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第79話 マロウ鉱山

「マロウ鉱山まではどれくらいの距離なんですかね?」


「ここから30分も歩けば到着するぞ。それよりもミスリルを運ぶにはそれなりの物が必要になると思うんだが、そんな軽装で大丈夫なのか?」


 俺がミスリルその物を欲しいということもあり、獲得したミスリルはその場で半分に分配することが決まっている。


夜月(ナイトムーン)〗は運搬用にバーツが背中に大きなリュックを背負っている。


「あ、俺が異空間収納袋(マジックバッグ)を持っているので運搬に関しては問題ありません」


異空間収納袋(マジックバッグ)を持っているのか? それは凄いな。Eランクのパーティーで異空間収納袋(マジックバッグ)を持っているパーティーなんて、まずいないぞ」


 流石にクロードから貰ったと言う訳にはいかない。


 利便性から金銭的価値に換算すればかなりの金額になるというのはわかるが...。


「良ければ素材を入れたリュックは俺の異空間収納袋(マジックバッグ)に入れて、スタンリスまで運びますよ」


「いや。大丈夫だ。俺達も異空間収納袋(マジックバッグ)が手に入る予定だからな」


 異空間収納袋(マジックバッグ)が手に入る予定? 素材を持ち帰る前に手に入る予定だとすれば、鉱山内にでもあるということだろうか。


 ミスリルゴーレムのドロップアイテムで異空間収納袋(マジックバッグ)があるという話も聞いたことがない。






 スタンリスを出発して30分くらいが経過しただろうか。


 俺達の目の前に大きな鉱山が姿を現した。


 鉱山の入り口には2人の男女の姿がある。格好からするに彼等がギルド職員だろう。


「俺達はスタンリスでミスリルゴーレム討伐の依頼を受けてきた者だ。鉱山の中に入らせて貰うぞ」


 ザックが2人に自分のギルドカードを見せる。


「鉱山内にはミスリルゴーレム以外のゴーレムも出現しています。どうぞお気をつけ下さい」


 俺達は2人の横を通り抜け鉱山内へと入って行く。


 入り口には松明が炊かれていたが、少し入ると中は暗く何があるのかが全くわからなかった。


「ジェニー。照明光(ライト)の魔法を頼む」


「戦闘のためにMPはなるべく温存しておきたいんだけど、誰か他に照明光(ライト)を使える人は居ないかしら?」


 たかが照明光(ライト)の魔法を使うくらいそんなにMPを消費しないと思うのだが、余程消費が激しい魔法でも連発するのだろうか。


「私が使えますよ」


 マリスがニッコリと微笑む。


「丁度良いわ。どうせ戦闘に参加しないならお願い出来るかしら?」


 ここに着くまでバーツとジェニーとの会話はほとんどなく、どんな性格なのかもわからなかったが、今の言葉を聞く限りジェニーは何か嫌な感じだな。


「わかりました」

照明光(ライト)


 マリスが魔法を発動させると一瞬で鉱山内が明るくなる。


「凄いな。ジェニーの照明光(ライト)よりも全然明るいじゃないか」


「ま、まぁ魔法職の冒険者にとって重要なのは攻撃魔法で、補助魔法はあまり意味がないからね。いくら補助魔法が得意でも攻撃魔法が苦手なのは致命的だと思うわ」


 ジェニーにマリスの攻撃魔法を見せてやりたい。自分の発言が恥ずかしくなることだろう。


「これだけ明るければ不意討ちを受けることもないだろう。先に進むぞ」


 ザックを先頭に鉱山内を奥に進んで行くと少し開けた空間に出る。


「地面に注意して下さい」


 マリスの言葉に反応して全員が地面に意識を運ぶ。


 地面から震動が起こり盛り上がるとゴーレムが姿を現した。


 その数は5体。全て灰色の身体をした体長3mくらいのゴーレムだ。


「ストーンゴーレムだ。コイツらは物理耐性は高いが魔法耐性はそれ程高くない。魔法職の出番だぞ」


 ザックとバーツはストーンゴーレムに攻撃をしようとはしないが、俺は意思持つ剣(セルンクルード)の切れ味を試してみたい。


 鞘から剣を抜き1体のゴーレムに向かって走り出した。


「はあっ!」


 飛び上がりゴーレムの頭上に剣を落とした。


 剣は何の抵抗もなくゴーレムの身体を真っ二つに切断した。


「この剣凄い切れ味だ...」


 直ぐに2体目のゴーレムの元に向かうと、今度はゴーレムの腹に向けて剣を突き出した。


 剣はゴーレムの身体を完全に貫いた。


 意思持つ剣(セルンクルード)...想像以上に凄い剣だ。


 俺が2体のゴーレムを倒す間に、残りの3体はミラとジェニーの魔法によって倒されていた。


 ほとんどがジェニーの力によるものなのか、自慢気にしている。


意思持つ剣(セルンクルード)の切れ味を初めて見たが、本当に凄いな」


 戦闘が終わるとザックが俺の元に近付いてくる。


「はい。俺もビックリしています」


「羨ましいな。俺も抜くことに挑戦させて貰ったことがあるんだが、ピクリとも動かなかったんだ」


 今まで何人が意思持つ剣(セルンクルード)を抜くのに挑戦したかはわからないが、抜くことが出来たのは俺以外では1人しかいないらしい。


 意思持つ剣(セルンクルード)といわれてるくらいだから剣が喋ったりしないかと思ったが、流石にそれはないみたいだ。


「よし。先に進むぞ。ストーンゴーレムの素材で金目の物はない。回収する必要はないぞ」


 再びザックに続き奥へと進んで行く。


 開けた場所から狭い道に変わる。


 横に2人ギリギリ並べるかという広さだ。


「なぁ? ファヴァルが剣を打ってくれるってことは、余程のコネでもあるのか?」


 突然ザックがファヴァルの話を始める。


 ファヴァルが中々剣を打たないということは当然ザックも知っていることだろう。


「俺の母親とファヴァルさんが知り合いみたいで、ミスリルさえ用意すれば剣を作ってくれることになったんです」


「そういうことか...」


 実際エレンの息子ではなかったら、新米冒険者の俺なんかにファヴァルが剣を作ってくれるとは言わなかったかも知れない。


 鉱山を更に奥に進んでいると先程同様開けた空間に出る。


 ただ、先程とは違いこの場所は所々地面や壁が緑色に光っている。


「どうやらミスリルゴーレムがいるのはこの場所のようだぞ」


「え?」


「地面や壁が緑に光っているのは、ミスリルゴーレムの身体から剥がれた細かなミスリルの欠片の影響によるものだ」


 ザックが話終わると同時に地面に大きな震動が発生し、地面が割れ、そこから緑色に輝くゴーレムが姿を現した。


 大きさは先程のストーンゴーレムと同じく体長3mくらいの大きさだが、その身体は美しい緑の輝きを放っている。


「この剣ならやれる筈だ」


 俺が意思持つ剣(セルンクルード)を鞘から抜いた瞬間...。


「うぐっ...」


 背中に激しい痛みを感じてその場に膝を突いてしまった。


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