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デタラメな冒険譚が僕にくれたもの〜憧れを追いかける少年〜  作者: まあ(ºωº э)З
第七章 いきなり始まるスローライフ?
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御祝いと町の人々





 今日は御祝い嬉しいな。ビビも大人の格好でオシャレをしているんだ。でもそれだとティーナがわからないだろうから、子供の姿のままなんだけどね。


 格好は貴族街で買った青いドレス。僕も黒いシャツに赤い豪華なベストを着て、質の良い黒いズボンと赤い革靴を履いているんだ。


 僕がビビの近くに寄ると、頬を引っ張ってニヤニヤしている。


 今日はパーティー結成一ヶ月記念と、金星七つの記念になる。

 そうです。僕達はランキング一位に躍り出ました。


 現在僕達は四十階層まで進んでいる。

 Cランクでも強い魔物が沢山出て来て、フォレストガバリティウスが三体出てきた時は目を疑ったね⋯⋯でも今なら牙を光らせる前に倒せるからかなり楽になったと思う。


 ダンジョンの町を歩くと、たまにおめでとうございますとか、これ食べて下さいとか、ちっせえなぁとか、色々な言葉をもらっちゃいます。


 僕とビビはティーナと合流するために、転位所へと続く大通りを歩いている。


 この町にもかなり慣れてきたね。気がつけばイグラムよりも長居してるし。


「あの⋯⋯」


 話しかけられたみたいで振り向くと、十二歳くらいの女の子が立っていた。


「ファンなんです! あ、握手してもらえませんか?」


「僕ですか?」


「はい! よろしくお願いします!」


 凄く敬語な人なんだね。


 握手をしてあげると、花が咲いたような笑顔で御礼を言われた。

 その背中を見送っているうちに、新しくまた声をかけられる。


「ファンなんです! 握手して下さい!」


 今度は僕じゃなくてビビにだったよ。


 突然現れたその人は十代後半の男の人だった。


「ふんっ、握手をして欲しかったら男を磨いて出直して来い」


「ありがとうございます!!」


 なんか扉が開いたような笑顔で去って行った。よくわからないけど、そんな笑顔もあるんだね。


 っと、ゆっくりしていたら中々辿り着けないや。

 また歩き出そうとしたタイミングで、十五歳くらいの女の人が近づいて来る。


「あの⋯⋯握手してもらえませんか?」


 またビビが話しかけられたみたい。


「仕方ない⋯⋯」


 ビビが握手をしてあげると、百合の花が咲いたような笑顔で去って行った。



 やっとの思いで転位所へ到着すると、背中のあいたドレスを着たティーナが椅子に座っている。


 ビビが気配を消してティーナに近づくと、その背筋を下から上に指を滑らせた。


「ひゃ! え、ビビさ。アーク隊長殿」


「お待たせティーナ」

「待たせたな」


「二人ともすんげえ格好良いべ」


「ティーナも今日はメガネじゃないんだね? とっても可愛いよ」

「胸を強調し過ぎじゃないか?」


「身長ない分はこっちでカバーするだべよ。魔術師さにお願いして、数時間はメガネ無しでも大丈夫だ」


 身長の無い分? それは何のカバーなの? 身長が無いと色々考えなきゃいけないんだね。

 ティーナはメガネをしてないとガラッとイメージが変わる。ビビも髪の毛を縛ってないと凄く可愛い。



 オシャレな格好をしてるんだけど、この町にオシャレな店がある訳じゃないんだ。

 ちょっと大きな酒場で、普段と違う美味しい物を食べようね会なんだよ。

 酒場の席は予約してきた。貸し切りにはしなかったけど、踊り子さん達が直ぐ近くで見れる特等席なんだって。



 酒場に着くと、楽しげな音楽が聞こえてきた。ガヤガヤと聞こえる大きな声が、ドラグスの冒険者ギルドを思わせる。


 早速酒場の扉を開くと、ほぼ全員の視線が僕達に向いた。


「お、おい! アレって⋯⋯」

「あ、ああ⋯⋯あれがアーク探検隊だ⋯⋯」

「マジかよ⋯⋯」


 なんだかすっごく視線が集まっています。ビビが僕の背中を軽く押した。入口で突っ立ってたらいけないよね。


 ニコニコした店員さんが迎えに来て、僕達は大きなテーブル席に座る。


 踊り子さん達の舞が見やすいように、席は横並びになっているみたいだね。


 ティーナが手前の席に座り、僕が真ん中でビビが一番奥になった。

 席の間隔が離れていたんだけど、ビビが僕の隣にピッタリと椅子を持って来て座る。


「メニューになります。アーク探検隊様。今日は我が自由な酒場へお越しいただき大変有難く思っております」


 ロマンスグレーの髪の毛のおじさんが、僕達の前に来て軽くお辞儀をする。


 きっとここの酒場を取り仕切る人かな? 執事の格好にエプロンを混ぜたようなデザインの服を着ているみたい。


「こちらこそ急に予約を入れさせていただきありがとうございます。迷惑ではなかったでしょうか?」


「迷惑だなんてとんでもございません。迷宮の最下層に挑み、今もっとも注目を集めているアーク探検隊の皆様です。今日は心ゆくまでお楽しみ下さいませ」


「ありがとうございます」


 椅子に座りながらの挨拶になってしまった。ちょっと失礼かと思ったけど、お客さんとして来ているわけだから問題無いかな?


 そのおじさんには清潔感があり、どこか安心するような雰囲気がある人だった。


「御注文はお決まりですか?」


「えーと、僕はお酒を嗜む程度なので⋯⋯」

「アークが嗜んだところなど見た事がないがな」

「オレンジジュース!」

「私は良い葡萄酒を」

「わだすはシャンパンをお願いするだべ」


「畏まりました」



 おじさんが去って行った後、踊り子さん達が舞を始める。


「凄いね、綺麗だねビビ」


「ん? アークはああいうのが好きなのか? それなら覚える」


「ビビはアークが本当に好きなんだべな」


「⋯⋯」


 ティーナがビビをからかったみたい。ビビはそういうのに耐性が無いからか、顔を赤くして俯いた。


「アークは⋯⋯私の全てなんだ⋯⋯」


「ビビ?」


 ビビが消え入るような声で呟く。直ぐに音楽がその声を流してしまったけど、僕の耳には確かに聞こえたんだ。



 ビビの世界は狭いと思う⋯⋯凄く嬉しいけど、もっとビビには広く周りを見て欲しいな。


 メニューを眺めると、沢山の料理が書いてあった。


 今日は沢山贅沢をしよう。せっかくの御祝いなんだから。


 んー⋯⋯っと、高い料理高い料理⋯⋯


「これかな? えーと、“二階で踊り子さんが貴方の腰の上で踊りま⋯⋯”」


「アーク! それは違うメニューだ! 料理はこっち!」


「あ、そうなの?」



 店員さんを呼んで沢山料理を注文させてもらったよ。踊りのメニューは顔を赤くしたビビとティーナに取り上げられました⋯⋯


 踊り子さん達は剣も使って踊っている。

 実戦では微妙かもしれないけど、僕は目を奪われてしまった。


 美味しい料理がテーブルに揃う頃、一人の筋肉ムキムキな男性が近づいて来る。


「おい」


「はい? 何でしょうか?」


「お前がアークだな」


「そうですが⋯⋯」


 何か僕に用でもあるのかな? 男性はニヤリと薄ら笑いを浮かべると、いきなり僕に指を向けて来る。


「俺と勝負しろ! 負けたらその娘達は俺がいただく」


「え?」


 どういう事? この人は僕を倒したいって事?


 ビビが不機嫌そうな顔になった。


「マジかよ⋯⋯Aランク冒険者の“ヨコチン”が⋯⋯」

「おいおい⋯⋯流石にそれはまずいだろ⋯⋯」

「二つ名持ちのAランクだぞ? アークは一般人なんだろ?」

「格闘王“ヨコチン”⋯⋯やべぇ」


 ヨコチンが二つ名じゃないのね! 格闘王が二つ名で、ヨコチンは名前なんだ。



「お前を倒して俺は更に有名になる。いや〜⋯⋯こんな餓鬼がアークだとはな。ついてるぜ! カッカッカッカ! ついでに女もいただいてやる! 感謝するんだな!」






 ショタコンの次はロリコンでした:(;゛゜'ω゜'):


 昨日70万PV突破しました(´;ω;`)


 ありがとうございますありがとうございますm(*_ _)m

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