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第33話 護衛依頼

「う、うーん...」


「ロディ様。おはようございます」


 俺が目を覚ますといつもの様にマリスの姿がある。


「おはよう。マリス」


 俺は暫くぼーっとした後で、マリスの用意してくれた朝食を食べる。


 基本、食事は3人揃って食べるのが、わが家のルーティーンだ。


 食事を食べ終わった俺は準備を済ませると、クレイアに向かうべくマリスと共に家の外へ出る。


 外にはヘクトルとミラの姿があった。


「オッス! ロディ」


「おはよう。ロディ」


「2人ともおはよう。それじゃあ今日もクレイアに行こうか」


 俺達はクレイアに向かうべくテベルを後にした。


 クレイアまでの道中で魔物でも現れてくれれば、LV上げも出来て良いのだが、聖水の効果でそれは叶わない。


 当然クレイアまでの道中では何事も起こることはなく、クレイアに到着した。


 俺達は本日の依頼を受けるべく冒険者ギルドへと向かった。

 

 冒険者ギルド内はいつも通りに人で賑わっている。


「ロディ。今日は昨日よりも難しい依頼を受けてみようぜ!」


 昨日よりも難しい依頼となるとEランクの依頼か。


 俺も今日はEランクくらいの依頼なら受けても良いかと思っていた。


 俺が壁に張り出された依頼書から適当な依頼を探すと、Eランク指定の護衛依頼があった。


 指定日は本日で、募集人数は5~8人。報酬は1人150コル。


 クレイアからバストールまで商品を運搬する馬車の護衛依頼ということだが、Eランクで護衛依頼って結構難易度高くないか? 商品の運搬ということは盗賊達に襲われる可能性だってある筈だ。


 Eランクの冒険者には荷が重い気がする。


 この辺りに大人数の盗賊が出たという話は聞かないので、盗賊に襲われても2.3人なら大丈夫ということだろうか。


 クレイアからバストールまでの道中なら、強力な魔物が現れることもないし、Eランクでも十分だという判断なのかも知れない。


「2人とも、この護衛依頼を受けようかと思うんだけど良いかな? バストールまで行くことになるから、今日中にテベルに帰ることは出来なくなっちゃうけど...」


 テベルからバストールまでは徒歩で行く場合8時間前後掛かる。


 大掛かりな運搬ならば護衛役が乗る馬車も用意されていると思うが、Eランク程度の依頼なら馬車は荷物専用に使われることが多い。


「俺は大丈夫だぞ。父ちゃんには半年くらい帰って来なくても大丈夫だって言われてるしな」


「私も大丈夫よ。冒険者になったら何日か帰れない日もあるかも知れないって伝えてあるから」


「マリスは大丈夫...だね」


「はい! マリスの居る場所はロディ様が居る場所ですから!」


 俺は護衛依頼の依頼書を剥がして、カウンターへと向かう。


 カウンターには男性職員が1人と女性職員が2人。


 俺は当然、女性職員の受け付けに向かう。


 一昨日俺達の対応をしてくれた女性職員とは別の女性だ。


「この依頼を受けたいのですが」


「バストールまでの護衛依頼ですね? パーティで受けられますか?」


「はい。でも1人は同行はしても戦闘などに参加することは出来ないので、3人ということにして頂けますか?」


「わかりました」


 女性にそれほど驚いている様子はない。回復専門だったり、戦闘に参加しない人間がパーティーに参加していてもおかしくはないのだろう。


 パーティーとして1つの依頼を受ける場合は一括報酬として受け取るので問題はないが、人数で報酬が変わる場合はトラブルの原因にもなりかねない。


「ではギルドカードを提出頂けますでしょうか? パーティで受ける場合はパーティリーダーのみ提出して頂ければ問題ありません」


 前回依頼を受けた時はそんなこと言われなかったが、あれは職員の女性が俺達の情報を知っていたからだろう。


 俺は自分のギルドカードを女性に提出する。


「パーティー名は〖闇の光〗(ダークライト)パーティーリーダーはロディさんですね」


 女性は書類に色々と書き込んでいる。この依頼を俺達〖闇の光〗(ダークライト)が受けたという情報を記入しているのだろう。


「依頼の受注処理が完了致しました。依頼主であるローレンス商会まで向かって頂けますでしょうか?」


 ローレンス商会と言えばクレイアに拠点を置く、かなり大きな商会だ。


 武器や防具だけではなく、薬や雑貨、食料品まで様々な商品を取り扱っている。


「わかりました。それでは今から向かいますね」


 俺達は冒険者ギルドを後にすると、ローレンス商会へと向かい歩き始めた。


「マリス。今回の依頼は他の冒険者達と一緒に受けることになるんだけど、能力値(ステータス)の隠蔽は大丈夫かい? 流石にマリスの本来の能力値(ステータス)がわかれば何故、マリスが戦わないんだと言われそうだからね」


「もちろんですよ。ご心配でしたら確認してみて下さい」


 俺はマリスに視線を向け、頭の中で能力値(ステータス)と唱える。


ーーーーーーーーーー

マリス

賢者 職業LV1

LV11

HP120

SP60

MP60(10%)

力65

技63

速さ62

魔力60(5%)

防御55

[装備]

なし

攻撃力65 守備力55

[加護]

炎E 水E

風E 地E

聖F 魔C

光F 闇D

ーーーーーーーーーー


 流石に弱く隠蔽し過ぎな気はするが、それでもヘクトルやミラに比べれば能力値(ステータス)は高いな。


 まぁ、これくらいの能力値(ステータス)なら何かあっても頼りにされることはないだろう。


 俺達は暫く街を歩きローレンス商会の前へ到着した。


 中に入ったことはないが、大きめな建物の中に何店舗かの商店が入っているようだ。


 商店の外には1台の馬車と冒険者らしき人物が3人。それに商人風の男が1人立っていた。


 おそらくあの馬車がバストールへと向かう馬車だろう。


 俺は話をするため商人風の男の元へと向かう。


「すみません。冒険者ギルドからバストールへの護衛依頼を受けて来たのですが」


「ああ、待っていましたよ。私が冒険者ギルドに依頼を出したジムスです。貴方達4人で7人となりますので、準備が良ければ直ぐにでも出発したいのですが?」


「あ、すみません...。彼女は戦闘に参加は出来ませんので、3人ということでお願いします。もちろん報酬も3人分しか必要ありませんので」


 俺は予め商人にマリスのことを伝えておくことにした。


 トラブルが起こる可能性は、少しでも低くするべきだ。


「そうなんですね...。6人でも問題はありませんので、準備が宜しければ出発しても宜しいでしょうか?」


「はい。大丈夫です」


「ありがとうございます。それではバストールへ向かう前に、お互いの自己紹介だけお願い致します。貴殿方以外にも3人の冒険者の方が同行致しますので」


 3人とは今からバストールまで共に馬車を護衛する仲間になる。


 俺は先輩冒険者達に挨拶をしようと3人の前に立った。


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