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デタラメな冒険譚が僕にくれたもの〜憧れを追いかける少年〜  作者: まあ(ºωº э)З
第七章 いきなり始まるスローライフ?
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ゴールデン○○○!!!






 それは大きな鳥だった。赤や緑とカラフルな羽で、ゆっくりと僕らの頭上を旋回している。


「ふわー。すっごいなぁ⋯⋯デッカイや」

「美味そうだ!」


「え?」


 えー? 美味しそうだと思う? ビビの頭の中では、多分調理後の姿になってるんじゃないかな。きっと食べたら美味しいのかもしれないけど、兎に角デッカイ鳥さんなんだよ。


 その鳥はゆっくり高度を落とすと、僕達を食べに⋯⋯来なかった。


 僕達の目の前に降りた鳥は、翼を畳んで座り込んだんだ。水辺に浮かぶ鳥のように、花畑にフワリと体を落とす。


「クルルウェ! クルルウェ!」


「え? えーと」


「クルルウェ! クルルルル〜ウェ!」


 特徴的な鳴き声だ⋯⋯何かを言っている気がするよ。こちらを敵視している訳じゃなくて、仲良くなりたいと言っているような気がするんだ。


「こ、こんにちは」


 とりあえず挨拶しておきますね!


「挨拶からの奇襲作戦か? もう倒しても良いか?」


「駄目だよビビ。この鳥さんは食べちゃ駄目」


「私に死ねと?」


「何でそうなるの?」


「クルルウェ! クルルウェ! クルルウェ!」


 ビビが絶望的な顔になった。もうずっとチキン食べてないからなぁ⋯⋯ちょっと可哀想。でもこの鳥さんは食べれないしね。


「すいません鳥さん。美味しいお友達とか紹介してもらえますか?」


「クルルウェ!!??」


 鳥さんが仰け反る程にびっくりしていた。やっぱりそうだよね⋯⋯自分より美味しい友達は紹介したくないよね?


 ビビが飛び出して行きそうなのを止めていたら、鳥さんが一度立ち上がって横にズレた。そして元いた場所には、黄金色の卵が落ちている。


「もーらったーーー!!!」


「あぁ⋯⋯ビビ⋯⋯」


「クルルウェ! クルルウェ!」


 ビビは満面の笑みで卵を捕まえた。頭の上に黄金の卵を掲げて、お花畑の上を舞い飛んでいる。


「鳥さんごめんなさい。あの卵いただけますか?」


「クルルウェ! クルルウェ!」


 何となく良いよと言われた気がしたよ。


 何でこんなに動物から好かれるのかと思ったんだけど、僕の体が半分精霊になったからかもしれない。今度イフリンに聞いてみようかな。魔物はわからないけど、動物からは愛されるみたい。


 クレアからも愛されるかな? にゃーにゃー言ってくれるかな? 想像したらにやけちゃう⋯⋯ふふふ。


【この時、猫生二回目の戦慄を覚えたとクレアが語る】


「鳥さんありがとう」


 鳥さんの太い首を触らせてもらったら、すんごいふかふかでびっくりしたよ。御礼に何かあげたいんだけど⋯⋯そうだ!


「雲海ズベーラをあげるね。僕達も食べてないんだけど、美味しいらしいから」


 ズベーラを取り出して、適当にブツ切りにして目の前に並べた。気に入ってくれると良いんだけど⋯⋯


 鳥さんがズベーラを突いて一口呑み込んだ。すると、目の色が変わったかのように夢中になって食べている。


 凄く喜んでくれてるよ。何だか嬉しいな。


「クルルウェ! クルルウェ! クルークルークルー」


「あはは。卵の御礼だからね!」


 頭を僕の体に擦り付けててくるよ。首やおデコがモフモフして気持ち良いんだ。なんか段々可愛くなってきちゃったよ。


「クルルウェ?」


「うん。可愛い可愛い。よしよしなでなで〜」


「むむ⋯⋯私のアークが取られてる!」


 ビビが金の卵を持って戻ってきた。僕と鳥さんの関係を見て、小さく頬を膨らませている。何と張り合っているのだろう。


 それにしても、ここは変わった場所だね。山の中腹にありながら、下から見る事が出来なかった。見る角度とかでも違うと思うんだけど、隠れ家的でワクワクするよ。


 鳥さんは満足したのか、立ち上がって崖の方へ走り出した。ドッテッテッテッテっと音が聞こえてきそうな走り方で、翼を広げて飛び降りる。


「またねー! 鳥さーん!」

「また来いよー!」


「クルルウェ!!」



 鳥さんを見送ってから、ビビの要望でふわとろオムレツを作ったんだ。中にはチーズと下茹でした野菜、それと豚のひき肉を入れて、バターで美味しく焼き上げました。

 木のテーブルを出して、赤いチェックのクロスを敷く。真ん中に大皿を用意して、ドーンと乗るような巨大サイズで作ったんだ。とても迫力があって、ビビの目が輝いてるのがわかるよ。


 卵は中身まで黄金みたいに輝いていたんだよ。味がまだわからないけど、すっごい美味しそうな匂いが漂ってるんだ。


「どうぞ。ビビ」


「美味しそうだな」


 卵だけど、久しぶりの鳥料理に嬉しそうにしている。作ったかいがあるよね。神様にお祈りを捧げた後、ビビは早速一口頬張った。


「これは⋯⋯美味い! 濃厚でいてくどくない!」


「あ、そう?」


「なんて滑らかさだ! チーズも良くマッチしている!」


「うん」


 僕も一口食べてみたけれど、本当に美味しいと思ったよ。ビビの嬉しそうな顔も見れたし、今日は本当に良かったな。


 ありがとう鳥さん!


 この日はビビと家の設計図を書いて終わりました。夜は寝袋で眠ったんだ。


 次の日、鳥さんは三羽になってました!!?






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