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デタラメな冒険譚が僕にくれたもの〜憧れを追いかける少年〜  作者: まあ(ºωº э)З
第七章 いきなり始まるスローライフ?
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迷宮の内側には○○がありました!






 お姫様抱っこされたビビは嬉しそうだったね。ロープを歩いて渡って来る僕達を見て、兵士らしき人が唖然としていたよ。


「あ、危ないだろう? 落ちても死にはしないだろうが、滑車が無いやつには小舟を貸してるんだ」


「え?」


 ロープに乗ったまま振り返ると、確かに小舟が端っこに浮かんでいた。


「すいません。見落としてました」


「いいよ。ってか怪我する前に早くこっちへ来い」


 ロープを渡りきり、黄金のピラミッドへと着地する。ロープも何本か張られているみたい。小さな掘っ建て小屋があるなぁ。


「ここは冒険者の同行がいなきゃ入れないぞ?」


 兵士さんが微妙な顔をしている。


 冒険者の同行云々は初耳だけど、でも多分これがあれば大丈夫だよね。


「どうぞ」


 僕はハルキバルさんからもらった許可証を見せた。それを見た兵士さんは、小さく一度頷く。


「なんだ。お前達は中の人か?」


「中の人?」


「ん? 違うのか?」


「中の人の意味がわからなくて⋯⋯」


「そうか、まあ気にしなくて良い。それも中に入ればわかるしな」


 何だかわからないけど、とりあえず通行の許可は出たみたいだね。


 すると、掘っ建て小屋の中から一人の兵士さんが現れた。大きく欠伸をして、太陽の光を全身に浴びている。


「何だ? 交代の時間か?」


「ああ、代わるぜ」


 ここは数人の兵士さんで見張りをしているみたい。


「おじさん達はずっとここに住んでるの?」


「二ヶ月働いたら十日は休みもらえんだよ。だがここは楽しみが無くてなぁ⋯⋯皆やりたがらねえよ」


 確かに何も無いね。ずっとここにいるのは嫌だなぁ。


 僕は酒瓶を三本取り出して、それを兵士さんに手渡した。


「おい、これは⋯⋯」


「こんな物しか無いですけど、暇つぶしにどうぞ」


「良いのか!? 高そうな酒だが?」

「な! お前狡いぞ! 俺にも飲ませろ!」

「お前はこれから仕事だろうが」

「全部飲むなよな! 俺の分も残しとけよ!」

「保証は出来ねえな」

「くぅっ!」


 兵士二人の掛け合いがちょっと面白かった。もう数本渡してあげると、二人共凄い笑顔になる。


「ありがとう! しっかり働いて飲ませてもらう!」

「ありがとうな。観光なのか知らねえが、気をつけてな!」


「うん。またねおじさん」

「また。にゃん」


 兵士さん達と別れ、迷宮の扉に触れる。やっぱり人との出会いは良いものだね。仲良くなれたら嬉しくなるよ。


「ええっ!!!」


「これは⋯⋯こういう事か⋯⋯」


 視界が切り替わり、僕は驚いて目を見張る。迷宮の中だというのに、小さな町のようになっていたんだ。

 でっかい洞窟の大空洞のような場所で、松明の明かりが(おびただ)しい程に眼下に広がっている。


 ガヤガヤした喧騒と、良くわからない肉の焼ける匂いが漂ってきた。


 そうか、そういう事だったんだね。


「中の人⋯⋯兵士さんには、ここの住人さんだと思われたんだね」


「これは合法なのか? ようはギルドなどを通さずに売買をしてるって事だろ?」


 確かにそうだ。でも、誰だって狩った獲物を食べたりすると思うんだ。そういうのまでいちいち罰せられたりしない。でもこの規模はグレーゾーンを通り越しているような気がするよ。


「ドラグスだと、迷宮から持ち帰った物は全て冒険者ギルドで買取になるよね」


「もしかしたら、スタンピードが起こった時の肉壁にするつもりかもしれない⋯⋯」


 そういう事なんだ⋯⋯確かにここは迷宮だ。だから当然殆どが戦える人になる。


 今気がついたけど、迷宮の内側もピラミッドになっていたんだね。外は黄金だったけど、内側は薄緑色に発光する石になっている。


 不思議! わんだふぉーなにゃんだふぉー!


 僕とビビはピラミッドの階段を下りる。獣人、人間、エルフ、ドワーフ、妖精、色々な人がごちゃ混ぜになっているみたい。


 少しマウンティスを思い出しちゃうな。マウンティスの方が綺麗な場所だったけど、こっちの生活感のある町並みも好きだ。


 町の中心には、高さ四メートルくらいある大きな看板が建てられていた。


「迷宮攻略ランキングだって」


「ふむ⋯⋯お、あいつらのチーム名があるぞ?」


 ビビが看板のある場所を指す。


「ランキング五位、“獣の集い”三十二階層。これって凄いって事かな?」


「凄いんじゃないか? 一位は三十五階層⋯⋯ん?」


「あ」


 一位の場所はチーム名になってはいなかった。その代わりに、二つ名と名前が書かれている。


「“大魔導士ハルキバル”だって。あの人も迷宮入ってたんだ⋯⋯」


「まだ四十階層へ入った者はいないようだな」


 三十階層からは厳しいらしいからね。四十階層とかどうなってるのかな?


「とりあえず行くか?」


「うん! 迷宮探検レッツゴー!」


 町の見物もしたいけど、迷宮を進んで強くなりたい。真っ直ぐ町を横断して、洞窟の奥へと進んで行く。


 つもりだったのに⋯⋯


 僕とビビは後ろから首根っこを掴まれた。何でそんな事をされたのかわからないよ。むむむ⋯⋯


「これ! お主ら! そっちは魔物が出るぞ!」


 僕達を掴んで止めたのは、大きな体格の神父様でした。


 迷宮に神父様とは珍しい? さっき神官のうさ耳女性はいたけど、中に教会でもあるのかな?


「僕達はこれでもぼうけ⋯⋯旅人です。自衛の手段くらいあるのですよ?」


「旅人? この町の冒険者の子ではないのか?」


「外から来ました。ハルキバルさんからいただいた許可証もあります」


「ハルキバル!? あ、あの大魔導士のか!? ただの子供ではないという訳か」


 神父様が僕達から手を離す。心配してくれてありがとうございます。


「それならまずは転移所で登録をなさい。腕輪もつけてないと皆心配しますよ」


「転移所?」


 確かドラグスの迷宮でもあったよね。


 神父様に教えてもらい、僕達は転移所という場所へと向かった。転移所は沢山の人で賑わっていて、何かの大売出しでも見ているようだ。


 転移所には沢山の扉があり、五の倍数の看板を提げた部屋があった。


「すいません」


 僕は職員らしきおじさんに声をかける。


「なんだい? ここは子供の来るような場所ではないが⋯⋯」


「登録をしに来ました」


「は? あっはっはっはっは。子供が登録? 出来る訳がないだろう」


 その人の声が大きかったから、僕達は沢山の人から注目されてしまった。


 子供に見えるのは仕方ないよね。僕身長小さいし⋯⋯でも両手を使わなきゃ数えれない年齢なんだよ?


「入場の許可証もあります」


「そんな物、ここの住人なら皆持っているさ」


「どうしたら登録出来るのです?」


「本気なのか?」


 コクリと頷いた僕達に、職員のおじさんが眉根を寄せる。少し考えた後に、近くにいた青年の肩を掴んだ。


「何ですか? タジモフさん」


「ラック。お前この子達に試験してやれ、どうしても迷宮に入りたいんだとよ」


「ええっ!? 本気なのかい?」


「はい! ちょっと迷宮を完全攻略しに来ました!」


「フッ⋯⋯フハハハ⋯⋯完全攻略って⋯⋯あはははは!」


 僕がそういうと、近くにいた人達の反応は様々でした。顔をニヤケさせる人もいれば、イライラとした顔になる人もいる。


「はっはっはっは⋯⋯あ〜笑った。しょうがない。君達が迷宮に入っても大丈夫かどうか試験してあげるね」


「ありがとうございます!」

「ございます。にゃん」


 やったね! 試験したらいよいよ迷宮探検に行けるんだ。


 ニヤニヤするラックという名の青年さんに着いて行き、僕達はグラウンドのような場所へ案内された。






 今この滑車を購入すると、なんと! おまけでもう1個滑車がついてきます!

 まだマイ滑車を持ってないそこの貴方! 大丈夫です! 私も持っていません。

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