第二章31話「アトリー・メルトリア」
アトリーは瑠花に強い憧れを持ってしまった、それは自分が求める圧倒的強さを持っているから
アトリー「よし、それじゃあ瑠花姉様が帝王神になるために一肌脱ぎますかね・・・」
琴理「おいおいおい!ちょっと待ちなさい!」
琴理がアトリーの襟をガシ!っと勢いよく掴む、
アトリー「何?早く瑠花姉様の力を取り戻してあげないと!」
琴理「一応計画があるんだから聞きなさい!というか姉様って!アトリーって何歳よ?」
アトリー「12歳だけど?」
瑠花「若!!地球だと小学6年生だよ!?」
アトリー「小学?意味はわからないけど、リリアが瑠花姉様や琴理と同じ15歳なら私は年下に決まってるでしょ?」
琴理「そうなんだけど・・・ってちょっと!!なんで私は呼び捨てなのよ!!」
アトリー「だって・・・なら琴理も私と勝負してみる?一応専属神契約が力制限が掛かっていてもちゃんと全盛期頃のイメージが出来るなら問題ないから」
琴理「いいわよ!上等よ!絶対に勝って私にも琴理姉様と呼ばせて見せるわ!!」
二人はそう言いながら椅子に座り、互いの額に手を当て、集中し始める。
瑠花「もう、中々先に進めないなぁ~~、でもアトリーちゃんが来てくれるなら安心して敵陣に入り込めるね!頼もしい!」
瑠花はそういいながら両手でガッツポーズを取る、そして二人の戦いが終わる間にキッチンに行き、残りのお茶を入れに行く。
瑠花は二人が感覚の世界で戦っている間、二人にイタズラをしていた
瑠花「ふふーーん!こんな無防備な姿を私の前で晒したらどうなるか!目にものを見せてくれよ~う!」
瑠花はそう言うとまず琴理の脇腹をツンツンと指でつつく、琴理はつつくたびにのけぞる、
その反応を見て瑠花は楽しくなり、次はアトリーの手を伸ばしている方の腕のワキを自分の髪の毛でくすぐる、アトリーの服装はワキ部分が露わになっているため、直接的なくすぐり攻撃になった。
瑠花「こちょこちょこちょ~~♪」
そうするとアトリーは笑い出し、そのまま琴理の額にかざしていた手を離してしまう
アトリー「あははははははは~~!何するの~~」
アトリーは顔を赤く涙目にして瑠花に訴えかける!
瑠花「ごめんごめん!ちょっと暇だったから出来心で♪」
瑠花は手を合わせて謝る、そしてその横で琴理がガッツポーズを取る
琴理「よっし!勝ったわ!!」
アトリー「ええ!今のなし!さっきまで私が有利だったわ!!」
琴理「途中まで有利でも最後に勝った方が強いのよ~」
アトリー「大人げないわよ!」
琴理「まだ15歳の子供ですーー!!」
二人が言い争い始めた
瑠花「ええ~、結局どっちが勝ったの?」
琴理・アトリー「私よ!」
二人の息がしっかり合った。
琴理「しつこいわね!そもそもあなたの武器攻撃を防いだ時点で大体貴女詰んでたじゃない!」
アトリー「あれは一番楽で効率の良い攻撃方法ってだけでまだまだ次の攻撃手段は沢山ありますーー!それよりそっちだって、私の【負荷支配】に押されて、後半では武器攻撃の勢いに負けてたじゃない!」
琴理「そこから巻き返したんだから文句ないでしょう!」
アトリー「だからそれは瑠花姉様の妨害があってーー!!」
瑠花「スト―――っプ!!ほら喧嘩しない!引き分け!とりあえずこの続きは目的の物が手に入った後にやったらいいんだよ!アトリーも一緒に来てくれるんでしょ?」
アトリー「はい!瑠花姉様!!瑠花姉様の強さの秘訣を得るまで私はいつまでもお供します!!」
琴理「いや、いつまでもはダメでしょ、家に帰りなさいよ」
アトリー「・・・いや・・・その・・・」
アトリーはいきなり歯切りが悪くなった。
瑠花「どうしたの?家に帰れないの?」
琴理「確かに特別な許可がなかったら天帝界に入れないけど、天帝界の住人のアトリーなら紹介状を書いてもらえればすぐに入れるでしょう?」
二人はアトリーに話しかけるが、アトリーは眼を反らし、気まずそうに俯く。
アトリー「あの・・・ですね・・・実は私・・・家出娘でしてね~~」
二人はアトリーの発言を聞いて呆れてしまった。
アトリー「別に粗相を犯したわけじゃないし!皆に不満があったわけじゃないのよ!ただ自分の可能性を知りたくて無理矢理天帝界から抜け出したから・・・その・・・」
琴理「威勢良く飛び出しておいてすぐに帰るのはカッコ悪いってことかしら?」
アトリー「・・・はい、そうだったりします・・・そこで【四天才女】って呼ばれる義母姉妹の誰かを倒したて自分もそれくらい凄いって証明できたらいいかな~~って思っててですね~」
アトリーは気まずそうに人差し指同士とツンツンしていた。
瑠花「成程!だからさっき私と勝負したかったんだ!それで泣いちゃったんだね!」
アトリー「うぐ!!だって想像以上に強かったんだよ!初めてだった・・・ここまで一方的に負けたのは・・・」
琴理「専属神や五光帝連合の皆さんとはどうだったのよ?」
アトリー「いや、専属神様達はちゃんと手加減してくれてたから・・・五光帝連合もその・・・だからここまで遠慮なくやられたのは初めてで・・・なんか自分の弱さを痛感したって感じかな」
アトリーは強く落ち込んでいた、だがすぐに笑顔を作り
アトリー「でも逆に目標も出来た!私はいずれ感覚の世界の瑠花姉様を倒す!そして私は落ちこぼれじゃないって証明して見せるんだから!」
アトリーは意気揚々と語る、そして二人はそんな年相応のアトリーを見て笑顔になる。
琴理「ならまずは経験を積まないとね!強い人と戦えば強くなるわけじゃないわ、多くの経験の積み重ねが自身を強くするものよ!」
そういうと琴理は二人の前に立ち、今から行う作戦の話を始める
琴理「さて!詰みだと思ってた砂惑星攻略に兆しが見えて来たわ!相手はサンドグレイの大群!そして目標の物は【砂神魂】これを入手する!」
琴理はバン!っと手で壁を叩く!
瑠花「はい!先生!配列はどうしますか!!」
琴理「いい質問ね!まず相手の情報だけど、サンドグレイ1体の戦闘力は大体約30万!そして数は10万体以上!そして厄介なのは集団で使う防御シールド!これは今の私の全力攻撃も簡単に防がれてしまったからかなりの堅さだと思うわ、今の瑠花だと突破は困難かもね」
アトリー「私が全部武器で瞬殺した方が早くない?」
琴理「おだまり!!そんなことしたら瑠花が成長出来ないでしょう!!」
アトリー「あ・・・すいません」
アトリーは再度拗ねてしまった、瑠花はそんなアトリーに「まぁまぁ」と慰める
琴理「そして配列なんだけど前戦にはアトリーが立ってもらう!能力は使わない!やるなら拳で!!」
アトリー「ええ!能力使ったらダメなの~」
琴理「そうよ!そもそもオーラ量の実力差はかなりあるんだから素手で片付けなさい!」
アトリー「なんで琴理が私に命令するのよ~」
アトリーは不満をつぶやきながら頬を膨らませる、それを横に居る瑠花がツンツンとつつき、アトリーの膨らませていた頬が萎んでいく
琴理「そして私と瑠花はアトリーが逃した残りのサンドグレイを一緒に叩く!オーラ量的にもサンドグレイ1体かなり格上の相手になるから瑠花は私と一緒に戦うわよ!」
瑠花「ラジャーー!!」
瑠花は日本警察の敬礼のポーズの真似をする、横で見ているアトリーは「え?なに?」という顔で瑠花を見る
琴理「とりあえず流れはこんな感じ!ちなみにアトリー!貴女は医療関係得意?」
アトリー「負荷支配で傷の負荷を弱めることは出来るけど、治すとなると無理かな!!」
琴理「使えないわね!私のお母様から何を教えてもらってきたの!」
アトリー「ええ、やっぱりなんか私にだけ当たり強くない?」
琴理は司令官ごっこを辞め、素のテンションに戻り話す
琴理「冗談は置いといて、とりあえずこの作戦の要はアトリー、貴女よ、貴女の力がないとそもそも成り立たない作戦だったんだから感謝するわ!」
アトリーは素直に褒められて不意に照れる
アトリー「ええ、いきなり褒められても~~、でもそう言ってくれるなら喜んで協力するわ!」
瑠花「よろしくね!アトリーちゃん!」
瑠花はアトリーの方に両手を置き笑顔でお願いする。
琴理(近い近い!私の瑠花が~~!!)
琴理「こほん!とりあえず今から30分後!作戦を実行するから各自準備してて!アトリーが居ると言っても相手は大群!前回瑠花が拉致された時みたいに砂漠の下からの行動も出来る、しかも気配を消す術をしっかり心得ている!割と厄介な相手であることを自覚しておくのよ!」
琴理はそう説明した後に一言加える
琴理「後、相手に知能があって、戦意が無かった場合!その時はそのまま話し合いに持ち込むわ、だからこっちは最初から敵意丸出しじゃなくて、あくまで話し合いで解決することを前提で行きましょう!それが駄目なら実力行使!わかったわね!」
瑠花「そうだね!争わないのが一番だし、話し合いで住むのが一番だからね!」
アトリー「そう?全員黙らせた方が早くな・・・アイタ!?」
琴理はアトリーの頭を軽く小突く
琴理「そんな物騒な考えは捨てなさい!あくまで互いに共存して、そして私達はそれを管理する側であることを忘れないように!今後も友好的な関係を築くのも帝王神として必要な資格よ!アトリーも周りに認めてもらいたいならそういうことをしっかり学びなさい!いいわね!」
アトリー「うう、わかったわよ~」
そして3人は各自準備を始め、扉の前に立つ
瑠花「よーーし!砂惑星攻略に行くぞ―――!!」
琴理「おおーーー!!」アトリー「おおーー?」




