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デタラメな冒険譚が僕にくれたもの〜憧れを追いかける少年〜  作者: まあ(ºωº э)З
第七章 いきなり始まるスローライフ?
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ライムローゼ様





 転移して来た場所の輝きに、僕らは目を奪われた。


「ふわぁー」


「宝物庫か?」


 金銀財宝が山のように積まれていて、それがキラキラと輝いている。


 こんなに沢山あるとびっくり⋯⋯なんだがわからない魔導具も沢山あるよ!


 とりあえずのお約束をしなきゃ!


「それ〜」


 ──ガシャーン⋯⋯


 金貨の海に飛び込んだ僕⋯⋯身体中が痛い!?


 なんかもっと、わはははははってなるのかと思ってたよ。


「迷宮の奥には財宝が眠ると聞く。だがまさかこんなにあるとはな」


「凄い量ね。宝箱も沢山あるわ」



 金貨はこの国のやつみたいだね。どうしよう⋯⋯これだけあれば宮殿をいくつも建てられるよ。多分。


 財宝をベッドにして仰向けになる。それにしても凄いや⋯⋯ツボが刺激されて良いかもしれない。


「アークちゃん」


 ラズちゃんが僕の上にのしかかってきた。すっごくニコニコしながら見つめてくるよ。


 僕と遊びたいのかな? ラズちゃんの事は殆ど知らないんだけど、迷宮ではどんな風に過ごしていたんだろう。



「うむぅ⋯⋯苦しい。あ、ラズちゃんは小さくなれたりする?」


「うん。ずっとは無理だけどなれるわよ」


 僕の上に跨ったラズちゃんが、光りながら小さくなった。


 ビビもラズちゃんも自由に体を変化出来て良いなぁ。僕は大きくなりたいよ。



「これあげる。僕のメイド服」


「メイド服好きなの?」


「仕事でもらったんだよ」


 ビビもいつの間にか小さな姿に変わっていた。ラズちゃんはビビのメイド服を見て、直ぐに自分もと着替える。


「どうかな? アークちゃん」


「うん。似合ってると思う」



 ラズちゃんもビビもお人形さんみたいだね。


 財宝の山を一気に収納していくと、便利な収納袋もいくつか発見する。


 試してないからわからないけど、多分容量が大きなやつじゃないかな?

 わ! ポーションバックもあるじゃん。大きな魔石も見つけたよ。


 魔武器も面白そうな魔導具も沢山発見する。

 衝撃波を出せる笛、魔力を雷に変えるガントレット、空を飛べる靴、お酒の湧き出る聖杯、何かの魔術書、紳士の七つ道具? なんだろこれ⋯⋯


 蓋を開けてみると、小物が七つ入っていた。赤い指輪をつけてみると、体が少し細くなった気がする?

 あれ、これって⋯⋯女の子になっちゃう指輪なんだね。


 外してみると元に戻った。お手軽な変身魔導具みたい。


 メガネは透視出来るようになるらしい⋯⋯ラズちゃんの尻尾の付け根がよく見える。透明になれるブレスレット、他にもあるけど今はしまっておこうかな。


 ん? これは⋯⋯


「魔装見つけた。魔力がかなり高い」


 ベヒモスみたいにペンダントになっているね。展開はしてないけど、独特な雰囲気で魔装だと確信出来た。


「それが一番の当たりかもしれないな」

「魔装?」


「うん。これはラズちゃんが持ってて」


「良いの?」


「ビビは使わないし、僕にはベヒモスがある」


「ありがとう。アークちゃんからのプレゼントね」



 帰ったらゆっくりと他の魔導具も見よう。



 財宝を全て回収して、僕達はまた魔法陣に乗った。

 さっきの部屋に戻ったんだけど、緑の髪の人が見当たらない⋯⋯どこに行っちゃったのかな?


 魔法陣は残り3つかぁ。とりあえず次の魔法陣に乗ろう。


「なんかワクワクする」


「私もよ。初めての場所は楽しい」


 次に入った部屋は、酷い悪臭にまみれていた。


 なんだろう? ⋯⋯ここは?


「拷問部屋か⋯⋯悪趣味な」


 ビビが木で出来た馬を蹴飛ばした。


「アークちゃん。私これ欲しい」


「え?」


「手錠とか素敵じゃない?」


「よくわからないけど、ラズちゃんが欲しいなら収納するね」


「ありがとう。うふふ」


 ラズちゃんが凄く嬉しそう。他にも魔導具があったから回収しておく。


 僕達は直ぐにまた戻り、三つ目の転移陣に乗る。


「ここは?」


「当たりかな」


 そこはプライベートスペースのような場所で、家具やらベッドも色々あった。


 特に見るものは無さそうなんだけど⋯⋯


「アーク、多分あれが迷宮のコアだと思う」


「じゃああれを破壊すれば良いって事?」


「おそらく」






 結局迷宮のコアは壊さずに回収したんだ。前に真子ちゃんが迷宮のコアで魔導具を作ってたんだよね。あれと同じ物が作れたらいいなぁって思ったんだ。


 また魔法陣に乗って元の部屋へ戻ると、啜り泣く声がどこからともなく聞こえてきた。


「妾をお姉ちゃんと言ってくれたではないか⋯⋯グス⋯⋯あやつは何処へ行ったのじゃ⋯⋯妾を一人にしないでおくれ⋯⋯」


「「「⋯⋯」」」


「はっ!」


 目が合う僕達。暫く固まっていた緑の髪の人は、凄い勢いで僕の方へ走り出した。


「お主! やっと見つけたー!」


「お、“オーロラカーテン”」


「っ! ふぎゃっ!」



 あーびっくりした。この人ってもしかしたら、ハルキバルさんが言ってたライムローゼ様だよね? 万年筆が無限収納にしまえなかったから、おかしいとは思ってたんだ。


 そうなると、お城で勇者様に護られてるライムローゼ様は影武者って事?

 だから一日金貨10枚もの大金が支払われていたんだね⋯⋯はぁ⋯⋯僕にこっそりライムローゼ様を預けたのは、僕の事を知る人が少ないからだ。

 他にも色々な理由がありそうだなぁ⋯⋯帰ったらハルキバルさんに会わなくちゃね。


 ビビが即座に緑の髪の人を魔法で縛った。そこまでする必要は無いと思う⋯⋯



「だ、大丈夫?」


「顔が潰れたわ! お主、ここは何処なのじゃ?」


「デナートロスから一番近い迷宮の最下層だよ」


「め、迷宮じゃと!? しかも最下層!?」


 すっごく驚いているみたい。


「名前を教えてくれる?」


「ふん! 聞いて驚け! 妾は魔族の姫! ライムローゼじゃ!」


「だと思った」


「なんじゃとお!!!」







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― 新着の感想 ―
[一言] ふと思ったんだけど、ラズをテイムしても現実世界の方に連れてこれるのかな……
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