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デタラメな冒険譚が僕にくれたもの〜憧れを追いかける少年〜  作者: まあ(ºωº э)З
第七章 いきなり始まるスローライフ?
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ライムローゼの大事な物






 その場にいた全員が、信じられないものを見たような顔をしていた。


 僕だってよくわかってないんだよ? でも上階から下りて来たって事は、ギルドの中でも高い地位にいる人なのかもしれない。


 黒い革鎧のおじさんも、思いきり表情を強ばらせていたね。


 まだ換金が終わってないけど、無駄に目立つのも避けたいと思った。

 僕らにはこの世界での身分証という物が無い。だから面倒事は避けたいんだよね。


 ビビと軽く頷き合い、エルフのお兄さんに着いて行く。



「こちらへどうぞ」


「ありがとうございます」


 場所は応接室。エルフのお兄さんに案内されて、豪華なソファーに座った。


 ふっかふかだよ。僕の家にも欲しいなぁ。鳥さんで代用しても良いんだけど、じっとしててくれるかな?


「先程は失礼致しました。私の名前はハルキバルと申します。このギルドのギルドマスターであり、ハイエルフです」


「僕はアークです」

「ビビ」


 ハルキバルさんは、今にも倒れそうなくらい緊張していた。ハイエルフさんなんだね。初めて見たよ。


 ビビはいつもビビだね。ビビらしいと思う。ナイスビビ。


「あの⋯⋯そんなに畏まらなくても大丈夫ですよ? 僕は素材を換金しに来ただけですので」


「とんでもございません。あなた様のように格の高いお方は初めてです。まるで⋯⋯精霊の王が御降臨なされたようで」


 あ〜そっか⋯⋯この人には僕の存在の格が見えてるんだね。普通の人には力を解放しない限りわからないと思ってた。

 やっぱりハイエルフさんは凄い⋯⋯僕はイフリンに会うまで、存在の格というものを知らなかったんだから。


「僕はイフリン⋯⋯イフリート様とノーム様、ムーディスさんと契約させていただいています」


「四大精霊の王とですか!? ムーディス様も存じ上げております。しかし、それとあなたの格とは関係がありませんよね?」


 イフリンから聞いた話によれば、普通の精霊使いの人と僕は違うらしい。僕自身が半分精霊になっちゃってるわけだし、ただの精霊使いですよとは言えないか。


 この世界の住人に、僕の事を話しても問題は無いかな?


「精霊界でイフリート様に鍛えてもらいました」


「ふ⋯⋯はははは。普通なら信じないところですよ? 精霊の王とは、掛け値なしの化け物なんですから。神様のような存在です」


 ハルキバルさんが初めて顔を綻ばせる。でも確かにイフリンの力はとても大きいよ⋯⋯人間がちっぽけな存在だと言う事が、比べるまでもなくわかるんだ。

 でも僕はイフリンにもノーム様にも勝てるようになりたい。


 もっともっと色々な経験をして、ビビと強くなっていくんだ。


「アーク様は冒険者登録をされていますか?」


「それは⋯⋯答えれないのです。ごめんなさい⋯⋯」


「事情があるのですね。それなら、私も深入りしないように致します」


「ありがとうございます」


 話しても良いのかもしれないけど、きっと混乱するに違いないよね。


 ハルキバルさんはそっと目を閉じる。数秒の沈黙の後、開いた瞼から不思議な光が溢れ出した。


「現在、この国は未曾有の危機に瀕しています。アーク様の力を見込んで、是非お願いしたい事がございます」


 お願いしたい事? それは、黒狐様が僕にやらせたい事なのかな? もし関係が無かった場合、僕は困った事態になるかもしれない。


「⋯⋯話はお伺い致します。決めるのはその後でも?」


「勿論です。私も無茶なお願いだとは思っております」


 それなら聞いてみようかな。


 部屋の扉が開き、高そうな焼き菓子とアイスティーが運ばれてきた。


 美味しそう。クッキーの真ん中にジャムが乗ってるやつだ。


「この国は、一部の穏健派魔族と交友関係にありました」


「え?」


「ふふふ。魔族と言っても、色々な人がいるのですよ。人間と魔族は分かり合えるのです。少数派ですがね⋯⋯魔族の国や獣人の国では、個の力が全てという考え方が主流です。でもそれだけでは時代の流れについていけません。人間には、数という力がありますから」


 人間はどの種族よりも数が多いとされている。数えきれない種族がいるなかで、八割以上は人間なんだって本に書いてあった。


「少しずつ親睦を深めていたのですが、それを面白くないと見る魔族も沢山いたのです。現在この国に、穏健派の姫君ライムローゼ様が匿われています」


「え? それはつまり⋯⋯」


「ええ⋯⋯人間は支配すべきと考える強硬派の魔族と、共存共栄を考える穏健派の魔族が水面下で争いを始めています。穏健派の旗頭であるライムローゼ様は、絶対に守らなければなりません」


 難しいお話だよね。でも何となくわかったよ。ライムローゼ様を狙う悪い人がいて、それをこの国が必死に守ろうとしているんだね。


「えーっと、僕に何をして欲しいのですか?」


「これを預かっていて欲しいのです」


 ハルキバルさんが、若草色の綺麗な万年筆を取り出した。


 何だろう⋯⋯近くで見ると、微かに魔術の気配があるんだけど⋯⋯


 ビビもこれが何かわからないといった感じだった。何かの魔導具なのかな?


「これは何なのでしょうか?」


「ライムローゼ様の命と思ってくれて構いません。今ライムローゼ様は、王城で勇者様達に守られております。私はこれでもSランク冒険者なんですが、アーク様に託した方が安全だと判断致しました」


 ライムローゼ様の命? 大切な人の形見とかなのかな? ハルキバルさんがSランク冒険者だってのも驚きだよ。


「Sランク冒険者さん初めて見ました」


「私なんてSランクの末端ですよ。アーク様に流れる魔力を見て、私は言葉を失いました。それに、隣りのメイドさんは⋯⋯」


「ビビです! 悪い事しません!」


「そういう事にしておきましょう」


 なんだかちょっと弱みを握られた気分だね。この頼みを断っても、この人が何かを言う事は無いと思う⋯⋯でも僕がこの頼みを聞いてあげた方が、ハルキバルさんも協力的になってくれそうだと思った。


 悩むぅ⋯⋯結局肝心な事は教えてもらえてないもん。この万年筆が何なのかわからないけど、無限収納に入れちゃえば大丈夫かな?


 万年筆を手に取り、とりあえずポケットにしまう。


「ありがとうございます」


「預かる期間はどれくらいでしょう?」


「未定ではありますが、一日10万ゴールドで如何でしょう?」


 一日10万ゴールド!? すっごい大金⋯⋯持ってるだけで良いんだもんね。



 それから細々とした話し合いをして、数日に一度ギルドへ訪れる事になった。

 それと、この国の近くにはダンジョンがあるんだって。ダンジョンの入場には許可証が必要らしいんだけど、ハルキバルさんが特別に発行してくれたんだ。


 前金として30万ゴールドを受け取り、5万ゴールドは使いやすいように崩してもらった。

 ヘイズスパイダーの査定は後日になるみたいだよ。



「何かちょっと疲れたかも⋯⋯」


「私もな⋯⋯あの男に悪意は無さそうなんだが、何を考えているのか⋯⋯」


 そうだね。悪い人じゃないと思うけど⋯⋯


「あれ?」


「どうした?」


 ポケットの中で、万年筆を無限収納にしまおうとしたんだけど⋯⋯


「しまえない」


「⋯⋯」


 色々と謎な物体だね⋯⋯誰が見てるかわからないから、無くさないようにしなくっちゃ。これは後で考えよっかな。


 お金も手に入ったし、買い物してミズリさんの所へ行こう!






 今日こそ2話投稿したいなぁ_(´ཫ`* _)⌒)_


 沢山読んでくれてありがとうございます(*^^*)

 これからも皆ついてきてね\( 'ω')/頑張ります!

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