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デタラメな冒険譚が僕にくれたもの〜憧れを追いかける少年〜  作者: まあ(ºωº э)З
第七章 いきなり始まるスローライフ?
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爺やに怒られるぅ〜!!





 ライムローゼ様の話だと、最後に乗ろうと思ってた魔法陣は外へと繋がっているらしい。だからビビにヨコチンさんを回収してきてもらったんだ。

 ビビしかヨコチンさんを嵌め込んだ場所を知らないからね。


 ──ゴゴゴォゴゴゴゴ⋯⋯



「えッ!! 壁が崩れ始めたよ!」


「ふっふっふ⋯⋯慌てるでない。コアを失った迷宮は、最下層から崩落を始める。完全に消滅するのには、まだ三時間程の──のッ!」


「ッ!」


 ライムローゼ様が余裕そうな顔で穴に落ちかける。


 これは何の穴!? 


「た、たたた助かったのじゃ⋯⋯もう少しで異次元に呑まれるところじゃったわ」


 僕は泣きそうな顔のライムローゼ様を引っ張り上げた。


 危ない危ない⋯⋯咄嗟に手を掴んで良かったよ。さっきの言葉が最後になるなんて可哀想過ぎる。


 ライムローゼ様は滝のような汗を流しながら、顔を真っ青にしている。


「ライムローゼ様はおっちょこちょい?」


「そ、そんな事ある訳がな、な、なかろう? わ、妾は魔族の姫なるぞ? おっちょこちょいな姫なぞおらん」


「そうかなぁ? んー、そうだよね」


床に空いた穴の先には、何かの大きな渦が見える⋯⋯あの先には何があるんだろう? ちょっと興味があるかなぁ。


「アーク。おっちょこちょいの二の舞いになる。さっさと行くぞ」


「ッ!!!」

「はーい」


 気絶したヨコチンさんを魔法陣へ放り込み、ライムローゼ様とビビも中に入る。



「⋯⋯どうしたの? ラズちゃん」


「⋯⋯私、本当に着いて行っても良いの?」


「まだ不安?」


「⋯⋯」


 ラズちゃんの手を引っ張って、僕達も魔法陣の中へと入った。


「大丈夫。きっと良い事が待ってるよ」





 僕達は迷宮の外に飛ばされた。ピラミッドのちょうどてっぺんにいるみたいだね。


「ライムローゼ様。一応これ頭に巻いといて」


 狙われてる身ではあるから、一応髪の毛だけでも隠しておかないと⋯⋯


「その、ライムローゼ様はやめるのじゃ⋯⋯会った時にお主が言ったであろう? お、お姉ちゃ──」


「ビビ、兵士さん達がいないね」

「そうだな。ピラミッドが光ってないか?」


 確かに⋯⋯きっと迷宮が攻略されたからかな? 僕の見つめる先に、ライムローゼ様が割り込んできた。


「お姉ちゃ──」


「ここが外なのね! 空気が美味しい⋯⋯す〜はぁぁ」


「出て良かったでしょ? ラズちゃん」


「うん! もっと怖いと思っていたわ!」


 良かったね。迷宮の下層より怖い所ってあまり無いと思うけどね。


 微笑むラズちゃんの隣に、ライムローゼ様が走って来る。


「お姉──」


「ぐぅ! こ、ここは!?」


「ヨコチンさん」


「お前! ランキング一位のアーク!」


「気がついて良かったです。まずは迷宮の中に入りましょう」


「何がどうなって⋯⋯クソ、なんで口の中がソース味なんだ!?」


「あ、食べたんだ⋯⋯」


 頭を痛そうに抱えて座り込むヨコチンさんに、僕は手を差し出した。

 ヨコチンさんは僕の手を払い除けて立ち上がる。


 混乱するのは仕方ないよ。まずは状況を確認させてあげよう。


「おね──」


「町にヨコチンさんの仲間がいると思います。まずは迷宮に入りましょう」


「お前に言われなくても中に入るわ! ふんっ!」


 ヨコチンさんは迷宮の扉を触り、一人で先に行っちゃった。僕もガジモンさん達に報告しなくちゃいけないね。


「お──」


「熱い!」


「ラズちゃん!?」


 ラズちゃんの右手が光輝くと、中指に指輪が現れた。


「テイム⋯⋯あれ? 良いの? ラズちゃん」


「え⋯⋯あ、うん。今ね、私もアークちゃんと一緒にいれたら良いなーって考えたんだ。そしたら右手が熱くなって⋯⋯」



 恥ずかしそうに頬を染めるラズちゃん。仲間が増えてくれて嬉しいよ。


 僕の指輪は少しデザインが変わったみたい? ラズちゃんと契約したからかな?



「私が先輩だぞ? ラズは私の言う事を聞かねばならない」


「そうなの? わかったわ」


 ビビが何故かマウントを取りにいってる。僕は苦笑いしながら、ラズちゃんの事はビビに任せようと思った。


 二人が扉に触れて迷宮の中へ入ると、ライムローゼ様が落ち込んでいるのが見えた。



「⋯⋯行くよ“お姉ちゃん”」


「ッ!!!」


 ライムローゼ様は花が咲いたような笑顔になる。


「仕方ないな! 妾も着いて行ってやる! お姉ちゃんだからな!」


「うん」


「⋯⋯ふぇっ!? あ、あっつ! あ、熱い!」


 え? 何が⋯⋯



「ふおぉぉわぁああ!!! テイムされてしまったのじゃあ!!!」


 ⋯⋯なんでえええええぇぇえええ!!!


 ちょっと待ってね⋯⋯魔族をテイム!? えーと、意味がよくわからないけど、それって僕が悪いの?


 ライムローゼ様の右手には、ビビとラズちゃんと同じ指輪が輝いている。



「なんでテイムされてるの?」


「こ、こんな事になるとは⋯⋯爺やに怒られるぅっ!! お主は何者じゃ!」


「僕はアークだよ」


「聞いた事ないのぅ⋯⋯そもそもテイムとは、両者の合意が無いと無理なんじゃ⋯⋯ただ、一つ例外はある」


 ライムローゼ様は、額に生えた小さな角を押し込みながら考える。


 あの角⋯⋯柔らかいのかな?


「普通、知性ある生き物をテイムする事は難しい⋯⋯しかしじゃ。お互いの合意があれば、高度な知性を持つ者ともテイムは可能。そしてもう一つ、存在の格の違いでテイムされる事もあるのじゃ」


 そう言ったライムローゼ様は、頭をブンブンと横に振った。


「じゃが有り得ぬ! 妾は魔族の姫である! 魔術も沢山使って存在の力を高めてきたのじゃ! そんな妾より圧倒的に格上な存在など、両手で数える程しかおらぬ筈なんじゃあ!」


 んー。よくわからない。難しい事は後にしよう。ビビ達が待ってる筈だからね。


「ちょ、ちょま! お主。まだ大事な話が!」


「行くよ。お姉ちゃん」


「うくぅ⋯⋯仕方ないのう。妾はお姉ちゃんだからな!」



 迷宮の中に入ると、津波のような歓声が押し寄せてくる。


 何事かと思ってびっくりしたよ。


「遅いぞアーク」


「ごめんビビ。これは?」


「わからん。とりあえず行くか」


 まるで町の人達が沸騰したかのようなはしゃぎっぷりだ。



「迷宮攻略おめでとう!」

「これで報奨金が出る! ありがとー!!」

「ありがとうございます!!」

「道を開けてやれ!」

「さっさと荷造りを済ませるぞー!」

「ありがとう!」

「ありがとー!!」



 そんな事を言われながら、僕達は転移所まで歩いた。


 花吹雪が舞って、楽器の楽しげな演奏まで聞こえて来る。笑顔な人達を見ていると、僕まで楽しくなってきたよ。


「踊ろう! ビビ!」


「いや、まずは用事を済ませて──」


「面白そう! 私も踊るー!」


「妾も踊ってやるぞ!」



 今日は濃い一日でした。本当に楽しかったよ。


 ティーナには抱き着かれ、ガジモンさんにはお肉を沢山食べさせられる。

 魔導具のお酒が湧き出る聖杯を使って、町中に浴びる程のお酒が振る舞われた。


 一緒に戦ったドルトーニさん、ゼファルさん、アウグシィスさんともお話をしたんだ。


 迷宮の一階層も、三日後には消えて無くなるんだって⋯⋯だから冒険者ギルドと国にお願いして、明日の朝と昼に隊列を組んでデナートロスへ向かうらしいよ。


 デナートロス行きと、違う迷宮へ向かう隊にも分かれるみたいだね。僕達もデナートロスへ行く隊に着いて行く事になった。

 でもライムローゼ様を連れて行くのは危ないかもしれないから、鳥さん達のいる秘密の場所へ匿ってからかな。


 ヨコチンさんは、パーティーメンバーの三人に泣きつかれていたよ。何も事情を知らないからか、慌てている様子が見れたんだ。


 あー楽しかった。





 僕達四人は、迷宮の宿泊施設で一泊する。僕は直ぐに寝ちゃったんだけど、朝なのにビビが疲れた顔をしていた。


「どうしたの? 大丈夫? 寝れなかったの?」


「⋯⋯大丈夫」


 部屋は少し豪華な四人部屋で、簡単な造りだけど結構広い。床には簀巻きにされたラズちゃんが転がっていて、気持ち良さそうに眠っている?

 ライムローゼ様はお腹を出してイビキをかいているね。今のライムローゼ様はお姫様には見えないや⋯⋯眠るのに僕のパジャマを貸したんだよ。



 足音が近づいて来て、宿の人がノックをする。


「アーク様。王国の兵士の方が見えてます。下の食堂で待機してもらってるのですが、如何いたしましょうか?」


 兵士さんが僕に? 何の用だろう。


「直ぐに行きます」


「ではそのように」


 この部屋の中を今見せる訳にはいかない。僕は直ぐ着替えて、ドアノブへ手をかけた。



「ちょっと行って来るね」


「何かあれば呼んで」


「うん」



 部屋を出て階下に下りると、髭を生やした立派な鎧の人がいた。あの人が兵士さんかな?



「貴殿がアークかね?」


「はい」


「ほぅ⋯⋯確かに普通とは違うようだ」


 兵士さんは何度か頷くと、懐から手紙を取り出す。それを僕に渡さないで、その場で内容を読み始めた。



《明後日の昼、城まで来るように。レイナール・アス・デナートロス》






 (´º∀º`)ファーw


 ちょびっと長めでした(っ ॑꒳ ॑c)

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