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デタラメな冒険譚が僕にくれたもの〜憧れを追いかける少年〜  作者: まあ(ºωº э)З
第七章 いきなり始まるスローライフ?
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ランキング目指して頑張ろー!





 五階層のボスを倒さないと、六階層へ入る事は出来ない。だからボス部屋って言うのは階層の狭間なんだよね。


 今僕達は、順番待ちをするパーティーの最後尾に並んでいる。

 魂魄のレベルアップを狙う人や、ボスを倒した戦利品狙いの人達だと思う。


 僕はこの迷宮に来てからまだレベルは上がってません。強い魔物がいないから仕方ないよね⋯⋯でも三十階層からはレベルアップに期待してるんだ。


「許可出来ません! 君達三人だけだなんて、もしガジモン様に知られたら⋯⋯」


 転移陣の管理をしている職員さんが、ティーナの事を心配しているみたいだね。

 必死に止めようとしているけど、ティーナは行く気満々な様子。


「わだすはじいちゃに許可さもらってるだで?」


「なんですと!?」


 ティーナが胸を張って上半身を仰け反らせる。それでも納得がいかないといった様子で、職員さん達はコソコソ内緒話を始めた。


「ほ、本当だと思うか?」

「いや⋯⋯どうだろう? 何も無い場所で転んでパンツ丸出しになるティーナ様だぞ?」

「俺この前椅子から転げ落ちたの見たぞ? パンツも見た」

「それは俺も見た事ある⋯⋯」

「俺もだ⋯⋯」

「階段からも⋯⋯」

「水溜まりでも転ぶな」

「バナナの皮の手前でも転んでたな」


 わざとなのかな? 少し聞こえてくるよ。ティーナ⋯⋯転び過ぎだと思う⋯⋯それは心配になるに決まってるよね。

 ボス待ちの列は、遅くても三十分ぐらいで一組進むみたい。職員さん達の話をスルーして、僕達は前に進んだ。


 ボスへの扉は今黒くなっている。それが銀色へ戻った時、次のパーティーが中へ入れる合図となる。

 一人が扉から転移すると、扉の光が弱くなっていくんだ。数十秒で光が消えちゃうみたいだけど、それまでは続けて入る事が出来るみたい。


 列は進み、後一組進めば僕達の番になる。ワクワクして待っていたら、前に並んでいたお兄さんが振り返った。


「は? 子供? お前達三人だけか?」


「はい。やっぱりボスは強いですか?」


「当たり前だろう! 魔物のランクで言えばDランクはある。それをお前達子供三人だけでなんて無謀だろう」


「御心配ありがとうございます。まだ実績も無いので不安に思うかもしれませんが、必ず戻ってきますので御安心を」


「いやいや、やめとけって──」

「おいガイス。順番だぞ?」

「ああ、悪ぃ」


 こう言われるのは仕方ない。早く大きくなりたいです。


 納得いかなそうに振り返るお兄さんにお辞儀をしました。あの人は冒険者さんなのかな?


 十五分くらいの時間が経ち、扉が再び銀色に光る。


 普通に倒したんじゃ駄目かな?


「ビビ、僕達は実力を証明する必要がある」


「じゃあ速攻かな?」


「どういう事だべか?」


 実力を証明する確かな方法なんて一つしかないよね。


「ティーナを頼んだよビビ、五階層に戻って合流ね」


「わかった」


 僕は一人でボス部屋へ入る。入った瞬間にSスタンダードのレベル3になり、中央でふんぞり返っていた大きなアーマースケルトンを発見した。

 体から邪悪な黒いオーラを漲らせ、大楯に巨大な錆びた剣を装備している。


 即ダッシュから“加歩”を使い、ボスの懐へ飛び込んだ。銀の奔流を纏わせた拳を、そのがら空きの胴体へと叩き込む。


「はぁああ!」


 スキルは使ってないけど、僕の全力の力を込めた拳。銀の奔流を一点に集中させると、アーマースケルトンは抵抗も無く爆散した。


 父様は死線を何度も潜ったって言ってたけどさ、三歳の時にSランクの実力があったなら、それ以上の魔物が沢山いるって事だよね?


 僕はまだまだ強くならなくちゃいけない⋯⋯でも、速攻で倒す事は出来ました。

 もしかしたら、この迷宮の最短記録かもしれないよ。


 装備や骨を収納して、直ぐに来た道を引き返す。


「ふぅ⋯⋯討伐完了です」


 六階層へ進む扉も現れたけど、僕は戻る扉に触れたんだ。


 ビビとティーナが出てきたら、一度迷宮から出ようと思う。ビビの体調をリセットしたいのと、ペットの鳥さんに餌をあげたいんだ。


「な、何だと!?」


「え?」


 驚きの声が聞こえてきたので、気になって見てみる。すると、さっきのお兄さん達が休憩をしていたみたい。


「あれ? ここは?」


 確かにちゃんと戻ったのに、何で出た場所が違うのかな?


「ここは五階層のボス討伐帰還ポイントだ! 俺達がボスを倒してから一分も経ってないんだぞ!?」


「直ぐに倒しましたから、多分そろそろ後二人も──」


 背後の空間が光輝いて、何も無い場所からビビとティーナが現れる。噂をすればってやつだよね。


「おかえり。ビビ、ティーナ」


「ただいま」


「わ、わけわがんねーだ⋯⋯ボスが一撃とか有り得ねーべ?」


 あの程度のボスなら当たり前だね。ティーナがブツブツ何かを言っている。


「お疲れ様。じゃあ町へ戻ろうか」


 お兄さんに小さく頭を下げて、僕達はその場をあとにした。


「ティーナ、迷宮はどうだった?」


「迷宮よりも、アークとビビに驚き疲れただや⋯⋯こげな強さがあるのなら、じいちゃがわだすを預けた理由もわかるべよ」


「楽しかった?」


「⋯⋯それはもう」


 ティーナがにっこりと笑う。楽しかったのなら良かったよ。ティーナと一緒に冒険して、僕もすっごい楽しかったんだ。


 ボスの扉がある部屋に戻ったら、転移陣を管理していた人もかなりびっくりしていたよ。早速帰還の魔法陣を使わせてもらって、一階層の転移所へ戻ってこれました。


「ふぁー。長かったんだか短かったんだか⋯⋯」


「かなり早いペースだと思うべよ」


 転移所の受け付けで金の星を貰い、三人で腕輪に付けました。


「わだす、ボスじゃ何もしてねーべ? 星もらうのは悪か気分さなるだな」


「星一個目だ。やったー!」

「良かったなアーク」


「き、聞いてるだか?」


 えへへ。ビビに撫でてもらえた。嬉しいなぁ。


 五階層じゃまだランキングには入れないみたい。転移所にいた受け付けのお姉さんに聞いてみたら、


「ランキングに入れるのは二十階層からになりますね。っふんす! 探索のチームは約五千組が登録されています。っふんす! 動いているパーティーは千組に満たないですが、ランキングは上位二%の狭き門です。っっふんす!! 入れるだけで凄いんですよ!!! っふんっすぅ!!!」


「なるほどです。っふんす! ありがとうございます。っふんす!」


「っふんす!!」


「っふんす!!」


 って言われたんだ。という事は? 百位までがランキングに入れる計算になるよね。


「そう上手くはいかねーだ⋯⋯」


 ティーナが真剣な顔をしている⋯⋯何でなのかな?


「ランキングは皆の憧れだ。そこに入れるっつー事は、本当に大変な苦労さかか──」


「アーク。早く出よ?」

「そうだね」


「って聞いてなか!」


 別れる前に、ティーナにぎゅっと抱き着いておく。ティーナはドワーフで身長が低いから、胸に顔が埋まっちゃうぅ⋯⋯ふわふわで気持ちいい。ミラさんを思い出すよ。


「ティーナ。明日はお休みで、明後日の朝に転移所で待ち合わせね」


「わかっただべ。わだすも色々と用意したいだでな」


 頭と背中を撫でられた。丸一日休みを入れたけど、ビビの体調が良くなるかはわからない。


 ティーナに手を振って、僕とビビは鳥さんホームへ帰ってきた。


 ま、眩しいよぉぉぉぅおああああ!



「た、卵が⋯⋯」

「またやばいくらいにあるな」


 庭を埋め尽くす黄金の卵の山。鳥さんも五十羽くらいになってるし、流石にこれ多過ぎじゃないかな?


「クルルウェ!? クル、クルルウェ!?」

「クルルウェ! クルルウェ! クルルウェ!」

「クルルウェ!!!?」


「あはは。ただいま皆」


 一羽ずつ撫でるのも大変。僕が帰ってきたから、皆も喜んでるみたい。鳥さん達は、頭を擦り付けて来るから本当に可愛い。よしよしよしよーし。


「ビビ、体調はどう?」


「迷宮を出たら楽になった。もう欲じょ⋯⋯あ、も、もう大丈夫だ」


「? それなら良かった。明日一日休めば大丈夫?」


「う、うん。ごめん⋯⋯ありがとうアーク」


 ビビの顔が少し赤い。やっぱり辛かったのかもね。



 次の日、ギルドで追加のお金をもらい、食材とお酒を沢山買い込んだんだ。そしてそのまた翌日、僕達は六階層に立っている。


 んんんん〜!!


「アーク探検隊! 今日からまた宜しくお願い致します!」


「よろしく」

「だべ」


 海の匂いと波の音。照りつける太陽を浴びて、僕はとてもワクワクしているんだ。白い砂浜とコバルトブルーの海⋯⋯海を見れるなんて感動しちゃうよね。


 凄いなぁ⋯⋯これが六階層なんだ。海は父様や母様の話でしか知らないんだよね。新しい冒険に出発です!


「皆。海にはリヴァイアサンが沢山いるから気をつけてね!」


「リヴァイアサン? 伝説の魔物だろ?」

「いたら探索禁止されてるべ」



 いーーや! リヴァイアサンはいるよ! だって父様が海に行くと、毎回お話に出て来るんだもんね。ワンパンで倒されちゃうけど、とんでもなく強いらしい⋯⋯ゴクリ。






 お気軽に感想など宜しくお願い致します(っ ॑꒳ ॑c)

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