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デタラメな冒険譚が僕にくれたもの〜憧れを追いかける少年〜  作者: まあ(ºωº э)З
第七章 いきなり始まるスローライフ?
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大地と鋼の⋯⋯





 深呼吸をしてから空へ浮かび上がる。尻尾が届かない位置まで逃げよう。


 ん? あ、あれ?


 いくら遠くまで逃げても尻尾の攻撃が追ってくる。あの尻尾は伸び縮みするらしい⋯⋯


 必死に躱しながらやるしかないかな。



『ノーム様』


『ぬ?』


 精霊契約のパスを開くと、ノーム様が直ぐに返事をしてくれた。


 僕だけの力はまだ弱い⋯⋯最上位精霊さんや、ムーディスさんに比べたらだけどね。



『すいません。ちょっと助けて欲しいのです』


『⋯⋯時の不安定な場所にいるようじゃの。神獣様の所へ行ったと聞いたが⋯⋯なるほど。“消失”した時代の中にいるのか』


『え? 消失?』


『ふむ⋯⋯何も聞かされて無いなら話す事は出来ん。滅多な事をされるとバランスを取るのが難しいからのう⋯⋯』



 えーと⋯⋯ノーム様は何の話をしているのかな? でも話す事が出来ないのなら、無理に聞いちゃ駄目だよね。



 スフィンクスの尻尾が頭上を掠めた。それだけでも風圧に巻き込まれて踏ん張るのが大変だよ。


『もうちょっと僕が強ければ良かったのですが⋯⋯』


『何を勘違いしておる』


『え?』


『アークは十分に強いだろう。四大精霊を(おの)が器に取り込むなど、最早人間技じゃないわい』



 イフリンから聞いたんだね。でもそういうものなのかな?



『まだ納得せんのか』



 パスを繋いでいる状態だと、心の内側も全部見られちゃうんだよね。


『それは帰って来てから話をするとしようかの⋯⋯いくかアークよ』


『はい! よろしくお願い致します!』



 ノーム様の強大な自然の力が流れ込んでくる。イフリンやムーディスさんとはまた違う感じがするよ。

 右手に全て集めると、手の平の上に黄色い光の粒が出現した。その光はどんどん大きくなり、夜すらも吹き飛ばす程の輝きを放つ。


 僕はその光の玉を凝縮し、口の中に放り込む。


 ──ドクン⋯⋯


 心臓が驚いたように力強く跳ねる。


 体が何か全く別の物へと変わっていくような気がする。


 髪の毛が長く伸びて、金髪へと変化した。上半身の服やライトメイルが無くなって、肌が浅黒く染まる。


 爪が真っ黒になって少し伸びたかな? 何となく朧の夜桜の刃を反射させて見てみると、目が真っ黒で瞳が金色になっていた。


 この力があればいける。



 振り下ろされたスフィンクスの尻尾を、手の甲を使って殴り返した。


「オォオアアァァアア!!」


「⋯⋯」



 スフィンクスの尻尾が砕け、初めて雄叫びらしい叫びを上げる。


 ノーム様の力は、物理最強なのかもしれない。殴った感触が全く無かったんだよ⋯⋯


 刀身を握って引き抜くと、朧の夜桜のヒビが修復された。



「儂はアーク。大地と鋼の化身なり。何人も儂を傷付ける物は無く、その全ては無駄に終わる」


 手に黄金の煙管が現れる。それを一振りすると、硬い何かを弾く感触が伝わってきた。

 スフィンクスの周り百メートルが、高重力で大きく陥没する。


 ()(つくば)るスフィンクスが、苦しそうに唸り声を発した。


「たわいもない」


 ──カン!


 さらに重力を倍増させると、スフィンクスが膝を折って地面にめり込み始める。


 ──カン!


 重力が一千倍を超えた。


 身動き一つ取れないスフィンクスへ、歩いて近寄りながら煙管を咥えた。


 一度吸い込⋯⋯げほげほ⋯⋯うぇ⋯⋯変な味⋯⋯



 ──カン!


 もう一度煙管を振り下ろすと、重力が一万倍へと達っした。自分も高重力に晒されているのに、それが全く苦にならない。



「楽にしてやろう」


「⋯⋯」



 スフィンクスの首を挟むように、二本の鋼の柱が空へと伸びる。


 これはギロチン台だ。てっぺんには斜めに巨大な刃が取り付けられ、躊躇なく落ちて首を切断した。


「⋯⋯」


『アークは甘いな⋯⋯いつもそうなのか?』


『え?』


『敵を倒していつも心を痛めているのかと聞いたんだ』


『ん⋯⋯敵だとしても、やっぱり命だから⋯⋯』



 凄い力が流れ込んできた。魂魄のレベルが上がったんだと思う。


 あまり苦しめたくないと思うのは変なのかな?


 精神がノーム様と混ざり合う中、僕の部分だけがそう思っているみたい。


 高重力を解いて、スフィンクスを無限収納に回収した。


 命を奪うルールとして、なるべく無駄にしないって決めてるんだ。

 スフィンクスだって、きっと生きたかった筈だからね。



『⋯⋯アークの気持ちはわかった。そうさな⋯⋯命を奪う事に責任を持つのは立派な事だ。儂も肝に銘じておこう』


『ありがとうございます。ノーム様』


『ノームで良い。儂らは対等な関係なんだ』


『⋯⋯え、えと⋯⋯でも⋯⋯』


『なんだ? イフリートはイフリンなのに儂はノーム様か?』


 え? もしかして拗ねてる?


『拗ねてはいない』


 あうぅ⋯⋯ノーム様はノーム様なんだけど⋯⋯


『じ、じゃあ⋯⋯ノーム。ありがとう』


『うむ。また呼べ』



 体からノームの力が抜けていく。本当に助かった⋯⋯ありがとうございました。


 肌の色が元に戻り、髪も銀髪へと戻った。

 Sスタンダードを解除すると、更に栗毛色へと変わる。


 服とライトメイルも元に戻ったみたいだね。変身中はどこにいってたんだろう?


「アークちゃーん!」


 ラズちゃんが遠くで両手を振っている。扉が近いからあまりこっちに来れないのかも。


 歩いて戻ると、空からラズちゃんが降って来た。


「アークちゃん凄かった! 何回も変身するんだもん!」


「スフィンクスは強い魔物だった。広い場所だから使えたんだ」


「無事で良かった」


 ラズちゃんが凄く嬉しそうに笑う。


 背中の羽を背中にしまうと、僕の顔の前に胸を持ってきた。


「どうしたの?」


「ビビいないじゃない? だから今のうちにね。ほらほら〜」


 ビビならもうそろそろ戻って来ると思う。

 ラズちゃんが胸を突き出してくるんだけど、どういう事なの?


 薄い布を下にずり下げてみる⋯⋯うん。おっぱいしかないね。何かを見せたいのかと思ったんだけど、そういう訳じゃないみたい。


 寒そうだから戻してあげよ。


「え? なんでしまっちゃうの?」


「ん? 駄目だった?」


「⋯⋯駄目って言うか、返品された気分なんだけど⋯⋯切ないわ⋯⋯」


「風邪引かないようにと思って」


「私サキュバスよ? 風邪なんか引いた事ないもん」



 ビビも病気しないって言ってたね。ラズちゃんも羨ましい⋯⋯


「アークー!!」


「あ、ビビー!」


 ビビがやっと追いついてきたね。手を振ると、ビビが僕の前に降り立った。


「ヨコチンさんは?」


「あまりに執拗(しつこ)かったから、あの巨体を細い道に嵌め込んできたわ。暫く動けないと思う」


「それなら良かっ──」



 ──ドス⋯⋯




 ⋯⋯え?







 もう少しで総合評価5000(´;ω;`)

 PVももう直ぐ80万に届きます(´;ω;`)


 応援本当にありがとうございます。


 面白い、続きが気になると思っていただけましたら、是非下のブクマや★★★★★評価していただけると嬉しいです(*^^*)

 創作の励みになります。自分には合わないなと思ったら★1でも構いません。

 これからもデタラメな冒険譚をよろしくお願い致します。

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