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第49話 戦いの意味

 アレスの死を確信していた俺だったが、エレンの剣がアレスに触れることはなかった。


「エレン様。炎の勇者を殺してしまったら色々と面倒なことになりますよ」


 マリスがアレスとエレンの間に割り込むと、両手で魔法の障壁を作り出しエレンの剣を受け止めていた。


「危ない、危ない。つい殺っちゃうところだったよ。マリス。アンタのお陰で助かったよ」


 エレンが手のひらを広げると魔法剣(マジックソード)が消えてなくなる。


「な、何だ...あの女...あの闇の勇者の攻撃を受け止めたぞ!?」


「あの魔法障壁からは物凄い魔力を感じます...。私なんかとは比べものにならない程の魔力を...」


「一体何者なんだ? あれだけの実力を持っている人間がラウンドハールに居るなんて聞いていないぞ...」


 リックとハーヴェイは相当驚いている。


 当然この俺もだ。


 マリスの実力は知っているが、アレスと比べればそれ程の違いはなかった筈だ。それなのにマリスはエレンの攻撃を完全に防いで見せた。


「アレス様。大丈夫ですか?」


「あ、ああ、はい...貴女は一体...?」


「始めまして。私の名前はエリスと言って、エレン様の家のお手伝いをしている者です」


 姿が違うから大丈夫だとは思うが、一応マリスは偽名を名乗っている。


「アレス様ぁ!」


 シルヴィアがアレスの元に走って来る。


 シルヴィアもアレスが死んでしまうと思ったのか、その目には涙が浮かんでいる。


「アレス様! 大丈夫ですか!?」


「ああ、大丈夫だ...。私の完敗だよ...。これ程実力に差があるとは思ってもいなかったよ...」


 アレスの無事を確認したシルヴィアが今度はエレンの元へと近付いてくる。


「エレン様。少しお話し宜しいでしょうか?」


「なんだい?」


 2人はボソボソと何か話をしている。


 その声は小さく俺の元にまで会話の内容は聞こえてこない。


 2人が話しているので、俺はマリスに少し話を聞くことにした。


「マリス。マリスって本当に凄いんだね。さっき母さんの攻撃を完璧に防いでいたよね?」


「ロディ様が傍に居てくれましたからね。それにあれはエレン様の全力ではないですよ」


 まただ。俺が傍に居るから防げたとか、完全に精神論過ぎる。


「だったら先に言いなよ!」


 エレンの大きな声が聞こえてきた。


 その後、エレンは俺達の方へと歩いてくる。


「私、ちょっとバーナックに行って来るよ」


 どういうことだ? アレスと戦ってまでバーナックに行くのを嫌がっていたのに、コロッと態度が変わってるじゃないか。


 別にエレンがバーナックに行こうが、行くまいが俺には関係ないのだが、だったらこの戦いは何だったのだろうと思う。


「1ヶ月くらい帰って来ないかも知れないから、ロディのことは頼んだよ」


「はい。ロディ様のことはお任せ下さい」


「ちなみにロディが魔王をやっている時は、好きなだけアンタの力を使っても良いからね。何ならロディの敵は皆、アンタが殺っちゃっても良いから」


 エレンも極端だな。


 確かに魔王をやっている時は勇者としての職業経験値を得ることは出来ない。


 勇者の経験値にならないならということだと思うが、俺のレベル自体は勇者だろうと魔王だろうと共通なのだが...。


「わかりました。ロディ様を脅かす者は全て私が排除致します」


 どうやらマリスもその気のようだ。


 魔王である俺に敵対する相手となれば人間の可能性が高いのだが...。


「それじゃあ宜しく頼むよ」


 エレンがアレス達と共に村の入り口へと向かって行く。


「それじゃあ俺達は家に帰ろうか?」


「はい。今日から暫くはロディ様と二人きりですね」


 今まで数日エレンが帰ってこないということはあっても、一週間以上いなくなるなんてことは一度もなかった。


 まぁ、家のことは全てマリスが行っているので、エレンが居なくても困ることはないと思うが。


 エレンと分かれた俺達は家へと戻った。


 2人きりで食事を済ませると夜になりそのまま眠りへとつく。


 エレンが居なくても俺の日常が変わることはなかった。






 そしてエレンがバーナックに向かってから1ヶ月の時が流れた...。


 俺達闇の光(ダークライト)はひたすら冒険者ギルドの依頼を受け続け、全員がEランクへの昇格を果たしていた。


 そして今日がEランクに昇格してから初めて依頼を受ける日だ。


 もちろんマリス以外は全員それなりにレベルアップも果たしている。


ーーーーーーーーーー

ロディ

勇者 職業LV1

LV11

HP315(5%)

SP158(5%)

MP120

力137(5%)

技142(5%)

速さ147(5%)

魔力110

防御116(5%)

[装備]

なし

攻撃力137 守備力116

[加護]

炎D 水D

風D 地D

聖D 魔D

光S 闇S

ーーーーーーーーーー


 職業LVが1のままだが上級職ということもあり、仕方がないとは思う。


 俺は家の前で合流した2人のステータスを確認した。


ーーーーーーーーーー

ヘクトル

学者 職業LV2

LV10

HP240

SP86

MP0(9%)

力95

技73(2%)

速さ66

魔力0(4%)

防御76

[装備]

なし

攻撃力95 守備力76

[加護]

炎E 水E

風F 地C

聖E 魔E

光E 闇E

ーーーーーーーーーー


 やはり学者は勿体ない。せめて少しでもMPが上がってくれれば魔法を使うことも出来るのに...。


ーーーーーーーーーー

ミラ

魔道師 職業LV2

LV8

HP112

SP24

MP93(9%)

力39

技51

速さ68

魔力93(6%)

防御34

[装備]

なし

攻撃力39 守備力34

[加護]

炎C 水E

風D 地D

聖D 魔D

光D 闇D

ーーーーーーーーーー


 二人とも下級職のお陰もあって、職業LVは2へと上がっている。

 

 近い内に職業LVのアップにより覚えたスキルや魔法も確認しておこう。


 俺達がクレイアに向かうため村の入り口へ向かおうとしたところ、突然ティナに貰った首飾りが切れて、ケルパの実が辺りに散らばった。


「あっ!」


 俺が辺りに散らばったケルパの実を拾い集めていると、3人もそれに協力をしてくれる。


 何だかんだでティナに貰った首飾りは、あれからずっと身に付けたままだった。


「何で急にバラバラになったんだ...」


 首飾りをよく見ると糸の部分が完全に切れてしまっていた。


 この状態では身に付けることが出来ないので一旦異空間収納袋(マジックバッグ)へと収納する。


 そしてそのまま村を後にし、クレイアへ向かい歩き出した。


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