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第112話 少数精鋭

「流石にそれは危険過ぎるのではありませんか...?」


 アルロンが心配そうな顔をしている。


 流石に俺も3人で城の兵を全員相手にするつもりはない。


 考えがあっての提案だ。


「マリス。お前の魔法でアルバス兵に気付かれずに、街を探索することは出来ないか?」


 サウロスに気付かれずに近付き、魔物(モンスター)を呼ばれる前に倒す。それが双方共に一番犠牲が出ない方法だとわかっている。


 人数が少なければ少ないほど見付かるリスクは低くなる筈だ。


「5人くらいまでなら認識阻害魔法により、見付からずに侵入することは可能だと思いますが、流石にサウロスに近付けば気付かれると思います」


「近付ければ十分だ。後は一気にやればいい」


「しかし、ロディ様...。サウロスを倒した後はどうするのですか? 戦闘が行われれば城の兵士が集まってきます」


「私達が出発をした後、タイミングを見計らってお前も兵を連れてアルバスに攻めこんでくれ。お前達がくるまではマリスとトゥエントの2人に頑張って貰うしかないが、任せても良いか?」


「例え1000人居ようと私にお任せ下さい。必ずロディ様をお守りしてみせます!」


 トゥエントが自信満々に胸をポンと叩く。


 戦闘狂なのか明らかにワクワクした顔をしている。


「必ずロディ様の期待に応えます。いざとなれば私1人で城の兵士を全員相手にしてみせましょう」

  

 マリスなら本当に出来てしまいそうだから怖い。


「と言うことだ。とは言っても実際に2人に城にいる兵全員を相手にさせる訳にもいかない。アルロン、タイミングはお前に任せるぞ」


 早すぎればサウロスが大量の魔物(モンスター)を召喚してしまう。


 遅すぎればそれだけ俺達の命が危険に晒される。


 アルロンに任せればその辺りは大丈夫だろう。


「わかりました。くれぐれもお気をつけて」


「お前達2人はアルロンと共に行動してくれ。ここに残りたいなら残っても良いが...」


 エルザとフォルスの居場所だが、戦いが終わった後のことを考えたらアルロン達と一緒に居てくれた方が助かる。だが、戦う相手は自分の国の人間達だ。強制することは出来ない。


「わかりました。私達も共にアルバス城に向かいたいと思います。宜しくお願いしますね。フォルスさん」


「お任せ下さい。ロディ様が受け入れたのです。貴女方には指一本触れさせません」


 アルバス城に向かうためテントを出ると、そこにはエアリの姿があった。


「ロディ様。どこかに行かれるのですか?」


「ああ、今からアルバス城に行ってくる」


「3人でですか?」


 まぁ、当然の反応だろう。サウロスが街中で魔物(モンスター)を使うなんて話を知らなければ、この反応が当たり前だ。


 俺は今から行われることをエアリに説明した。


 意外にもエアリに驚くような素振りはなかった。


「それでは私も連れて行って下さい。必ずロディ様のお役に立ってみせます」


 エアリの気持ちは嬉しいが...。


「サウロスと戦うためには奴の特殊技能(ユニークスキル)で操られないないためにレベルが101を越えている者しか連れて行けないのだ...」


「え!? でもロディ様のレベルは...」


 痛いところを付いてくるな。


 確かに俺のレベルは101どころか、50にすら達していない。


「私はこのローブにより状態異常を受けることはないのだ」


 エアリが俺の前に右手を差し出す。


 その人差し指には青色の宝石が付いた指輪が見える。


「それならば私にはこの指輪があります。この指輪には状態異常に対する抵抗力を2倍にする効果があります。私のレベルは68。2倍になればサウロスに操られることはない筈です!」


 単純にその計算で良いのか俺にはわからない。


 しかし普段大人しいエアリがここまで言うのも珍しいな。


「マリス。大丈夫だと思うか?」


「はい。おそらくその指輪を身に付けている限りは問題ないでしょう。それに、もしもエアリが操られたとしても、1人だけなら私が何とかすることも可能です」


 だとすれば問題はないか。


「良いだろう。付いてくると良い」


「ありがとうございます」


 俺が夜営地の入り口へ向かおうとすると、トゥエントに肩を掴まれる。


「ロディ様。どちらに向かわれるのですか?」


「どちらと言われてもアルバス城に決まっているではないか」


「徒歩で行くつもりですか!? 流石に馬を使用した方が良いと思います」


 確かに移動に関しては何も考えてなかったな。馬を使えば、直ぐにアルロン達が出たとしても丁度良い時間になるか。


「ちなみにマリスの転移門(ゲート)で行くことは出来ないのか?」


「申し訳ありません。アルバス城は付近にすら行ったことがありませんので...」


「そうか...」


 俺は3人と共に渋々馬達が繋がれている場所へと向かう。


 マリスは俺が馬に乗れないことを知っているが、他の2人は知らない筈だ。


 馬のいる場所に着くとマリスが馬を3頭用意する。


「ロディ様は私の後ろにお乗り下さいね」


「待って下さい」


 マリスが乗る馬に俺も乗ろうとしたところで、エアリに制止される。


「ロディ様は私の後ろに乗った方が良いと思います。私の方が軽いので」


 確かにマリスよりはエアリの方が体重は少ない筈だ。


 マリスは痩せ形だが出るところは出ているナイスバディ。おそらく身長160中盤の体重40台後半と言ったところだろう。


 それに対してエアリは幼児体型。身長150チョイの体重は40キロ以下だと思われる。


 馬のスピードを考えるならエアリの馬に乗った方が良いのは確かだ。しかしそれをマリスよりも軽いからと発言するのはちょっとどうかと思う。


 幸いにもマリスの機嫌を悪くなったようには見えないので良かった。


「そうか...。では頼むぞ」


 俺がエアリの後ろに乗るとマリスが少し寂しそうな顔をした気がする。


 しかし、この状況でマリスの後ろが良いと言うわけにもいかない。


「それでは出発しましょう」


 俺達4人はサウロスを倒すため、夜営地を後にしアルバス城へと出発した。


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