世界を守ってほしい。」
そうと話は終わった。さて、これに対し私の返事はもちろん。
ノーだ。
「断る。何故すでに終わっていたこの世界を守らなければならない」
あえてきつく返した。もう疲れたのだ。人間も、それ以外も。
「あなたは願った。この大地を守りたいと。それが、最後の願いだったから、せめてもののあなたに頼るしかないなと、思ったからです。」
涙目ながらも、声を張り彼女は言った。
「私もそれぐらい長い人生を送り、この世界の片隅にひたすら美しく醜いすべてを見届けました。たとえそれが間違っていても、私は私の役目を果たしたい!だから…」
「…神族だよな。神ではどうもできないのか?」
「我々神族は冥界で輪廻を行い、不死であるだけでして…殺すため、戦うため、そして他界を影響する力のような力はないのです。故にこんな形で千年を待たねばと…」
ここまでくると、さすがに良心が傷んだ。断れない上、まさか自らの遺言に論破されるとは思わなかった。しかも、死後で。
「わかった。引き受けよう。ただし、衣食住と最低限のアイテム、武器は用意してもらう」
彼女がうれしそうに声を上げる。
「はい!あっでは…転送先は…ジルス村です。どうか、お気をつけて。」
「すまなかったな、きついことを当て続けて。」
私はさっきの無礼をこの女性に詫び、眩い光に包まれていくことを感じた。
行き先を期待し、すべてを終えた時の休息を待ち続けながら。
「あれ…マズイ、魔力転送が不完全、時間軸設定の失敗…このままでは…!!くっ…あああああ)))」
2・不可抗力にしては
目が覚めると、下に岩、そして剣をさかさまに持っていた。流れてくる神なる力に不安を覚え、怖くなって手を放してしまい、剣は多き音を立ちながら転がっていった。
周りには歓声を上げる声、そして青年らしい身体を持っていた自分がいた。感覚的には…約17ってとこか。
ただこの力には初代勇者に覚えがある。見る見るうちに流れてき、確信してしまったことがたっだいま一つあった。
これは、勇者の力だ。
私は勇者になってしまったのだ。女神からの贈り物か、あるいは何かの手違いでこうなったのか、とにかく不安だった。
かつて私は時の魔王だからだ。
まさしく、勇者と正反対の存在。たとえ新たな魂として、神に認められても、かつての私は魔王だ。
これでは剣の力が減ってしまう。
ひとまずそれはさておき、衣食住だけでもなんとかせねば…
村の者には少し退くように説得し、自らの家を案内された。どうやら、剣を抜けた衝撃で記憶喪失だと思われたようだ。
そこには必須の設備が思いつく限りあった。衣、食、住のまさに見本そのものだ。
最低限であれど、十分すぎるのだ。これはうれしかった。
少し上ったところで、一本の研ぎ澄まされたなんともない剣があった。
これが多分用意された武器なのだろう。そんなことを考えながら、後ろから青く光る、腕時計のようなものから女神の姿が現れた。
「大丈夫ですが?すいませんすこし手違いがあって…」
「問題はない。ただ、魔王の力がほとんど消え、あとは今さっき覚えてきたスキル以外と昔の記憶だけが残ってるようだ。」
「それならばいいのですが…すいません私のミスばかりで…」
「起きたことはしょうがない、このまま頑張ってみるよ。」
「あっ」
そうとまるいボタンらしきものに触れ、私は通信を閉じた。まずは情報収集とそのほかの装備もろもろと備えなければならない。
というわけで街近くの武器屋から訪れることにした。
「いらっしゃいませ!兄ちゃん一人か?」
歓迎されるいいご挨拶だ。魔界も人間界も変わらないものだな、商売は。
「ああ、良き弓と身軽な鎧が欲しい。」
家で用意されたお金で、私は店主を待ち隣にある看板を除いた。
「勇者選抜?しかも…中身的には徴兵令のようなものだな…これがまず一番の問題点だろうか」
「店主、これは一体?」
「ああ兄ちゃん、これを見たのか。これはだな、勇者になるため、実力者同志が争いあう大会だ。」
「前回おれも息子を送り出してやらせたが…噂も何も聞かないな…」
それはおかしい。いくら選抜だからって帰ってこれない理由は本物の勇者か兵士となる以外ないはず。
「これに次いでほかに何かあったりするか?」
店主は気難しいように、
「さぁな、中身は内密らしいからな。はいお客さん、弓と弓矢、そして身軽な鎧。その輝く剣で頑張って来いよ!!」
「…ああ、息子もいたら伝えてくるよ」
あまり深く考えるつもりはないが…どうもおかしい。
噂なしで帰ってこない、まるで失踪じゃないか。
兎に角、一大事という可能性もある。場所は…ファウナンス。300年…というより死ぬ前のな。
その時の勇者らしき人物が言っていた。その国の次なる勇者が、お前を殺しに来ると。
主催時間は三日後。女神によると馬車では二日ギリギリらしい。
早速旅立とうとした所、この村の長老にとめられた。
長い白髭、そして両端にしか髪がない。まるで禿げた昔の自分のようだ。
「待て。ここから先はいかせん」
気迫が相当なものじゃない。何かがある。
もしかして、何かやらかしたのか?
それとも、代々伝わる何かがあるのか?
「どういうことだ、長老。急いているというのになぜ?」
「…わしらは初代勇者の剣を守りし者。知らぬものに持ち運ばれるわけにはいかないんだ」
「それに、何故かがわからぬが、おぬしには魔の気配を強く感じる。時が凍えるようにな。」
何者だ。なぜ見破った。こればかり予想外で、ばれてしまったら今後の活動に支障が出てしまう。
しかも今、力がない。ここは逃げねば!!
「させぬか」
次の瞬間、謎の光に包まれ、急激に突きどばされた。視線が戻ったごろ、そこは崖だった。周囲には岩が包まれ、砕けることもできそうにない。
長老が声を上げ、その杖から刀を抜いた。
「答えよ外なるもの!!汝は何故ここに来た!!」
「説明ぐらいさせっ」
喋る暇もなく、長老はスキルを唱えながら走り、再び攻撃を仕掛けた。
【スキル:一閃!!】
そう声を放ち、眩い光と長老が一体化し、刃を持って突っ込んて来た。
昔効き目がなかったせいか、躱し遅れて左手の小盾で剣を受け止めた。ただそれでも厳しい。力の差は歴然。転生したばかりで、すべて一からやらなければならない。だから長い間、それを体験していないこと自体まずいのだ。
「ほれほれ反撃せんかじゃなるものよおおお!!」
【スキル:天斬】
次々と刃が飛んでき、竹藪が少しづつ切られ、倒れていった。
このままでは体力消費だけでやられる。仕方ない、反撃をするか。
【スキル:剣舞!!】
このスキルは通常攻撃を三連撃にする。それだけだが、はじく手数とすれば十分だ。
このまま近づいて武器を破壊し、無理にでも話を聞いてもらおう。
ただ…体が追いついていない。運動負荷で終わるのが先か、または破壊できるのかが先かで精いっぱいだった。
「ほう。やるのお、だが…浅はか!」
そうと首筋に殺気を感じた。ああ、戦いの感覚を取り戻しつつあった。前みたいな蹂躙ではなく、しっかりした戦闘だ。
瀬戸際に皮一枚かわし、大振りで追い払った。さぁ次はどうする?
一閃のあと隙か?それともごり押し突進か?今私の体がそれに追いつくか?
いいやどれも違う。予想外だ。予想外の攻撃を与える。たった一撃で決着がつく。これしかないと、私は相手に剣を投げた。
「ほう…それで素手で((」
「ここだ!!」
【スキル:神威】
このスキルは武器を装備しないものを条件とする。内容は…すばやく突っ走れる!!
相手の首筋を捕まり、地面に火事場のバカ力でぶつけた。そのまま鎧で追撃の剣で打払い、相手を完全に寝そべらせた状態で抑えた。
「聞け!!我はルスラ=セーファニラ、女神らしき人物に黄泉から呼び戻されし、世界を救うためここに転生した、今はしかない少年だ!!」
「そんなばかけたことを…!」
…さすがに急に襲ってくることに頭にきて、私は怒鳴ってやった。
「貴様も言っていたのだろう!!時を止めるようなことを!!その権限は私にしかない!!そしてたとえ私が魔王だったとしても力がない上、死にかけていたのだぞ!貴様の手によってなぁ!」
「感じたんだろう…謎の気配を」
彼はやっと目が覚めたように声を放った。
「ああ…信じよう。ただしあの女神の名前はシファンルアだ、覚えておけ、じじぃ」
「…中身はあんたより何千年より長くたってるんだ、凄腕の白髭よ」
2-s・ファウナンスへ
「で…いくのじゃろう?ファウナンス」
「ああ、旅道の中で治療しながら行くよ。あとあのことは黙ってくれ、でないと滅んでしまう。」
一応、女神とのデバイスを見せて証明したが、それを見て気絶し、説明まで時間がかかった。
老人はこういうのに弱いんだな。私も中身そんな年だけど。
「ここから行くのは危険すぎる…だがこの道しかない。わぁった。わしが南にファイヤフォージを放ち魔物を引き寄せる、安全に行くのじゃぞ」
さすがに昨日のが懲りて、声が穏やかで親切だ。
そんなことを考えながら私は馬車に乗り込み、ついに出発し始めた。ふと振り返ると、長老だけが見送って、それで南に魔物を確かに引き寄せた。
確かに、プロの腕前だ。ここからでもよく見える。
ここからが本番だ。少しでも強くならねば。
あの村のチーズケーキはいい。土産にしてはもったいないぐらいだ。それでも、魔王の力は使えない、そして勇者の剣を手に入れても勇者の力を使えない。あるのは一定のスキルと装備で、戦うのも限界をかじるぐらいだ。
「あそこによるか…」
・・・・・・・・NEXT
魔王が勇者、そして立場の逆転。
私にしては国政、そして考え方でくるような面白いものに仕上げてみたいですね。
続きほしかったら頑張ります。半分だけ頑張ります。ちょいとだけ…頑張ります。
ではでは