第2章2話「目先の目標」
【50-100 ハイネの町 21日目】
瑠花と琴理が専属神について話した次の日、二人はいつも通り次の町に向かっていた。
瑠花「ねえ、あと何キロくらいあるのかな?結構な速度で走ってると思うんだけど」
琴理「もう少しかな、大体あと数千キロくらい、今のペースなら少し無茶をすれば辿り着くペースかな、どうする?休む?」
瑠花「いいや、これ以上琴理を待たせるわけにはいかないもん!今日中に辿り着く!!」
瑠花は闘志を燃やしていた、最初は数キロ歩くだけで死にかけていたが、今はオーラも全盛期に比べれば極少数だが、それでも体で覚えてるオーラの使い方のおかげで、少量のオーラ量で時速150Km近くの速度を一定に走ることができるようになっていた。時間もその速度なら半日は持つ、
瑠花「せっかくだし少しペースを上げよっか!」
琴理「私は良いけど瑠花は耐えれるの?」
瑠花「多少無茶な事しないと中々成長できないでしょ?」
瑠花は琴理にガッツポーズをして見せる、そして
瑠花「わかったの、現実は甘くない、あのERRORとの闘い、私達はずっと帝国の一番安全な所で育った温室育ちで、才能や地位に恵まれてたから、そういう苦労は全くしていなかった。だから今は凄く痛感してる、甘くないとわかったからもっと頑張らないとって思ってるんだ」
瑠花は真剣な顔で語る。
瑠花「それにリリアちゃんはもう試練を受けてる!ということは均衡も崩れたってことだし、他の帝王神候補の皆も動き出す可能性も高い、なら私も少し無茶してでも頑張らないと!」
琴理「そうね、でもこの試練は別に早い者勝ちじゃないのよ、それに皆が皆試練をクリア出来るとも限らないわけだし、スタートダッシュが遅かったくらいで慌てる必要はないわ」
琴理は瑠花をなだめる、琴理からすれば確かに瑠花にはいち早く力を戻してほしい、いつ何時バルのようなERRORや、それ以外にも困難が訪れるかわからないから。だが修行は無茶をし過ぎても逆効果なのだ、アニメや漫画のような過酷なトレーニングさえすれば強くはなる、だがそれは基礎体力、筋力、過程があっての話、瑠花はまだその段階ではない、筋肉や体力はオーラで誤魔化せては居るが、一般人類とそこまで大差ない、むしろまだ華奢なくらいなのだ、だからまだ琴理からしたら瑠花に無茶な修行、トレーニングはさせたくないのだ。
琴理「でもとりあえずわかったわ、なら少しペースを上げましょう、でも言っておくわね、多少疲れても我慢すること、本当に倒れそうになったら言って、その時は休憩を挟むわ」
瑠花「ラジャーー!!」
こうして二人は速度を上げて再度移動を再開する。
・・・・・・・
帝国
リリアは専攻部隊の休止の手続きと引き継ぎが完了し、晴れて本日から本格的に帝王神候補の試練を受けることになった。
リリアが選んだのは試練の監督者、天帝神王パトの10人の専属神の1人、
第十専属神 創成と幸運と司る神 四季 月花
の元に向かっていた。
四季 月花は瑠花の母親、四季 雪花の実の姉、つまり瑠花にとって叔母に当たる人物であり、
技術開発部隊の元上司でもある。
四季 月花の今の所属は帝国管理部隊総長、つまり政治や法に関する部隊の長を務めている
だが昔、瑠花がまだ幼い頃は技術開発部隊副総長として瑠花に多くの技術開発による知識を教えた人物でもある。
リリア「お母様や瑠花も最初は月花様の試練を受けようと言っていたし、僕も二人の助言に従ってみた方がいいのかもしれないね」
リリアはそう言いながら、月花に元まで足を運ぶ、そして月花の居る部屋に辿り着き扉を開ける。
月花「あら、リリアじゃない、まず私の所に来た試練者第一号はやっぱり貴女だったわね」
月花は微笑みながらリリアに話しかける。
リリア「はい、月花様、僕に帝王神候補の試練を与えてください、必ずこなして見せます」
リリアは月花に堂々と、何一つ怯える事なく、真っ直ぐに意思を伝える。
月花「いいわよ、それじゃあ私の試練は・・・」
月花はリリアに試練の内容を話す、そして、
リリア「そ、それは・・・・」
リリアは月花の試練に困惑する、リリアは常に堂々として、凛々しく、何事にも臆さないそんな人物だ、だがそのリリアが月花の試練の内容で困惑する。
月花「じゃあ、行ってらっしゃい!お土産はそうね~、美味しい物なら何でもOKよ♪」
だがそのリリアの姿を見ても尚、月花は動揺することなく話を続け、そして一方的に終わらせる。
リリア「失礼しました・・・」
リリアは月花の居た部屋から出て再確認した。
リリア「何が一番良心的な試練だ、初っ端から最悪な試練じゃないか・・・」
リリアは母親の言葉が少し信じれなくなった、もしくは母親、メリアの発言に偽りがないのだとすれば、これは9つの試練の中では序章、一番簡単な試練なのかもしれないと最悪の可能性を考えながら、試練のために帝国から旅立つ準備を始めた。




