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閑話 ミルクのおじさん





 一つだけ言わせてくれ。


 俺はミルクのおじさん⋯⋯ではない! 誰だそんな呼び方をしているやつは!


 俺は冒険者としては遅咲きだったんだ。学校を卒業してストレートで冒険者になれる奴は、本当に努力をしてきた奴らだけだろう。そんなに必死になって努力するなんて理解出来んがね。


 ダンガ。それが俺の名だ!


 俺は馬鹿な奴らとつるみながら、毎日遊び歩いていたんだ。努力なんて阿呆らしい、そんなんだから冒険者の試験に落ちた。


 まあ当たり前だよな。努力してても落ちる奴は落ちる。だが頑張る気にもならねぇ。


 俺にはどうしようもねぇ呑んだくれ親父がいた。俺は反発しながらよ、気がついたら親父と何ら変わらねえ奴になってたわけよ。

 つまらねえ話だよな。だが俺のツレも似たり寄ったりさ。


 冒険者になれないながらも、そこそこ力はあったと思う。馬鹿な俺達は剣を持って町の外へ繰り出した。


 慢心があったのは確かだが、それが都合のいい事に上手くいく。ビビって損したぜ! なんて言いながら、ゴブリンやレッサーウルフを狩っていく。魂魄レベルが上がり、どんどん強くなって楽しくなっちまっていた。


 遊び感覚だったのは確かだが、俺達は少ないながらスキルを手に入れたよ。

 現場慣れしたせいか、冒険者の試験にも受かることが出来た。


 もう有頂天よ。なんて楽な世界なんだってな!

 ランクはすぐに上がった。Fランクだ。ゴブリン狩りに慣れていた俺達には、簡単な仕事だった。


 このまま有名な冒険者になってやるぜ! なんて笑って酒を飲んだりしていたんだ。


 雑用なんて雑魚のやる事さ。俺達には腕がある! なんてな。笑っちまうだろ?


 Fランクになってから、俺達の敵はオークになった。簡単だと思ってたんだが、これが一気に難易度が上がりやがる。急所まで剣が入っていかねえんだよ。

 俺達には一体倒すだけでもジリ貧だった。二体なんて手に負えねえ。

 すぐ諦めたさ。あっさりさっぱりとな。ここで意地になる気概もねーもんで、今も阿呆なことやって適当に生きているわけだ。

 Fランクも長いとよ、自然とEには上がっちまうんだ。ゴブリンがFランク依頼なもんで、功績が積み上がっちまってたんだな。

 なーんも嬉しくないぜ。Eランクなんざ掃いて捨てるほどいるっつーの。

 EランクからDランクの壁は大きい。オークを笑って狩れるようにならなけりゃ、Dランクには上がれねえんだよ。


 そんな時、小さな餓鬼がギルドに迷い込みやがった。

 なんだこいつは? って思ったんだが、ツレの一人が餓鬼に絡みやがった。まあ俺も絡んだんだがな。


 なんかイライラしてよ。理由はわからんがあのキラキラした目が気に食わなかった。


 「餓鬼はミルクでも飲んでろよ」とは言った。でもよ、奢るなんて言ってねえぞ?

 まあいい⋯⋯問題はその後だ。あいつ、いきなり大泣きし始めたんだよ。


 冒険者になりたい? そんな夢のある仕事じゃねーぞ? かなり殺伐とした仕事なんだぞ? ギルマスが出てきて、丸く収まるかと思ったら試験するって言い出した。

 見るまでもねぇ。誰だってそう思う。だが、足が動いちまった⋯⋯不思議だな。俺達には無い強い気持ちがあるんだって、見させられちまった。


 あれは衝撃的だった。だってあのギルドマスターだぜ? なに一撃当ててんだよ。あんなの俺にも無理だっつーの!

 当然試験は通ったよ。俺達は空いた口が塞がらなかった。


 次の日もあの餓鬼はギルドを騒がせた。まあ正確に言えば餓鬼じゃなく馬鹿な商人だがな。三人でもアレに勝てるわけねーだろっつーの。


 冒険者達は餓鬼の年齢が若過ぎるせいで、何を話したらいいのかわからないのだろう。誰もあの餓鬼に話しかけなかった。二日目だしな。いきなり仕事仲間として見ろってのも無理があるさ。



 そして俺は今気に入った酒を注文し、焼き魚を頬張っている。稼ぎは良かねえが、これくらいは楽しんでも懐は痛まん。

 この時は平和だったんだ。またあの餓鬼が現れるまでは⋯⋯


 美人な受け付け嬢達と風呂だと!? あいつ! 皆が狙ってる受け付け嬢だぞ! 仕事だけじゃねぇ。容姿も最高レベルに良くなきゃ採用されないギルドの受け付け嬢達だぞ!? 低ランクには高嶺の花なんだ! 実際俺達より給料が良い。

 あいつ⋯⋯上手くやりやがって! 何がどうしてどうだったんだ! 感想文を書きやがれ! お前には報告の義務がある。認めよう。お前は仲間だ。さあ言え!

 「おっぱいがいっぱいだった」⋯⋯とんでもない破壊力だった⋯⋯膝ががっくりと落ちる気分だったぜ。直ぐ傍で膨大な魔力が吹き上がる。は? え? 何? ちょっと! 待て待て! 逃げたいけど、今立てねーから! 立ってるけども、紳士の事情の方だから! 立てないんだよ〜!!!


「いい加減にしろーー! “ヘヴィーグラビティーデスプレス”」


 ──ズドーン⋯⋯


 魔法が直撃すると同時に、体へ物凄い圧力が頭上から落とされた。床を突き破り冷たい地面を感じながら、意識が徐々に遠のいていく。





 目が覚めると、ギルドの仮眠室の天井が見えた。俺はここ数日の記憶を失ったらしい。

 何があったかわからねーけど、気にしたってしょうがねえな。俺は適当に生きるだけなんだからよ。


 次の日から、毎日知らない餓鬼が頭を下げてくる。


 本当にこいつは何なんだ? 誰だよこいつ。そいつの名はアーク。世界で記録上最年少でギルドに登録された子供だった。


 マジで、そんな奴に何で俺頭下げられてんだ???






皆気になって仕方がなかったでしょう?ミルクさんの過去!?


興味ねーってーの!(  '-' )ノ)`-' )痛い⋯⋯


次からは第二章です。一章は雰囲気を掴む程度のお話でしょうか。二章では遂にメインヒロインが⋯⋯メインヒロインが!


出るの?


さあ⋯⋯


(っ・д・)=⊃)゜3゜)'∴:.

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