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第98話 ダークドラゴン

「相変わらず槍を使わせれば右に出る者はいませんね」


「これもマリス様にこの竜槍グングニルを頂いたお蔭です」


 竜槍グングニル。聞いたことがある。


 その槍の全てが竜の素材にて作られているという伝説級の武器だ。


 その強さは神器にも匹敵するとも言われている。


「貴方の働きに応えただけですよ」


 竜槍グングニル。確かに凄い武器だが、俺にも覇王のローブがある。


 飛竜(ワイバーン)を倒し谷を奥へと進んで行くと今以上に広い空間へと出た。


 何か嫌な空気を感じる。


「おいでなすったぜ?」


 図上から照らされていた照明光(ライト)の光が遮られる。


 目線を上に向けるとそこには体長10メートルに迫ろうかという真っ黒な(ドラゴン)の姿があった。


「くっ!」


 (ドラゴン)の口が開かれると俺に向けて真っ黒なブレスが放たれた。

「ちっ!」


 身体がブレスに包まれ後ろにジリジリと押されていく。


 やはり闇属性のブレスなため、俺がダメージを受けることはない。


 先ずは闇竜の能力値(ステータス)を確認してみることにした。

ーーーーーーーーーー

闇竜

職業なし

LV120

HP1500

SP380

MP270

力730

技450

速さ290

魔力210

防御650

[装備]

なし

攻撃力730 守備力650

[加護]

炎D 水D

風D 地D

聖E 魔B

光F 闇A

ーーーーーーーーーー


 想像していたより攻撃力は高くない。四桁くらいはあると思っていたが嬉しい誤算だ。


 これなら覇王のローブとマリスの強化(バフ)があれば、何発かは受けても死ぬことはない筈だ。


「マリス。私に魔力と速さ、それに物理防御を上げる魔法を掛けて貰えるか?」


「お任せを」

魔力強化大(ハイマジック)

敏捷性強化大(ハイアジリティ)

物理防御強化大(ハイプロテクション)


 身体に力がみなぎってくる。魔力のみに関してなら、俺と闇竜(ダークドラゴン)にそれほどの差はない。


 強化を掛けて貰った今ならそれなりにダメージを与えることが出来る筈だ。


火球(ファイアーボール)


 俺が放った魔法が闇竜(ダークドラゴン)へ向かい飛んで行き、そのまま身体に直撃する。


「!?」


 今、魔法が闇竜(ダークドラゴン)に当たる瞬間、炎が小さくなったような気がする。


 間髪入れずにもう一撃火球(ファイアーボール)を放つ。


 魔法は闇竜(ダークドラゴン)の首に直撃した。


 明らかに魔法は直撃しているのに、闇竜(ダークドラゴン)がそれほどダメージを受けているようには見えない。


闇竜(ダークドラゴン) HP1440/1500


 2発直撃したというのにいくらなんでもダメージが少なすぎる。


 やはり魔法が着弾する瞬間に炎が小さくなっているのは気のせいじゃなかったようだ。


「マリス。奴に魔法が当たる瞬間、威力が下がっている気がするのだが理由はわかるか?」


闇竜(ダークドラゴン)には炎属性半減技能(スキル)があります。炎属性による攻撃は全て半減されてしまいます」


 なるほどな。確かにあの能力値(ステータス)なら、俺が倒せる可能性がかなり低いなどという発言はしなかった筈だ。使える攻撃魔法の属性の面でも俺が振りになるからとわかっていての発言だろう。


 あの防御力では俺の物理攻撃でダメージを与えることは出来ない。


 ダメージを与えるためには魔法で攻撃をするしかないが、俺に使える攻撃魔法は火球(ファイアーボール)闇の弾丸(ダークバレット)のみ。


 むろん闇属性の闇の弾丸(ダークバレット)は論外。火球(ファイアーボール)での攻撃1択しかないとなると相当苦労しそうだ。


 ただ、ダメージを与えることが出来るということは、ひたすら当て続ければいつかは倒すことが出来る。


 再び魔法を放とうと構えると、魔法を打たせるのを阻止するかの如く、闇竜(ダークドラゴン)が突っ込んで来た。


「しまった!」


 完全に油断していた俺は、闇竜(ダークドラゴン)の体当たりをもろに食らってしまい、大きく吹き飛ばされて壁に激突する。


「がはっ!」


 そのまま下に滑り地面に尻餅をつく。


 何とか生きてはいるが死ぬほど痛い...身体がバラバラになりそうだ...。


「ロディ様!」

完全回復(フルヒール)!』


 マリスの回復魔法で身体が癒される。


 さっきまでの痛みが嘘のように消えていく。


「ロディ様! 大丈夫ですか!?」


「ああ、助かった..」


 それにしてもいくらなんでもダメージを受け過ぎじゃないか? マリスの強化(バフ)を受けてる上に、物理攻撃90%軽減の覇王のローブを着ているんだぞ。


「あの闇竜(ダークドラゴン)は特殊な攻撃技能(スキル)でも持っているのか? いくらなんでもダメージが大きすぎるのだが...」


強化(バフ)が掛かっているとは言え、ロディ様の防御力では受けられて一撃だと思われます」


「物理攻撃を90%軽減しているのに、これだけダメージを受けるものなのか?」


 マリスが不思議そうな顔をしている。


 何やら嫌な予感がするのだが...。


「私が掛けた強化(バフ)は魔力を上げる魔法と速さを上げる魔法。それから物理防御を上げる魔法だけで、物理攻撃を軽減させる魔法は使用していませんよ?」


「私の着ている覇王のローブの効果で物理攻撃と魔法攻撃90%軽減。それに状態異常無効が付いているのだが...?」


「確かに状態異常無効の効果は確認出来ますが、他の2つは発動していないようですが...」


 そんな筈は...。


 エレンに貰った時に確認した時は確かに表示されていた筈...。


 再び覇王のローブの効果を確認してみる。


《物理攻撃90%軽減》

物理攻撃を受けた時にダメージを90%軽減してくれる。


《魔法攻撃90%軽減》

魔法攻撃を受けた時にダメージを90%軽減してくれる。


《状態異常無効化》

状態異常に一切掛からなくなる。


 やはり以前同様に表示されている。


 いや...待てよ...効果が表示されているの下の方に追加で文字が表示されている。


《状態異常無効化》必要LV20

《物理攻撃90%軽減》必要LV40

《魔法攻撃90%軽減》必要LV50


 なんということだ...効果が発動するのに必要なLVがあるじゃないか...。


 今の俺のLVは26。物理攻撃90%軽減が発動するまでにはまだまだLVが足りてない。


「ロディ様? 大丈夫ですか?」


 事実を知り俺が呆然としているとマリスが声を掛けてきた。


 ダメージが1/10で済むと思っていたものが、駄目になったとわかったショックはかなり大きい。


「大丈夫だ。もし私がダメージを受けることがあれば直ぐに回復魔法を頼む」


「お任せ下さい。いざとなれば私が...」


「手を出すな! これは私の戦いだ。あくまでお前の役目は私のサポートをすることだ」


「申し訳ありません...」


 マリスが俺のために闇竜(ダークドラゴン)を倒そうとしてくれるのはわかる。


 だが、そんなことをすればトゥエントがケルティアに力を貸してくれることはなくなるだろう。


 かなり嫌だが、痛い思いをする覚悟は出来た。


 ここから先は俺が死ぬか、ダークドラゴンが死ぬまで終わらない戦いだ。


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