食べられちゃいました!? side ???
サービス回???
昨日のアクセス数が17742もありました。ありがとうございます(´;ω;`)
一つの話が6000文字越えとか当たり前のデタラメな冒険譚ですが、これからも応援してもらえると嬉しいです!
皆様のお陰でアクション日間2位に入る事が出来ました!
これからも応援よろしくお願いします(((o(*゜▽゜*)o)))
僕もびっくりしたけど、おトイレ中にすみませんでした!
全然怒って無かったんだけど、桟橋の上で船員さんに頭を下げた。全てから解放されて、新しい扉が開けそうなんだって言ってたよ? 新しい扉って何だろうね?
全員で冒険者ギルドへ移動する。水の都って呼ばれるだけあって、綺麗な水路が街中に流れているね。
荷物の搬送にカヌーを使ったりもするらしいく、船上で果物や魚を売っている人もいた。
人を乗せて移動する仕事の人もいるみたい。そういう人のカヌーは色鮮やかで見ていて面白いよ。でも冒険者ギルドまでは徒歩で移動したんだ。丈夫そうな石橋がいっぱいあって、歩いての移動も問題が無かった。それに街が見たかったからね。
この街は淡水魚料理が美味しいらしく、鯰の叩きと鰻の蒲焼きが人気なんだって。他にもアルフラ大海老とか、アルフラ饅頭も有名なんだとか。
明日何か食べてみようかな。
船員さん達に話を聞くのは面白かったです。目新しい風景が見れたのもあり、気がつけば冒険者ギルドに到着しちゃってたよ。
「アルフラって良い所だね。ビビ」
「うん。賑わいがある」
船長が宿の紹介をギルドの受け付け嬢にお願いしていた。一応未遂に終わったけど、貴族とのいざこざも説明している。
少し暇だな⋯⋯ギルドの中を見てみよう。中はそんなに広くないかな? イグラムに比べるとだけどね。やっぱりどの冒険者ギルドにも酒場があるんだなぁ。ミルクは置いてあるだろうか? そしてやっぱり僕は注目を集めてしまっているみたい。
「アーク。明日の朝六時になったらよ、港に船出してもらって良いか?」
「はい。畏まりました」
「今日は早めに休むとする。さっきは世話になったな。これで美味いもんでも食ってくれ」
「ありがとうございます!」
船長から銀貨を三枚受け取った。300ゴールドだから、食事に使うには大金だよね。
「魔物のことはアークが受け付け嬢から聞いてくれ。それと、この街の問題が解決するまでは滞在する事になった。宿はギルドから三軒隣りに用意してくれるらしい」
「わかりました。ではまた明日の朝に」
「おう。お疲れさん」
皆を見送ってから、僕とビビは依頼掲示板の前に移動した。大きな緊急依頼の紙が他の依頼の上から貼られていて、Fランク以下の冒険者を除き、Eランク以上は緊急依頼しか受けれなくなっているようだ。
一応確認をしただけ。やっぱりまだ魔物の問題が解決してないみたいだよ。
受け付け嬢の前へ行くと、何故かニコリと微笑まれた。
「こんばんは!」
「はい、こんばんは」
「まだ魔物襲撃の問題が片付いてないと聞きました。具体的な話を聞かせていただけますか?」
「随分と難しいことが喋れるのね⋯⋯でもボクちゃんは早くお家へ帰りなさい。魔物が攫いに来たら大変よ?」
このパターンはBパターンだ!
「Aがあったのか?」
ビビが何かを言っていたけど、僕は気にせず冒険者カードを取り出した。
「どうぞ」
「どう⋯⋯もっ!!」
説明しても仕方ない。だからカードを見せれば早いよね。
お姉さんが再起動するまでの時間が、ミルクさんが安酒をテイスティングをする時間とほぼ同じだった。
「誰も知らないよ。そんな時間」
ビビが何かを言っていたけど、僕は気にせずお姉さんと向かい合う。
「ハッ! あなたが噂の銀閃⋯⋯銀閃のアーク様でしたか!」
「噂されているのは聞いた事ないですが、銀閃と呼ばれますね」
「実際に見てみると本当に小さくて可愛い⋯⋯いえ、失礼しました」
「これでも六歳なんですがね(キリ)」
「まあ♡ 大人なのね」
「そうなんだ。えへへ」
この人は良い人でした。素晴らしい人ですね! 頭撫でてくれるし。
「ギルドマスターの所へ連れて行きます。さ、バンザイして」
「ん」
僕も慣れたものです。空気が読める大人ですからね! バンザイすると、お姉さんに抱っこされて移動を開始しました。また一歩大人へと近付いた気がする。
「勘違いだと思う⋯⋯」
ビビが何か言っていたけど、僕は気にせず運ばれました。
アルフラの冒険者ギルドは、四階にギルドマスターの部屋があるらしい。石造りの階段を上って執務室の前に到着すると、お姉さんが床に下ろしてくれた。
「マスター。銀閃のアークさんがお目見えになられました」
「何ですって!? 直ぐに通して!」
扉を開けると、お姉さんは下の階へ下りて行く。それを見送ってから、僕はギルドマスターの部屋へ入室した。
「失礼します」
「入ってちょうだい」
中に入ると、ベスちゃんくらいの身長しかない女の人がいた。もしかしてドワーフなのかもと思ったけど、少し感じが違うんだよね。
頭は金髪で細い体。でもちゃんと大人の人みたいにおっぱいがある。ベスちゃんに分けてあげて欲しいと思うんだ。頭にはグルグルメガネが乗っかっていた。
「こんばんは。銀閃」
「こんばんはです。初めまして! アークと申します」
頭を下げると、僕達はソファーに促された。
「わかってるわ。魔導飛行艇が銀閃を乗せて街に来るのは知っていたの。私はギルドマスターのポーラ。リャナンシーなのよ? でも⋯⋯」
リャナンシーって確か妖精さんだよね。エルフさんより綺麗な見た目の人だなぁ。目がエメラルドグリーンで見ていると吸い込まれそうだ。
ポーラさんは何故かビビを睨み付けていた。もしかして正体がバレているの?
「吸血鬼が来るとは聞いていない⋯⋯それもここまで強力な奴が来るなんてな」
「⋯⋯私は──」
「ビビは悪いことしないよ。ずっと森の中で一人で暮らしていたんだ。それを僕が見つけて連れ出したんだよ」
僕は半分斜めにのり出して、背中でビビを隠すようにする。きっとこういうことはこの先何度もあるかもしれない。僕が護らなくちゃいけな──
──ガシ!
「アーク!」
急にポーラさんに左手で首を握られて引き寄せられた。テーブルに膝をぶつけて痛い⋯⋯ビビが僕の名前を叫んだのも気にせず、凄い力で締め上げて来る。ポーラさんが立ち上がると、僕の足は床から離れてしまった。
苦しい⋯⋯何でこんな?
「ぐぅ⋯⋯」
「アークを離せ!」
「⋯⋯」
ビビが立ち上がり、普段見せない程の濃厚な殺気を放つ。口から牙が生えて、瞳が真紅に染まった。
「ビ⋯⋯ビ⋯⋯」
「アーク!」
ポーラさんにはそんなビビを気にする様子は無く、寧ろ挑発までしているように感じられた。
息が苦しい⋯⋯動脈が締め上げられる⋯⋯
ギリギリと首が撓っていた。手加減の無い握力に、このままじゃ首の骨が折られてしまいそうだと思った。
ポーラさんが右手の爪で僕の服を引き裂いて、襟から肩までが露になる。その様子をビビに見せつけながら、ポーラさんが僕の首元に噛み付いた。
「い⋯⋯たい⋯⋯」
ポーラさんにはビビみたいな牙は無い。首の肉を抉るように噛み付くと、溢れ出した血液を飲み始めた。
その時、背筋に冷水を被せられたような殺気が辺りを包み込んだ。何があったのかは見なくてもわかる⋯⋯ビビが完全にキレているのだろう。
「クソ妖精が⋯⋯お前は殺す」
「⋯⋯ビ⋯⋯」
ビビから魔力が膨れ上がる。Cランク魔獣を遥かに凌駕する程の魔力だ。
もしかしたら⋯⋯? いや、間違いなくBランクの魔物さえ超えているよ。
駄目だよビビ⋯⋯このままじゃ街が一発で消し飛んでしまうかもしれない。そんなこと絶対にさせちゃいけない!
「ビ⋯⋯ビ⋯⋯駄目──」
「ほら! 私が全部貰っちゃうわよ?」
「死ね!!」
「ビビィ⋯⋯!」
ビビがポーラさんの心臓へ赤いレイピアを突き出そうとした時、僕が左手をそれに割り込ませる。
周りが見えなくなっていたビビだが、指輪を見て体を硬直させた。レイピアの切っ先が僅かに手の甲に突き刺さっている。
「アーク、だが」
「駄目⋯⋯駄目だよ⋯⋯」
「アーク⋯⋯」
ビビが少し我に返ると、練り上げた魔力が徐々に霧散していった。悔しそうな顔で、何とか矛を収めてくれる。それを見たポーラさんが、僕の首から力を抜いた。
「⋯⋯そう、これだけ煽っても耐えれるのね。銀閃の言う事もちゃんと聞くようだし⋯⋯仕方ない、信じましょう。痛かったわよね」
「ごほ⋯⋯ゲホごほげほ⋯⋯」
ポーラさんが何事も無かったかのようにソファーへ腰を下ろした。僕は膝の上に乗せられて、ビビが呆然とそれを見ている。
食いちぎられた首元を再生スキルで治し始めると、ポーラさんが僕の頭を撫でてきた。
「お詫びよ」
そして後頭部が掴まれて⋯⋯え?
「ッ!!!」
──ちゅ、ちゅるれろ⋯⋯ちゅるちゅる⋯⋯はむ、ちゅるるる。
う? 僕は何をされているの? 口が口で塞がれて、生暖かい舌がにゅるにゅる入って来る。また息が苦しい⋯⋯でも何? よくわからない⋯⋯力が抜けるよ⋯⋯体がクタ〜ってなってくるんだ。もうダメ⋯⋯唇がぷよぷよして⋯⋯何だろ? よくわからない。おやすみなさい⋯⋯
「おい⋯⋯」
──ちゅるれろ⋯⋯ちゅるちゅる。
「そうか、お前はやっぱり殺す!」
ハッ! 僕は何をされているの?
ビビがまた殺気を強め始めたので、ポーラさんの顔を何とか押し離した。
「やめて、何でちゅーしたの?」
「何でって、お詫びよ?」
「もしかして⋯⋯傷が治るとか?」
「そんな効果は無いわよ?」
じゃあ何でちゅーしたの!? 僕わけがわからなくなるところだったよ!
ポーラさんの膝から脱出して、ビビにキュッと抱きついた。
ああ、落ち着く。ただいまビビ。
ビビも僕が戻って落ち着いたのか、魔力の乱れが無くなってきた。それでもポーラさんに向ける殺気は衰えない。こんなに怒っているビビは見た事ないよ。
「アーク⋯⋯」
「え?」
またしても僕の後頭部は固定され⋯⋯
「ッ!!!」
──ちゅ、ちゅるれろ⋯⋯ちゅるちゅる⋯⋯
え? 何? 僕はまた何をされているの? もう考えられな⋯⋯はぅ⋯⋯
されるがままになっていたら、ビビが満足したのか離してくれた。こんな事をするビビは初めてだった。どうしちゃったんだろう?
「消毒だ」
「え? もしかして⋯⋯傷にバイキンが入らなくなるとか?」
「そんな効果は無い」
じゃあ何でしたの!? ビビは冷静そうにそう言ったけど、顔がリンゴのように赤くなった。
体がくっついてるから、激しい鼓動が伝わってくる。
何さ、皆僕を玩具みたいにして!
「もう怒りました。真子ちゃん呼んじゃいますぅ〜」
「「え?」」
──ポチッ。
部屋の隅に移動して、僕は携帯通信魔導具の起動ボタンを押した。体育座りをして、背後にオーロラカーテンを使用する。
*
side 篠崎真子
お気に入りの赤い紐ビキニを着て、柔らかい素材のビーチチェアに寝そべっていた。ビーチパラソルを砂浜に立てて、直ぐ横には小さなテーブルまで用意してある。
完璧ね。もう最高だわ。
ブルーハワイ風かき氷に、沢山のフルーツがトッピングされている。それをたまに摘みながら、楽しいバカンスを満喫していた。
見渡す限りの白い砂浜と、コバルトブルーの海が波音を奏でている。
陽射しが気持ちいいわ。本当に癒される⋯⋯ここは私が作った異空間で、何時でも夏のバカンスが楽しめるのよ。
猫耳メイド達も連れて来て、皆で海で遊んでいるの。サーフィンをしたり魚釣りをするのも自由。それを見ながらゆっくりするのが最高の贅沢なのよね。
──てて〜れ。てててーれって〜。
携帯通信魔導具の音が鳴り始める。
この音楽は森のくまさん⋯⋯なら、呼び出してるのはアーク君だね。
とうとうこの時が来たか。案外来るのが早かったかな。
体を起こしてボタンを押すと、半泣きのアーク君が顔を出した。
『真子ちゃん⋯⋯』
「ん? アーク君。何があったの?」
『すいません。二人が口に舌を入れて来るんです。どうしたらいいでしょうか?』
うん。ちょっと待ってね⋯⋯私の想像してたのと違う。
アーク君の背後では、障壁に阻まれているビビちゃんと妖精っぽいのが見えた。
あれは多分妖精のリャナンシーね。私もファンタジーには詳しくなったわ⋯⋯ビビちゃんがリャナンシーとアーク君を取り合ったのかしら? モテモテで羨ましい⋯⋯青春? にはまだ早過ぎかな。
「なるほどね。キスはどっちの方が良かった?」
自分で聞いた癖に、ちょっとオヤジ臭いと思った。
『え? 良かったかどうかわかりません。口の中でネロネロしてました』
生々しいなおい! くぅ⋯⋯
「アークちゃんはどっちが好きなの?」
『好き? ビビです。ポーラさんとは会ったばかりでよくわかりません』
会ったばかりでディープキスされたことなんて無いわよ! そもそも⋯⋯なんでもない⋯⋯しくしく⋯⋯
「アーク君⋯⋯とりあえず、君の嘆きは贅沢だ。私は持っているが故に持ってないのだね⋯⋯」
『どういうことでしょうか?』
私は遠い空を見詰めながら、諭すように語りかける。
「好きなら良いんじゃないかい?」
『ッ!!! そうですか。わかりました! ありがとうございますぅ──プツ⋯⋯ツー⋯⋯ツー⋯⋯ツー⋯⋯』
「⋯⋯」
アーク君ってとんでもなくマイペースだよね⋯⋯私も人のこと言えないけどさ。
「はぁ〜⋯⋯何処かに良い人いないかな〜。やっぱり同郷から選ぶ?」
この世界でリアルな王子様を見て回ったけど、皆弱いし私に媚びて来るしロクなのがいなかったわ。全くトキメかないのよね⋯⋯何が第一貴妃にしてやるよ! ハーレム野郎爆ぜるべし!
波打ち際で、猫耳美少女達がキャッキャウフフしている。うん。私はこっちの方が良いわ! 今楽しいことをやりたいだけやる! それが私の座右の銘よ。じゃないと私は直ぐ仕事人間になっちゃうからね⋯⋯
*
side ???
ふむ⋯⋯興味深いな。
俺は魔眼に意識を集中して、人間の世界を見渡していた。あれはいったい何なのだろうか?
「どうかなされましたか? ディシュゲイド様」
直ぐ隣から、鈴の音のような声が聞こえてきた。
どうしたかと言われる程の事でもないんだがな⋯⋯
傍らには、胸までをシーツで隠した裸の女がいる。ここは俺の寝室で、その女に体半分のしかかられている状態だ。
「ちょっと面白い奴を見つけたんだ」
「もう! 私が隣にいるのに!」
この女の名前は蓮華。蓮華は不満げに頬を膨らませると、完全に覆いかぶさってきた。仕方ないな⋯⋯何かをされる前に、左腕で抱き寄せて固定する。蓮華は自由を奪われたが、体の上で大人しくなった。
「盛るな、暫し待て蓮華」
「⋯⋯はい」
一度蓮華の髪を掬い上げ、その甘い香りを堪能した。細い体から伝わってくる体温を、意識の外へ追い出していく。
魔眼を発動して、先程見つけた少年を追いかけた。そこはゴツゴツした岩山で、標高もかなり高い位置になるだろう。
そこは亜竜の巣窟だ。人間が安易に立ち入るとも思えんが⋯⋯
ふむ、どうやら走って逃げている真っ最中らしい。
ワイバーンに追われているのか?
大きな影が少年の頭上を通り過ぎた。身体能力だけはかなり高いな⋯⋯人間にしてはだが。
少年が左へ飛ぶと、地面にワイバーンの毒針が突き刺さった。反撃出来る隙は十分あるのに、体の使い方が下手くそだな⋯⋯こいつは何のためにここにいるんだ? スキルも使い方が下手過ぎるだろう⋯⋯
⋯⋯おかしな奴だ。昔の蓮華と被る部分が多過ぎる。
最弱の⋯⋯召喚された勇者⋯⋯か?
多分この予想は当たっている。次の瞬間、少年が無謀な行動に出た。いきなりワイバーンの尻尾へ抱き着いて、ぶつぶつと小言を言っている。
何だ⋯⋯? あいつはいったい何をしてるんだ?




