第2章11話「自然惑星1」
瑠花と琴理を乗せた宇宙船は数分も掛からずに目的地に到着した。
瑠花「とうちゃーく!さあ琴理!じゃんじゃん行くよ!」
琴理「待って!ここでは装置系が使えないんだからむやみに進んだらダメよ!」
ハイネの町で瑠花達を助けた【転移装置】【宿泊装置】は帝国内限定でしか使えない代物のため、帝国以外の世界では使えないのである。
瑠花「ありゃ、それはまたこの試練が終わったら改良の余地ありだね」
琴理「まあ、それはまた今度瑠花に頑張ってもらうとして、それでとりあえず拠点はこの宇宙船になるわ」
瑠花達が乗ってきた宇宙船は生活する分には十分問題なく、宇宙船だけで10年は贅沢な生活をしても問題ないというレベルなのである。つまり拠点としては申し分ない。
琴理「医療装置、自動料理システム、全自動浴場、ほかにも色んな最新設備が入ってるわね」
瑠花「うん、だってこれだけあれば楽しい旅出来るでしょ?」
何度も言うが宇宙船は瑠花が開発した物である、故にこの宇宙船の好みはほぼ瑠花に沿っているのだ。
瑠花「とりあえずこの宇宙船は【帝国の破壊神の本気の一撃も平気で耐える】耐久力だから問題なし!、それにその星の住人の迷惑にならないようにと使用者が近づくまで透明化する【自動透明化システム】誰も中にいない!持ち運びたい時は縮小して小型化できる【ポケットシステム】も採用しております!」
琴理は改めて瑠花の凄さを理解するが、女である琴理から見ても美人でありまだ15歳と人で言うお年頃な年齢の女の子が機械や薬を発明したり、自分の作った機械を意気揚々と説明している姿を見て、琴理は「勿体ない」と心の中でため息を吐く
琴理「じゃあとりあえず私が最初に降りて様子を見るから瑠花は私が合図したら出てきて」
瑠花「了解であります!」
瑠花はそういうと元気に敬礼し、琴理はそのまま宇宙船の外に出る
琴理は宇宙船から出ると外は自然の空気、程よい湿度に気温、空気しっかりあるため、問題ない
空気中に変な毒素も混ざっていないのを確認して、琴理は瑠花を呼ぶ。
瑠花「うーーん!いい空気!私帝国より外の世界は初めてだけど雰囲気がガラッと変わるんだね~」
瑠花は背伸びしながら宇宙船から出てくるそして、今まで見たことない大自然を目の当たりにして気分が高揚する
琴理「感動してるところ悪いけどさっそく素材探しをするわよ、まず最初は【世界樹の涙】」
瑠花「【世界樹の涙】は自然惑星に生息する天を貫く大きな大樹、【世界樹】の一番の栄養素が高い部分、つまり世界樹の全根っこが一番最初に集合する栄養素が一番濃密な場所、【世界樹の最下層】にある、だよね」
琴理「そう、知識だけは本当凄いわね、さすが技術開発部隊の副総長!」
琴理は軽く瑠花をほめる、瑠花も顔を赤くして「えへへ~」と照れる
琴理「それでなんだけど、一度私が取ってくるわ、試したいことがあるの」
琴理がそう提案した。瑠花はあまり理解はしていなかったが琴理も考えがあってのことと思い、賛成する。
瑠花「うん!よくわからないけどいいよ!それじゃあ私ここで待ってるね!」
琴理「多分数分も掛からないわ」
そういうと琴理は全速力で向かう、そして1分後に帰ってくる
瑠花「わお、早いね、そんなに簡単だった?」
琴理「う~~ん、私は問題ないけど瑠花はかな~りきついかも」
琴理は少し苦笑いをしながら宇宙船から持ってきていた小瓶に入れた【世界樹の涙】を見せる
瑠花「おお!原産地では初めて見るよ!やっぱり綺麗だよね~」
琴理「瑠花、この瓶を持ってみて」
琴理はそういうと瑠花に小瓶を手渡す、そしてそのまま瑠花は琴理から小瓶を受け取るが、その瞬間小瓶が割れてしまった。そして小瓶の中に入っていた【世界樹の涙】が完全に消滅したのだ。
琴理「やっぱりね・・・」
瑠花「なるほど・・・」
試練者以外が先に素材を触った状態で試練者が素材を手に入れると完全に消滅するのである。
琴理「つまり目的地に到着しても瑠花が最初に触らないといけないってことね、瑠花、わかった?」
瑠花「うん、大体予想は出来てたけどちゃんと試練者が自ら手に入れないといけないってことだね」
琴理「あとは瑠花が先に手に入れた物を後から私が触れた場合、あと他の試練者が触れた場合はどうなるのか?そこを調べたいところだけど」
琴理はこの試練の特徴を理解しようとしていた
例えば瑠花が【世界樹の涙】を手に入れる、だが他の試練者も同じ【世界樹の涙】を探している。
他の試練者が瑠花の素材を触った場合どうなるのか?
消滅したら妨害になる、消滅せずに奪われる場合、強奪戦の可能性がある。
琴理「【世界樹の涙】みたいに何度でも入手可能の素材ならいいけど、Sランク素材みたいに一定の条件じゃないと手に入らなかったり、数が極端に少ない素材を手に入れた場合のことをも考えないとね」
瑠花(琴理は本当頼りになるな~、すぐにこの先のいかなる可能性や想定を考えてリスクを理解しようとする、私は考えなしに進むから琴理みたいに警戒してくれる人がいれば私も安心だよ)
琴理「瑠花?聞いてる」
瑠花「ごめん!聞いてるよ!世界樹の涙は目的地に行けば結構手に入るんだよね?なら現地で確かめてみようよ!ちなみに世界樹はここから大体何キロくらい離れてるの?」
琴理「ここから2800キロくらいかしら?」
瑠花「おう・・・」
・・・・・・
瑠花と琴理は瑠花のペースで目的地に向かっていた。だが帝国の整備された道とは違い、自然惑星は木々や沼、川と多くの障害物がある、そして何より、ここは自然惑星、虫や野生の生き物が生息しているのである。
瑠花「うわあ!色んな虫がいるよ!あ!あの虫見たことある!いい素材になるんだよ!ああ!あの動物乗りたい!ねえ!ねえ!琴理琴理!」
琴理(なんでこの子虫とかこんな環境で喜んでんのよ!!普通女の子なら嫌がるでしょ!!やっぱり瑠花は少しずれてる・・・でも喜んでる顔も可愛いからよし!!)
琴理はムフフ~とニヤニヤしながら走る、瑠花はあたりを目をキラキラさせながら進む、だが問題はあった。
瑠花「あた!!?」
瑠花は所々反応が遅れて木にぶつかったり、足元の泥に足をすくわれてこけたり、足元の木の根っこに足を躓かせ転げたりと体中泥だらけ、傷だらけになっていた
琴理「ぎゃああああ!!瑠花!!ちゃんと目の前に集中して!瑠花の透き通った綺麗な肌が!!」
瑠花「大丈夫!大丈夫!なんか楽しいし!!でもちょっと服は着替えたいかも・・・」
琴理「宇宙船出すわ、とりあえず医療設備で傷を治して、お風呂に入ってから着替えてきて」
瑠花「え?どうせすぐ汚れるよ?」
琴理「それでも!せっかく着替えるのに汚いままだとダメでしょ!女の子は常に身なりを意識しないと!」
瑠花は「は~~い」と言いながら宇宙船の中に入る、
琴理「本来の瑠花の反射神経はとんでもないから多分ちゃんと集中したら問題ないはず、まあ多分今は無意識感覚で今までの間隔とズレがあるからぶつかるんでしょうね、この移動中で回避力や反射神経を身に着けれたらいいわね」
琴理は瑠花が準備している間、帝国に引き続き瑠花の今後の方針を考えていた。
そして数時間後、瑠花は動きやすいジャージ姿で現れる
瑠花「むっふーー!準備完了!これで走りやすいね!」
琴理「それじゃあ進みましょう、障害物があるから帝国の時よりはスピードが落ちてのよ」
瑠花「そっか、なら徐々にスピードを上げて、追いつくから」
瑠花は琴理に言う、琴理も瑠花がやる気になり、いい傾向だと思いながら
琴理「OK!1ならきついと思うけど頑張ってついてきて!」
琴理はそのまま世界樹に向けて移動する、瑠花も琴理を追って移動する
瑠花(さっきは周りに夢中になってたけど、今度はちゃんと前見て進まないとだね、あと足元の状況も把握しながら障害物を避けて進む、意識の広さ、応用力をここで身につけないとね)
瑠花はそう考えながら、進む、だが帝国の頃とは違いすぐに体力が尽きてしまった。
瑠花「はあ、はあ、はあ、はあ、なんで・・・」
琴理「帝国はただ走ればよかった、でもここは障害物がある、スピードも出してるから相当集中しながら進んでるから体の限界も早いのよ」
瑠花「なるほど・・・これはきついや、今何キロほど進んだの?」
瑠花は琴理にそう聞くと琴理は少し難しい顔で、「50キロ」と答える。
瑠花は帝国で走ってた頃に比べて圧倒的に遅いのと、体力の消耗が早いという現実を目の当たりにして、現実を理解する。
琴理「とりあえず今日はこのくらいにしましょう、初日だもの、辛いのは仕方ないわ」
琴理は瑠花に手を差し伸べ、小さくしていた宇宙船を出し、中に入る。
【自然惑星 1日目終了】




