第1章15話「月詠 琴理2」
琴理のトレーニングは理にかなった内容で、瑠花に無理させない程度から始めた。
琴理「ねぇ、瑠花、聞いていい?」
瑠花「どしたの?改まって、告白?チューする?」
琴理「違うよ!!この帝王神様の試練ってオーラとか能力、それに纏わる記憶とか、感覚を奪われたんだよね?」
瑠花「うん、そうだけど?」
琴理「それってさ、本来体に備わっていた筋力とかは奪われてないんじゃないの?」
瑠花「だね!そこまで奪われてないよ?確認してみる?」
琴理「そんなのいいわよ、どこ確認させるつもりなのよ」
瑠花「二の腕だけど?」
琴理「二の腕!?第2のおっぱい!?」
瑠花「はい?」
琴理「確か瑠花って胸囲Dになったんだよね?」
瑠花「そうだね、動きにくくて得することないけどね」
琴理(わ、私はやっとCに入ったばかりなのに!?)
瑠花「いや、というか私、そんなに二の腕大きくないよ。」
琴理「知らないの?二の腕の柔らかさとおっぱいの柔らかさはほとんど同じらしいわよ・・・」
瑠花「ならおっぱい触った方がいいじゃん、私達女の子なんだし」
琴理「まあ、確かにね、話が逸れたわ、それで話したかった事なんだけど、」
琴理はコホンと一息を置き、話す
琴理「そもそも筋力とか身体を鍛えてる人はそのままなんじゃないかな?」
琴理は人差し指を出して、瑠花に話す、
瑠花もそこは盲点だった。
瑠花「確かにそうだ、普段から鍛えてる人は能力とか奪われてるから力は同じく取られてるけど、基礎はそのままだから、戦闘力オーラとかのアドバンテージは同じじゃないかも・・・」
そもそも瑠花に心当たりがあった、それはメリアの娘のリリアを見ていない事だった。
瑠花(もし、リリアちゃんが私と同じ条件なら、メリアさんが家に居たにも関わらず遅くに1人で帰ってこれないし、早朝に出たと言ってもそれ程距離が空くとは思わない。それにリリアちゃんは私と同じように荷物を持たずに旅に出てるはず、晩御飯の時と朝御飯の時にまったく食料の量に違和感は無かった。私が気にしなかったのが証拠だ。)
瑠花は琴理の発言で違和感に気付く。
瑠花「もしそうだとしたら、他の帝王神候補の中には既にそれなりに感覚を戻して試練を受けてる可能性がありそうだね。」
瑠花はそう言いながら腕を組んだ状態で片手で口元に手を添え、少し目線が下げて、焦りを見せる、その表情には先程までの笑顔は無かった。
琴理「多分それはかなり少数じゃないかな。」
そこに琴理が入る
琴理「だって候補全員帝王神様の試練で痛感してるはずだよ、それで個体差はあっても、それでも本来の実力の1割も出せない。そんな状態で、もし致命傷な試練が出たらどうする?」
琴理はひとつの可能性を瑠花に出す
瑠花「そっか、もし時間制限がある試練で実力不足が原因で失敗した時のデメリットを考えたら・・・他の皆もそう易々と試練なんか受けれない。」
少なくとも瑠花は1割どころか1厘も出せてない。
半日外を歩いただけで瀕死になるほどだ。
少なくとも瑠花本人はこんな状態でまともに試練を受けれるとは思わない。
琴理「個体差ある、けどだからと言って遅れてるわけじゃない。今はこうやって少しでも自分を戻せるようにする事に集中したらいいんだよ」
琴理はそう言い、瑠花のトレーニングの面倒を見る
だが、
瑠花「ふんぎー!あと〜すこ〜し〜〜、あ!どうしよう!?お腹が!?お腹の筋肉が〜〜」
琴理「・・・まさか、腹筋1回も出来ないとは・・・」
琴理はどうやって基礎筋力を付けるか頭を悩ませる




