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デタラメな冒険譚が僕にくれたもの〜憧れを追いかける少年〜  作者: まあ(ºωº э)З
第七章 いきなり始まるスローライフ?
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ちょっとワクワクしちゃいます






 ミズリさん達と別れてから、ビビと家に帰りお昼まで一緒に寝ました。


 なんかビビがすっごく優しかったんだ。大人の姿になって、ずっと抱いててくれたんだよ? ん〜⋯⋯元気全開です!!


 ありがとうビビ。もう寂しくないよ。


 一昨日デナートロスに行ったはいいものの、あれから次の指示が無いんだよね。黒狐様は何をさせたいんだろう。

 どうしたら良いのかわからないし、考えたって仕方ない! だから息抜き? に、ちょっと迷宮に行ってみようと思うんだ。





 と言う訳で、僕とビビは迷宮の前にやってきました。一応冒険者ギルドにも寄って、追加の30万ゴールドをいただいてから来たんだ。


 変な時間に起きたから、ちょっと変な眠さがとれない。今日の夜はしっかり寝ようと思う。


 ギルドマスターのハルキバルさんからもらった許可証を、いつでも出せるようにポケットへしまう。


「ここが迷宮なんだね」


「そうみたいだな。どれくらいまでやるつもりだ?」


「新しい指示が来るまで! 指示がなければ完全攻略しちゃう!」


 ハルキバルさんに聞いたら、三十階層までは探索済みなんだって。そこから先はCランクの魔物が彷徨(うろつ)いているから、上位冒険者じゃないと入って行くのは難しいらしい。


 国とギルドで管理をしている迷宮らしいけど、破壊出来るならして欲しいそうです。

 場所もそんなに近く無いし、必要経費ばかり膨らんじゃうんだとか。それでスタンピードの警戒もしなくちゃいけないから、損な部分ばかりが目立つそうです。


 迷宮の場所は大きな窪地になっていて、中には緑色の水が溜まっていた。


 何だかちょっと見ていて面白いな。中心には黄金のピラミッドがあって、そのてっぺんに迫力のある扉が鎮座している。


 ピラミッドなのに、歴史的な価値があるのか無いのかわからない⋯⋯黄金のピラミッドには、汚れて灰色になったロープが張られている。


「これ何だろう?」


「滑車を使って向こう側へ行くんじゃないか?」


「でもロープが水平だよ? これじゃあ進んでいってくれないよね⋯⋯体の反動を使って進むのかな?」


「ふむ⋯⋯それだとロープの真ん中らへんから上り坂になるのではないか? いくらピンと張られていても、ロープが(たわ)んでしまうからな」


「想像したら大変そうだね⋯⋯」


 そんな話をしていた僕達に、十歳くらいの獣人の男が近づいてきた。ガゼルのようなかっこいい角が生えているね。革鎧を着て大きなリュックを背負っているよ。


 街の外で人を見る事は少ない。街道ならまだわかるけど、ここは街道から外れた迷宮の前だ。珍しいなと思って見ていたら、その獣人さんが急にドヤ顔をしてくる⋯⋯


「何だーお前ら、マイ滑車も持ってねーのか?」


 何そのローカルなネタ!? マイ滑車自慢なんてされた事ない!


「も、持ってないです⋯⋯」


「へっ⋯⋯これだから田舎者のガ──」


 ──ゴン!


 獣人の人が唐突に殴られる。その頭を殴ったのは、同じくガゼルのような角をもった獣人の大人だった。

 直ぐ近くには、チーターのような尻尾をもつ獣人さんと、うさ耳の生えた神官の女性。それと一昨日会った黒い革鎧の人がいた。


「お前は見習い冒険者で荷物運びなんだぞ? 勝手に先に行くなといつも言っているだろう!」


「だってこんな所に子供がいるから」


「子供だぁ?」


 大人のガゼル風の獣人さんがこちらへ向く。僕とビビを上から下まで眺めると、小さく首を傾げた。


「君達は何だ? 魔物の彷徨(うろつ)く外界で、私服で武器すら持っていない。近くに護衛でもいるのかな?」


 ビビがメイドの格好だからかな? 僕が護衛付きで守られるような人物に見えるのだろうか。

 一応武器は持っているんだけど、防具が無いのは確かに変だよね。


「護衛はいません。これでも僕達は戦えますので、心配しなくて大丈夫ですよ」


「はあ!?」


 小さい方のガゼル風の獣人さんが、僕の言葉に反応した。


 睨みつけてきたんだけど、何か気に障ったのかな? ビビが僕を庇うように前へ出る。


「子供だけで外へ出ただと? 外がどんなに危ない所なのかわかってるのか!?」


「えと、君は?」


「俺はAランクパーティー“獣の集い”の荷物持ち! ロイだ!」


「Aランクパーティーだったのですね! 凄いです!」


 良いなぁ。僕も早くAランクになりたいなぁ。毎日訓練頑張らなきゃね!


 僕の魂魄レベルは現在111なんだ。フレイガースでの戦いと、マウンティスの戦いで上がったんだよね。


「ロイは下がれ。そいつらは子供だが、ハルキバルさんに頭を下げさせていたやつらだぞ?」


「えっ! 大魔導士のハルキバル様に!?」


 黒い革鎧のおじさんが、ロイという名の子供を止めてくれた。


 怖くは無いんだけど、大きな声で何かを言われるのは嫌なんだ⋯⋯静かになってくれた事で、ホッと胸を撫で下ろす。


 ハルキバルさんって大魔導士って呼ばれてるんだね。ロイさんは目を見開いて僕とビビを見ているよ。

 チーターみたいな人も、うさ耳の女の人も僕達を見ているみたい。


「心配は無用と思って大丈夫なのかな? それならこちらが先に渡らせてもらっても良いか?」


「はい。どうぞ!」


 大人なガゼルさんに返事をすると、全員が滑車を取り出している。


 皆マイ滑車持ってるんだ⋯⋯あれをどうやって使うの?


 真っ先にロイさんが滑車をロープにかけると、握りの部分にあるレバーを引いた。

 すると、プシュっという効果音を発しながら、勢い良く滑車が回り始める。


 魔術の気配は無いみたい。どうなってるのか気になるなぁ。


 “獣の集い”の人達は、あっという間に向こう側へ渡った。


「ちょっと楽しそう⋯⋯」


「マイ滑車が欲しいのか?」


 んー⋯⋯マイ滑車はいらないかな。


「とりあえず、僕達も迷宮の中へ行こっか」


「そうしよう。元々ロープなどは不要だったんだ」


 僕はビビをお姫様抱っこすると、ロープの上に飛び乗った。もしバランスが崩れも、落ちないように飛べば問題ない。


「よし。迷宮攻略頑張るぞ!!」






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― 新着の感想 ―
[一言] 迷宮もなんだから凄く久しぶりな気がしますねw
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