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デタラメな冒険譚が僕にくれたもの〜憧れを追いかける少年〜  作者: まあ(ºωº э)З
第七章 いきなり始まるスローライフ?
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仲良くなる三人





 ビビは美味しそうにグラスを傾ける。葡萄酒は美味しいらしいけど、僕にはわからないんだ。料理でも使うから、量は沢山収納してあるんだけどね。


 ティーナがビビの持つ葡萄酒を見て、喉をゴクリと鳴らしている。


 ドワーフさんはお酒が好きだよね。飲みたいのかと思って、ティーナさんにもワインを出してあげた。


「飲みますか?」


「き、貴重な物なんだべ!? わだすに分げてぇ大丈夫なんだべか!?」


「うん。料理も食べる?」


「本当に良いんだべか⋯⋯食料のいざこざで喧嘩しだパーティーの話もきぐど? だけん人様の物にさ手を出すんじゃねーって言われただで」


 ティーナはガジモンさんから色々話を聞いてるのかな?

 食料の少ない状況で、お腹が空いてる時に奪われたら喧嘩になりそうだよね。


「大丈夫。はいどうぞ」


「ありがとう⋯⋯恩にきるだ。大事に飲ませてもらうべ」


 そういえばティーナさんはお魚が好きなんだよね。明日のお昼か夜に雲海ズベーラを捌いてみよう。


 あのおじいちゃん精霊さんが美味しいって言ってたんだもんね。


 ティーナにはエビマヨサンドをあげたんだ。渡された瞬間目を見張り、大きくかぶりついて飛び上がる。


「うっ⋯⋯んめーーーー!!!」


 感動の仕方が大袈裟過ぎるよ。その次の瞬間には、正座してゆっくりと食べ始めた。


 テンションの落差が⋯⋯どういう事?


「これはなんなんだべ⋯⋯この白いソースは! コクがあってたまらん! これのお陰で塩茹でされたエビの旨味が何倍にも押し上げられてるだよ。こりゃ正座するしかないべ⋯⋯負けただよ⋯⋯食べ終わったら体育座りするしかないべな⋯⋯」


「なんで!? どうしてそうなるの!?」


「神の禁忌に触れた気分だでよ」


 ティーナは悟りきった顔になっていた。後光すら見える⋯⋯ような気がする。

 その白いソースはマヨネーズなんだけど、うちの鳥さんの卵で作ったから特別美味しいんだ。

 実は鳥さん達にも大好評いただいております。


 «クルルヴェ!!!!??»


 今幻聴が聞こえた気がしました。


 ティーナの椅子も出してあげて、僕のビーフシチューも分けてあげる。


「僕達、一日目にしては順調だよね?」


「速くはないが遅くはないだろう。探索出来た時間も少なかったんだ。アークが犬になるハプニングもあったしな」


 ビビは頬が(うっす)らピンク色になっている。ちょっとワイン飲み過ぎたかもね。


「ティーナはどうして迷宮に挑みたかったの?」


「普通にレベルさ上げたかっただ。わだす、魔導具作るんが好きなんだべが、自分の足でさ素材集め出来んとしゃーないべ? 金がいくらあっても足らんとなんね。だがら魂魄レベルさ上げて、体を鍛えたかっただべ」


「なるほど。僕達もレベルを上げたいと思って来たの。一緒に頑張ろうね」


「勿論だべ!」


 ティーナは良い笑顔で笑った。目的が同じなら、きっと楽しい冒険になるよ。


 いっっっぱい鍛えてあげるからね。ティーナ。


「う⋯⋯今何か背筋が寒かったど?」


「風邪? ゆっくりお休みしよう」


「そうだでな! ほいじゃお先〜」


 ティーナが寝袋の中へ入って行く。


 あ、そっか⋯⋯魔物に襲われない場所だから、見張りがいらないと思ってるのかな?

 でも他に冒険者チームも来るかもしれないし、そのまま全員で寝たら不用心だよね? ちょっとカムフラージュしておこう。


 まず、この部屋の出入りは一つしかない。ノーム様の力を使い、思い切って壁を塞いでみました。

 ボコボコと下から地面が盛り上がり、違和感無く天井へくっつく。一応空気穴を開けて、安全は確保したよ。


「アーク隊長殿はすんげえな。今のは魔術だべか?」


「んー⋯⋯似たようなものかもね」


 ティーナは寝袋から顔だけ出して僕の事を見ているよ。夢だった迷宮での寝袋は、きっと気持ち良いんだろうね。


 僕は地面を平に(なら)し、数箇所を大きめに凹ませた。


 うん。これだけスペースがあれば大丈夫だね。


 ログハウスを取り出して、玄関の扉を開いた。まずはお風呂にでも入ろうか──


「ちょーーーっと待てやーー!!!!??」


「「え?」」


「百歩譲っても大きなテントだべ!!? なして家が出てくるだべさ!!!?」


「迷宮入るのに必要だと思って──」


「そこまでだべ!! 普通の人なら考えただけで終わる話だべ!?」


「そんなに変かな? 十トン袋で運ぶ人とかいる気がするよ?」


 お金持ちなら持ち運ぶと思う⋯⋯それからティーナを落ち着かせるのに数分の時間がかかったね。


 皆で家の中に入り、お風呂に入る事にする。ティーナが三つ編みを解いて、瓶底メガネを外したんだけど⋯⋯


「ティーナに見えないね」

「雰囲気が変わったな」

「素顔のティーナ可愛いよ」


 どこからどう見てもティーナは可愛いかった。ビビも何度もティーナを見て頷いている。


「そげな事言われんと恥ずかしいだよ⋯⋯メガネねーと見えねーがら仕方ねーべ?」


 そうだね⋯⋯見えないと危ないし⋯⋯メガネの代わりになる魔導具でもあると良いね。


 ティーナは脱いだらおっぱいが大きかったんだ。ビビがティーナを洗ってあげたんだけど、何だか凄いなぁって思った。ベスちゃんに半分分けてあげて欲しい。


 お風呂を出て、ティーナはソファーで寝る。ベッドを貸そうとしたんだけど、流石に遠慮されちゃったよね。


「今日は楽しかったね。ビビ」


「楽しかったな。アークが犬になった時は焦った⋯⋯当の本人はいつも通りだったけど」


「僕もびっくりしたよ?」


 ビビとベッドの中でお話をする。この時間もとっても好きなんだ。


 こんなに和やかに迷宮を探索出来ているのは、まだ敵が弱いからだろうね。


 だけど僕達は甘かったんだ。迷宮のボスというものがどれだけ強いかを、この時の僕達には知る由もなかった。






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