アーク復活!
投稿遅くなりましたぁヽ('ㅅ' ;ヽ三 ノ; 'ㅅ')ノ
何を言われたって、僕は瞼を開けているのが精一杯なんだ。
いきなり現れたこの人の言葉に頷く事は出来ないよ。
「ふっ、冗談じゃ。その状態じゃ話も出来んな⋯⋯~.☆>∀∥◎§※*⋯⋯」
ニヤリと笑ったと思ったら、聞いた事も無いような言葉が紡がれる。
これは詠唱魔術? この人は魔族なだけあって、魔術を普通に使えるんだね。
この人ってもしかして⋯⋯
「“癒しを”」
「っ!!」
体が水色の光に包まれた。その光は僕の傷口に集まって、うねうねとスライムのように蠢きだす。
変な気分だけど、とても気持ちが良いな。神聖魔法とはまた違う⋯⋯これが治癒の魔術なんだね。
手足に力が入る⋯⋯ああ、これでビビを一人にしないで済む⋯⋯そう考えたら嬉しくて、涙がじんわりと浮かんできた。
自分の心臓が規則正しく動き始め、体に熱が戻ってくる。
さっきのスライムみたいなやつが、血液の代わりにでもなってるのかな?
「ありがとう。お姉ちゃん」
まだちょっと苦しいけど、魔族の人へ御礼を言った。
「お姉!! ふ、ふふふ。お姉ちゃんか⋯⋯ふふふふ⋯⋯ま、まあよかろう。それでな、さっきの話なんだが──」
「ちょっと行ってくるね!」
上体を跳ね上げて立ち上がると、ビビとラズちゃんの元へ走り出す。
「こ、こら! お主、お主ーー!!」
後でちゃんと御礼を言うね⋯⋯今は緊急事態なんだ。
ビビ、どこまで蹴り飛ばされちゃったの?
例えスキルが無くたって、精霊の力が失われた訳じゃない。ラズちゃんを乗っ取っていた人は、一時的に使えなくするって言ってた気がするな。
魔力も気力も操作が出来ないけど、自然の力を吸収しながら体の隅々に巡らせた。
ビビ、いた!
ビビはラズちゃんに蹴り飛ばされて、ちょうど僕の方へ飛んで来る。
好都合だね。さて、ビビには少し説教しなくちゃいけないみたい。
背中からビビを受け止めると、体が脱力しているのがわかった。霧化も使わずに、本当に死ぬ気だったんだね⋯⋯
「ビビの馬鹿」
「アーク⋯⋯? アーク! 何故!?」
「てい!」
何故じゃないよまったく。ビビの額にチョップしたのに、嬉しそうな顔をしてから泣きそうな顔になる。
「アークが死んだと思ったんだ⋯⋯そしたらもう、何もかもがどうでもよくなっちゃって⋯⋯」
「⋯⋯ビビの泣きそうな顔を見たら、言いたい事も無くなっちゃったなぁ」
「アぁクぅ⋯⋯」
ビビに抱き着かれて、僕はその頭を撫でる。
まだ胸が治ってないからちょっと痛い⋯⋯
「これが見える?」
「それは⋯⋯あ⋯⋯」
僕は左手にある誓いの指輪を見せる。
この指輪でビビに誓ったんだ。一人にしないって⋯⋯ずっと一緒にいると約束をした。誓を破れば、この指輪は崩れて無くなってしまうんだ。
最後の最後まで、僕は諦めてはいなかったんよ?
「ビビ、僕はビビを一人にしない。だから──」
「ナゼダ、ナゼイキテイル!? マダ、スキル、ツカエナイ!」
僕の言葉を遮って、ラズちゃんが空を飛んできた。その顔は明らかに動揺しているね。
操られたままじゃ可哀想⋯⋯早く解放してあげたいな。僕、もうこの迷宮も飽きちゃったし。終わりが近いなら先に進もうと思う。
「ラズちゃん。もう少し待っててね。必ず助けてあげるから」
「ソンナ、コトハ、サセヌ! ワレハマケヌ、マケヌマケヌ! バケモノニンゲン⋯⋯」
僕の声はラズちゃんに届いたかな? 涙が溢れ出しているみたい⋯⋯やっぱり意識はあるんだと思う。
「ビビ、ラズちゃんを気絶させてくれる?」
「うん。わかった」
「クケケ、ソンナコト、ムダダ」
ラズちゃんがそう言った瞬間だった。ビビが赤いリングのような物を複数作ると、それをラズちゃんに向けて飛ばした。
「コンナ、モノ」
迎撃しようとしたラズちゃんだったけど、ビビのリングは霞むようにすり抜けた。
「ナ、ンダ、コレ、ハ⋯⋯」
ビビのリングはどうしても触れない⋯⋯それなのに、ラズちゃんの手首、足首、首、胴にめり込む程の力を加えた。
「ミウゴキ、ガ」
「大人しくしてろ。“ショックウェーブ”」
「グギャアッ!」
今のは⋯⋯
「ビビ、自然の力が使えるようになったの?」
魔力の反応は無かったんだ。それなのに、ラズちゃんの体に電流が流れ込んだ。
ラズちゃんはガックリと肩を落とすと、体から白い煙を上げている。
「雷だけ少し。これで暫く動けまい」
ビビはアイセアさんと契約してるからかな。
さてと⋯⋯
「おーい! お主! お主やーい! 妾を一人にせんでくれ〜!」
魔族の人が走って来たよ。ビビはその姿を見て、赤いレイピアを手に握る。
「大丈夫だよビビ。あの人が僕を助けてくれたんだ」
「魔族がか? 恩人か⋯⋯」
「うん。でも今はとりあえずダンジョンマスターを倒そう」
「そうだな」
ダンジョンマスターを倒さないと、ヨコチンさんもラズちゃんも助けられないからね。
「お主〜! お主! や、待て、何処へ行くのじゃ〜!!」
僕とビビはピラミッドを駆け上がる。はっきり言って、僕結構怒ってるんですけど?
生きるためなら、何をしても良いのかもしれない⋯⋯けど、僕にそれは逆効果だよ。ダンジョンマスター。
僕達は銀の扉に手をかけた。
気絶するラズちゃんがいるけれど、普通に扉で転移出来たみたいだ。
「アーク⋯⋯さっきはごめん」
「その事は後でね。今は」
転移した先には、青い炎を灯す松明がある。それが真っ直ぐ一直線に並んでいる。
ここは廊下みたいだね。イフリンのお城の廊下のように、装飾も豪華な造りに見えた。
道は一本道⋯⋯僕達は黙って歩を進める。
ありがとうございます! なんだかとってもありがとうございます(((o(*゜▽゜*)o)))
いやっほーい! \( 'ω')/




