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閑話 星の明かりの中で。ビビの母性?(少しピンクな話)

 ちょっとセクシーなお話。閑話として投稿します。






 いつの間にか窓の外が暗くなっている。アルフラにいた時は夜だったから、精霊界は半日ズレているのかな?


 父様、母様、ドラグスの皆に、もう暫く会ってない気がするんだよ。早く帰りたいな⋯⋯でも僕にはやらなきゃいけない事があるんだよね。アルフラも精霊界もトラさんもきっと護ります! ふんすっ!


 頑張って沢山の人と精霊さん達を助けよう。どうか見守っていて下さいね。


 大きな長いソファーに押し倒されて、僕は血を吸われていた。もう寝る準備を整えて、ビビとパジャマ姿になっている。


 トラさんは隣の部屋に案内されていたよ。気配が動いていないから、きっともう寝ていると思う。


 この部屋は、ベランダ側が一面ガラス張りになっていて、沢山の月光が入ってきます。

 精霊界の月は、僕が住んでいた世界よりも凄く大きいんだね。


 ビビの背中をギュッと抱きしめる。何だか安心する⋯⋯


「アーク。飲みずらい⋯⋯」


「うん」


「うんって⋯⋯どうかした?」


「何でもないよ」


 何でもないんだよ。本当に⋯⋯何かちょっとアレなだけで⋯⋯


「ふふ」


「え? ビビが笑った?」


「今日は私が寝かしつけてやる」


 妖艶な笑みを浮かべる? 珍しい微笑み方だね。いつもの子供の姿から、ビビは元の少女の姿に戻った。月の明かりに照らされて、綺麗な銀髪と赤い瞳が浮かび上がる。

 その姿を見ていたら、僕は少し恥ずかしくなってきたのかな? 頬が熱い気がするんだ。ビビがとっても綺麗なんだよね。


 パジャマのまま大人になったから、着ているワンピースのパジャマが伸びちゃいそうだ。でもどうして元の姿に戻ったのかな? そう思っていたら、サッと抱き上げられてベッドまで連れて行かれた。


「どうしたの? ビビ?」


「⋯⋯どうかしているのは私ではない」


 僕はベッドに寝かされて、優しく体が引き寄せられる。


 心配かけちゃっているのかな? ビビ優しいから、これがビビなりの甘えさせ方みたいな?


 きっとそうだと思うんだ。少しひんやりしたビビの体に、僕の顔が包まれる。


 ビビの細い腕は、柔らかくてすべすべするね。母様やミラさんとはまた違うけど、ビビの腕の中も安心するな。


「ありがとう。ビビ」


「ああ。感謝しろ⋯⋯だが喋られると(くすぐ)ったい」


 少し顔を上げてビビを見ると、ビビの顔が少し赤い気がした。ビビもやっぱり変なんじゃないかな?


 ジャンガリ⋯⋯zzZ



side ビビ



 なあアーク⋯⋯笑ってしまうかもしれないが、私はお前に恋をした。魔物の癖におかしいよな⋯⋯そうだ。私は魔物なんだ。


 こんな気持ちになった事は初めてだ。ビビラ、私はどうすれば良いと思う? 経験のあるビビラにならわかるだろう? 流石に六歳児はわからないか。


 それも普通の六歳児ではない。ちょっと手を緩めれば、直ぐに飛んでってしまうような愚か者だ。

 パジャマの締め付けが苦しいな。このままじゃ眠れない⋯⋯


 私は一度アークを解放して、ベッドで上半身を起こす。ワンピースのパジャマを脱げば、水色のショーツ一枚になってしまった。


 これでスッキリ寝る事が出来る。オールシルクの滑らかな掛け布団を引き上げて、アークの頭を抱いてから肩まで被せた。


 やっぱり少し擽ったいな⋯⋯アークの息が体にかかる。


「アーク⋯⋯」


 アークの頭をそっと撫でた。幸せそうに寝ているな⋯⋯私の体は冷たいだろうに⋯⋯


 ギュッと抱きしめると、アークの体温が伝わってくる。この温もりは、私の大事な宝物だ。誰にも渡さないからな。


 ふふ⋯⋯恋をする事など無いと思っていたんだが、これが好きという事なのだろうか? こうなってしまうと、心地よいものなのだな。


 アークの唇にキスをした。起こさないように細心の注意を心がける。


 大人の体になったからか、少し大胆になっているのかな? それでも、顔が熱くなるのを感じた。恥ずかしい⋯⋯でももう一回だけ⋯⋯


 ⋯⋯これ以上は自分を抑えられなくなる。アークの左手を引っ張り出して、誓の指輪を優しく撫でた。


 アークのことが好きなんだ。この命にかえても護りたい。



 なあビビラ⋯⋯私は今幸せだよ。アークは私に居場所をくれたんだ。


 ビビラには⋯⋯興味の無い事かな⋯⋯ビビラは今、元気でやっているか? 体調崩したりしていないだろうか⋯⋯


 私があの家を飛び出してから、何年の時間が過ぎたのだろうか。私の事など忘れているか? 一度、会いに行っては駄目だろうか⋯⋯遠くから見るだけなら、許してもらえるかな?


「あの頃には戻れない。でも私には、受け入れてくれる人が出来たんだ」


 アークの顔を抱き寄せながら、その額に唇を落とす。ありがとうアーク。

 何故だろうな⋯⋯今日はどうしても気持ちがおさまらない。


 吸血鬼の血を吸う行為には、少し性的なものも含まれている。だからたまに暴走しそうになってしまうんだ。

 好きなら尚更なのだろうか⋯⋯いつか、私の気持ちを受け止めてくれると嬉しい。



 はぁ⋯⋯気持ちを切り替えよう。⋯⋯気がつけば精霊界か。イフリートなんて、御伽噺(おとぎばなし)に出てくるような存在だぞ? わかっているのか? アーク⋯⋯トラのあの反応が普通なのだ。


「⋯⋯ビビ〜⋯⋯ちゃんと⋯⋯ケーキ⋯⋯半分⋯⋯」


 ⋯⋯ふふ。寝言⋯⋯か。


 どんな夢を見ているのかが丸わかりだ。まったく⋯⋯こういうところは子供なんだから。


「あーん」


 アークの口か開いて、何かを探し求め⋯⋯


 ──パク。


 ッ!!!


「⋯⋯イチゴ⋯⋯はむはむ⋯⋯ちゅるちゅる⋯⋯」


「ちが⋯⋯あ、アーク⋯⋯それはイチゴじゃない⋯⋯あぅ♡ んぁ⋯⋯」


 背中に手が回されていた。抜け出そうと思えば抜けれるけど⋯⋯


「⋯⋯おいしー⋯⋯ちゅるちゅる⋯⋯」


「んん⋯⋯あぅ⋯⋯アーク」


 幸せそうなアークを引き剥がしたくなかった。声を我慢しようにも、私には刺激が強すぎたんだ。


 このまま吸わ⋯⋯いやいや、無理⋯⋯


「しゅっぱい⋯⋯」


「酸っぱくないわ!」







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