繋がり合う心
ブクマ1100件超えました(´;ω;`)
本当にありがとうございます!
キッチン、リビング、トイレ、お風呂、寝室と、単純だけど作るとなったら大変だよね。
洗濯は川でするとして、他に何が必要になるだろうか?
僕は土台を作り、ビビは丸太の皮を剥ぐ。剥いだ皮で鳥さんは勝手に巣作りを開始した⋯⋯
僕達は設計図とも言えないような絵で作業を進め、魔法を多用しながら頑張ってたんだ。
いつの間にやら随分と巨大になり、本当に完成するのかと不安になる。見切り発車で作業を進め、後から窓や扉はどうする? って話になったり⋯⋯でもね、凄く楽しいんだ。だってビビが楽しそうにしてくれてるんだもん。
「下水道はこっちで〜⋯⋯水タンクも作るから〜」
「苦戦中か? アーク」
「んー⋯⋯だってさ、どこをどうしたらいいのかわからなくて、解決策を考えて手が止まっちゃうんだ。長さを合わせるのも大変⋯⋯」
「普通に凄いと思う。もう少し気軽にやろう」
「そうだね」
「紅茶で休憩しよう」
机に突っ伏していたら、ビビが紅茶を用意してくれたらしい。ありがとうと言ってから、紅茶の香りを堪能する。茶葉とお菓子も結構無くなっちゃったな⋯⋯
「また難しい顔してるな」
「あはは。ごめん」
「わ、私は、アークがいてくれれば贅沢は言わない」
「⋯⋯ありがとう。ビビ」
僕は何でも完璧にしそうになる癖があるのかも。最初から全部上手くいくわけないよね。ビビがいてくれて本当に良かったな⋯⋯きっとこの先も、ビビに沢山助けられるんだと思う。
三色団子を取り出して、ビビと静かに笑いあった。そんな僕達に反応した鳥さん達が、物欲しそうにお団子を見つめている。
「流石に団子はな⋯⋯この鳥には小さ過ぎるだろう。あ、アーク。アレを出したらどうだ?」
「アレって?」
「ヘイズスパイダーなら山ほどあるだろ?」
確かにそうだね。特殊な個体以外なら、本当に山のようにあるや。
ちょっとグロテスクだから、遠くにヘイズスパイダーを取り出してあげる。
鳥って虫とか好きだもんね。魚もそうだけど、基本的に肉食なんだと思う。あ、でも野菜や果物も食べたりするよね。という事は雑食なのかな?
「「「クルルウェ!!??」」」
「良いよ食べて」
「クルルウェ!」
「クルックルックルックルー!」
「クルウェイ! クルルウェ!」
感謝の印なのか、三匹は金の卵を産んでくれたよ。僕に頭を擦りつける動作がとっても可愛いんだ。
ビビは素早く卵を回収して、川で磨き上げているようだね。
「あんまりゆっくりもしてられないね。頑張るぞー」
「おー!」
「「「クルルウェ!」」」
この日の夜。何とか家の外側だけが完成した。それを見ていたビビが、顔をクシャッと歪めて涙を流す。
「ビビ? どうしたの?」
「いや⋯⋯ちょっと⋯⋯色々と思い出しちゃって⋯⋯」
次々と溢れてくるビビの涙を見て、何を思い出したのか気になった。そっと抱きしめて頭を撫でてあげても、ビビの涙は止まらない。
何を抱え込んでいるのかな? 僕に出来る事は無いのかな?
プライドが高いビビが、こんなに泣くとは思わなかったよ。
「もう手に入らないと思っていたんだ⋯⋯それを見たら⋯⋯止まらなくて⋯⋯」
「⋯⋯ビビが欲しい物なら、僕が絶対手に入れてあげるよ」
「⋯⋯ありがとう⋯⋯アーク⋯⋯」
泣き続けるビビに、鳥さん達まで集まってくる。気がつけばおしくらまんじゅうのようになっていて、僕達は微動だに出来ない程に身を寄せ合う。
ビビは一晩中泣いたんだ。辛かったんだろうね⋯⋯僕もつられて涙が出てきたよ。どうにかしてあげたいな⋯⋯僕に何が出来るのかな?
身動き取れないまま、僕達は眠ってしまった。いっぱい泣いたから疲れてたんだよね。でも沢山のモヤモヤしたものが外に出せたと思うんだ。
「おはようアーク」
朝起きた時にビビは既に起きていたみたい。瞼が少し泣き腫らしたようになっているね。
「おはようビビ」
鳥さん達はまだ眠っているみたい。ビビにおはようと返すと、その背中の髪の毛を撫でた。
「ありがとうアーク。私はアークが好きだ」
そう言ってビビが優しく微笑む。言った後に耳まで真っ赤にし始めたよ。好きだと言われるのはとても嬉しい気分になる。
「僕もビビが大好きだよ」
「アーク⋯⋯」
ビビが恥ずかしそうに顔を隠した。そして直ぐに顔を上げると、僕の背中に両手が回される。
「⋯⋯キスしてもいいだろうか?」
「⋯⋯良いよ。ビビ」
目が合い、ゆっくり顔が近づいていく。唇が重なると、ビビのドキドキが聞こえてくるようだった。
僕までドキドキしちゃった。この気持ちはなんだろう⋯⋯何でもいいかな。
「素直に言えて良かった」
「いつも僕が寝てる時に練習してたもんね」
「⋯⋯仕方ないだろう。私にもわからない気持ちだったんだ」
この後もう一度ちゅーをされて、ゆっくりと血を吸われました。
*
ビビ号泣事件から六日後、遂に僕達の家が完成しました! 家具とかはまだ揃ってないけど、これで雨風がしのげるのは嬉しいです。
葉っぱを沢山集めて乾燥させて、それをベッドにしたんだよね。これで最初に届いた手紙の指令は達成されたと思うよ。
「次はどんな事をさせられるのかな?」
「噂をすればみたいだぞ?」
空がピカリと輝いて、一通の黒い封筒が落ちてきた。前回は紙だけだったのに、ちょっとグレードアップしているよね。
少し緊張するな。いったいどんな内容なんだろうか⋯⋯
「悩んでも仕方ないだろう」
「そうだよね」
封筒を開き、中から小さな紙を取り出した。二つ折りになっていたので、さっと手紙を片手で開く。
『街へ行け』
「はい?」
ここは黒狐様が作った何かだと思ってたんだ。街があるなんて⋯⋯人も住んでいるの? 考えてもみなかったよ。
⋯⋯純愛(っ ॑꒳ ॑c)
これがラブだよ((o(;□;`)o))
下ネタ絡まないラブだよー\( ‘ω’)/ウオオオオアアアアーッ!
進展しました⋯⋯長かったですね(:3_ヽ)_




