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第3話 新たな名はロディ

 俺が眠りについてからどれくらいの時間が経っただろうか...。


 俺の名前を呼ぶ声が聞こえてくる。


「ロディ様。ロディ様。起きて下さい」


 誰かに身体を揺さぶられている感覚があるが、まだ眠い。もう少しだけ眠らせて欲しい。


「マリス。ちょっと退いてな」


「ですが、エレン様...」


「こんな大切な日に起きない様な奴にはこうするのが一番さ!」


「うぐっ!」


 突然激しい痛みを腹に感じると一瞬呼吸が止まる...。


 痛みにより目を覚ますと俺の目の前には俺の腹に拳をめり込ませている女性の姿があった。


 この女性が俺の母親のエレンだ。


 エレンは長い金髪で細身の身体付き。顔は正直相当の美人だが、その中身は男と変わらない...。


 乱暴で言葉使いも悪く、何かあると直ぐに手を出す。


 年齢は不詳で俺を産んでいることから考えて、少なく見積もっても30歳は越えている筈なのに、見た目は20代前半くらいにしか見えない。


 そのエレンの隣でおろおろとしているのがマリス。


 肩くらいまでの綺麗なピンク色の髪で、エレンと同じくかなり美しい顔をしている。


 赤ん坊の頃から俺の面倒を見てくれているのだが、マリスはその頃から全く変わってない様に思える。


 15年も経っているのに全く見た目が変わらないのは、余程特別な手入れでもしているのだろうか? こんなおろおろしているマリスだが、実は恐ろしい強さを持っている。


 俺はマリスを見つめ頭の中で能力値(ステータス)と唱えた。


ーーーーーーーーーー

マリス

賢者 職業LV8

LV110

HP1200

SP600

MP850(70%)

力650

技630

速さ620

魔力675(50%)

防御550

[装備]

なし

攻撃力650 守備力550

[加護]

炎C 水C

風C 地C

聖E 魔A

光D 闇B

ーーーーーーーーーー


 この世界では見たい相手に視線を向け、頭の中で能力値(ステータス)と唱えるだけで、相手の能力値(ステータス)を確認することが出来る。


 相手が持つスキルや魔法までは確認することが出来ないが、敵対した相手の実力を知るには十分だろう。


 ちなみに相手が隠蔽スキルなどを使っていると能力値(ステータス)を知ることは出来ない。エレンがそうだ。


 俺はエレンがどれ程の実力を持っているのかを知らない。


 ただ、マリスが私なんてエレン様の足元にも及びません。と言っているくらいだから相当な実力なのだと思う。


 マリス程強い人間にすら会ったことがないと言うのに、それを更に越えているとなると、人間の域を飛び越えている気がする。


 職業LVと言うのはその職業としてのLVで、MAXが10になる。


 職業LVが上がると魔法やスキルを覚えたり、能力値(ステータス)に掛かる補正が強くなるのだが、マリスのMPと魔力の右に付いている%というのが賢者の職業がもたらす補正のことだ。


 MPが850で補正が70%ということはマリスの元々のMPは500ということになる。


 そう、マリスの能力値(ステータス)は元々魔法型ではないのだ。


 マリスの場合は、そのずば抜けた戦闘力により、オールマイティーな能力値(ステータス)になっているが、全く魔法に長けていない者が天礼(レクシール)を受けて、授かった職業が魔法職だけだった場合は最悪だ。


 逆に魔法に長けている者が、天礼(レクシール)により1つも魔法職を授からなかった場合も宝の持ち腐れになってしまう。


 本日受ける天礼(レクシール)により授かる職業とはそれ程重要なものなのだ。

  

 ちなみに俺の場合は。


ーーーーーーーーーー

ロディ

職業なし

LV1

HP200

SP100

MP80

力80

技90

速さ90

魔力70

防御70

[装備]

なし

攻撃力80

守備力70

[加護]

炎D 水D

風D 地D

聖D 魔D

光S 闇S

ーーーーーーーーーー


 こんな感じでどんな職業に就いてもそつなくこなせそうな能力値(ステータス)ではある。


 攻撃力や守備力は力や防御に装備品の数値を足した数値になるので、今は2つとも同等の数値になっている。


「ロディ! やっと起きたのかい!」


「ぐうっ! いきなり寝ている息子の腹を本気で殴る母親がどこの世界にいるんだよ!」


「私が本気で殴ってたらアンタの腹は今頃大きな風穴が開いてるよ」


 冗談に聞こえないのが怖い...。


「ロディ様大丈夫ですか?」


 マリスが心配そうな顔をしながら俺をじっと見つめてくる。


 身体は15歳で子供の様なものだが、実際の俺は違う。マリスの様に優しくて美人な女性に興味が湧かない筈がない。


 マリスとは家族の様な関係なので、手を出したりはしないが、DTを卒業させて欲しいと頼めば喜んで相手をしてくれそうな気がする。


「ありがとうマリス。何とか大丈夫だよ」


 まだ腹は痛むがベッドから起き上がり、床に足を着けたところで家の入り口の方から声がした。


「ロディー、迎えに来たぞー」


「あれ? ヘクトルが迎えに来たけど、もうそんな時間?」


 ヘクトルは俺の幼馴染みで、本日はもう1人を含めた3人で城に行き、天礼(レクシール)を受けることになっていた。


「アンタがいつまでも起きないから時間ギリギリになってるんだよ! さぁ、とっとと行きな!」


「そんな...。まだ朝食も食べてないって言うのに...」


「そんな時間ある訳ないだろ! さっさと行かないともう1発食らわせるよ!」


 次に殴られたら本当に死んでしまうかも知れない。俺は急いで服を外着に着替えると家の入り口へと向かった。


「ロディ様。お気をつけて。本日はご馳走をお作りしてロディ様のお帰りをお待ちしていますね!」


 天礼(レクシール)を受ける=一人前になるという様なイメージだ。


 ご馳走を作るのには一人前になったお祝いという意味がある。


「ああ。楽しみにしてるよ」


 俺が家の外に出ると入り口の前には一組の男女が俺を待っていた。


「もう! ロディ遅いじゃないの! 今日くらいはしっかりして頂戴!」


 彼女の名はミラ。ヘクトルと同じく俺の幼馴染みで、一緒に天礼(レクシール)を受けることになっている。


 ミラは3日前に15歳になっていたのだが、誕生日が近い俺のことを待って、今日一緒に行くと言ってくれたのだ。


 綺麗な水色のショートカットで、顔も可愛く美少女の部類に入ると思うのだが、俺からすれば15歳とか子供にしか見えないので、恋愛対象からは除外している。


「俺は魔法が使える職業になれると良いなぁー」


 そう言ったのはヘクトル。見た目からして明らかに脳筋な奴で、魔法職など最も向いていないと思われる。


 ヘクトルの奴は半年くらい前に15歳になったのだが、面倒臭いという理由だけで天礼(レクシール)を受けていなかった。


 今回は俺達と一緒だからという理由で天礼(レクシール)を受けることになったが、正直かなり頭が悪い。


 まぁ、悪い奴ではないので今でもずっと仲良くしている訳だが...。


「村を出るのは久し振りだからちょっと緊張するわね」


「まぁ、クレイア城まではそんなに遠くないし、魔物(モンスター)も出ない筈だから気楽に行こう」


 俺達は天礼(レクシール)を受けることになっているクレイア城に向かうため、村の入り口へと向かった。


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