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第65話 1人での戦闘

 クレイアからトゥリアまでは徒歩で3時間程掛かる。


 歩いて行くには少し遠い距離だ。


「マリス。結構な距離を歩くことになるけど大丈夫かな?」


「大丈夫ですよ。もし宜しければ移動速度強化の魔法を使用しますが?」


「いや。今回は大丈夫だよ。いざって時には頼むことになると思うけど...」


「はい。その時はいつでも声を掛けて下さい」


 トゥリアに向けてクレイアを出発する。


 ここからトゥリアまでの道中で魔物(モンスター)に遭遇することもあると思うが、今日はヘクトルもミラも居ない。


 マリスの援護を受けることは出来るが、基本的には俺が1人で戦わなければならない。


 トゥリア近辺にはそれなりに強い魔物(モンスター)が現れることがある。


 勝てないような魔物(モンスター)がいることはないと思うが油断は禁物だ。


 クレイアを出発して2時間程経過しただろうか...。


 少し先に魔物(モンスター)達の姿が見える。


 ブラックベアが2匹にタイガーファングが1匹。


 ディルクシアで遭遇した時はマリスの攻撃魔法のお陰で簡単に倒すことが出来たが、今のマリスに攻撃魔法を使わせることは出来ない。


 幸いにも魔物(モンスター)達はこちらに気付いていないようなので、迂回をして進めば戦闘を行うことなくトゥリアに行くことは出来るが...。


 否! 俺はレベルを上げなければいけないのに、経験値を得られる機会から逃げるなどあり得ない。


 こちらに気が付いていないのなら奇襲を掛けて倒してやる。


 取り敢えずは動きの速いタイガーファングを仕留めるのが最優先だ。


「マリス。ここで少し待ってて。あいつらを倒してくるよ」


「お気をつけ下さいね。もしもロディ様が傷を負うことがあれば、私が直ぐに回復魔法を使いますからね」


「ああ。その時は頼むよ」


 モンスター達のいる場所の直ぐ隣には草木が繁っている。


 俺はその草木の裏へと回り込んだ。


 モンスターの近くに移動をして観察してみると、モンスター達は動物の死骸を漁っているようだ。


 後1分もすれば食べ終わってしまうだろう。


 食事に集中している今がチャンスだ。


 警戒された中でタイガーファングに攻撃を当てるのは難しいが、何かに集中している時なら俺でも当てられる筈だ。


 即魔法を発動出来る体制をとり草木から飛び出す。


闇の弾丸(ダークバレット)!』


 タイガーファングの頭を目掛けて放った渾身の魔法が...外れた...。


 完全に隙を付いて放ったにも関わらず避けられるなんて、それこそ普通に攻撃したって絶対に当たらないんじゃないのか...。


 俺に気付いたブラックベアが襲い掛かってくる。


 大きく腕を振り上げ、俺の頭上に降り下ろす。


「くっ!」


 ブラックベアの腕を横に転がりながら避ける。


 避けた腕が地面に叩き付けられると辺りに振動が起きる。


「危ない、危ない。あんな重い攻撃を受けたら一発KOだ...」


 俺が転がった先には、もう1匹のブラックベアが俺を踏み潰さんと右足を上げていた。


「やばっ!」


 俺は踏み潰されないように転がる向きを変えて元いた場所の方に戻った。


 そして直ぐ様立ち上がると地面に右足を付けたブラックベアの顔面を殴り付けた。


「グォォォー」


 ブラックベアにダメージは入っているようだ。


 こんな大きな熊に拳でダメージを与えることが出来るなんて〖拳神の祝福〗本当に凄いユニークスキルだ。


闇の弾丸(ダークバレット)!』


「グォォォン」


 俺の放った魔法がブラックベアの頭を貫いた。


 ドスーンと大きな音を上げてブラックベアが地面に倒れる。


「グォォォ!」


 仲間を殺されたもう1匹のブラックベアが俺に向かって突進してくる。


 怒りに任せて真っ直ぐに突っ込んでくるだけの敵を倒すなんて簡単なことだ。


火球(ファイアーボール)


 俺の放った魔法がブラックベアに当たるとブラックベアの身体が燃え上がった。


「グォォォ...」


 先程のブラックベアと同じ様にドスンという音を上げて地面に倒れる。


 残りは後タイガーファング1匹のみだ。


 タイガーファングがジリジリと俺に近付いてくる。


火球(ファイアーボール)』『闇の弾丸(ダークバレット)』『火球(ファイアーボール)


 3発連続で放った魔法が簡単に避けられる。


 俺の場合はMPに余裕がある訳じゃない。無駄撃ちを避けてここぞという時まで温存しよう。


 タイガーファングの動きが止まる瞬間。よく考えたらあるじゃないか。タイミングをミスればかなり危険だが、それ以外に有効な手段が思い付かない。


 ジリジリと近付いてくるタイガーファングに対してこちらもジリジリと近付いて行く。


 タイガーファングは俺が攻撃範囲に入った瞬間、俺の顔を目掛けて飛び掛かってきた。


 大きく口を開けて俺の頭を噛み砕くつもりなのだろう。


 だが、俺はこの瞬間を待っていた。俺に攻撃をする瞬間なら俺の攻撃を避けることが出来ない筈だ。


「これならかわせないだろう!」

闇の弾丸(ダークバレット)!』


 大きく口を開けたところに魔法を放つ。


 魔法を放つのが少しでも遅ければ俺の頭は噛み砕かれていたことだろう。


 だが...。


「ウォォォン」


 放たれた魔法はタイガーファングの口を突き抜け、喉から飛び出した。


 飛び掛かってきていたタイガーファングがポトリと地面に落ちる。


 よし! 討伐完了だ。


 ディルクシアで倒した時は素材を回収している余裕はなかったが、今は回収する時間がある。討伐依頼で倒した訳ではないが、魔物(モンスター)の素材は物によっては売ることも出来る。


 本来はその場で解体をして必要な素材だけを持って行くのだが、武器なしの俺には解体を行うことが出来ない。


 3匹を倒したそのままの姿で異空間収納袋(マジックバッグ)へと収納をした。


「ん? 勇者のレベルが?」


 どうやら今の戦いで勇者の職業レベルが2に上がったようだ。


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