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デタラメな冒険譚が僕にくれたもの〜憧れを追いかける少年〜  作者: まあ(ºωº э)З
第七章 いきなり始まるスローライフ?
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お買い物。ジェノシスライトとレフティスワルキューレ






 デナートロスの人達も、どこか元気が無い気がするんだ。商売人は生き生きと働いています。


 焼き鳥の芳ばしい匂いにつられ、繋いだ左手がグイグイ引っ張られちゃう。


「もう暫く食べてなかったもんね」


「や、焼き鳥は⋯⋯何て言うかその〜⋯⋯そ、そう! 栄養バランスが良いんだよ!」


「では健康のために購入致しましょうか。ビビお嬢様」


「そうしよう! そうすべきだと思う!」


 これから皆で夕食だから、無限収納にしまう事になるけどね。


 匂いの出処を探して歩いて行くと、屋台通りみたいな場所になってたんだ。


 色々な食べ物があるや⋯⋯僕はリンゴ飴買おうかな。真っ赤でツヤツヤで綺麗だもん。

 噛み付いたら果汁が溢れてきそうだよね。


 焼き鳥屋の屋台のおじさんに、兎に角出来るだけ大量に焼いてもらう。甘辛いタレと、鳥肉の脂が混ざり合って炭火へ落ちる。

 そしてジュワっとした音が耳に届いて、空腹感をより刺激してくるみたいだ。


 ビビの目がキラキラしてる。おあずけにするのが可哀想だな⋯⋯


「一本だけ味見する?」


「あ⋯⋯うん。する⋯⋯」


 店主のおじさんから一本だけ先に渡してもらう。


 美味しそうな匂い⋯⋯間にネギが入ってるね。それを手渡すと、ビビはゆっくり味わって食べていた。


「やっぱり⋯⋯帰ったらあの鳥を⋯⋯」


「駄目〜」


 あの鳥はもう家のペットなの。絶対食べちゃ駄目〜。


 その後もビビと屋台を回る。焼きトウモロコシ、巨大イカ焼き、チリホットドック、鳥の揚げ物、何か大きな貝のパエリア、変にねじれた飴、後ビビ用に高いお酒、もう色々買いました。


「普通に小麦粉やバターも欲しいな。家に石窯作らなきゃ」


「そうだな。豆と米も買おう」


 ビビが楽しそう。僕も楽しいな。


 生野菜も果物も沢山買う。牛肉、もっちもち豚、鳥肉は大量に、お魚は新鮮に見えなかったからパス、後は〜⋯⋯

 ミルクも沢山買うよ。チーズも色々欲しかったんだ。


「露店で手に入るのはこんなもんだろう。アークの剣を買いに行くか」


「ビビの服や下着も買わないとだね」


「下着は欲しいな。炭も石鹸も買わなきゃいけないな。大変だ」


「あはは。ビビ嬉しそう」


「そう⋯⋯見える⋯⋯?」


「うん」


「そうか。私は⋯⋯浮かれているんだな。アークのせいだぞ?」


 そんな事言われても謝らないもんね。ビビもそんな風に言いながら嬉しそう。


 服屋さんを見つけて、ビビの服を沢山買ったんだ。気持ちの良いベッドとソファーも別のお店で購入する。


 パウンドケーキも焼きたてを沢山買ったんだ。丸齧りしてみたい⋯⋯ミト姉さんに見つかったらデコピンされそうだなぁ。


 紅茶の茶葉とお砂糖もいっぱい必要でしょ? あ、チョコ売ってないね⋯⋯


 最後に武器屋へやって来ました。


 武器屋は、バススさんの店と比べるとかなり小さい。中は煙臭いし清潔感が無いなぁ⋯⋯


 木のテーブルカウンターに肩肘をついて、僕を見下ろす中年のおじさんがいた。


「んだ? 子供が何の用だ?」


「こんにちは。手頃な武器を探してまして」


「うちには玩具は置いてねーな。カッカッカッ!」


 玩具を買いに来たつもりは無いんだけどな⋯⋯あ、でも予算が心許無い。まだ27万ゴールドくらいあるけど、魔武器はちょっと手が出ないや。


 そうなると、おじさんの言う玩具しか買えないと思う。


「すいません⋯⋯確かにお金は少ないです」


 僕がそう言うと、おじさんが鼻で笑う。そしてタバコに火をつけた。


「アーク⋯⋯あれ、欲しい」


「え?」


 ビビが武器を強請(ねだ)るなんて今まで無かった⋯⋯珍しいから何だろうかと思って見てみたら、銀色に輝く小さめな散弾銃のような物が置いてあった。


 あれと似たような銃をお昼に見た! 勇者様が使ってた武器だよ!


 その直ぐ隣にも、似たようなフォルムの拳銃が置いてある。こちらは拳銃にしてはかなり大きいと思うんだ。


「これが気になるのか?」


「はい。それはどうしたのですか?」


「質屋に赤髪の女が持ってきたもんなんだとよ。期限過ぎても取りに来ねえから、うちに今日流れて来たんだ。材質もわからねーし、弾を込める穴もねえ。今調べてるところなんだが、分解すら出来ねえ。そんな物で良けりゃ売るぜ」


 おじさんは僕達を見ながら口角を吊り上げた。ビビが一目見て欲しくなる程に、その銃から滲み出る威圧感が凄い。


 あれ、勇者様の武器じゃないかな?


「幾らだ? 店主」


「最低50万で売れって言われてんだ。どっちもなら100万ゴールドだな」


 ビビがおじさんに値段を聞いたんだけど、返ってきた数字にがっかりだよね⋯⋯

 本当だったら1000万ゴールド払ってでも欲しいんだけど、今の僕達にはお金が無い⋯⋯諦めるしかないのかな。


「幾らだ? 店主」


 ビビの目が怪しく光る⋯⋯何故かさっきと全く同じ質問をするビビ。どうしたのかと思っていたら、おじさんがいきなり立ち上がった。


「これは質屋から流れてきた物で、両方合わせて1万ゴールドで仕入れました!」


「え? ビビ、何かしたの?」


 いきなりの事にびっくりしたよね⋯⋯まさか1万ゴールドだなんて⋯⋯ぼったくり過ぎじゃないの!?


「魅了で正直に喋ってもらっただけだ。使い方も何もわからない物に、大金払って仕入れる馬鹿はいないだろ? だから50万ゴールドな筈無いと思ったんだ⋯⋯まさかここまでぼったくってるとは思わなかったが⋯⋯」


「僕も思わなかった⋯⋯」


 ビビに交渉を任せて、2万ゴールドでお釣りまで返ってきたよ? ちゃんと黒字になるように払ってきたんだけど、ホルスターも用意してもらいました。


「本当に良いのかな?」


「1万5000ゴールドで買ってやったんだ。それにホルスターは別料金を払った。問題無い」


 普通に考えればそうなんだけどね。せめて10万ゴールドは払ってあげたいような気もしたんだよ。


 店の外に出て、銀色に光る拳銃を見る。何だかわからないけどかっこいいなぁ。

 銃は剣とまた違う。それにしても、やっぱり不思議な感じがするんだよね。


【ジェノシスライト:使用者登録完了致しました】


「え? 今何か聞こえた⋯⋯」


「っ! 私もだ⋯⋯」


 何これ? 急に手に馴染むような気がしたよ。


「ジェノシスライトって名前らしい⋯⋯使い方が何となくわかる!」


「こっちのはレフティスワルキューレ⋯⋯ふふふ。戦いが楽になりそうだ」



 無性に試してみたいけど、引き金を引いたら絶対にまずい事になるのがわかった。ビビも名残惜しそうにしたけど、僕が一旦預かるからね。



 銃は後で試す事にして、今はとりあえず収納しておく。日も落ちてきたので、ミズリさんとの待ち合わせ場所へ急いだ。





 銀のトントントン亭にやって来ました! すっごく大きな食堂で、楽しげな音楽が流れています。


 ランプが丁度良い薄暗さを演出していて、大きな笑い声とかも聞こえてくるよ。


「アークとビビとの出会いに」


「「「「アークとビビとの出会いに」」」」


『乾杯!』


「「かんぱーい」」


 ミズリさんが豪快にエールを呑む。でも僕はオレンジジュースです。ビビはちゃっかりエール呑んでるよ?

 お酒は美味しくない⋯⋯僕にはまだわからないなぁ。オレンジジュース美味しいと思う。


 皆で豆とソーセージの塩茹でをつつく。ビビがメイドらしく料理を取り分けてくれるんだ。にゃんって言いながらね。


「ミズリさんは何処から来たの?」


「魔石を仕入れるのに、コットバールって街へ行ってからデナートロスへ来たんだよ。わたしゃ行商人でね、決まった家は無いんさね」


 ミズリさんには子供とかいないのかな? 何となくだけど、それは聞いちゃいけないような気がしたんだ。


 デールさんがビビにそっぽ向かれている。ペッパーさんとレイジさんは、これから大人のお店に行くんだって。大人の僕を誘わないのはどういう事?

 ビビに知らなくて良い事だと言われたんだ。それと、九年待てとも言われたよ。


 リーダーのゴノドンさんは大きなお肉を食べながら、エールを次々とオカワリしているね。


「アーク、ビビ、本当に宿は取らなくて良いのかい?」


「うん。僕達は行く所があるんです。ミズリさんはいつまでこの街に?」


「二泊はするさね。その後は⋯⋯」


 その後は⋯⋯ね。


 僕とミズリさんの最後の日になるんだ⋯⋯やっぱり寂しいな。


「おや? どうしたいアーク?」


 ミズリさんが頭を撫でてくれた。少し表情に出ちゃってたかな? ぎこちないかもしれないけど、なるべく自然に見えるように笑顔で返さす。


「あはは。賑やかだねって思って」


「そうだねぇ。賑やかだね⋯⋯アーク、ビビ、二人が良ければ、私達に着いて来るかい?」


「それは⋯⋯ごめんなさい」


「謝る必要は無いよ。わたしゃ長生きするからね! またいつかどこかで会えるさね」


「そうですね」


 いつか⋯⋯どこかで⋯⋯会える? 会えるのかなぁ⋯⋯


 テーブルの上にミズリさんのしわくちゃな手があった。僕は何となくその手を触る。

 皺を寄せてみたり伸ばしてみたり、僕自身何をしているのかわからなかったけど、ミズリさんは僕の好きなようにさせてくれる。


 楽しい時間はあっという間で、僕達は解散した。


「アーク、おばあちゃんしようか?」


「良いよ。大丈夫だよ」


「そうか」


 そんな事を話しながら家まで飛んで帰ったんだ。



 家に帰ると、鳥さんが三十匹を超えていました。






 読んでいただきありがとうございます(´>∀<`)


 現在Twitterで、ビビの大人バージョンのアイコンを使っています。ヘッダーにはアークのイメージ画像もあります。

 作者ページから見に行けるので、良かったら見てみて下さい。


 なろうさんに載せてしまうと、著作権など引っかかる可能性がありますので、Twitterのみの公開となります。

 自分は絵が描けないので、アプリを使って作りました(*^^*)


 これからも頑張って執筆致します(っ ॑꒳ ॑c)

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