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デタラメな冒険譚が僕にくれたもの〜憧れを追いかける少年〜  作者: まあ(ºωº э)З
第七章 いきなり始まるスローライフ?
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即席パーティーの魔物退治





 黒い魔物の討伐へ向かうのは、僕を含めた六人になった。

 ビビ、ガシモンさん、アウグシィスさん、ゼファルさん、ドルトーニさん。


 僕はドルトーニさんを知らないけど、有名な大剣使いの人らしい。

 Aランク冒険者で、ここにいる人達の中では最強の戦士なんだとか。



「最強? 笑わせんな。最強はお前さん等だよ」


 ドルトーニさんが僕の顔を見た。年齢は四十過ぎかな? 芝生を刈ったような焦げ茶色の頭に、逞しい首の筋肉⋯⋯鋼鉄をも捻じ切りそうな腕に、ガジモンさんを超えるだろう身長。


 本当に強そうだね。頼りになりそうだなぁ。


「俺はハルキバルさんにだって勝てやしないんだ」


「旧最強だよな? ドルトーニ」


「うるせーぞアウグシィス」


「紹介するよアーク。彼は現在ランキング四位のパーティーリーダーで、前衛と火力を任せられる男だ。てか、ゼファルさんもガジモンさんも前衛の脳筋だな⋯⋯俺もだが⋯⋯大丈夫か?」


「仕方ねーだろ。情報によれば魔法は弾かれるらしいし、パワーもあってスピードも速いそうだ。アウグシィスもやられたんだろ?」


「⋯⋯まあそうなんだが⋯⋯」



 アウグシィスさんは新しい鎧姿になっている。僕は普通の服でビビはメイド服だったんだけど、ガジモンさんから魔装をプレゼントされた。


 デザインはシンプルなライトメイルだけど、動きやすそうで悪くは無いかな。



「アーク、わだすも着いて行きてーだ⋯⋯だども、足手まといにはなりだくねー。無事に帰って来て欲しいだよ」


「ティーナ⋯⋯」


 ティーナが悔しそうな顔をしている。でもティーナにも仕事があるんだよね。

 転移所の転移陣も警戒しなくちゃいけないから、もしもの時は残ったメンバーで何とかしなきゃいけない。


「大丈夫だよティーナ。僕とビビが行くんだからね」


「そうだぞ? 私もアークも負けたりしない」


「ふだりとも⋯⋯」


 ティーナと軽く握手をする。そろそろガジモンさんが準備を整える頃だよね。





 全員が四十階層の転移陣の前に並ぶ。ゼファルさんは大槍にバックラーで、近中距離の担当かな。

 ドルトーニさんは巨大な大剣だね。アウグシィスさんは、ロングソードに怪しく光る魔盾を装備している。

 ガジモンさんは巨大な両手斧⋯⋯本当に皆前衛ばかりだよ。

 ビビはレイピアで攻撃担当で、僕はオールラウンダーとして参戦する事になった。


「絶対に油断するなよ!? わかったか!」


 戦闘の指揮はドルトーニさんが取るらしい。ガジモンさんは現役を遠のいてから長いらしく、ただの一戦力として数えて欲しいそうだ。


「では出発だ!」



 ──ズガァァアアン!!


 魔法陣を潜った瞬間、激しい爆音と爆風に晒された。咄嗟にビビが僕の前に割り込んで、血晶魔法で盾を作る。


「被害は!?」


「無い」

「こっちも」

「俺も」

「僕も大丈夫です」

「私も平気だ」


 もうもうと立ち込める煙に噎せそうになりながら、周りの気配に警戒する。


 まずい!


「ドルトーニさん! 前!」


「わかってる!!」


 ──ガズン!


 重たい金属同士のぶつかり合う音が響き、土煙も衝撃で吹き飛ばされる。


 魔物の正体が見えてきた。黒い鋼のような体で、腕には髑髏のガントレットを装備している。

 身長は四メートル以上あるかも⋯⋯到底Aランクの魔力じゃない! もしかしたら、Sランク⋯⋯いや、SSランクくらいあるかもしれない!


「いきなりお出迎えかい! “リフレクトワイバーン”!」


 ドルトーニさんの大剣が輝き、半透明の大きなワイバーンが出現する。

 ワイバーンは敵の黒い魔物を睨むと、長い尻尾を叩きつけた。


 大砲でも撃ったみたいな轟音が鳴り、魔物は大きく吹き飛ばされる。



「おい! しっかりせんか!」



 転移陣を守っていた職員さんだ。僕もお世話になっていた人⋯⋯でももう⋯⋯


「あいつが殺ったんだな⋯⋯」


 ガジモンさんが額に青筋を浮かせて立ち上がった。僕達の足元の転移陣も、今は粉々に破壊されたみたい⋯⋯きっとさっきの爆発で壊されたんだ。


 斧を強く握りしめて、ガジモンさんが一人で飛び出した。


「おい! ガジモンさん!」


「一人で突っ込ませるな! 俺も行く!」


 ゼファルさんが槍を構えて突撃した。その後をドルトーニさん、アウグシィスさん、僕達と続く。


「喰らえい! ()き者が!」


 ガジモンさんの両手斧が振り下ろされる。魔物は起き上がった瞬間を狙われたが、強烈な一撃を片手で受け止めた。


 魔物の体からは(もや)のようなものが出ている。


 まさかあれは“身体強化”スキル?


 ガジモンさんの斧が弾かれて、胴ががら空きになった。魔物は流れるような動きで、巨大な体を一回転させる。


 あれは⋯⋯いけない!


「“岩砕脚”」


「ぐがぁあ!」


 ガジモンさんが吹き飛ばされた。何で魔物が体術を? 考えている暇は無い。


 僕はガジモンさんを受け止めると、神聖魔法のヒールをかける。



「無茶しないで下さい」


「ぐぅう⋯⋯すまん。頭に血が上っちまった⋯⋯」


 ガジモンさんがポーションを取り出したのを確認して、僕も魔物へと向かう。


「“旋風断刃(せんぷうだんじん)”!」


「せあ!」


 ゼファルさんの槍が豪快に振るわれた。それは魔物の頭を捉え、太い角の一本を斬り落とす。

 魔物が呻き声を零しながらゼファルさんを睨んだ瞬間、アウグシィスさんの剣が魔物の肩口を斬り裂いた。


「クソ、浅いか⋯⋯」


「グギャアアア! 殺す⋯⋯殺す殺す殺すぅ! 全員殺してやる!!」


 魔物が喋った!?


「“縮地”」


「まずい!」


 魔物が一瞬でゼファルさんの背後へ移動した。ゼファルさんは振り向きざまに槍の柄を魔物の脇腹に叩き込んだけど、魔物には一切の怯みが無い。

 片足で蹴り上げられ、追撃の拳が狙いを定める。


 あれは“震激雷波掌(しんげきらいはしょう)”だ! 当たれば死ぬ!


 僕はSスタンダードレベル3の状態まで力を解放する。


 ⋯⋯間に合え!!


「ハッ!」


 銀の奔流を纏わせた“朧の夜桜”から、銀色の軌跡が放たれた。それは繰り出された拳と激突して、小指と薬指を斬り落とした。

 更にビビが下からレイピアを突き上げて、魔物の拳の軌道をずらす。


「ぐぅ」


「下がれゼファル! “雪崩斬り”」


 ドルトーニさんがゼファルさんの背中を掴んで後ろに投げる。アウグシィスさんが冷気を纏わせたロングソードで、魔物の胸を斬りつける。

 魔物はその瞬間に後ろへ飛んで回避したけど、ガジモンさんが斧で魔物の背中を横薙ぎに斬り裂いた。


「くたばれや憑き者が!」


「グギャ!! クソが! 許さねえ!」


 魔物の姿が消えて、ガジモンさんの追撃が空を切る。


 また“縮地”を使ったんだ! それにまた喋った。


 魔物は少し遠くに移動したみたい。何をするのかと思ったら、ただ立っているだけだった。


「こいつは誰なんだよ!」


「多分⋯⋯最近迷宮に来た二つ名持ちだな」


「また面倒な」


 ドルトーニさんとアウグシィスさんが何かを話ていた。


 最近迷宮に? 二つ名持ちって、あれって⋯⋯



「ビビ⋯⋯もしかして⋯⋯」


「私も知らなかったが⋯⋯そういう事なのだろう⋯⋯」


「も、戻す方法とか無いんですか!?」


 ガジモンさんが首を横に振った。それが答えなんだね⋯⋯



 あの人はヨコチンさんだ。何かしてくるとは思ってたけど、こんな形になるなんて⋯⋯



「本当に助かる方法は無いんですか?」


「アーク⋯⋯自分の心配をするんだ。迷ってたら死ぬ。そんな生易しい相手じゃねえだろ」


「何かあるなら教えて欲しいんです」


「⋯⋯あるにはある⋯⋯」


 ガジモンさんが斧を握り締め、小さな声でそう呟く。


「だが無理だ⋯⋯そんなの」


「僕ならやれるかもしれません! 教えて下さい!」


「⋯⋯」


 ガジモンさんが苦虫を噛み潰したような顔をする。きっと危険な事なのかも⋯⋯でも手段があるなら知りたいんだ。







 名前⋯⋯ヨコチンってちょっと無いかなーと思ってきた今日この頃⋯⋯('・_・`)


 いや、ヨコチンってあだ名ならありそうですよね。


 全国のヨコチンさんごめんなさいm(*_ _)m

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